なぜ「会計事務所はやめたほうがいい」と言われるのか?【私たちが辞めたいと思った理由】

なぜ「会計事務所はやめたほうがいい」と言われるのか?【私たちが辞めたいと思った理由】

所長の藤沼です。

会計事務所に勤めていましたが、もう辞めたいと思うことがあり、すぐに辞表提出、1か月半後に退職しました。

今回は、私たち会計事務所スタッフが「もう辞めたい」と思った理由・シチュエーションを紹介します。

悩めるスタッフの方々に向けた、ちょっとした解決策も考えてみましたので、ご参考いただければ幸いです。

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目次

【リサーチ】なぜ、「会計事務所を辞めたい」と思ったのか?

【リサーチ】なぜ、「会計事務所を辞めたい」と思ったのか?

私自身の体験談や、周囲のスタッフの話をまとめると、「会計事務所を辞めたい」と思った理由は次の5つが主でした。

それぞれ、解説します。

所長・上司・お局様によるいじめ

この業界、残念ながらイジメはあります。

特に、会計事務所では多い気がします。

何なら私も、職員時代にイジメに近いことを受けた経験があります。

たとえば、こんな人がいる(いた)
  • 自分ルールが強く、思い通りにいかないと怒る人
  • 部下をストレスの捌け口にする人
  • 嫉妬心から攻撃的になり、嫌がらせをする人

挙げればキリがありませんが、少しおかしな方が多いのは、この業界の特徴なのかもしれません。

更に残念なことに、こうしたイジメは「辞める」以外の解決策がありません。

大きな組織であれば、社内通報によりパワハラを告発できるかもしれませんが、中小規模の会計事務所では難しいでしょう。

また、仮に告発をしたとしても、その後もその組織で働き続けることは現実的に難しいはずです。

私は、そもそもいじめがあるような職場は最悪の環境だと思いますし、そんな環境にいつまでも居続けて自分を壊す必要はないと思っています。

いじめを回避するために転職することは、決して逃げではありません。

いじめをしている人は一生治らないと思いますので、自分にとって働きやすい環境に身をおき、自分を守りましょう。

ちなみに、これは私が半年で会計事務所を辞めた理由の1つでもあります。

事務所の雰囲気が悪い

会計事務所での仕事は、一人で黙々とこなす作業が多く、どうしても会話が減りスタッフ同士のすれ違いが増えます。

これはある種仕方のないことであり、これを「いかに所長がケアできるか」にかかっています。

しかし 所長も人間ですから、人と話すことが苦手な人や、職員同士の会話よりも作業効率を重視する人もいます。

これにより、ギスギス・ピリピリとした雰囲気を醸成する、というのが会計事務所のよくあるシチュエーションです。

環境は人を変えますから、「どうしても自分に雰囲気が合わない」と感じたら、辞めるのもアリでしょう。

最近では完全リモートワークの会計事務所も増えているため、人間関係でのストレスを回避する為に、リモート中心の事務所を選ぶのも大いにアリだと思います。

精神的ストレスを感じた

会計事務所は、小さく閉鎖された空間です。

また、仕事内容の特性から、次のようなストレスを感じやすいと思います。

  • 1つの失敗が、クライアントの損失にそのまま繋がる
  • ビジネスの利益率が低く、従業員全体の給与水準が低い

これに加え、事務所内の雰囲気の悪さ、いじめ問題などにより、うつ病などの精神疾患を発症するケースは多いです。

実際、私は前職の会計事務所や前々職の監査法人内で、うつ病になった方々をたくさん目にしてきました。

会計税務は、決して、精神を崩してまで頑張るべき仕事ではありません。

なお、勤務中にうつ病を発症した場合、「労災認定」を得るのは難易度がやや高めのようです。

労災認定の状況

労災認定の状況推移グラフ
「過労死等の労災補償状況」|厚生労働省

実際に労災認定され給付を受けられるのは、申請者全体の4分の1と、かなりハードルが高めです。

また、精神障害を発症してから「労災認定を得るために動く」というのも、現実的には難しいかもしれません。

先述のとおり、会計事務所は国内にたくさんあります。

取り返しのつかない事態になる前に、転職を考えるなど、早めに動くことは大切です。

繰り返しになりますが、会計税務は、決して精神を侵してまで頑張る仕事ではありません。

激務で体力的にきつい

会計事務所での仕事は、(初めのうちは)専門職の面白さがありますが、慣れてくるとルーチンワークになります。

また、専門的な判断は有資格者が行うことから、(無資格者の方は)自分で判断をするという面白味が少ないでしょう。

しかし、作業に慣れてくると担当会社の数も増えていき、面白味のない仕事をたくさん振られるようになります。

閑散期はそれでも問題ないかもしれませんが、繁忙期になるとこれがきついです。

そして、毎年繁忙期前になると憂鬱になり、辞めたいと思う方が多いようです。

ちなみに、「会計事務所は残業が多い」と思っている方もおられますが、(正社員でも)残業がほぼない求人はたくさんあります。

実際、私の事務所では繁忙期もほぼノー残業です。

どうしても残業が必要な場合には、理由を聞き、業務量を減らすような施策を講じています。

このように、残業の多寡は所長の方針により大きく左右されるため、良い所長(?)を探すという視点も必要かもしれません。

給料が全然上がらない

これは、有資格者かそうでないかで大きく異なります。

公認会計士や税理士の場合、(初めは給与が低くとも)その後大きく昇給するケースがあります。

有資格者の場合、税理士業務を一任することができ、所長の仕事量を減らすことができます。

一方、無資格者は税理士補助として手がかかり、どうしても給料を上げることが難しいのです。

この解決策としては、利益率の高い会計事務所への転職を検討すると良いでしょう。

たとえば、コンサルティングを多く請け負う事務所の場合、一般に利益率および給与水準が高い傾向にあります。

今の事務所で(自分の力で)利益率を高めることはほぼ無理だと思いますので、組織を変えるのが一番早いでしょう。

なお、会計事務所や税理士法人など、事業会社以外の組織では、基本的に「退職金」はあまり望めません。

理由は様々ですが、「そういう文化」という感じがあります。

それでも会計事務所を辞められない理由と、解決策

それでも会計事務所を辞められない理由と、解決策

「辛いなら辞めれば良い」

なんて言うは易し。 実際、それでも辞められない方は多く、理由も様々のはずです。

全てのケースをケアすることは難しいですが、ここでは代表的な3つの要因と、その解決策(ヒント)を考えました。

それぞれ、解説します。

まだ入社して日が浅い場合

一般に「3年以内に転職すると、経歴として不利になる」と言われています。

しかし、これは専門職(会計事務所業界)にはあまり当てはまらないと感じます。

というのも、会計事務所での仕事内容は基本的にはどこも似ており、スキルを転用することが容易だからです。

また、会計事務所はどこも人手不足の傾向にあり、売り手市場です。

一方、大手企業の経理などでは、1年や半年など、短期間での転職は不利になる可能性があります。

なぜなら、大手企業での仕事内容はその企業独自の知識・スキルであることが多く、「転用可能なスキルの有無」よりも「その人の胆力」「帰属意識」などが重視されやすいからです。

また、そもそも大手企業は就職倍率が高いため、「前職での勤務年数」などの分かりやすい基準で足切りをするケースもあります。

そのため、会計事務所業界への転職であればさほど問題ありませんが、「経理」への転職を考える場合、やや不利になります。

それでも辞めたい場合には、ストーリー性のある退職理由を考えると良いでしょう。

良いストーリーの一例
  • 顧客の負担を減らすために組織に貢献したいと思っていたが、所長の方針が大きく異なると感じた為、より組織に貢献したいと思い転職を決意した。

面接で嘘をつくのはダメですが、事実を曲げない範囲で、伝え方を工夫することは大切だと思います。

伝える際は、過去→現在→未来という形でストーリーを伝えると、話に深みが生まれ、説得力が高まるのでオススメですよ。

転職後、今よりも忙しくなったらどうしよう…、という不安

「求人票と実際の残業時間にズレがあり、転職したら大きく残業時間が増えた」

という事例、残念ながらあります。

何なら、私自身もそうでした。(求人票には35時間程度と記載されていた→実際は80時間越えもザラ)

このような事前情報と実態のズレには、いくつか原因があります。

この原因を先に知っておくことで、リスクの高い事務所に目星をつけることができます。

事前情報と実態が異なる原因
  • スタッフの急な退職
  • データが古い
  • スポット業務の有無

会計事務所が人員を採用する理由は、大きく2つです。

1つは事業拡大のため。もう1つは、人員不足の補充です。

そして、後者の理由で人材を募集している場合、注意が必要です。

それまで働いていたベテランスタッフの代わりに新人が入るのですから、当然、1つの仕事にかかる時間は従来よりも増加します。

事務所としてはあくまで「過去の残業時間」を示しただけですから、転職後も同様の残業時間になるとは限らないのです。

ただし、組織規模が小さくない場合(目安として同部署スタッフ30名以上)は、作業を分担できる体制が整っていることもありますから、齟齬が生じる可能性は低いかもしれません。

また、残業時間のデータ集計日も確認が必要です。

たとえば1年前と今とでは、従業員数や作業ボリュームは異なりますから、必ず直近のデータを閲覧する必要があります。

そして最後に、「スポット業務の有無」も確認する必要があるでしょう。

税理士補助が中心の場合は、確定申告の時期のみ繁忙期になりますが、その他の時期は比較的仕事量が安定します。

しかし、コンサルティング(税務DDやバリュエーション等)が多い事務所では、プロジェクト単位の仕事が上乗せされるため、想定外の残業が増えます。

そしてこれが複数重なると、地獄のような忙しさになることもあります。(体験談)

転職先を探す際には、(どこも同じだと思わず)業務内容をしっかり確認することをオススメします。

転職先での人間関係に関する不安

「人間関係は、入ってみなければ分からない」

という意見もありますが、半分正しく、半分間違っていると思います。

確かに、入社前にどんな人が働いているのか全てチェックすることは不可能ですが、所長の方針を事前にチェックすることはできます。

具体的には、「トラブルが起きた際の対処法」を、面接時に所長に聞くのがオススメです。

具体的なトラブルの対処法を聞くことで、所長がどの程度事務所内の人間関係を見ているのか、が分かるからです。

聞き方としては、いきなり「〇〇〇な時、どう対処しますか?」と聞くと警戒される可能性がありますから、たとえば「私は前職で〇〇〇のような経験をしましたが、御事務所では〇〇〇のようなトラブルが起きた際、どのように対処されていますか?」のように聞くのがオススメです。

また、先述のとおり「離職率」を確認することも大切です。

結局、良い職場なら人は辞めませんから。

かんたんに会計事務所を辞める方法

かんたんに会計事務所を辞める方法

会計事務所スタッフの方の中には、「辞めたいけど、怖くて中々言い出せない」そんな方もいるようです。

そこで、私が実際に目にした「会計事務所の辞め方」のなかで、一番手っ取り早い方法を紹介します。

それは「退職代行」を利用することです。

退職代行とは、従業員に代わって退職の手続きを進めてくれるサービスをいいます。

弁護士が付くため、確実に辞めることができるそうです。

実際、退職代行を利用して辞めた方を知っていますが、顔を合わせずに退職手続きを進めることができるため、精神的ストレスがないとのことでした。

「辞めたいけど、綺麗に辞めることができるか心配」という方は、相談してみると良いでしょう。

会計事務所からの転職先は、意外と多い

会計事務所からの転職先は、意外と多い

では、今の事務所を辞めた後は、どんな転職先があるでしょうか?

親和性のある転職先を、すべて列挙します。

会計事務所からの転職先全種

転職先転職難易度
会計事務所・税理士事務所
税理士法人低~中
事業会社の経理部低~高
事業会社の人事部低~高
学校法人、一般社団法人、NPO法人などの経理低~中
FAS(コンサル)中~高
監査法人のアシスタント(限定的)

会計税務の知識を活かした転職先は、意外と多いです。

特に、学校法人などの経理は穴場でオススメ。あまり知られていないようですが、ホワイトで働きやすい傾向にあります。

「会計事務所からの転職」おすすめの転職エージェント

会計事務所からの転職におすすめの転職エージェント

スクロールできます
ヒュープロ
(Hupro)
MS-Japan人材ドラフトジャスネット
キャリア
マイナビ
税理士
求人数
(会計事務所)
約 5500 件約 1300 件約 1000 件約 800 件約 600 件
求人数
(経理)
約 2000 件約 2500 件約 700 件約 1000 件約 300 件
対象年代20代~50代20代~50代20代~50代20代~30代20代~30代
設立2015年1990年2000年1996年1973年
資本金2億2740万円5億8600万円3400万円3800万円21億210万円
得意領域経理   

会計事務所
監査法人 
経理   

会計事務所
会計事務所士業全般税理士
特徴求人数No.1管理部門に強いややマイナー士業向け税理士向け
総合評価
評判・口コミ評判をみる評判をみる評判をみる評判をみる評判をみる
公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト
  • 「会計事務所」「監査法人」への転職ならヒュープロがおすすめです。
  • 「経理」への転職ならMS-Japanがおすすめです。

会計事務所からの転職先は豊富ですが、人気の求人はすぐに募集を締め切ってしまいます。

今すぐ辞めるつもりはなくとも、先ず転職エージェントに登録しておき、「良い求人を入手できる環境」を作っておくことが転職成功の秘訣です。

手遅れになる前に、早めの行動してください。

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