藤沼会計事務所、所長の藤沼です。
私の事務所でも税務スタッフを募集していますが、時折、「業界未経験」かつ「資格なし」でご応募されてくる方がおられます。
もちろん、この経歴だけで即不採用…とするわけではありませんが、正直採用するにはかなり厳しい印象があります。
しかし、実際に面接をしてみると「採用しても良いかも」と感じることがあるのもまた事実です。
そこで今回は、「未経験・資格なし」の方でも税理士事務所に就職する手法を紹介します。
採用者目線でお話するので、きっと参考になるはずですよ。
1986年生まれ(37歳)
税理士・公認会計士
2014年 EY新日本監査法人 入社
2018年 中堅会計事務所 入社
2019年 藤沼会計事務所 開業
2020年 アカウントエージェント㈱ 代表取締役
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「未経験・資格なし」でも税理士事務所に就職する手法【5選】


未経験・資格なしで税理士事務所に就職する際の手法は、次のとおりです。
- 税務業界への情熱をアピールする
- 一般事務などを兼務できることをアピールする
- 体力・ストレス耐性があることをアピールする
- 素直に吸収する姿勢を見せる
- (キャラクターにもよるが)明るさをアピールする
いずれも、面接時の自己PRの際や、履歴書の自己紹介・自己PR欄にてアピールしましょう。
もちろん、全てをこなしたからと言って必ず内定が出るわけではありません。
しかし、評価を上げるための重要ポイントが詰まっていますので、以下それぞれ詳しく解説します。
税務業界への情熱をアピールする
これは必須でしょう。
今まで税理士事務所・税理士法人で働いた経験がなく、資格の学習もしたことのない方の場合、どうしても「実際に働いてみたらイマイチ自分には合わなかった…」なんてことが起き得ます。
これは採用する税理士事務所側にとってもリスクであり、当然「採用してもすぐ辞められてしまったら困る」と考えます。(採用コストは皆さんが想像する以上に大きいです。)
そのため、そのような懸念を払しょくするためのアピールとして、「税務業界への情熱」をアピールすると良いでしょう。
税務業界でこれから頑張りたいという意気込みを伝えることで、応募者のやる気を図り知ることができ、資格なし・未経験者であっても採用しやすくなります。
「ゆくゆくは税理士を目指したい」といったアピールも良いでしょう。
もちろん、嘘を付いてくださいと言っているわけではありません。 しかし、数ある職種の中から「税理士事務所」を選んだということは、必ずご自身なりの理由があったはずです。
自分がなぜ税務業界を選択したのか。深く考え分析することで、その情熱を言語化できるようになるはずです。
一般事務などを兼務できることをアピールする
税理士事務所での仕事は専門性が高く、学習経験・実務経験のない方が初めから1人でバリバリ働くことは、まず不可能だと思います。
そのため、初めのうちは先輩職員・税理士らに教わりながら、少しずつ仕事を覚えていきます。
しかし、そればかりでは時間が教育に奪われてしまい、先輩職員・税理士らの業務が進まなくなってしまいます。 そこで、(誰でもできるような)雑務を積極的に受ける姿勢が大切になります。
税務業界へのアピールだけをしていると、どうしても「雑務にも積極的に関与してもらえるかな?」と不安視させる可能性がありますから、ぜひ「何でもやります!」という姿勢をアピールしてみて下さい。
体力・ストレス耐性があることをアピールする
私たちが未経験者を採用する場合の不安要素の1つに、「繁忙期に耐えられるだろうか?」という不安要素があります。
というのも、税理士事務所の繁忙期は12月~5月と長く、ここで体調を崩されてしまうと少ない人員で業務を回さなければならないのです。(参考記事:税理士の繁忙期はいつ?どのくらい忙しい?【税理士所長が解説】)
実務経験のある方であれば税理士事務所での忙しさに対する理解がありますが、未経験者の方は事前のイメージができていないケースが多く、採用者側としては心配になる要素の1つです。
そのため、「繁忙期にも頑張れる体力・ストレス耐性があること」は、大きなアピール要素になります。
素直に吸収する姿勢を見せる
税理士事務所で未経験者の方を採用する場合、「素直さ」もかなり見るポイントの1つです。
税理士事務所での仕事(主に、税理士補助)は専門知識が必須であり、自己流で遂行することはできません。
特に、簿記・税法の知識がない方は、先輩職員・税理士から教わりながら進める必要があり、仕事において「素直さ」「謙虚さ」が求められます。
そのため、専門知識・実務スキルを吸収する「素直さ」「謙虚さ」をアピールすることをオススメします。
(キャラクターにもよるが)明るさをアピールする
その人のキャラクターにもよりますが、私は「明るい人」なら採用したくなります。
というのも、税理士事務所は比較的小規模な組織が多いため、明るい人が1人いるだけで事務所内の雰囲気がパッと明るくなるのです。
税理士事務所での仕事は、基本的に1人で黙々と作業することが多いため、必然的に会話の数が少なくなります。 下手すると「あれ?今日1日誰とも話さずに終わったな…」なんてこともあります。
だからこそ、明るい方の存在はとても助かります。
無理して明るくなる必要は全くありませんが、元気さ・明るさはアピールの武器になりますよ、というお話でした。
「未経験・資格なし」でも、次のスキルがあると優遇される。


上述の手法に加えて、次のスキルを持ち合わせている方は、各スキルを強みとしてアピールできます。
- 英語力
- ITに関する知識
- M&Aに関する知識
- コミュニケーション能力
上記のスキルは、特定業種のクライアントや会計ソフト等と親和性があるため、重宝される可能性があります。
もちろん、全ての税理士事務所で必要とされるわけではないため、事前にその税理士事務所の求める人材・サービス内容をリサーチする必要がありますが、うまくフィットしていれば積極的にアピールしましょう。
※ 逆に、求められていないスキルをアピールしてしまうと、コミュニケーション能力が低い・研究不足と判断される可能性がありますので、事前に転職エージェント担当者から詳細をヒアリングしましょう。
正直、税理士事務所は未経験者には「きつい」と感じるでしょう。しかし…


正直、未経験者にとって税理士事務所は(初めのうちは)きついと感じるでしょう。
これは、税理士事務所での仕事が「各クライアントのビジネスに深くかかわること」そして「処理に高い専門性が要求されること」が理由です。
ビジネスにあまり触れていない方には、初めのうちは「契約書を読む」「請求書を見る」といったことも真新しく、慣れないはずです。
また、仕事内容の代表例となる「仕訳入力」は簿記・税法の専門知識を必要とするため、自己学習もある程度必要です。
しかし、それ以上に得るものが大きく、特に1年目は大きな成長を実感するはずです。
その他、経済新聞が読めるようになったりと、仕事での成長を実感できますから、ビジネスマンとしての自信も身に付くでしょう。
そしてゆくゆくは、税理士を目指せるようになるのもこの仕事の魅力の1つです。
税理士事務所の「未経験・資格なし」の求人を調べてみた。
実際に、大手転職エージェントヒュープロが掲載している「税理士事務所・資格不問・未経験者OK」の求人をピックアップしてみました。
かなり数が多かったため、ここでは一部のみ掲載しています。
「税理士事務所・資格不問・未経験者OK」の求人の一部


(引用:ヒュープロ求人検索システム)
なお、未経験者OKかつ資格不問の求人の多くが、「税理士事務所」ではなく「税理士法人」でした。
税理士事務所・税理士法人ではいずれも業務内容に違いはありませんが、税理士法人の方が組織規模が大きい傾向にあります。(参考記事:「会計事務所」「税理士事務所」「税理士法人」の違いは何?)
規模の大きな組織ほど、人材育成に余力があるケースが多いため、税理士法人の求人が多いのでしょう。
そのため、地域としては「東京」「神奈川」「大阪」「愛知」「福岡」等々の都心部に集中する傾向にありました。(ただし税理士法人は日本各地にありますから、その他地方にも求人はありました。)
また、年収は350万円~の求人が多く、学歴は高卒以上または不問の求人が多く見られました。
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「未経験・資格なし」で税理士事務所に就職する際のよくある疑問
その他、未経験・資格なしで税理士事務所に就職する際のよくある疑問をまとめてみました。
- 税理士事務所に新卒で入るのは難しいですか?
-
いいえ、そんなことはありません。むしろ新卒なら、他の業種に比べて入社しやすいと思います。
- 税理士に向いている人の性格は?
-
独立に興味のある方や、企業等のビジネスに興味のある方は、税理士に向いています。
税理士は多くの経営者と関わり、各企業のビジネスを理解した上で税務申告を請け負うため、「経営に興味がある」という方は税理士に向いているでしょう。
また、税理士資格があると独立がしやすいため、独立志向のある方にも向いています。
- 税理士補助未経験者の仕事内容とは?
-
未経験・資格なしの方の場合、まず「会計ソフトへの仕訳入力」という作業が基本になります。
やや聞きなれない言葉だと思いますが、「簿記」という専門的なルールに則り、取引を会計ソフトに入力していく作業です。 全ての取引は、簿記のルールによって会計ソフトに入力されます。
税理士補助の仕事内容について、詳しくは税理士補助の仕事内容を解説します。【税理士所長による監修】の記事で解説しています。
- 税理士補助に向いている人・向いていない人の特徴は?
-
税理士補助に向いている人の特徴は、次のとおりです。
税理士補助が向いてる人の特徴5選- 協調性のある人
- 細やかな性格の人
- ルーティンワークの得意な人
- 使命感・責任感のある人
- 税理士を目指している人
黙々と作業するイメージのある税理士補助の仕事ですが、意外とコミュニケーション能力は求められます。
また、逆に「税理士補助に向いていない人」もいますから、注意が必要です。
続きは税理士補助に向いてる人の特徴は?の記事内で詳細解説しています。
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逆に、こんな人はあまり採用したくない。
あくまで私目線ですが、こんな人は「あまり採用したくないな」と感じてしまいます。
- 元気のない人
- 我が強すぎる人
- 直接応募してきた人
賛否はあると思いますがあくまで私目線での感じ方ですので、失敗を避けるための参考情報としてご活用ください。
それぞれ解説します。
元気のない人
どこか元気のない人は、できれば採用したくないなと感じてしまいます。(寡黙な方や真面目な方がNGというわけではなく、気力・覇気のない方です。)
というのも、元気がない方は繁忙期が乗り切れるか心配ですし、何より事務所の空気に馴染めず、事務所の雰囲気に悪影響を与えてしまうのでは…?と感じてしまうからです。
税理士事務所の多くは組織が小さく、スタッフ一人が組織環境に与える影響は、意外と大きいです。
そのため、私なら元気があって組織を明るくしてくれるような方を、積極的に採用したいなと感じます。
我が強すぎる人
私が未経験者を採用するなら、「我が強すぎる人」はまず採用しません。
そもそも税理士事務所での仕事は専門性が高いため、いかに職員から仕事の仕方を聞き、覚え、吸収してスキルアップできるかが求められます。
そんな中、教えていない方法・自己流で仕事を進められてしまうと、どうしてもミスが増えたり非効率になることが多いのです。
我の強さは「やる気」の裏返しでもあると思いますが、教育マニュアル等が十分に整っていない傾向にある税理士事務所では、所長が「自分たちの事務所のやり方に合わせてほしい」と考えるものです。
そのため、素直さ・謙虚さをアピールすることが大切であると感じます。
直接応募してきた人
全ての税理士事務所に当てはまる訳ではないと思いますが、私は直接応募されてくる方はあまり採用したいと感じません。
というのも、転職エージェントを経由せずにご応募されてくる方は、お人柄や志望度・状況が分からない(=スクリーニングがされていない)ため、採用活動に時間をあまりかけたいと感じないのです。
転職エージェント経由であれば、各担当者が求職者を精査し、私たちが求めている人材をうまくマッチングしてくれています。そのため、面接をダブルチェック(?)でき、ミスマッチな人材を採用するリスクが減らせます。
もちろん、ご応募されてくる方の中には優秀な方もきっとおられるはずですが、採用する税理士事務所側にとっては採用面接自体もコストであり、また採用した後に教育コストも多くかかることから、できるだけ失敗をしたくないのです。
なので、私は必ず転職エージェントを利用して応募されることをオススメします。
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「未経験・資格なし」で税理士事務所に就職するなら、必ず転職エージェントを使うべきです。
残念なことに、「未経験・資格なし」の方からご応募があった場合、そもそも書類選考で落とす確率が高いです。 これは税理士事務所業界に限らず、どのような職業でも共通でしょう。
そのため、先述の「アピールする場」が得られないまま落とされてしまうケースが散見されます。
だからこそ、「未経験・資格なし」の方は転職エージェントを使うべきです。
- 転職エージェント担当者による推薦文が作成され、書類応募時にアピールができる
- 応募者のスクリーニングがなされているため、税理士事務所側としても採用しやすい
転職エージェント経由で応募することで、エージェント担当者による推薦文が作成され、書類応募時に所長が目を通すため「アピールしたいこと」を面接前に伝えることができます。
これにより、採用者側としては人物像を良く理解できるため、書類選考の通過率が上がります。
また先述のとおり、転職エージェント経由での応募は事前に応募者のスクリーニングがなされているため、採用する事務所側としても採用失敗のリスクが減り、結果的に内定率が上がります。
採用する側の私が言うのも変ですが、それほどまでに転職エージェントの利用価値は高いと言えます。
私が特にミスマッチが少ないと感じる転職エージェントは、ヒュープロです。
なぜなら、ヒュープロは唯一の税理士事務所専門の大手エージェントであり、求人数がNo.1だからです。
以上、「未経験・資格なし」で税理士事務所に就職する手法を、採用者目線でつらつらと書いてみました。
率直に書いたのでややトゲのある部分もあったかもしれません。 ぜひご参考ください。
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