藤沼会計事務所、所長の藤沼です。
会計事務所での仕事内容は、(未経験の方は特に)イメージしづらいはず。
しかし、正しく理解せず就職してしまうと、キャリアを無駄にする恐れがあります。
というのも、会計事務所という職種はとても専門性が高く、他業界への転身が難しいからです。
そこで本記事では、会計事務所での仕事内容をはじめ、会計事務所で働くメリット・デメリット、注意点を解説します。
キャリアは後戻りができませんから、ぜひ本記事を参考に、キャリアを考えてみて下さい。
この記事で分かること
- 会計事務所での仕事は、「会計ソフト」への仕訳入力作業が基本
- 最終的に、「決算書」と「確定申告書」を作成するのがゴール
- 上記に付随して、給与計算(年末調整などを含む)も請け負う
- 会計事務所によっては、相続税・組織再編税制などのより専門的な税務に携わることもある
- 初めの1年目で仕事を覚えれば、2年目以降は同じことの繰り返し
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会計事務所での仕事内容をわかりやすく解説
「会計事務所での仕事内容は大変か?」という質問をよく受けますが、私はさほど大変な仕事ではないと思います。(ただし、所長や税理士・会計士は別)
というのも、会計事務所での仕事は外部者とのコミュニケーションをあまり必要とせず、一人で黙々と作業することができるからです。
補助者であれば、自らの名称で責任を負うこともありません。
では、具体的な会計事務所での仕事内容を紹介します。
それぞれ解説します。
記帳代行|日々の取引を会計ソフトに入力する作業
記帳代行とは、日々の取引を会計ソフトに入力する作業(の代行)をいいます。
これが会計事務所でのメイン業務です。
具体的には、日々の取引から生じた「領収書」「請求書」「契約書」等のエビデンスをもとに、会計ソフトへ数値などを入力していきます。
この作業は一般企業の経理部で行われますが、作業量が多く専門知識も必要になることから、会計事務所などへ委託されるケースがあり、この代行作業を「記帳代行」と呼びます。
会計ソフトへの入力に際しては、「複式簿記」という記帳手法を用いるため、ここで簿記に関する専門知識が必要になります。
また、法律に則って記帳する必要があるため、主に税法の知識も必要になります。
- 複式簿記
- (主に)法人税法・所得税法・消費税法
ご存じの方も多いと思いますが、複式簿記は「日商簿記検定」という資格を取得することである程度の知識が身に付きます。
しかし、各種「税法」の知識は、日商簿記検定では学習することができません。
そのため、税理士試験科目の勉強をする、または実務から吸収する必要があります。
とはいえ、座学の知識をそのまま活用できる分野ですから、勉強した分だけ仕事で活用できるようになります。
努力を惜しまない方にとっては、面白味・やりがいを感じる部分です。
巡回監査|毎月クライアント先に訪問して会計処理等の助言をする
巡回監査とは、クライアント企業を訪問し、会計処理の正しさの確認・助言をする業務をいいます。
先述の「記帳代行」は会計ソフトへの入力自体を請け負うのに対して、「巡回監査」では会計ソフトへの入力はクライアント企業に任せ、その正しさをチェックする業務になります。
「記帳代行」との違い
巡回監査 | 記帳代行 | |
---|---|---|
仕訳入力 | クライアントが入力 | 会計事務所が入力 |
顧客訪問 | 〇 | × |
監査 | 〇 | × |
税務相談 | △ | × |
巡回監査は月1回のペースで行われることが多いため、「月次監査」と呼んだりもします。
一般的には訪問(対面)を求められるケースが多いですが、最近ではZoom等、オンラインで行うケースも少しずつ増えています。
また、クライアントによっては「気になることをまとめて月1で相談したい」というニーズがあるため、訪問時には税務相談を受けることがあります。
そのため、税法の知識は必須です。
決算業務|年度末に修正仕訳を起票して決算書を作成する
決算業務とは、1年間かけて記帳してきた仕訳をまとめ上げ、「決算書」(主に貸借対照表・損益計算書)を作成する業務をいいます。
まとめ上げるとはいっても、作業のイメージは記帳代行の延長のようなものであり、会計ソフトが自動的に決算書を作成してくれます。
- 1年間かけて積み上げた仕訳を合算し、加えてイレギュラーな仕訳(決算整理仕訳)を計上する
- 出力された残高試算表をもとに、決算書(貸借対照表・損益計算書)を作成する
とはいえ、イレギュラーな取引・誤った取引があると正しく決算書を作成できないケースがあるため、目視で異常性を確認する必要があります。
ここでも簿記の知識が必要になり、スタッフの熟練度に応じて作業を分担するケースが多いです。
また、年度末になると多くの企業の決算業務が重なるため、仕事が忙しくなります。
税務申告|決算書をベースに税務調整を行い「申告金額」を確定!
税務申告とは、作成した決算書をもとに「確定申告書」を作成する業務をいいます。
日々記帳した仕訳をまとめ上げ、それらをもとに納税すべき金額を確定させる作業ですから、会計事務所における最も重要な業務といえるかもしれません。
税務書類の作成を誤ってしまうと、クライアントが支払うべき税金額の計算を誤ることになりますから、クライアントに損失を与える可能性があります。
そのため、会計事務所での業務は「細やかさ」が必要になる仕事と言えます。
なお、確定申告書(税務書類)の作成は税理士の独占業務であり、作成した確定申告書には税理士の署名がなされます。(税理士法第2条1項及び国税庁|税理士の業務を参照)
ただし、実務上は税理士管理課のもとスタッフがまず書類を作成し、それを税理士がレビューの上で署名するケースが大半です。
よって、確定申告書の作成もスタッフが経験できる業務の1つになります。
給与計算・年末調整|クライアント企業の人事部の作業も代行
記帳代行に付随したサービスとして、給与計算・年末調整の代行もサービスに含まれることが多いです。
給与計算・年末調整の業務は、(簡単に言うと)毎月の「給与明細」と年度の「源泉徴収票」を作成する仕事です。
給与計算・年末調整の業務に携わることで、例えば次のような知識が身につきます。
給与計算・年末調整から得られる知識(例)
- 社会保険に関する知識
- 源泉所得税に関する知識税
- 所得税に関する知識
- 住民税に関する知識
これらの知識は、たとえば一般事業会社における人事部(給与計算チーム)で活用することができます。
そのため、会計税務の枠を少し飛び越え、給与に関連する知識も得られます。
コンサルティング業務|M&Aや経営コンサルにも関与する事がある
上記のほか、例えば次のようなコンサルティング業務もあります。
会計事務所でのコンサルティング業務(例)
- 経営コンサルティング
- M&Aコンサルティング(財務DD・バリュエーション)
会計事務所では、財務内容の把握を通じて、経営コンサルティングを行うケースもあります。(ただし、いわゆる戦略コンサルファームのようなレベルではありません)
また、単発のプロジェクトとしてM&Aに関するコンサルティングを行う会計事務所もあります。
ただし、少なくとも上記のコンサルティングに関して、無資格者の方が積極的にかかわる機会は少ないでしょう。
これは、会計税務に関する高度な知識が要求されるからです。
関わるケースがあったとしても、税理士・公認会計士の補助という役回りが大半です。
その他事務作業|会計事務所では雑務対応も多くなりやすい
以上が、一般的な会計事務所での仕事内容です。
このほか、会計事務所では次のような雑務も仕事の1つに入ります。
その他の事務作業(例)
- 受付・来客対応
- 電話応対
- 請求書・領収書・契約書などの作成
- 郵便物の発送
- 資料のコピー・スキャン
- 事務所内の掃除 など
会計事務所は(一般的には)小さな組織ですから、総務部のような仕事も回ってきます。
これらは税理士でなくとも行える業務ですから、無資格者・パート職員の方に任されるケースが多いです。
会計事務所未経験者の仕事内容|まずは記帳代行での仕訳入力
完全未経験で会計事務所で働く場合、まず記帳代行を割り当てられます。
記帳代行は、会計事務所の仕事の中でも最も基本的な仕事であり、かつルーティン化された業務だからです。
ルーティン化された業務はマニュアル化されやすく、(まともな事務所なら)マニュアルを読みながら作業を進めることができます。
しかし、全ての作業がマニュアル化されているわけではなく、時には仕訳が分からないシチュエーションも多いです。
そんな時は先輩職員・税理士に指示を仰ぐことになりますが、小さな会計事務所では教えられる職員がいないケースもあり、自分で調べることが求められます。
そのため、自分で簿記・税法(法人税法・所得税法・消費税法)を調べながら作業することになります。
もちろん調べ方は教えてもらえますが、覚えることは非常に多いです。
仕事に慣れていくと、徐々に担当するクライアント数が増えていき、最終的には(会計事務所の方針にもよりますが)1人あたり10社~30社担当することになります。
慣れるとむしろ頭を使わなくなるので楽なのですが、初めは大変です。
また、徐々に業務内容に「給与計算」「巡回監査」も追加されていきます。
巡回監査は難易度が高いため、初めは税理士や先輩スタッフに同行する形で経験することになります。
慣れてくると一人でクライアント先に行くようになりますが、税理士でなければ答えられないような個別具体的な相談については、事務所に戻って確認した上で回答することになります。
このように、未経験者の場合はまず「記帳代行」から始め、徐々に業務の幅・クライアント数を広げていくことで段階的にレベルアップしていきます。
また、未経験者が会計事務所に慣れるまでには、半年~1年かかります。
会計事務所での仕事は1年区切りで進むため、1年間の経験を積むことで、大幅なレベルアップを実感します。(1年間の大きな流れを理解することができます。)
なのでまずは1年間働くことを目標にすることをオススメします。
会計事務所のパートの仕事内容|事務・雑務も任されやすい
パートとして会計事務所で働きたい方も多いでしょう。
会計事務所でのパート職員の仕事内容は、次のとおりです。
- 記帳代行
- 決算業務
- 税務申告
- 給与計算・年末調整
- その他事務作業
特徴としては、いわゆる内勤業務であるという点です。
外勤業務となる「巡回監査」は、正社員のスタッフが担当し、パート職員は事務所内での記帳代行・給与計算・その他事務作業を主に担当します。
会計事務所でのパートの仕事内容について、詳しくは次の記事で紹介しています。
ちなみに、未経験者がパートとして会計事務所で働くのはかなり難しいです。
パート採用は即戦力が前提のケースが大半で、経験者へのニーズがほとんどだからです。
会計事務所での一年間の流れ|12月から忙しくなる
先述のとおり、会計事務所での仕事内容はとても幅広く、事務所の方針によっては仕事内容が大きく異なるケースもあります。
ただし、根幹となるサービスは概ね同様であり、「記帳代行」・「税務申告」の2つのサービスを軸に大まかなスケジュールを知ることができます。
会計事務所での大まかなスケジュールは、次の通りです。
大まかな会計事務所のスケジュール
大まかですが、上記のようなスケジュールで動くのが一般的です。
上記をもう少しまとめると、「繁忙期」「閑散期」は次のようになります。
- 繁忙期:12月~5月
- 閑散期:6月~11月
主に12月~3月は個人事業主の確定申告の時期で忙しく、4月~5月は3月決算法人の確定申告で忙しくなります。
※ 法人のクライアントが少ない場合、繁忙期は3月で終わります。
また、ゴールデンウィーク頃には比較的忙しくないケースもありますが、事務所によっては数日の出勤日が設けられたりと様々です。
会計事務所での繁忙期について、詳しくは次の記事で解説しています。
どんな人が会計事務所で働いているの?
会計事務所で働いている方の属性をカテゴライズすると、大きく次の6パターンに分類することができます。
- 税理士
- 税理士受験生
- 公認会計士・会計士受験生
- パート勤務の主婦
- 税理士補助スタッフ
それぞれ、簡単に解説します。
税理士|所長だけでなく職員にも有資格者がいる
会計事務所での「税務申告」という業務は、税理士がいなければ遂行できません。(参照:税理士法第五十二条「税理士業務の制限」)
そのため、基本的に所長は税理士資格を有しています。
また、会計事務所では所長以外にも税理士がおり、クライアントを分担しているケースが多いです。
税理士の割合は、職員全体の2割~7割くらいです。(事務所によって大きく変わります)
税理士受験生|働きながら合格を目指している人が多い
会計事務所では、税理士受験生が多く働いています。
これは、税理士試験の学習内容がそのまま仕事に直結し、戦力になるからです。
受験生にとっても、実務を受験勉強に活かすことができたり、独立後の組織経営を間近で見れたりと、かなり多くのメリットがあります。
なお、働きながら税理士になるための職場選びについては、次の記事で分かりやすく紹介しています。
公認会計士・会計士受験生|開業を目指している人も
税理士に比べると数はかなり少ないですが、会計事務所で働く公認会計士も存在します。(私もその一人)
ただし、公認会計士資格では「税務申告」を行うことが認められないため、多くの場合ダブルライセンスとして税理士資格も取得しています。
※ 公認会計士資格があると、(申請するだけで)税理士資格ももらえます。
また余談ですが、最近は会計事務所で働きながら公認会計士を目指す人が増えており、合格率もかなり高いんですよね。
パート勤務の主婦|細やかな仕事ができる女性は特に重宝される
会計事務所には、パートとして働く主婦の方も多いです。
会計税務の仕事は、細やかさ・丁寧さが求められることから、女性へのニーズが高いのでしょう。(私の主観も入っています)
中には所長を除いてほぼ全員が主婦の方、という会計事務所もあり、パート主婦の方に支えられている会計事務所は意外と多いかもしれません。
パートとしての会計事務所での仕事内容については、先述のとおりです。
税理士補助スタッフ
会計税務の専門家として、税理士を目指さずに税理士補助として働く方も非常に多いです。
私が所属していた会計事務所でも、「税理士は目指していない」という方がかなり沢山いました。
「専門性が身に付く」「シンプルに業務が面白い」という方が多く働いている印象があります。
会計事務所への就職におすすめの資格|簿記2級が最もコスパ良い
会計事務所への就職におすすめの資格は、次のとおりです。
- 日商簿記2級
- 日商簿記3級
- 税理士科目1~2科目
- MOS
最もおすすめなのは、日商簿記2級です。
なぜなら、群を抜いてコストパフォーマンスが高いから。
これは私の主観だけではなく、実際の求人数を見れば明らかです。
「未経験OK」の求人数の内訳
簿記2級 | 求人全体 | |
---|---|---|
東京都 | 241件(45%) | 533件 |
東京都以外 | 350件(49%) | 708件 |
(合計) | 591件(48%) | 1,241件 |
「未経験OK」の求人のうち、約半数の会計事務所が応募資格として「簿記2級」を掲げています。
日商簿記2級は、3ヶ月程度勉強すれば取得できる検定資格です。
これほど未経験者向きでコストパフォーマンスの高い資格は、他にありません。
1度合格してしまえば、一生モノの資格です。
経理など、他の会計系職種への転職にも使えます。
かなり便利ですよ。
会計事務所におすすめの資格について、詳しくは次の記事内で紹介しています。
会計事務所で働くにはどんなスキルが必要?
会計事務所で働くには、まず次のスキルが求められます。
- PCの操作スキル
- コミュニケーション能力
- 税務に関する知識
PCの操作スキルは、具体的にはExcel操作・会計ソフトの操作です。
このうち、未経験の方は会計ソフトを使ったことのない方がほとんどですし、あまり気にする必要ありません。
一方、「Excel操作スキル」は未経験者でもほぼ必須のスキルです。
Excelが触れないと、仕事になりません。さすがに採用後、Excelの使い方から教えるのは厳しいです。(新卒者なら別ですが)
また、「税務の知識」も未経験者採用では求められませんが、就職後は働きながら身に付けるべき知識です。
そして意外と重宝されるのが「コミュニケーション能力」です。
会計事務所での作業は黙々と行いやすいため、職員間での会話・コミュニケーションが少なくなる傾向にあります。
だからこそ、明るい方やコミュニケーションの得意な方が重宝され、評価されやすいのです。
会計事務所で働くためのスキルについて、詳しくは次の記事内で解説しています。
会計事務所の年収は平均547万円!ただし未経験者はもっと下がる
会計事務所の年収は約547万円です。(全国平均)
かんたんな内訳は、次のとおりです。
地域 | 下限平均 | 上限平均 | 平均年収 | 求人数 |
---|---|---|---|---|
東京 | 444万円 | 740万円 | 592万円 | 2,320件 |
東京以外 | 383万円 | 647万円 | 515万円 | 3,147件 |
全体 | 409万円 | 686万円 | 547万円 | 5,467件 |
ただし、この中には「未経験者・経験者」「税理士・非有資格者」が混在しており、あくまで会計事務所全体の平均年収に過ぎません。
細かく場合分けした時の会計事務所の年収について、詳しくは次の記事内で紹介しています。
なお、パート職員の時給は1,200円~1,700円とかなり幅があります。
会計事務所で働くメリット・デメリット
会計事務所で働くメリット・デメリットは次のとおりです。
- 税理士を目指す環境として最適
- 税務のスペシャリストになれる
- 将来のキャリアの選択肢が多い
- 保有資格が給与に反映されやすい
- 自宅から近い職場を選べる
- 繁忙期がある
- 初めは慣れるまでに時間がかかる
- 所長の性格によって、事務所の雰囲気が左右されやすい
- 社会保険に加入できない事務所がある
会計事務所で働く一番のメリットは、将来のキャリアの選択肢が広がることです。
一般事務とは異なり、会計事務所では税務の専門家としてスキルを磨くことができます。
「税」は今後も一生残り続ける概念であり、税の仕事がこの世からなくなることは有り得ません。
事務所内でキャリアアップするも良し、他の会計事務所に転職するも良し、企業経理に転職するも良し、税を極めるために税理士を目指すも良し、その後独立するも良し、育児のためにパートに変えるも良し。
意外と選択肢は多いのです。
一方、会計事務所は閉鎖的な組織であることから、所長の性格には注意が必要です。
所長はスキルも経験も権限も強く、その性格によって事務所内の空気が大きく変わります。
そのため、会計事務所に応募する前に必ず「その事務所の雰囲気」を知ることが大切です。
会計事務所で働くメリット・デメリットについて、詳しくは次の記事で具体的に紹介しています。
会計事務所に向いている人・向かない人
会計事務所に向いている人・向かない人の特徴は、次のとおりです。
- 分からないことを自ら調べられる人
- コミュニケーション能力の高い人
- 細かい作業が好きな人
- 体力のある人
- 勉強が好き・向上心のある人
- コミュニケーション能力が極端に低い人
- 何でもすぐに質問してしまう人
- ケアレスミスの多い人
- 仕事を抱え込んでしまう人
- 大雑把な性格の人
第一に、勉強が好きな人・向上心のある人は、会計事務所に向いています。
好きこそ物の上手なれと言いますが、私の周りを見ていても熱心な方ほど仕事がデキます。
また、作業自体は単調になるケースが多いため、細かい作業が好きな方にも向いています。
一方、大雑把な性格の人には会計事務所は向きません。(もちろん、そういう方も働いていますが)
なぜなら、会計事務所は「顧客のお金(税金)を計算する仕事」ですので、何となく雰囲気で仕事をしていると大きなミスに繋がる恐れがあるのです。
会計事務所に向いている人・向かない人について、具体例は次の記事内で細かく解説しています。
未経験で会計事務所に応募するときの注意点
会計事務所は、未経験者でも活躍できる職種です。
これは私の主観ではなく、実際に会計事務所の求人票を集計すると分かります。
未経験者歓迎 | 経験者のみ | (全体) | |
---|---|---|---|
東京 | 534 件 | 1,786 件 | 2,320 件 |
東京以外 | 707 件 | 2,440 件 | 3,147 件 |
(全体) | 1,241 件 | 4,226 件 | 5,467 件 |
会計事務所向けの求人全体のうち、20~25%が未経験者歓迎の求人でした。(東京・東京以外いずれも同様の結果)
求人数自体も多く、未経験からでも働きやすい職種であると言えます。
ただし! 未経験で会計事務所で働く際は、次の点に注意しましょう。
それぞれ解説します。
会計事務所によって業務内容は違う|細かい部分までしっかり確認!
本記事では、一般的な会計事務所での仕事内容を紹介しました。
しかし、細かな業務内容は各事務所によって異なります。
「会計事務所」といってもそれぞれ専門分野・得意とするサービスは微妙に異なり、本記事には記載されていないニッチな業務も任されるケースがあります。
本記事でメインとなる業務は網羅できていますが、具体的な仕事内容については、必ず求人票を確認しましょう。
また、求人票の記載は古いケースが多いため、必ず、転職エージェントの担当者に具体的な仕事内容を聞いてください。
未経験者の方は「どこも大体同じようなものだろう」と仕事内容をあまり見ないパターンが多いので、要注意です。
ブラックな会計事務所に要注意|離職率を見れば回避できる
特に小さな会計事務所では、所長の権限が大きく、環境が閉鎖的になりがちです。
そのため、一部の会計事務所は「ブラックである」と言われることがあります。
本当に注意して下さい。
私が所属していた会計事務所も…(略)
労働環境は、実際に入所してみなければ分からない部分もありますが、最低限、応募前に下記の点を確認すべきです。
応募前に見るべきポイント
- 離職率
- 残業時間(繁忙期・閑散期)
- 未経験者の多さ
特に「離職率」は重要な指標です。
なぜなら、良い組織なら人は辞めないからです。
また、同じように未経験で入社し働いているスタッフが多ければ、未経験者が働きやすいと捉えることができます。
会計事務所は千差万別ですから、「どこも同じだ」と考えず、必ず自分の軸をもって取捨選択することをオススメします。
ブラックな会計事務所の見分け方について、詳しくは次の記事で徹底解説しています。
必ず!転職エージェントを使う|未経験者は登録必須!
未経験で会計事務所に応募する際は、必ず転職エージェントを使って下さい。
なぜなら、会計事務所の空気感・風土は事務所ごとに大きく異なり、事務所内の雰囲気を第三者から聞き出す必要があるからです。
雇用条件が良かったとしても、雰囲気が自分に合わなければ、またすぐに転職を余儀なくされる恐れがあります。
転職エージェントは、定期的に会計事務所の代表・採用担当とミーティングをしているため、組織の雰囲気をある程度知っています。
転職エージェントをうまく利用し、応募前に組織内の雰囲気を聞き出すことがとても重要です。
会計事務所の仕事内容に関するよくある疑問
その他、会計事務所での仕事に関するよくある疑問をまとめました。
会計事務所と税理士事務所の違いは?
会計事務所も税理士事務所も、大きな違いはありません。
なお、このほかに似たような名称は多々あります。
サービスがほぼ同一の名称(一例)
- 〇〇会計事務所
- 〇〇税理士事務所
- 〇〇税理士法人
- 税理士法人〇〇
- 〇〇税務事務所
- 〇〇税務会計事務所
- 〇〇公認会計士事務所
- 〇〇税理士公認会計士事務所
- 〇〇公認会計士税理士事務所
- 〇〇会計センター etc…
就職先を探す際は、名称よりも「仕事内容」に注目して下さい。
例えば、多くのケースでは所長が税理士ですが、たまに税理士資格のない公認会計士が所長というケースがあります。
その場合、税務関係のサービスを提供していない可能性が高く、一般的な会計事務所とはやや仕事内容が異なりますから、予め仕事内容を確認しておく必要があります。
なお、会計事務所と税理士事務所の細かな違いについては、次の記事で詳しく解説しています。
会計事務と経理事務の違いは何ですか?
会計事務・経理事務という名称には、明確な違いがありません。
ただし、一般的に「経理事務」というと事業会社の経理部で働くというイメージが強いです。
すなわち、経理部員です。
一方、「会計事務」というと「経理」だけでなく「会計事務所」での事務を指すケースが多いです。
経理と会計事務所は似たイメージがありますが、守備範囲が結構違うので注意して下さい。
会計事務所では、「税務」に特化して会計事務に携わり、クライアントの税務申告をサポートします。
一方、経理では「企業会計」に特化し、クライアントは存在しません。(自社の会計業務に携わる)
経理の仕事内容について、詳しくは次の記事内で具体的に解説しています。
税理士事務所と一般事務の仕事内容の違いは?
税理士事務所・一般事務、いずれもデスクワークであるという点は共通します。
しかし、税理士事務所での仕事は「税務」に関する専門業務が中心であり、また外回り(月次監査)のために外出するケースもあります。
一方、一般事務の仕事は文字通り「一般的な事務」が中心であり、専門性の身に付く職種ではありません。また、外出するケースもかなり限定的です。
専門家として手に職を付けたい方には、税理士事務所がオススメです。
「税理士補助」って何ですか?
税理士補助とは、税理士の業務全般を補助する仕事をいい、具体的には次のような業務を行います。
- 記帳代行
- 巡回監査
- 決算業務
- 税務申告
- 給与計算関係
- その他、事務
見てのとおり、いわゆる会計事務所での仕事と同義です。
というのも、大抵の事務所は税理士が所属しているため、会計事務所での仕事=税理士補助なのです。
税理士補助の仕事については、次の記事で解説しています。
※「税理士補助」は法律上の名称ではないため、求人によっては「税務補助」「税務アシスタント」「税務会計スタッフ」など、呼び方が異なります。
大手会計事務所の年収はいくらですか?
大手会計事務所(=BIG4税理士法人)の年収は、平均約800万円です。
ただし、この年収は「税理士」であることが前提であり、非有資格者の場合は年収水準がもう少し低いです。
税理士事務所での仕事はきついですか?
初めのうちは、きついと感じるはずです。(頑張る人ほどそう感じるはず)
というのも、税理士事務所の仕事は専門性が高く、覚えるべきことが山ほどあるからです。
入社して当面の間は、取引1つ1つについての税法上の取扱いをコツコツと覚えていく作業になります。
半年~1年ほど経過すると、コツコツと覚えた知識の点と点が繋がり、線になっていく面白味を感じ始めるでしょう。
会計を使った仕事にはどんなものがありますか?
会計を使った仕事には、次のような職種があります。
- 会計事務所
- 経理
- 監査法人
- 内部監査
- 会計コンサルタント
一般的に、会計事務所・経理は未経験者や資格がなくとも参入しやすい職種です。
一方、監査法人は公認会計士(または受験生)だけが参入できる職種です。
内部監査・会計コンサルタントは、会計系職種の経験者でなければ参入が難しいです。
「会計事務所はやめたほうがいい」と言われたのですが…
人によっては「会計事務所はやめたほうがいい」と言う方もいます。
特に、一番の理由は人間関係です。
ただし、これは会計事務所に限った話ではなく、全ての職種に言えます。
何度も言うようですが、応募前に組織の雰囲気を知っておくことで、失敗を未然に防ぐことができます。
人が辞めていく会計事務所の特徴は?
人が辞めていく会計事務所の特徴は、次のとおりです。
- 給料が安い
- 残業代が出ない
- 残業時間・休日出勤が多すぎる
- 所長によるパワハラ
- まともに教えてもらえない
- 安さを売りにしている
- 雰囲気が悪い
これらの特徴は、全て応募前に調べることが可能です。
人が辞めていく会計事務所の特徴について、詳しくは次の記事でお話しています。
会計事務所は「未経験・資格なし」でも就職できる?
はい、可能です。
ただし、面接でのアピールが非常に重要になります。
効果的なアピールは次のとおり。
- 税務業界への情熱をアピールする
- 一般事務などを兼務できることをアピールする
- 体力・ストレス耐性があることをアピールする
- 素直に吸収する姿勢を見せる
- 明るさをアピールする
会計事務所は組織規模が小さく、面接に不慣れな職員も多いため、「情熱」のアピールが結構効果的です。
特に年配の所長税理士ほど、熱意を買う傾向にあります。
その他、未経験・資格なしで会計事務所に就職する手法は、次の記事内で詳細解説しています。
会計事務所の事務って大変ですか?
人によって異なります。
会計事務所の事務は、一般事務のような総務的な仕事よりも、記帳代行などの専門業務がメインです。
そのため、専門職としての仕事にやりがいを感じる方は大変さを感じないかもしれませんが、一般事務のような仕事が好きな方には大変さを感じるかもしれません。
未経験で会計事務所に転職するとき志望動機はどう書けばいい?
未経験で会計事務所に応募する際、志望動機で伝えるべきことは4パターンあります。
- 税理士を目指していることを伝える
- 専門性を磨きたいことを伝える
- バイタリティを伝える
- コミュニケーション能力を伝える
志望動機は「読みやすさ」も非常に重要ですので、いずれか1つ(または最大2つまで)に絞ってアピールしてください。
ちなみに、私自身も所長としてスタッフの採用を行っていますが、一番響くのは「税理士を目指している」「専門性を磨きたい」というアピールです。
税理士事務所の未経験者向けの志望動機の【例文】は、次の記事内で公開していますので、丸パクリしてOKです。
未経験・30代でも税理士事務所に入所できますか?
はい、可能です。
ただし、転職するにはコツが必要です。
コツは5つありますが、最もコストパフォーマンスが高いのは「簿記2級」を取得しておくことです。
その他、30代・未経験から会計事務所に転職するコツについて、詳しくは次の記事内で解説しています。
会計事務所に就職してもついていけないのではないか?心配です。
確かに、未経験で会計事務所に就職する際、その後やっていけるか不安になる方は多いです。
まず、この仕事は「常に学習を続ける仕事」であり、インプットを辞めた瞬間についていけなくなります。
もちろん 覚えるべき知識に限度はありますので、初めは覚えることが大変 → 徐々に覚えることが減っていきます。
また、数字への適正(向き・不向き)も大切な要素です。
不安な方は、まずは日商簿記3級にチャレンジし、この勉強が苦に感じるかどうかを1つの基準にすることをオススメします。
【比較表】会計事務所に強い転職エージェント
ヒュープロ (Hupro) | MS-Japan | 人材ドラフト | ジャスネット キャリア | マイナビ 税理士 | |
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総合評価 | ( 10/10 ) | ( 9/10 ) | ( 7/10 ) | ( 6/10 ) | ( 6/10 ) |
求人数 | 約 5,500 件 | 約 1,300 件 | 約 1,000 件 | 約 800 件 | 約 600 件 |
対象年代 | 20代~40代 | 20代~50代 | 20代~50代 | 20代~30代 | 20代~30代 |
設立 | 2015年 | 1990年 | 2000年 | 1996年 | 1973年 |
資本金 | 2億2740万円 | 5億8600万円 | 3400万円 | 3800万円 | 21億210万円 |
得意領域 | 会計事務所 税理士法人 | 経理 会計事務所 | 会計事務所 | 士業全般 | 税理士 |
特徴 | 求人数No.1 | 管理部門に強い | ややマイナー | 士業向け | 税理士向け |
利用料金 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 |
評判・口コミ | 評判をみる | 評判をみる | 評判をみる | 評判をみる | 評判をみる |
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