税理士の藤沼です。
巷でたま~に耳にするのが、「会計事務所はやめたほうがいい」という声。
う~ん…確かにある意味では理解できるけど、それでも私は会計事務所はオススメの仕事だと思っています。
そこで本記事では、なぜ「会計事務所はやめたほうがいい」と言われるのか、そしてそれでも私が会計事務所をオススメする理由を解説します。
正直、「良い会計事務所」と「悪い会計事務所」がありますので、それらの見分け方も併せて紹介します。
なぜ「会計事務所はやめたほうがいい」と言われるのか?【リサーチ】
![なぜ「会計事務所はやめたほうがいい」と言われるのか?【リサーチ】](https://a-agent.co.jp/tax/wp-content/uploads/2022/07/nenshu4-min_webp-1-1024x683.webp)
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なぜ、「会計事務所はやめたほうがいい」と言われるのか?
理由をリサーチするために、「私自身の体験談」をまとめた上で、私の周りの税務スタッフから「会計事務所へのネガティブなイメージ」「今まで辞めたいと感じた経験」を聞き取り調査しました。
その結果、次の5つの理由が浮かび上がりました。
以下、それぞれ解説します。
所長・上司・お局様によるいじめ
残念ながら、この業界ではイジメの噂を耳にすることがあります。
何なら私自身も、職員時代にイジメに近いことを経験しました。
- 自分ルールが強く、思い通りにいかないと怒る人
- 部下をストレスの捌け口にする人
- 嫉妬心から攻撃的になり、嫌がらせをする人
このように、少しおかしな方が多いのはこの業界の特徴です。
大きな組織であれば、社内通報によりパワハラを告発できるかもしれません。
しかし、組織規模が比較的小さい会計事務所では、組織が閉鎖的になりやすく、こうしたトラブルが起きやすい傾向にあります。
もちろん、全ての会計事務所がこういった環境下にあるわけではありません。
こうした現実に直面した人たちが、「会計事務所はやめたほうがいい」と言うのでしょう。
なお、入社前にあらかじめ「離職率」を聞いておくことで、このようなリスクは回避できます。
事務所の雰囲気が悪い
会計事務所での仕事は、一人で黙々とこなす作業が多く、どうしても会話が減りスタッフ同士のすれ違いが増えます。
職業柄仕方のないことですが、このような環境を変えるのが「所長」の力量です。
しかし会計事務所の所長も人間ですから、人と話すのが苦手な所長や、コミュニケーションに重きを置いていない所長もいます。
これにより、ギスギス・ピリピリとした雰囲気を醸成するというのが会計事務所のよくあるケースで、これに直面した人が「会計事務所はやめたほうがいい」と言うのでしょう。
ただし、このようなリスクはリモートワーク中心の会計事務所を選ぶことで回避できます。
最近では完全リモートの会計事務所も増えていますからね。
精神的ストレスを感じる
会計事務所での仕事では、次のようなケースで精神的ストレスを感じることがあります。
- 税務申告の期限に追われることでのプレッシャー
- 小さなミスにより、クライアントの税金計算を間違えてしまう
- スタッフ同士のコミュニケーション不足
もちろん、「精神的ストレス」は会計事務所に限った話ではなく、どのような仕事にもあるでしょう。
しかし、会計事務所での仕事はクライアントからお金をもらう仕事です。
そのため、税法への正確な知識が要求されますし、期限内に仕事を終わらせるタイムマネジメント能力も必要です。
このような特性から、「精神的なストレスを感じる」という方も一定数います。
なお、組織の雰囲気については面接時に採用感の人柄から読みとる・所内を見学させてもらうことで、事前に知ることができます。
会計事務所によっては、非常に働きやすくやりがいのある組織も存在しますから、しっかりと自分で選ぶことが大切です。
激務で体力的にきつい
会計事務所の中には、残業時間が月60時間を超えるような「激務」な事務所も存在します。
会計事務所での仕事の内容は「楽しい」と感じるものが多いですが、これはあくまで精神面でのお話。
残業時間が長くなると、どうしても体力面での疲労が溜まります。
特に、会計事務所には「繁忙期」がありますので、この期間に体力的にダウンしてしまう方も少なからずいます。
そのため、毎年繁忙期になると「辞めたい」と感じ始める職員が増えます。
一般的に、会計事務所は残業時間が比較的多い傾向にあります。
しかし、中には(正社員でも)残業がほとんどない会計事務所もたくさんあります。
実際、私の会計事務所では繁忙期もほぼノー残業です。
残業時間を少なく抑えたい方は、応募する前に繁忙期・閑散期それぞれの平均残業時間数を確認すると良いですよ。
給料が上がらない
「給料が上がらない」という声も、たまに耳にします。
会計事務所の年収は比較的高い方ですが、中には相場よりもだいぶ安くスタッフを雇っている会計事務所もあります。
年収の低い会計事務所の特徴としては、「地方の事務所である」「ごく一般的なサービスしか提供していない」等が挙げられます。
また、所長がケチだと従業員への給与を中々上げてくれないケースがあります。
会計事務所の給与水準は、その事務所ごとによって大きく異なります。
月収・想定年収は会計事務所に応募する際に確認できますが、一点注意。
それは、「残業代を払わない」という悪質な会計事務所が存在することです。
お金のプロである税理士が、従業員に対してお金を払わない(何かと理由を付けて、残業として認めない)ケースがあるのです。
このようなケースを回避するために、転職エージェント経由で応募することをオススメします。
採用活動に第三者を介在させることで、こうした悪質な会計事務所を排除できるからです。
それでも私が、会計事務所をオススメする理由
先述ではネガティブなお話がメインでしたが、会計事務所には当然「良い点」もありますし、むしろ私は会計事務所というキャリアをおすすめしています。
- 就職・転職がしやすい
- 税理士にキャリアチェンジできる
- キャリアの選択肢が増える
- 年収が比較的高い
会計・税務の転職市場では慢性的な人手不足にあるため、求人がかなり多く、就職・転職がしやすいです。
また、働きながら税理士を目指すことができ、キャリアチェンジが可能ですし、最終的には「独立開業」という選択肢も見えてきます。
年収水準も比較的高く、「現状を変えたい」「一発逆転したい」という方から人気です。
私自身も税理士として独立していますが、文字通り良い意味で人生が180度変わりました。
ここまで人生を変えられる職業は、かなり珍しいと思います。
他にも、会計事務所で働くメリットは多くあります。(もちろん、デメリットも。)
会計事務所で働くメリット・デメリットについて、詳しくは次の記事内で解説しています。
人が辞めていくヤバい会計事務所の特徴
大半の会計事務所は、アットホームで働きやすい環境です。(そう信じたい)
しかし、中には「人が辞めていくヤバい会計事務所」が存在するのもまた事実です。
特に次のような特徴に当てはまる会計事務所は、入社するのはやめるべきです。
- 給料が安い
- 残業代が出ない
- 残業時間・休日出勤が多すぎる
- 所長によるパワハラ
- まともに教えてもらえない
- 安さを売りにしている
- 雰囲気が悪い
ただし、上記の特徴は「求人票」や「事務所ホームページ」を見ただけでは一見して分かりません。
そう。見極める方法にはコツが要ります。
すぐ人が辞めていく会計事務所の特徴は、次の記事内で詳しく解説しています。
会計事務所を1年で辞めるのは問題ないが、私はオススメしません。
会計事務所での仕事は、1年間通して働いてみて初めて全体像が見えるようになります。
そのため、とりあえず1年働いて辞めて転職する、といった方もたまにいるようです。
しかし、私は正直オススメしません。
理由は次の通りです。
- 少なくとも3年間は働かなければ「基礎的なレベル」に到達しない
- 少なくとも3年間は働かなければ「実務経験」として認められない
端的に言えば、「1年で辞めるのは勿体ない」ということです。
会計人として誇れる基礎的なレベルに到達するには、3年かかりますし、だからこそ転職活動時に「実務経験」と認められるにも3年かかります。
そのため、辞めるとしても3年働いて辞めるのがベターです。
ただし、今会計事務所で働いていてどうしても辞めたい止むを得ない理由(精神的ストレスがきつい、いじめにあっている等)がある場合は、辞めるべきです。
我慢して働いて体調を崩し、うつ病になった人を私は複数人知っていますので。
かんたんに会計事務所を辞める方法
会計事務所スタッフの方の中には、「辞めたいけど、怖くて中々言い出せない」そんな方もいるようです。
そこで、私が実際に目にした「会計事務所の辞め方」のなかで、一番手っ取り早い方法を紹介します。
それは「退職代行」を利用することです。
退職代行とは、従業員に代わって退職の手続きを進めてくれるサービスをいいます。
弁護士が付くため、確実に辞めることができるそうです。
実際、退職代行を利用して辞めた方を知っていますが、顔を合わせずに退職手続きを進めることができるため、精神的ストレスがないとのことでした。
「辞めたいけど、綺麗に辞めることができるか心配」という方は、相談してみると良いでしょう。
会計事務所からの転職先は、意外と多い
では、今の事務所を辞めた後は、どんな転職先があるでしょうか?
親和性のある転職先を、すべて列挙します。
会計事務所からの転職先全種
転職先 | 転職難易度 |
---|---|
会計事務所・税理士事務所 | 低 |
税理士法人 | 低~中 |
事業会社の経理部 | 低~高 |
事業会社の人事部 | 低~高 |
学校法人、一般社団法人、NPO法人などの経理 | 低~中 |
FAS(コンサル) | 中~高 |
監査法人のアシスタント | (限定的) |
会計税務の知識を活かした転職先は、意外と多いです。
特に、学校法人などの経理は穴場でオススメ。あまり知られていないようですが、ホワイトで働きやすい傾向にあります。
会計事務所で働く際のよくある疑問・回答
会計事務所で働く際のよくある疑問・回答をまとめました。
ブラックな税理士事務所の特徴は?
ブラックな税理士事務所には、次のような特徴があります。
- 残業時間が極端に多い
- みなし残業時間が多い
- 土日に研修がある
- 放置される
- 所属税理士が1人しかいない
- 所長がワンマン・振り回すタイプ
- 男女比率が極端である
- ノルマがある
- 給与水準が極端に低い
- 残業代が出ない・給与が未払い
- 事務所の雰囲気が悪い
ただし、これらは求人票・ホームページを見ていても分かりません。
ブラックな税理士事務所を見極めるコツについて、詳しくは次の記事内で解説しています。
会計事務所の生涯年収はいくらですか?
会計事務所の生涯年収は、1億5千万円~3億円程度です。
大きな幅があるのは、資格の有無によって大きく年収が異なるからです。
税理士資格があれば年収は大きく上がり、独立をすると年収は青天井です。
会計事務所でついていけない場合、どうしたら良い?
会計事務所でついていけない場合、すぐに転職活動を始めたほうが良いです。
会計事務所は、組織によって「育成」に関する方針が大きく異なります。
放置するような会計事務所はさっさと辞め、しっかりと教育環境の整っている会計事務所へ移ったほうが良いです。
その方が時間もムダになりませんし、成長も早く、より早く一人前になれます。
会計事務所には退職金はありませんか?
はい。退職金を支給している会計事務所はごく少数です。
会計事務所で2年目で年収はいくらくらいですか?
会計事務所での2年目の年収は、300~350万円前後が一般的です。
税理士事務所のパートを辞めたいのですが…
パートであれば、「辞めたい」と思った時にすぐ辞めるべきです。
なぜなら、正社員に比べて辞めることのリスクが低いからです。
税理士事務所は全国に2万か所以上ありますから、自分に合った事務所を選ぶのが良いです。
会計事務所は何歳まで働けますか?
基本、会計事務所では定年まで働けますが、その後もシニア雇用として雇用されるケースがあります。
会計事務所業界は慢性的な人手不足ですので、働き口は非常に多いです。
会計事務所で一人前になるまで何年かかる?
会計事務所で一人前になるまでには、少なくとも3年かかります。
ただし、あくまで「税理士補助」として一人前になるレベルです。
税理士資格がなければ全ての業務を一任されることはないため、本当の意味での一人前になれるのは「税理士資格を取得した時」と言えます。
税理士事務所はいつが忙しいですか?
税理士事務所は、12月~3月が最も忙しいです。
【比較表】「会計事務所に強い」おすすめの転職エージェント
会計事務所に強い!おすすめの転職エージェント
ヒュープロ (Hupro) | MS-Japan | 人材ドラフト | ジャスネット キャリア | マイナビ 税理士 | |
---|---|---|---|---|---|
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求人数 (会計事務所) | 約 5500 件 | 約 1300 件 | 約 1000 件 | 約 800 件 | 約 600 件 |
求人数 (経理) | 約 2000 件 | 約 2500 件 | 約 700 件 | 約 1000 件 | 約 300 件 |
対象年代 | 20代~50代 | 20代~50代 | 20代~50代 | 20代~30代 | 20代~30代 |
設立 | 2015年 | 1990年 | 2000年 | 1996年 | 1973年 |
資本金 | 2億2740万円 | 5億8600万円 | 3400万円 | 3800万円 | 21億210万円 |
得意領域 | 経理 会計事務所 監査法人 | 経理 会計事務所 | 会計事務所 | 士業全般 | 税理士 |
特徴 | 求人数No.1 | 管理部門に強い | ややマイナー | 士業向け | 税理士向け |
総合評価 | |||||
評判・口コミ | 評判をみる | 評判をみる | 評判をみる | 評判をみる | 評判をみる |
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- 「会計事務所」「監査法人」への転職ならヒュープロがおすすめです。
- 「経理」への転職ならMS-Japanがおすすめです。
会計事務所からの転職先は豊富ですが、人気の求人はすぐに募集を締め切ってしまいます。
今すぐ辞めるつもりはなくとも、先ず転職エージェントに登録しておき、「良い求人を入手できる環境」を作っておくことが転職成功の秘訣です。
手遅れになる前に、早めの行動してください。