会計士が転職すべき年齢は「35歳まで」。経験年数は「3年~5年」がベストです。【理由を解説】

会計士の転職にベストな年齢・経験年数は?【タイムリミット有り】

公認会計士・税理士の藤沼です。

32歳でEYを退職し、コンサルティング系事務所に転職しました。

その後33歳で独立し、今に至ります。

先に結論ですが、会計士なら35歳までに転職してください。限界は40歳です。
また、実務経験年数は3年~5年がベストです。

なぜって? 企業側のニーズが最も高い時期だからです。

なぜ分かるのかって? アンケート結果で明らかになっているからです。

もちろん、40代以降でも転職は可能ですが、かなり採用ハードルが上がります。

この記事を書いた人

1986年生まれ(38歳)
公認会計士税理士

2014年 EY新日本監査法人 入社
2018年 中堅コンサル事務所 入社
2019年 藤沼会計事務所 開業
2020年 アカウントエージェント株式会社 代表


目次

会計士が転職する「年齢」【アンケート結果】

会計士が転職する「年齢」【アンケート結果】

転職にベストな年齢を知るには、需給バランスを見るのが一番です。

すなわち、①企業側が採用したいと思う年齢と、②実際に転職した会計士の転職時の年齢を見れば、年齢に関する需要実態が分かります。

ここでは、最も信頼できる情報源として、日本公認会計士協会による「組織(企業)内会計士に関するアンケート集計結果」を参照します。

① 『企業が採用したい』会計士の年齢【需要】

『企業が採用したい』会計士の年齢【需要】
選択肢回答件数割合
30歳以下9423%
35歳以下17843%
40歳以下10526%
50歳以下277%
60歳以下61%
 合計410100%
(JICPA「組織内会計士に関するアンケート最終報告」を基に作成)
上記データから分かること
  • 中央値は「35歳以下」であり、全体の43%である
  • 全体の約92%が、40歳以下の会計士(30歳以下・35歳以下を含む)を求めている

一般的に、35歳までに転職すべき(いわゆる35歳の壁)と言われることがありますが、公認会計士に限っては「40歳までに転職すべき」と言えるでしょう。

また、40歳を超えると一気に採用需要が減りますが、実際の求人を見てみると「役員待遇」での求人が多く見られました。

これは、社外役員へのニーズが高まっている為と考えられます。

② 『実際に転職した時の』会計士の年齢【実態】

『実際に転職した時の』会計士の年齢【許容ライン】
選択肢回答件数割合
30歳以下7037%
35歳以下6736%
40歳以下3016%
41歳以上2212%
 合計189100%
(JICPA「組織内会計士に関するアンケート最終報告」を基に作成)
上記データから分かること
  • 30歳以下・35歳以下で転職した会計士は、全体の73%である
  • 企業側の求める年齢よりも、会計士は早めに転職する傾向にある

先述した「35歳の壁」になぞらえる形で、35歳までに転職をする会計士が全体の約73%にも上りました。

「40歳以下の会計士を採用する」と答えた企業は全体の26%であったのに対し、「実際に40歳以下で転職した会計士」は16%しかいません。

このデータから、早めのキャリアアップを考え、早めに転職する会計士が多いということが分かりました。

③ (参考)公認会計士試験合格者を採用する際の年齢

選択肢回答件数割合
25歳以下14039%
30歳以下14039%
35歳以下6819%
36歳以上144%
 合計362100%
(JICPA「組織内会計士に関するアンケート最終報告」を基に作成)

なお参考に、「公認会計士試験合格者」への採用需要も掲載します。

公認会計士資格登録者と比較すると、採用対象としている年齢が10歳ほど若くなっていることが分かります。

つまり、論文式試験合格後に監査法人に入所し、仮に修了考査に合格できなかった場合であっても、(妥協して転職するよりも)何度か修了考査にチャレンジして資格登録後に転職したほうがハードルは低いと言えるでしょう。

会計士が転職する「実務経験年数」【アンケート結果】

会計士が転職する「実務経験年数」【アンケート結果】

実際に転職をする際は、年齢だけでなく「実務経験年数」も1つのハードルになります。

また、転職者の視点としても「ある程度の実務経験を積んでから転職したい」というニーズもあるでしょう。

そこで、ここでは「企業側の求める実務経験年数」と「実際に転職した会計士が積んだ経験年数」を掲載します。

この調査結果により、経験年数という「ハードル」と、転職者側の「実態」を知ることができます。

① 『企業が採用したい』会計士の実務経験年数【需要】

『企業が採用したい』会計士の実務経験年数【需要】
選択肢回答件数割合
3年未満6917%
3年以上19949%
5年以上11428%
10年以上236%
 合計405100%
(JICPA「組織内会計士に関するアンケート最終報告」を基に作成)
上記データから分かること
  • 中央値は「3年以上」であり、半数近くの企業が3~5年の経験を求める
  • 10年以上の経験を求める企業はごく僅かであり、ニーズが限定的

監査法人での経験年数としては、3~5年の実務経験を求める企業が最も多い結果となりました。

BIG4での職階でいえば、スタッフ3~シニア1あたりに該当します。

私自身もシニア1年目(監査法人4年目)で転職をしましたが、確かに、書類選考・面接ともにほぼ全て通過できました。

転職先企業では、最も経験値を評価しやすく、また扱いやすい経験値であると言えるでしょう。

② 『実際に転職した時の』会計士の実務経験年数【実態】

『実際に転職した時の』会計士の実務経験年数【実態】
選択肢回答件数割合
3年未満2614%
3年以上5429%
5年以上6635%
10年以上4222%
 合計188100%
(JICPA「組織内会計士に関するアンケート最終報告」を基に作成)
上記データから分かること
  • 中央値は「5年以上」であり、企業側のニーズよりも経験年数がやや長い
  • 10年以上の経験で監査法人を辞める会計士の割合が多い

一方、実際に監査法人から転職をした会計士は、「5年以上」が最も多い結果となりました。

企業側は3~5年の経験を求めているのに対し、公認会計士は(ニーズと比べると)やや遅めに転職する傾向にあるようです。

年齢面では早めに転職する会計士が多い一方、実務経験年数の面では遅めに転職する会計士が多い、という興味深い結果となりました。

このような結果の背景には、学生合格者と既卒合格者のキャリアへの考え方の違いがあると推察します。

すなわち、学生合格者は比較的長く監査法人に在籍する一方、既卒合格者は年齢面から早めに転職をする方が多いのでしょう。

どちらが正しいかを一概に結論付けることはできませんが、少なくとも、転職に求められる実務経験年数は「3~5年」が最も多いのです。

私個人の考えも入りますが、学生合格者(22歳で入所)であっても、3~5年で監査法人に見切りをつけ、キャリアアップするという選択は大いにアリだと思います。

【年齢別】転職した組織内会計士の満足度

【年齢別】転職した組織内会計士の満足度

上記では、転職する公認会計士の「年齢」「実務経験年数」を確認しました。

しかし、それらはあくまで需給のバランスでしかなく、その後の「満足度」も知る必要があるでしょう。

そこで、ここではその後の「満足度」に関するデータもまとめて掲載します。

満足度調査データ

満足(割合)不満(割合)
25歳以下00
30歳以下1789%211%
35歳以下2775%925%
40歳以下4384%816%
50歳以下4383%917%
60歳以下770%330%
61歳以上6100%00%
 合計14382%3118%
(JICPA「組織内会計士に関するアンケート最終報告」を基に作成)

サンプル数が少ないため多少のバラツキはありますが、どの年齢でも平均して82%の会計士が、監査法人から転職したことに「満足している」と回答しています。

それだけ監査法人内での仕事が不満であった…と捉えることもできるかもしれませんが、少なくとも「監査法人よりも良い」と感じた方が多いという結果です。

私自身も(感覚的ですが)監査法人時代よりも、転職後のコンサルの方が10倍くらい楽しかったと感じていました。

会計士が転職できる年齢のタイムリミットは?

会計士が転職できる年齢のタイムリミットは?

以上をまとめると、会計士が転職する際のタイムリミットは 40歳 と言えます。

40歳を超えても役員待遇での求人が増えますが、これらは限定的です。

転職を考えるのであれば、30代までがベストと言えます。

また、経験年数は「3~5年」の経験値を求める企業が約半数あります。

先述のとおり、会計士は(実務経験年数としては)やや遅めに転職する方が多い傾向にあります。

しかし、あまり転職を先延ばしにしてしまうと企業側のニーズを超えてしまい、オーバースペックになる恐れがあります。

転職のタイミングは、気持ち早めの方が良いと言えるでしょう。

会計士が転職を考えた背景

会計士が転職を考えた背景

漠然と「〇〇歳までに転職したほうが良さそう」と考えたとしても、そもそも、動機がなければ転職する必要がありません。

そこで、ここでは「会計士が転職を意識した背景」を紹介します。

更に詳細な転職理由については、【なぜ?】会計士が転職した理由アンケート結果で紹介しています。

なお、ここで紹介する転職理由についても、JICPAによるアンケート調査結果を参照しています。

会計士の転職理由メニュー
  1. キャリアアップ・他業種への興味
  2. 年収アップのため
  3. ワークライフバランスを得るため
  4. 独立のため

それぞれ解説します。

① キャリアアップ・異業種への興味

アンケート結果で最も多かったのが、「異業種への興味」や「キャリアアップ」を意識した転職理由でした。

監査だけが会計士の仕事ではなく、むしろ監査以外の仕事の方が世の中には溢れています。

若いうちに監査以外の経験を身に着けておくことで、その後のキャリアの選択肢が大きく広がります。

しかし先述のとおり、若い会計士ほど、監査法人に長く居続けてしまう傾向にあります。

監査法人内でキャリアップを考えることも大切ですが、公認会計士としてキャリアアップするためには、社外に目を向けることも大切です。

② 年収アップのため

次に多かったのが、年収アップを意識した転職理由でした。

会計士が転職すると、年収はいくらになる?【全業種調べてみた】の記事でも解説したとおり、会計士が転職をすると年収は大きく上がるケースが多いです。

監査法人での年収は決して低くありませんが、労働・リスクの対価に見合う給与水準であるか?と考えると、微妙な気がします。

監査経験だけでは年収が頭打ちになるため、早めに他業種で新たなスキルを身に着け、年収を底上げする方が多いのでしょう。

③ ワークライフバランスを得るため

監査法人での業務は、いわずもがな激務です。

特に、勤務年数に応じて残業時間はどんどん増えます。

若いうちは耐えられるかもしれませんが、特に30代に入ると、様々なライフプランに備えてワークライフバランスを意識する方が増えているようです。

また、事業会社等でキャリアアップを考える場合には、できる限り年齢の若い時期に入社しておくべきです。

なぜなら、事業会社では年功序列の色合いが(監査法人よりも)強い傾向にあるからです。

そのため、将来を見越してワークライフバランスの整う企業への転職を考えるべき、とも言えるでしょう。

④ 独立のため

会計事務所の開業や、事業会社設立のために転職する会計士も一定数います。

私自身も、独立を視野に入れて転職をしました。

特に、会計事務所の開業を目指すのであれば、他の会計事務所等での経験が必要になるでしょう。(必須ではないですが…絶対に経験したほうが良いと思います)

なお、独立を見据えた転職に関しては、独立開業を見据えた会計士が選ぶべき転職先と、具体的な選び方を解説。にて解説しています。

【年代別】会計士が転職する際に意識すべきポイント

【年代別】会計士が転職する際に意識すべきポイント

会計士の転職先は、大きく分けて全13種あります。

転職が初めての方にとっては、職種ごとの特徴やキャリアなど、分からないことが多いはずです。

そこで、年代ごとに着目するポイント等を簡単にまとめてみました。

※ かなり簡単にまとめているので、詳しくは各項目のリンク記事をご参照ください。

① 20代

20代で転職をする場合、(よほど専門性の高い業界でない限り)求人に応募をすれば、100%に近い割合で内定が出ます。

まだ体力もある時期ですから、新たな分野に挑戦すべき年齢とも言えるでしょう。

20代で転職を考える際は、「できる限り将来性を広げる」という視点がオススメです。

監査以外の武器が手に入ると、仕事の幅がそれだけ広がりますから、将来さらに多くの選択肢が手に入るでしょう。

そのため、将来性を狭めるような職種(たとえば、内部監査・フォレンジック等)は個人的にあまりオススメしません

もちろん、すでに明確なキャリアプランが出来上がっている方は、この限りではありません。

「転職はしたいけど、具体的にやりたいことが定まっていない…」という方は、この考え方を参考にしてみて下さい。

② 30代

30代で転職をする場合にも、監査経験が3年以上あれば(よほど専門性の高い業界でない限り)、非常に高い割合で内定が出ます。

ただし、30代に入ると各種ライフイベント(結婚・育児など)が想定され、また40代以降での働き方を見据えることになるため、ややセーブできる転職先(経理部や中小監査法人など)を探される方も多いようです。

③ 40代

40代で転職をする場合、組織でのマネージメント経験が確実に求められます。

また 体力的な不安から、経理などの残業の少ない転職先を求める方が多いようです。

新たな職種にチャレンジすることが難しくなる年齢ですから、今までの経験を活かすことを優先して考えると良いでしょう。

40代会計士の、もう1つの選択肢。

先述のとおり、いくら公認会計士と言えど40代になると選択肢が非常に少なくなります。

それでも監査法人を辞めたい!という方には、監査法人での非常勤への転向をオススメします。

中小監査法人なら残業がほぼ発生せず、かつ時給単価が高いため、ワークライフバランスの取れた働き方ができるからです。

最近では、非常勤だけで生計を立てるフリーランスの公認会計士もだいぶ増えましたからね。

例えば、時給10,000円で1日8時間・年間120日働けば、年収960万円です。

残業なしで通常の半分しか働かずにこの水準。 正直かなり楽です。

公認会計士におすすめの転職エージェント【比較表】

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マイナビ
会計士
ヒュープロ
(Hupro)
レックスアド
バイザーズ
MS-Japan人材ドラフト
マイナビ会計士ヒュープロロゴレックスアドバイザーズMS-Japanロゴ人材ドラフト
総合評価
( 10/10 )

( 9/10 )

( 8/10 )

( 7/10 )

( 7/10 )
求人数約5,000件約2,000件約1,500件約1,500件約500件
対象年代20代~30代20代~50代20代~30代20代~30代20代~50代
対応エリア・関東 
・近畿 
・愛知県
・静岡県
全国全国全国全国
設立1973年2015年2002年1990年2000年
資本金21億210万円2億2740万円6000万円5億8600万円3400万円
対象者公認会計士限定会計・税務会計系全般管理部門全般会計事務所
得意領域公認会計士・経理   
・会計事務所
・監査法人 
・コンサル 
・会計  
・税務  
・コンサル
・FAS   
・監査法人 
会計事務所
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