税理士補助に向いてる人の特徴を、税理士事務所採用官がぶっちゃけます。

税理士補助に向いてる人の特徴は?【税理士所長が解説】

所長の藤沼です。

転職先を探すにあたって、「その仕事が自分に向いているかどうか」は非常に重要です。

なぜなら、仕事は生活の一部であり、向いていない仕事を選んでしまった場合、人生そのものに悪影響を及ぼす恐れがあるからです。

そこで今回は、「税理士補助」という仕事について、向いてる人の特徴・向かない人の特徴を紹介します。

私自身、公認会計士・税理士として様々なスタッフと接し、今は所長としてスタッフを採用する立場にあります。

採用者目線で分かることが多いため、どうぞご参考ください。

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目次

税理士補助が向いてる人の特徴

税理士補助が向いてる人の特徴

税理士補助が向いている人の特徴は、次のとおりです。

上記全てに該当する方は、かなり珍しいでしょう。

該当する項目が多い方ほど、税理士補助の仕事が向いていると感じます。

以下、それぞれ解説します。

協調性のある人

税理士補助としての職場には、次のような特徴があります。

税理士補助としての職場の特徴
  • 専門性が高い
  • 所長(代表)の影響力が強い
  • 組織規模が小さい傾向にあり、従業員同士の距離が近くなりやすい

会計事務所では高い専門性(税に関するスキル)が求められるため、特に税理士補助業務が未経験の方は先輩スタッフと良好な関係を築き、しっかりと教えてもらえる関係性を築くことが大切です。

また、組織規模が小さく代表の影響力(権限)が強いため、万が一所長に嫌われてしまうと働きにくくなってしまう恐れがあります。

一方、協調性があり周囲と良好な関係を築くことのできる人は、教えてもらいながら効率的にスキルアップできるため、税理士補助が向いていると言えます。

事務作業が多いイメージのある税理士補助ですが、意外と、コミュニケーション能力は必要です。

細やかな性格の人

税理士補助の仕事は、文字通り「税理士業務の補佐・サポート」です。(詳しくは税理士補助の仕事内容は?で後述)

会計事務所では、税理士補助スタッフが作業を行い、それを上長・税理士・所長がレビューする(チェックする)業務フローが一般的です。

税理士・所長とはいえ、細かいところまで全てを完璧にレビューできるわけではないため、税理士補助スタッフには細やかな仕事ぶりが求められやすいです。

「金額が小さいしよく分からないからいっか…」と考えず、細かな数値でも理解しながら進める細やかさは大切です。

ルーティンワークの得意な人

税理士補助の仕事は、基本的には毎月・毎年同じような仕事が続きます。

新しいクライアントを担当する場合は新しい論点への学びもありますが、税務顧問というサービスでは(契約が解除されない限り)毎年同じ会社の取引を見ることになるため、比較的ルーティンワークの比率が高まります。

そのため、同じ作業を淡々と繰り返すことのできる人も、税理士補助に向いていると言えるでしょう。

ただし補足ですが、これは「考えずに作業する」というわけではありません。

同じような取引は(慣れてくると)考えずに処理できるようになりますが、思考停止して作業をしていると、異常な取引・処理に気付けないケースがあります。

ルーティンワークの比率は高いものの、時には考えることも求められます。

使命感・責任感のある人

会計事務所ではクライアントの税額を計算するため、(たとえ小さな額であっても)計算を誤るとクライアントに損失を与えてしまいます。

そのため、税理士補助スタッフには細かな数値であっても正しく計算することが求められます。

また、税務処理には根拠(税法・基準)があり、「何となく」は通用しません。

そのため、些細な疑問であっても解決する使命感・責任感が求められます。

なお、税理士法第1条には次のように規定されています。

税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそつて、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。

国税庁-税理士の使命等

これは税理士・税理士法人に適用される法令ですが、税理士補助スタッフにも求められると考え、納税義務者の信頼にこたえることが大切です。

税理士を目指している人

税理士を目指している人は、税理士補助に向いているというよりも、もはや税理士補助の仕事をすべきだと思います。

なぜなら、会計事務所で働きながら税理士を目指すことで、様々なメリットが享受できるからです。

働きながら税理士を目指すメリット
  • 税理士試験(税法科目)の受験資格が得られる
  • 税理士補助としての経験が、そのまま税理士受験の学習に役立つ
  • 会計事務所には同じ受験生仲間が多く、受験のモチベーションを維持しやすい
  • 税理士試験科目合格が、税理士補助としての給与に反映されやすい
  • 早期に経験を積んでおくことで、早い段階でキャリア選択の幅が広がる

挙げればキリがありませんが、「経理」などの他の職種に比べ、税理士補助スタッフは税理士受験生に適した環境であると断言できます。

税理士を目指すための職場選びについては、無理なく働きながら税理士に合格できる「職場」の選び方の記事で詳しく解説しています。

税理士補助が向かない人の特徴

税理士補助が向かない人の特徴

逆に、次のような方は税理士補助に向かない人だと思います。

私の主観も入るため絶対とは言えませんが、上記の全てに該当する人は税理士補助に向いていないと感じます。

それぞれ解説します。

学習意欲・向上心の低い人

税理士補助の仕事には、税法の知識が必須です。

具体的には、主に法人税法・消費税法・所得税法の知識が求められます。

もちろん、業界未経験の方は先輩スタッフに教わりながら仕事を進めますが、全て手とり足取り教わるのは事務所にとってマイナスです。(その分、税理士の時間が削られてしまう)

また、税法は毎年改正が入るため、知識のブラッシュアップが必要になります。

そのため、学習意欲や向上心の低い人は、税理士補助に向いていないと感じます。

コミュニケーション能力が著しく低い人

税理士補助の仕事では、意外と所内・外部とのコミュニケーションの機会があります。

また、会計事務所はやや閉鎖的な組織であることから、他者とのコミュニケーションを全く取らない方は、それだけで事務所全体の空気を悪くしてしまう可能性があります。

税理士側としても、多少コミュニケーションを取ってくれる方の方が、仕事がしやすいと感じます。

そのため、コミュニケーション能力が著しく低い方は、税理士補助に向かないと感じます。

ただ、(私も含めて)コミュニケーションが得意ではない税理士・会計士も多いので、一般的なコミュニケーションスキルさえあれば問題ないでしょう。

細かな作業が得意でない人

先述のとおり、税理士補助の仕事には細やかさが求められます。

税理士の中には大雑把な性格の人もいますが、これは全体を俯瞰すべきポジション故であり、あくまで税理士補助には上長が見れない細かな部分まで正確に処理する力が求められます。

細かい部分までしっかりと仕事をする人は、税理士側からしても安心して業務を任せることができるため重宝されます。

逆に、あまりに大雑把な仕事の仕方をしている人は、いつまでも不安が残ります。

そのため、細かな作業が得意でない人には、税理士補助は向かないと感じます。

税理士を目指さない人は税理士補助に向いてない?

税理士を目指さない人は税理士補助に向いてない?

先述のとおり、「税理士を目指している人」は税理士補助に向いてる人であり、「学習意欲の低い人」は税理士補助に向かない人の傾向が強いでしょう。

ただし、「税理士を目指さない人」=「税理士補助に向かない人」というわけではありません。

事実、税理士試験の5科目合格を目指さずに税理士補助スタッフとして働いている方はたくさんいますし、その中には優秀な方も多くいます。

また実は、税理士補助としての就活面接において「税理士を目指さない」と言った方が採用されやすくなるケースさえあります。

税理士補助になったからといって、必ずしも税理士を目指さなければならないわけではありませんので、ご心配なく。

ただし、面接では「なぜ税理士を目指さないのか?」を聞かれる可能性が非常に高いため、(税理士を目指さない場合には)理由を言えるようにしておくべきです。

なお、「税理士を目指さない」というキャリアについて、詳しくは税理士補助になっても「税理士を目指さない」のはアリ?の記事内で解説しています。

税理士補助の仕事内容は?

税理士補助の仕事内容は?

税理士補助の主な仕事内容は、次のとおりです。

税理士補助としての主な仕事内容
  1. 記帳代行
  2. 巡回監査(月次監査)
  3. 決算業務・税務申告業務
  4. 給与計算・年末調整

ざっくりと解説すると、1年間におけるクライアントの取引を会計記録に残し、それをもとに決算書・確定申告書を作成する業務になります。

いずれも税理士が携わる業務ですが、まず税理士補助が一義的な作業を行い、それを税理士がチェックするといった業務フローが一般的です。

税理士補助の仕事内容について、詳しくは税理士補助の仕事内容を解説します。の記事で解説していますので、ご参考ください。

税理士補助に必要なスキルは?

税理士補助に必要なスキルは?

税理士補助に必要なスキルには、例えば次のようなスキルがあります。

税理士補助に必要なスキル
  • 「簿記」に関するスキル
  • 「税法」に関するスキル
  • MicrosoftExcelの操作スキル
  • 各種会計ソフトの操作スキル
  • 事務所内・外でのコミュニケーションスキル

ハードスキルとしては、当然ながら簿記・税法に関するスキルは必要です。

未経験者であっても、最低限、簿記2級程度の知識は求められます。(全くの知識ゼロでは、かなり就職難易度は高いでしょう)

税法に関しては、実務・税理士試験の勉強を通じてスキルアップが求められます。

また、エクセル操作・会計ソフトの操作スキルも必要になります。

税理士補助が未経験であっても、簡単なエクセル操作スキルくらいは身に着けておくべきです。

会計ソフトの操作方法は各会計ソフトによって異なりますが、基本的な操作方法は似たようなものであり、これは実務経験を積むに従ってスキル習得が求められます。(慣れれば難しくありません)

ソフトスキルとしては、コミュニケーション能力が求められます。

税理士の中には意外とコミュニケーション能力の低い人もいますから、事務所内での緩衝材としての立ち回りができる人は重宝されるでしょう。

税理士補助は女性に向いてる?

税理士補助は女性に向いている?

「女性の税理士」の数はまだまだ少なく、日本税理士会連合会の第6回税理士実態調査によれば、女性税理士は全体の14.4%程度にとどまっています。(引用:全国女性税理士連盟

しかし、税理士補助スタッフの数でいえば、(パートさんを含めれば)男女比にそこまで大きな差はないと感じます。(あくまで私の主観です)

これは、先述の税理士補助が向いている人の特徴が特に女性に当てはまりやすいのが理由かもしれません。

また、パートを雇用している会計事務所が多いため、子育て中の女性が比較的就職しやすい職種であると感じます。

会計事務所は組織規模が比較的小さいため、職員同士の関係性が近くなりやすいことから、協調性に優れた女性は特に税理士補助が向いていると言えるでしょう。

【注意】税理士事務所によって、労働環境は全く異なる

【注意】税理士事務所によって、労働環境が全く異なる

転職先となる税理士事務所を探す際には、「その税理士事務所が自分に合っているか」をしっかりと見極める必要があります。

なぜなら、税理士事務所はその事務所によって労働環境・雰囲気が全く異なるからです。

まだ知らない方も多いようですが、税理士事務所の中にはブラックな税理士事務所も存在します。

「いかに自分が働きやすいと思える税理士事務所を見つけるか」は、本当に重要です。人生に関わりますから。

私自身も、色々とあって会計事務所を半年ほどで辞めた経験があります。

経歴に傷を付けたくない方・転職した先で後悔をしたくない方は、必ず ブラックな会計事務所の見分け方12選【所長が解説】を参考にし、転職での失敗を避けてください。

税理士補助に向いてる人に関するよくある疑問

その他、税理士補助に向いてる人・向いていない人に関するよくある疑問をまとめました。


税理士補助に向いている人でも、きついと思うことはある?

未経験者の場合、特に初めのうちは「きつい」と感じることはあるでしょう。

会計事務所には繁忙期があり、この時期は多くの事務所で残業時間が増えます。

また、税法に関する専門的知識が必須であることから、初めは覚えることが非常に多く(楽しいと感じることもありますが)きついと感じるケースが多いでしょう。

公認会計士に向いている人はどんな人?

次のような人は、公認会計士に向いていると思います。

  • コミュニケーション能力の高い人
  • 論理的思考力の高い人
  • 真面目すぎない人

監査法人で働くことを前提としていますが、公認会計士には、ある種全体を俯瞰する能力が必要であり、極めて小さな数字を見る必要はありません。

また、コミュニケーションの機会は税理士補助よりも多く、論理的な説明能力が求められるシチュエーションが非常に多いです。

税理士に向いている性格は?

次のような性格の人は、税理士に向いていると思います。

  • 細やかな性格
  • 組織経営に抵抗がない
  • 独立志向がある

税理士は、公認会計士に比べて独立開業する人が非常に多く、独立したい人向けの資格であると言えます。

税理士に向いていない人はどんな人?

次のような人は、税理士に向いていないと感じます。

  • 大雑把すぎる性格の人
  • 人とのコミュニケーションを取りたくない人

税務処理には必ず根拠があり、「何となく」は通用しません。

また、経営者と対話する場面が多いため、コミュニケーション能力は必須のスキルです。

税理士補助の平均年収は?

税理士補助の平均年収は、400万円~500万円です。

ただし、地域・経験値・保有資格によってバラツキがあり、年収が400万に満たないケースや、500万以上になるケースもあります。

税理士補助の年収については、会計事務所に転職すると、年収はいくらになる?の記事でかなり詳しく分析・紹介しています。

税理士補助は将来なくなる?

最近ではAIにより税理士補助の仕事がなくなるのでは、とも囁かれていますが、少なくとも現時点において現場でAIは全く活用されていません。

BIG4等の大手税理士法人でも「AIを活用する」と公表されているものの、まだまだ実用化は程遠いのが現状です。

また、税理士の仕事はなくならないと思っていますので、それをサポートする税理士補助の仕事もなくならないのではと思っています。(少なくとも10年先はなくならないと思っています)

税理士補助は楽しい?

おそらく、「数字を合わせるのが好き」「パズルが好き」「事務作業が好き」という方の中には、税理士補助業務が楽しいと感じる方はいるでしょう。

実際、私もパズルゲームが好きですが、仕訳の起票などでは似たような「楽しい」という感覚がありました。(慣れてくるとただの作業…)

また、節税によって顧客から感謝されるシチュエーションもありますから、そんな時にも楽しいと感じます。

外部サイト:高収入者のための節税ガイド7選|SPJ

税理士補助のキャリアプランは?

最も一般的なのが、税理士を目指すことです。

働きながら1年で1科目合格、5年で5科目合格を目指すのが一般的でしょう。

税理士補助の仕事は税理士試験と親和性が高く、将来的に独立することも可能になります。

働きながら税理士を目指すための職場については、無理なく働きながら税理士に合格できる「職場」の選び方をご参照ください。

税理士補助と経理の違いは?

税理士補助と経理の違いは、ざっくり言えば「クライアントの有無」と「専門性」です。

税理士補助では、多くのクライアントのために税法ベースの知識を利用して会計ソフトへの入力、その他決算書・申告書作成を行います。

一方、経理では自社の会計・決算が主な仕事であり、税法・会計基準に基づいて会計ソフトへ入力しますが、その元となる資料集めなども業務に含まれます。

「帰属意識が高く、自社のために働きたい」という人には経理が向いていると思いますし、「税務への専門性を高めたい」という方には税理士補助が向いていると思います。(あくまで一般論です)

未経験で税理士事務所で働くのは大変ですか?

未経験の場合、初めは大変さを感じるでしょう。

というのも、税理士業界では高い専門性が求められ、覚えるべきことが多いからです。

しかし、一度処理を覚えてしまえば2年目からは同じような仕事の繰り返しです。

初めの1年間でしっかりと仕事を覚えることで、2年目以降は徐々に楽になってきます。


【比較表】税理士補助に強い!転職エージェント

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求人数約 5,500 件約 1,300 件約 1,000 件約 800 件約 600 件
対象年代20代~40代20代~50代20代~50代20代~30代20代~30代
設立2015年1990年2000年1996年1973年
資本金2億2740万円5億8600万円3400万円3800万円21億210万円
得意領域・会計事務所
・税理士法人
・経理   
・会計事務所
会計事務所士業全般税理士
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