公認会計士・税理士の藤沼です。
転職に慎重になるあまり、実際に転職するまでに1年もかけてしまいました。
「早いほど良い」と思われがちな転職のタイミングですが、「具体的にベストな時期・タイミングはいつなの?」という疑問もあるはず。
そこで今回は「私たち会計士のベストな転職タイミング・時期」について、調査結果を報告します。
今回初めて転職を考えている方には、参考になるはずです。
会計士の転職にベストな時期・タイミング【アンケート結果】


転職の時期・タイミングは、細かく次の5つに分けられます。
- 実務経験は何年で転職すべきか(長期的視点)
- 何歳頃に転職すべきか(長期的視点)
- 何月頃に退職すべきか(短期的視点)
- 何月頃に入社すべきか(短期的視点)
- 何月頃に転職活動をスタートすべきか(短期的視点)
ここでは、まず「実務経験年数」と「年齢」の観点から、転職時期・タイミングを解説します。(短期的視点については後述)
① 実務経験年数
実務経験年数については、日本公認会計士協会によるアンケート調査結果を参照します。
当該アンケートには、企業側(何年目を採用したいか)と会計士側(何年目で転職したか)の両者へのアンケート結果が記されています。
結果は次のとおりです。
実務経験年数に関するアンケート結果


企業側 | 会計士側 | |
---|---|---|
~3年 | 17% | 14% |
3~5年 | 49% | 29% |
5~10年 | 28% | 35% |
10年~ | 6% | 22% |
合計 | 100% | 100% |
- 5~10年目あたりを機に、企業側のニーズが減少し始める
- 10年目を超えると、企業側のニーズは激減
1年目~2年目で辞めている会計士も、意外と多いですね。
また、企業側のニーズは「3~5年」が最も多く、「経験年数10年」を超えるとニーズは一気に減少しています。
この理由は、企業側が「オーバースペックである」又は「伸びしろがない」と感じる為と考えられます。
特に後者の理由は危険であり、たとえばBIG4においてシニアに滞留し続けた会計士は、転職市場で評価されなくなる可能性があることを示唆しています。
以上の結果から、会計士の転職にベストな実務経験年数は「3~5年」であり、10年を超えると危険であると結論付けられます。
ちなみに、私はEYを4年半で辞めてコンサルに転職しましたが、それでも「少し遅かったかな…」と感じました。
3年目と4年目では仕事内容がほぼ同様だったため、4年目に大きく成長が感じられなかった為です。
② 年齢
転職時の年齢についても、日本公認会計士協会によるアンケート調査結果が参考になります。
結果は次のとおりです。
年齢に関するアンケート結果


企業側 | 会計士側 | |
---|---|---|
30歳以下 | 23% | 37% |
35歳以下 | 43% | 35% |
40歳以下 | 26% | 16% |
41歳以上 | 8% | 12% |
合計 | 100% | 100% |
- 30代までは、企業側のニーズが安定
- 40歳を超えると、企業側のニーズが激減
- 35歳までに転職をする会計士が多い
30代までは企業側の需要が安定しているものの、40歳を超えると需要が一気に減少し、需要と供給が逆転しています。
一方、会計士は35歳までに転職する人が多く、市場需要に比してやや早めに転職する傾向にあることが分かりました。
以上の結果から、会計士は30代のうちに転職すべきであると結論付けられます。
「年齢」に関してはベストタイミングというものがなく、どちらかというと個人のライフプランに左右されるでしょう。(ただし、上記のタイムリミットは意識すべき)
なお、公認会計士の転職にベストな年齢・経験年数について、詳しくは次の記事で解説しています。
会計士が会社を『退職』する時期・タイミング


ここからは、もう少し短期的なタイミングの視点になります。
まずは「退職」に適した時期・タイミングについて、4つの選択肢を解説します。
- 繁忙期前に転職
- 繁忙期後に転職
- ボーナス直後に転職
- 内定後最短で転職
一概にどれがベストであるとは言えませんが、選択肢を知っておくことは大切です。
それぞれ解説します。
① 繁忙期に入る前に退職
「できれば繁忙期に入る前に辞めたい」という方も多いでしょう。(私もそうでした)
極論を言えば、3月末に退職することも可能です。
ただし、2月に入って急に「来月辞めます」というのは、さすがに問題視されるでしょう。
会計士業界はとても狭いため、転職先に前職の同僚が転職してくる、という事態もあります。
私も転職先にEY時代の同僚がいましたし、独立後、非常勤で勤務した中小監査法人にはEY時代の同期が3人もいました。
転職後に揉めるような事態を避けるためにも、3月末(繁忙期直前)に辞める場合、半年くらい前までに退職を伝えておくのがベターです。
ただし、内定先の会社に入社時期の交渉をする必要はありますので、この点にも留意しておきましょう。(詳しくは後述)
② 繁忙期を終えた後に退職
チームメンバーに退職の意を伝えると、「繁忙期までは手伝ってほしい」と懇願されることがあります。
もちろん、法的には従う必要はありませんが、先述のとおり同僚との関係性が悪くなるリスクも多少考えられます。
会社を穏便に退職したい方は、繁忙期後(6月)に転職する選択肢もありですし、実際6月に退職する人は多いですよね。
ちなみに、6月末にボーナスを支給する法人が多いと思いますので、「ボーナスを受け取れる」というメリットもあります。
③ ボーナスを貰った直後に退職
金銭的な損失を避けたいのであれば、ボーナスを貰ってすぐ辞めるのがベストタイミングでしょう。
通常は6月及び12月(法人によっては9月も)が賞与支給月だと思いますので、その月の末日に辞めるのが効率的です。
ちなみに、私も6月末にEYを退職しました。
ただし、1つ注意点として「ボーナスの支給条件」は予め確認しておきましょう。
支給日に在籍していれば満額ボーナスが受け取れる、という認識の人もいると思いますが、組織によっては「支給日後、〇〇日間在籍していること」といった条件が付されているケースがあります。
この場合、支給日直後に退職すると、後にボーナスの返還義務が生じるケースがあります。
結構な額を損する可能性がありますので、給与規定を予め確認しておきましょう。
④ 内定が出たら最短で退職
私の周りで最も多いのが、最短(内定後1~2ヶ月)で辞めるケースです。
結局、転職先との入社時期の交渉で揉める可能性があるため、さっさと辞める人が多いようです。
転職時期が繁忙期直前でない限り、今の会社から反発を受けることはまず無いはずです。
(「職業選択の自由」は日本国民全員に認められた権利ですので、そもそも反発すること自体がおかしな話だと思います)
会計士が転職先に『入社』する時期・タイミング


次に 「入社」の時期・タイミングについて、その選択肢を解説します。
- 同期入社の多い時期に入社
- 繁忙期前、又は繁忙期後に入社
- 退職後、期間を空けてから入社
なお、「退職」と「入社」のタイミングは通常一致しますが、「退職」と「入社」のどちらに重きを置くかは好みの問題でしょう。
ご参考までに、私は「退職日」の方に重きを置き、EYの繁忙期後かつボーナス受給後(6月末)に退職をしました。
内定は1月に出ていたため、半年間待ってもらってから入社、という流れでした。(FAS業界は入社まで長期間待ってもらえるケースが多い)
① 同期入社の多い時期に入社
横のつながりを求める人は、同期入社の多い時期に入社すると良いかもしれません。
たとえば、各職種における同期入社を狙ったタイミングは、次のとおりです。
- 事業会社 :4月
- 監査法人 :2月
- 税理士法人:10月又は2月
事業会社であれば、新卒採用の時期に合わせると良いでしょう。
監査法人や税理士法人であれば、合格者の採用時期に合わせることになります。
※ 税理士は試験実施月の8月、または合格発表月の12月に就活をスタートする人が多いため、入社月が10月又は2月に集中する傾向があります。
② 繁忙期前、又は繁忙期後に入社
企業の繁忙期前または繁忙期後に入社する、という選択肢もあります。
「早めに繁忙期を経験したい」場合には繁忙期前(1~2ヶ月前)に入社し、「1年かけて少しずつ業務を覚えたい」場合には繁忙期後に入社すると良いでしょう。
ただし、特に事業会社の場合、入社日をこちら側で決定できない(長くても1ヶ月先までしか待ってもらえない等)ケースが多いため、採用面接の時期を逆算しておく必要があります。
③ 退職後、期間を空けてから入社
「退職後1ヶ月ほど期間を空けてから入社する」という選択肢もあります。
会社と入社時期が折り合わないケースの他、退職後「疲れたので少し休みたい」という理由により、自ら空白期間を作るケースです。
転職活動をしてみると分かりますが、私たち会計士にとって、多少の空白期間はマイナス評価をあまり受けません。
ただし、人によってはマイナスイメージを持つ方もいるはずですから、その後さらに転職をする場合にリスクになる(可能性がある)ことは事前に認識しておきましょう。
【参考】有効求人数が最も多いのは何月?


上記は、直近10年間における「月ごとの有効求人数推移」です。
新卒者やパート従業員の採用は除き、シンプルに「転職者」への求人数推移を示しました。
業種によって採用時期は異なりますが、一般的には2月~3月・9月~11月に求人数が増える傾向にあります。
逆に、1月と5月は求人数が最も少ない時期になるため、この時期に求人を探すのは非効率とも言えるでしょう。
しかし、MinとMaxの開きは9%程度であり、そこまで月を気にする必要はないかな…と感じます。
結局のところ、良い求人は季節など関係なくすぐに埋まってしまう為、「継続的に求人を入手し続ける」ということの方が大切です。
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会計士が転職活動をスタートすべき時期・タイミング


現段階で、「退職・入社のタイミング」が想定できたら、次は転職活動をスタートすべきタイミングを考えるべきでしょう。
この逆算をするためには、そもそも転職活動にどの程度の期間必要なのかを知る必要があります。
そこで、転職活動の基本的な流れを記載しておきます。
以下は、転職活動を最短で進めた場合のスケジュール感です。
1日~2日
登録は5分程度で完了します。
面談は1時間程度みておくと良いでしょう。
2週間~3ヶ月
自己分析を行ったり、興味のある業界・企業へのリサーチに時間をかける必要があります。
監査法人以外の職種に転職する場合には、どんなに短くとも2週間は要するはずです。
1週間
一般的に、第1志望~第5志望までの求人をピックアップし、1週間のうちにまとめて応募します。
これは、後の「内定承諾期間」をすべて同時期に合わせる必要があるからです。
1週間~2週間
面接は1回で終わることもあれば、2回実施されることもあります。
面接が複数回実施される場合であっても、通常、全面接が1~2週間以内に終了します。
1週間
多くの企業が内定承諾期間を「1週間」と決めています。
複数の企業から内定を貰えたとしても、内定承諾期間がズレていると、フラットに比較できなくなるため要注意です。
1ヶ月~2ヶ月
最低でも退職の1ヶ月前までに、退職届を提出しなければなりません。
主査の引き継ぎ等も考慮すると、「2ヶ月」は見ておいた方が良いと思います。
2週間~1ヶ月
有休を消化する場合には、最終出勤日から2週間~1ヶ月程度空くでしょう。
この期間も逆算しておく必要があります。
というわけで、どんなに短くとも転職活動には3ヶ月かかります。
「半年程度かかる」という認識でいると、余裕をもって活動ができるはずです。
また、上記のスケジュールの中で最も時間がかかるのが「情報収集・自己分析」です。
監査法人以外の業界のことを知らない会計士は非常に多く、またキャリアの幅が非常に広いため、(良い意味で)情報収集に時間がかかるのです。
会計士の転職先については、公認会計士の転職先を全て見せます。【監査法人から、その先へ】で全て解説しているので、参考にしてください。
有効求人数が最も多いのは何月?
具体的に「何月から転職活動をスタートすべきか?」という問いに答えるため、有効求人倍率の高い時期を調べてみました。


上記は、直近10年間における「月ごとの有効求人数推移」です。
新卒者やパート従業員の採用は除き、シンプルに「転職者」への求人数推移を示しました。
業種によって採用時期は異なりますが、一般的には2月~3月・9月~11月に求人数が増える傾向にあります。
逆に、1月と5月は求人数が最も少ない時期になるため、この時期に求人を探すのは非効率とも言えるでしょう。
ただし、MinとMaxの開きは9%程度であり、そこまで月を気にする必要はないかな…とも感じます。
結局のところ、良い求人は季節など関係なくすぐに埋まってしまう為、「継続的に求人を入手し続ける」ということの方が大切だったりします。
9月~11月から転職活動をスタートするのがベスト?
とはいえ結論を付けるのであれば、9月~11月頃から転職活動をスタートできるのがベストでしょう。
なぜなら、求人数が非常に多い時期であり、また4月の繁忙期前に転職できるスケジュール感を想定できるからです。
9月から半年間使って転職活動を進めたとしても、2月末に退職→3月から入社できます。
(繁忙期前に辞めるスケジュールで動くため、早めに退職の意思を伝えることになりますが。)
ただし、先述したとおり良い求人はどんどん埋まってしまうため、敢えて9月~11月を待つ必要はありません。
転職を意識した時が、活動開始のベストタイミングです。
常に情報収集を続け、求人も入手し続け、本当に良い求人が来たときに応募するのが最も効率的でしょう。
そのためにも、早い段階で転職エージェントに登録しておくことが必要です。
会計士におすすめの転職エージェント


最後に、会計士におすすめの転職エージェントを紹介します。
- マイナビ会計士(おすすめ)
- レックスアドバイザーズ
- ジャスネットキャリア
会計士が転職する場合は、マイナビ会計士1択です。
なぜなら、唯一の会計士専門エージェントであり、求人数が最も多いからです。
先述のとおり、早めに転職活動をスタートすることが、転職のベストタイミングであると言えます。
活動を後回しにしていると、良いタイミングを逃します。
まずは転職エージェントに登録し、情報をキャッチアップできる状況を作りましょう。
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