会計事務所に転職したときの年収は「平均547万円」です【超徹底リサーチ】

会計事務所に転職すると、年収はいくらになる?【超徹底リサーチ】

所長の藤沼です。

「会計事務所の年収は安い」と言われることがありますが、本当にそうでしょうか。

私自身も会計事務所に勤務した経験があり、また現在は経営側に回っていますが、必ずしも会計事務所の給料が安いとは思いません。

しかしそれは私の感覚でしかなく、実態とは異なるかもしれません。

そこで今回は、会計事務所の給与水準を徹底リサーチし、結果を公開したいと思います。

会計事務所に転職した時の年収まとめ(資格別)

保有資格全体未経験者経験者
無資格者535万円493万円542万円
簿記3級463万円409万円492万円
簿記2級485万円449万円495万円
簿記1級489万円431万円504万円
税理士570万円499万円578万円
税理士科目合格537万円476万円547万円
公認会計士623万円554万円631万円

この記事で分かること


  • 会計事務所全体の年収平均は「547万円」だが、資格・経験・地域によって大きく異なる
  • 税理士になっただけでは、年収は大きく変わらない
  • 税理士になって年収をさらに上げたいのなら、独立開業または税理士法人の社員を目指す
  • 年収の高い求人を探すなら、絶対に会計事務所に強い転職エージェントを使うべき
この記事を書いた人

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目次

【資格別】会計事務所に転職したときの年収はいくら?

会計事務所に転職したときの年収は、約547万円です。(全国平均)

具体的な平均年収は、次のとおりです。

会計事務所全体の平均年収

地域下限平均上限平均平均年収求人数
東京444万円740万円592万円2,320件
東京以外383万円647万円515万円3,147件
全体409万円686万円547万円5,467件
Hupro求人検索システムより抽出し集計した。)

(2024年11月1日現在)

算出方法はかんたんで、会計事務所の求人を最も多く保有する転職エージェントの「求人検索ページ」から求人票を抽出し、集計しました。

東京都では平均年収約600万円と、かなり高い水準であることが分かります。

ただし、当然ながら「経験者」「未経験者」では年収水準は異なります。

そこで、上記集計データを更に細かく「経験者」「未経験者」に分けた上で、会計事務所の平均年収を算出しました。

会計事務所(経験者・未経験者の別)の平均年収

地域下限平均上限平均平均年収求人数
未経験者OK
東京384万円620万円502万円534件
東京以外350万円586万円468万円707件
全体365万円600万円483万円1,241件
経験者のみ
東京454万円760万円607万円1,786件
東京以外389万円657万円523万円2,440件
全体416万円700万円558万円4,226件
Hupro求人検索システムより抽出し集計した。)

(2024年11月1日現在)

会計事務所全体の「未経験者」の年収は約483万円「経験者」の年収は約558万円という結果でした。

特に東京都内での「経験者」の年収は高く、平均年収は600万円を超えています。

ただし、この中には「税理士」や「公認会計士」も含まれています。

そこで、以下「資格別」に会計事務所の平均年収を抽出し、集計した結果を掲載します。

無資格者|全体平均は年収535万円!なお未経験者は493万円

無資格者が会計事務所に転職したときの年収は、約535万円です。(全国平均)

内訳は、次のとおりです。

地域下限平均上限平均平均年収求人数
全体
東京445万円705万円575万円565件
東京以外382万円627万円505万円746件
全体409万円661万円535万円1,311件
未経験者OK
東京378万円622万円500万円77件
東京以外379万円596万円488万円103件
全体378万円607万円493万円180件
経験者のみ
東京456万円718万円587万円488件
東京以外383万円632万円508万円643件
全体414万円670万円542万円1,131件
Hupro求人検索システムより抽出し集計した。)

(2024年11月1日現在)

資格なし且つ「未経験者」が会計事務所に転職した場合は約490万円、資格なし且つ「経験者」が会計事務所に転職した場合は約540万円が平均年収です。

年収帯としてはかなり高水準ですが、これには理由があります。

というのも、「無資格者」に対する求人では「高い英語力」を求めていたり「若手限定」の求人が大半だからです。

資格なしでも高い年収を達成できるわけではなく、ポテンシャルの高い層のみに限定されていることによる年収帯です。

大半の方は、何らかの資格がなければ内定を得ることは難しいはずです。

簿記3級|全体平均は年収463万円!なお未経験者は409万円

簿記3級取得者が会計事務所に転職したときの年収は、約463万円です。(全国平均)

内訳は、次のとおりです。

地域下限平均上限平均平均年収求人数
全体
東京392万円592万円492万円136件
東京以外330万円548万円439万円171件
全体357万円568万円463万円307件
未経験者OK
東京345万円464万円405万円64件
東京以外314万円509万円411万円120件
全体325万円493万円409万円184件
経験者のみ
東京410万円641万円526万円72件
東京以外341万円576万円459万円51件
全体375万円608万円492万円123件
Hupro求人検索システムより抽出し集計した。)

(2024年11月1日現在)

簿記3級取得者かつ「未経験者」が会計事務所に転職した場合は約410万円、簿記3級取得者かつ「経験者」が会計事務所に転職した場合は約490万円が平均年収です。

ポイントは「求人数」です。

日商簿記3級は、簿記資格の中でも最も難易度の低い資格ですが、その分ニーズも少なく、簿記3級取得者に対する求人はごく僅かです。

私も自らの会計事務所でスタッフを採用しているので分かりますが、「簿記3級」と書くくらいなら何も書かない方が良いと感じます。

なぜなら、簿記3級レベルの知識は実務でほとんど役に立たたず、また「なぜ簿記2級を取っていないの?」と逆に疑念を抱いてしまうからです。

そのため、「会計事務所で働くために簿記3級を取る」という選択はあまりオススメしません。(2級まで取るなら大いにアリです。)

簿記2級|全体平均は年収485万円!なお未経験者は449万円

簿記2級取得者が会計事務所に転職したときの年収は、約485万円です。(全国平均)

内訳は、次のとおりです。

地域下限平均上限平均平均年収求人数
全体
東京388万円629万円509万円598件
東京以外348万円592万円470万円971件
全体364万円606万円485万円1,569件
未経験者OK
東京352万円547万円450万円241件
東京以外327万円569万円448万円350件
全体338万円560万円449万円591件
経験者のみ
東京399万円654万円527万円357件
東京以外354万円599万円476万円621件
全体371万円619万円495万円978件
Hupro求人検索システムより抽出し集計した。)

(2024年11月1日現在)

「経験者のみ」の求人については、平均年収が簿記3級取得者とほぼ変わりません。

しかし、「未経験者向け」の求人については、平均年収が簿記3級取得者よりも約40万円高くなっています。

簿記2級までであれば3ヶ月ほどで取得できますから、未経験で会計事務所に転職をする場合、簿記2級を取得してから転職活動するのが一番コストパフォーマンスに優れていると言えます。

また、求人数についても「簿記3級」の5倍ほどあり、「簿記2級」に対するニーズの高さは明らかです。

私の会計事務所でも、職員を採用する場合には「簿記2級」を必要条件にしています。

簿記1級|全体平均は年収489万円!なお未経験者は431万円

簿記1級取得者が会計事務所に転職したときの年収は、約489万円です。(全国平均)

内訳は、次のとおりです。

地域下限平均上限平均平均年収求人数
全体
東京394万円637万円516万円317件
東京以外352万円596万円474万円551件
全体367万円611万円489万円868件
未経験者OK
東京358万円550万円454万円122件
東京以外315万円516万円416万円181件
全体332万円530万円431万円303件
経験者のみ
東京405万円663万円534万円195件
東京以外361万円615万円488万円370件
全体377万円632万円504万円565件
Hupro求人検索システムより抽出し集計した。)

(2024年11月1日現在)

簿記1級試験は、非常に難易度の高い試験です。

にもかかわらず、会計事務所での年収は簿記2級とさほど大差ありません。

というのも、会計事務所での業務に簿記1級レベルの知識は必要ないからです。

実際に働いてみると分かりますが、会計事務所での業務は、「資格試験で得た知識」よりも「実務経験」の方が役に立ちます。

また、簿記1級には「工業簿記」「原価計算」といった(会計事務所業界とは)さほど関係のない管理会計分野も学習するため、明らかにオーバースペックです。

そのため、簿記1級は難易度のわりに年収がそこまで高くなく、コストパフォーマンスは悪いと言えます。(あくまで会計事務所への転職に限った話です)

税理士|全体平均は年収570万円!なお未経験者は499万円

税理士が会計事務所に転職したときの年収は、約570万円です。(全国平均)

内訳は、次のとおりです。

地域下限平均上限平均平均年収求人数
全体
東京446万円792万円619万円495件
東京以外389万円676万円533万円658件
全体413万円726万円570万円1,153件
未経験者OK
東京401万円683万円542万円48件
東京以外345万円602万円474万円80件
全体366万円633万円499万円128件
経験者のみ
東京451万円803万円627万円447件
東京以外395万円687万円541万円578件
全体419万円737万円578万円1,025件
Hupro求人検索システムより抽出し集計した。)

(2024年11月1日現在)

税理士が会計事務所に転職したときの平均年収は、「未経験者」なら約499万円、「経験者」なら約578万円でした。

ただし、税理士資格の取得には(原則として)2年間の実務要件が課されるため、税理士を「未経験者OK」として採用している会計事務所は少ないです。

なお 税理士の年収については、(その後の昇給も含めた)さらに詳細な年収データがありますので、詳しくは後述します。

税理士科目合格者|全体平均は年収537万円!なお未経験者は476万円

税理士科目合格者が会計事務所に転職したときの年収は、約537万円です。(全国平均)

内訳は、次のとおりです。

下限平均上限平均平均年収求人数
全体
東京428万円735万円581万円1,140件
東京以外369万円643万円506万円1,635件
全体393万円681万円537万円2,775件
未経験者OK
東京380万円637万円509万円229件
東京以外334万円578万円456万円374件
全体352万円600万円476万円603件
経験者のみ
東京435万円749万円592万円911件
東京以外375万円654万円515万円1,261件
全体400万円694万円547万円2,172件
Hupro求人検索システムより抽出し集計した。)

(2024年11月1日現在)

税理士になるためには、税理士試験科目の5科目に合格する必要がありますが、上記は「税理士試験科目に1科目~4科目合格した人」が対象の求人です。

会計事務所での仕事では、「税法」の知識が最も求められることから、「簿記」よりも求人ニーズは高いです。

なお、求人数としては「税理士科目合格者」向けの求人が最も多い結果となりました。

ニーズも高く、実務での経験が試験勉強にも役立つことから、会計事務所は働きながら税理士を目指すのに最も適した環境と言えます。

公認会計士|全体平均は年収623万円!なお未経験者は554万円

公認会計士が会計事務所に転職したときの年収は、約623万円です。(全国平均)

内訳は、次のとおりです。

地域下限平均上限平均平均年収求人数
全体
東京493万円890万円692万円579件
東京以外416万円726万円571万円755件
全体449万円797万円623万円1,335件
未経験者OK
東京468万円780万円624万円54件
東京以外370万円645万円507万円82件
全体409万円699万円554万円136件
経験者のみ
東京495万円902万円698万円525件
東京以外421万円736万円579万円673件
全体454万円808万円631万円1,198件
Hupro求人検索システムより抽出し集計した。)

(2024年11月1日現在)

会計事務所での資格別年収としては、公認会計士が最も高い年収であることが分かりました。

公認会計士には、税務以外にも会社法や企業会計や経営に関する知識があるため、それらの知識が総合的に評価されるようです。

ただし、会計事務所で働きながら公認会計士を目指すことは難しいため、一般的には監査トレーニーとして監査法人で働きながら公認会計士を目指す、または仕事を辞めて無職で合格を目指すかのどちらかになります。

公認会計士の年収について、詳しくは会計士が転職すると、年収はいくらになる?【全職種調べてみた】の記事内で解説しています。

会計事務所における税理士の年収【詳細】

多くの方が「会計事務所で働く税理士の年収」に興味があると思いますので、さらに詳細なデータを紹介します。

税理士には、次のような区分があります。

税理士の区分3種
  • 開業税理士
  • 社員税理士
  • 所属税理士

日本税理士会連合会は、上記区分ごとにアンケート調査を実施しており、この中で各区分における平均年収が公開されています。

先述したのはあくまで「転職時の年収」であり、その後の「昇給」を含んでいませんから、ここで紹介する年収はより実態に近いデータと言えます。

それぞれ、平均年収を見てみましょう。

なお税理士の年収については、税理士の年収と現実を、あらゆる角度から詳細分析してみた。の記事でさらに詳細解説しています。

開業税理士|年収平均は744万円!ただし中央値は300万円以下

開業税理士とは、いわゆる「所長税理士」をいいます。

開業税理士の年収分布は、次のとおりです。

回答 / 割合東京東京以外全国
300万以下25.5%32.8%31.4%
500万以下17.4%16.6%16.7%
700万以下12.7%11.9%12.0%
1,000万以下14.3%13.2%13.5%
1,500万以下12.2%10.8%11.0%
2,000万以下5.8%4.9%5.0%
3,000万以下4.0%3.3%3.4%
5,000万以下1.8%1.4%1.5%
1億以下0.4%0.4%0.4%
1億超0.1%0.1%0.1%
無記入5.7%4.7%5.0%
(平均年収)825万円720万円744万円
日税連「第6回税理士実態調査報告書」を基に作成)

中央値は「300万円以下」の層ですが、平均すると全国で約744万円、東京都では約825万円でした。

ちなみに、年商(経費を差し引く前の収入)平均は約2,200万円でした。

社員税理士|全体平均は886万円!中央値もほぼ同額

社員税理士とは、「会計事務所や税理士法人のパートナー」をいいます。

株式会社における役員のようなポジションであり、所内の意思決定を担いますが、代表権はありません。

社員税理士の年収分布は、次のとおりです。

回答 / 割合東京東京以外全国
300万以下8.4%10.0%9.4%
500万以下9.9%13.1%12.0%
700万以下16.6%14.2%14.8%
1,000万以下22.9%23.9%23.4%
1,500万以下22.3%20.3%20.7%
2,000万以下9.0%9.0%8.9%
3,000万以下7.1%5.1%5.6%
5,000万以下2.7%1.7%1.9%
5,000万超1.1%0.5%0.7%
無記入3.3%2.1%2.6%
(平均年収)907万円880万円886万円
日税連「第6回税理士実態調査報告書」を基に作成)

社員税理士については東京・東京以外でさほど年収に開きがなく、全国では約886万円、東京では約907万円でした。

また、中央値は1,000万円以下でした。(1,500万円以下の層も中央値に近い)

所属税理士(補助税理士)|全体平均は597万円!中央値もほぼ同額

所属税理士(補助税理士)とは、会計事務所で働く「開業税理士」「社員税理士」以外の税理士をいいます。

いわゆる「雇われ税理士」のようなイメージが近いかもしれません。

所属税理士の年収分布は、次のとおりです。

回答 / 割合東京東京以外全国
300万以下7.9%14.1%12.0%
500万以下22.9%31.1%28.1%
700万以下38.0%29.9%31.7%
1,000万以下22.2%17.9%18.8%
1,500万以下7.0%5.8%6.0%
2,000万以下1.2%0.6%0.8%
3,000万以下0.7%0.5%0.6%
5,000万以下0.1%0.0%0.0%
5,000万超0.1%0.0%0.0%
無記入2.3%1.9%2.0%
(平均年収)653万円573万円597万円
日税連「第6回税理士実態調査報告書」を基に作成)

中央値は700万円以下であり、平均年収は全国が約597万円、東京は約653万円という結果でした。

補助税理士の数自体は税理士全体の10%程度であり、実はそこまで多くありません。

社員税理士・開業税理士にくらべると、雇われ税理士はだいぶ年収が下がることが分かります。

【年齢別】会計事務所に転職したときの年収

先述のとおり、会計事務所での年収は「実務経験年数」や「保有資格」によって大きく異なります。

そのため、一概に年齢別の年収を算出することはできません。

しかし、いくつかの仮定をおくことで、年収推移をある程度予測することはできます。

そこで、ここでは次のような方を仮定し、各年齢での年収を推定計算してみることにします。

年齢別年収の算出仮定
  • 20歳で簿記2級取得し、未経験で会計事務所に就職
  • 30歳で税理士5科目合格し、他の会計事務所に転職
  • 35歳で独立

では、それぞれ年齢ごとに年収を推計してみます。

20歳|初任給は約340万円(手取りは約270万円)からスタート

20歳(または新卒)で会計事務所に就職した場合、初任給は約340万円です。

※ 簿記2級を取得している未経験者の年収帯のうち、下限値を使用しています。

手取りでは約270万円です。

もちろん、会計事務所によっては若干相違すると思いますが、概ねこの水準のはずです。

30歳|税理士試験に合格し転職すると年収は580万円までUP

30歳(実務経験10年)で税理士を合格し、かつ転職したときの年収は約580万円です。

手取りでは約450万円です。

この水準は、先述の「補助税理士」の年収平均とも近似しており、また私の肌感ともマッチしています。

一般的な30歳の年収と比較すると、かなり高い水準と言えるでしょう。

もちろん、働きながら税理士試験合格を目指す必要がありますが、「10年で税理士になる」という仮定はさほど無理な水準ではありません。

40歳|独立開業をして5年程度経過すると年収は700~1000万円ほど

あくまで「独立後5年経過」という仮定の上ですが、40歳での年収は概ね700万~1,000万程度と考えられます。(先述の「社員税理士」の平均年収を参照)

私自身も独立し会計事務所を経営していますが、開業後5年も経過すると、クライアント獲得・維持はとても安定します。

また、税理士1人で会計事務所を経営した場合のMAXの利益水準としては、大体2,000万程度が上限になると感じます。(もちろんサービス内容や経営手腕にもよりますが。)

そのため、かなり大雑把ではありますが、通常であれば年間利益700万円~1,000万円程度の水準には達するはずです。

※ これには同業税理士からの異論の声もありそうですが、あくまで私個人の経験と推察に基づく結論ですので…ご容赦ください…。

というわけで、会計事務所に就職してから大体20年で年収1,000万に達成するようなイメージです。

会計事務所のバイトの時給平均は約1,100円

会計事務所のアルバイト職員の時給については、求人ボックスがデータ公表をしています。

会計事務所のバイト・派遣の平均時給単価
求人ボックスより引用)

アルバイト・パート職員の時給は約1,100円/時、派遣社員の時給は約1,400円/時でした。

派遣社員のほうが約300円/時ほど時給は高いですが、真っ先に契約を切られやすいというリスクがあるため、その分が給与に上乗せされていると考えられます。

会計事務所では、アルバイト・パートが多くの残業をさせられるケースは(基本的に)少ないため、「残業代で稼ぐ」という選択がしづらく、当然ながら正社員と比較すると年収は下がります。

会計事務所での仕事内容

会計事務所での仕事内容は、主に次のとおりです。

会計事務所での仕事内容(代表例)
  • 記帳代行
  • 巡回監査
  • 決算業務
  • 税務申告
  • 給与計算・年末調整
  • コンサルティング業務
  • その他事務作業

最もオーソドックスな業務が、「記帳代行」「決算業務」「税務申告」の3つです。

会計事務所で働くと、ほぼ確実にこの3つの業務を経験するでしょう。

具体的には、会社の取引を会計ソフトに入力(記帳代行)し、そのデータを確定申告の時期に調整(決算業務)し、当該データを基に確定申告用の資料を作る(税務申告)作業になります。

いずれも専門的な知識が要求されるほか、会計ソフトの使い方など実務特有のスキルが求められます。

未経験であっても少しずつスキルアップすることが可能ですが、素地として簿記の知識はあったほうが良いでしょう。

更に具体的な仕事内容については、会計事務所での仕事内容を詳細解説します。の記事で詳しく解説しています。

会計事務所での仕事内容と年収の関係

会計事務所での一般的な仕事内容は先述のとおりですが、その他、会計事務所によって得意とするサービスラインは異なります。

特に、次のようなサービスを提供している会計事務所では、年収が高くなる傾向にあります。

年収の上がりやすいサービスライン
  • 国際税務
  • M&Aアドバイザリー
  • IPO支援
  • その他、コンサルや外国語を使うプロジェクト

上記のように、外資系・コンサル系のサービスは市場全体として報酬単価が高いため、従業員に対する給与水準も高くなる傾向にあります。

そのため、外資系企業での就労経験のある方や、会計税務コンサルティングに携わった経験のある方は、当該サービスに強みをもつ会計事務所を選ぶことで、さらに年収を引き上げることができるはずです。

逆に、(悪く言えば)何の強みもない一般的な会計事務所の場合、年収が大きく上がることはないはずです。

会計事務所の年収に関するよくある疑問

その他、会計事務所の年収に関するよくある疑問をまとめました。


会計事務所では給料が上がらないというのは本当?

これは事務所によって大きく異なります。

確かに、無資格者の給料をほぼ上げないスタイルの会計事務所もあります。

一方で、1年で5~10万円ほど給料を上げている会計事務所もあります。

昇給額は所長の方針によって異なりますので、必ず、応募前に転職エージェントに確認をしておくべきです。

会計事務所のボーナスは平均いくら?

もちろん会計事務所にもよりますが、年間でベース給与の2~3ヶ月分が一般的です。(夏+冬のボーナスの合計)

なお、いわゆるBIG4と呼ばれる大手税理士法人では、最大4~5ヶ月分程度支給されるようです。

会計事務所で求められる資格は?

採用者視点から断言できますが、「簿記2級」が最も求められます。

なぜなら、仕訳の起票や決算書の作成など、会計事務所で求められる基本的な能力の証明になるからです。

一方、簿記3級では不安が残り、簿記1級はオーバースペックなのであまり求められません。

なぜそう言い切れるのか、理由は 会計事務所への就職におすすめの資格は4種ある。 の記事内で解説しています。

会計事務所に向いている人の特徴は?

細かい性格の方は、会計事務所に向いていると思います。

会計事務所での作業は、全て税法に基づき実施されます。

日本の税法は非常に細かく規定されており、1つ1つの作業に必ず根拠があるため、(初めのうちは)1つ1つ理解しながら進める必要があります。

また顧問先企業の支払うべき税額を計算するため、計算ミスはNGですから、細かい性格の方が向いているでしょう。

会計事務所に向かない人の特徴は?

コミュニケーションを苦手とする方は、会計事務所に向かないと思います。

会計事務所では、自分一人では分からないことが出てきます。

適宜先輩職員などに質問したり、クライアントからヒアリングを行う必要があるため、意外とコミュニケーション能力を求められます。(もちろん、接客業・営業職ほどではありませんが)

会計事務所で働くメリットは?

メリットは多くありますが、最も大きなメリットは「専門性」が身に付くことでしょう。

会計・税務に関する知識は、全ての企業で求められる専門知識であり、(世の中から税金がなくならない限り)常に必要とされるスキルです。

知識の汎用性が高く、比較的容易に転職することができますから、キャリア設計がより自由になるというメリットが得られます。

会計事務所への就職難易度は?

会計事務所への就職難易度は、低いでしょう。

もちろん、人気の大手会計事務所は難易度が高いものの、日本全国に会計事務所は2万所以上あり、選ばなければどこかしらに就職することが可能です。

ただし、30代以降・資格なし・未経験となると、就職難易度はグッと上がります。

30代までに会計・税務の経験をしておかなければ、会計事務所への転職は難しくなります。

会計事務所で働くには何をすべき?

未経験の方は、まず簿記資格を取得されることをオススメします。

会計事務所・税理士法人での仕事は専門性が高く、全くの未経験&知識もない状態では、(仮に採用されたとしても)業務が何も分からないはずです。

手取り足取り教えてくれる先輩職員がいれば良いですが、そのようなケースは稀です。

ただし、今すぐ転職をしたい方は、転職活動をしながら簿記資格の勉強をするのもアリです。

簿記2級であれば3ヶ月程度で取得できますから、勉強・就活を同時並行することで、かかる時間を節約することができるでしょう。

会計事務所スタッフは転職することが多い?

はい。多いです。

会計事務所で培われた経験・知識は、基本、他の会計事務所でもそのまま通用します。

そのため、事務所の雰囲気が悪かったり、自分に合わない環境だった場合には、比較的容易に転職することが可能です。

会計事務所の平均勤続年数は?

会計事務所の平均勤続年数は約10年と言われていますが、各会計事務所によって大きく異なります。

また売り手市場である会計税務業界においては、求職者の選択肢が増えているため、平均勤続年数は低下傾向にあるようです。

先述のとおり、会計事務所で培ったスキルは汎用性が高いため、転職しやすいのです。

巡回監査という仕事が大変だと聞きましたが本当ですか?

巡回監査とは、定期的に(一般的には月1回)顧問先の帳簿を確認し、顧問先経営者に情報提供する業務をいいます。

以前は顧問先に直接訪問するケースが多くありましたが、コロナ禍以降はリモートでの巡回監査も増えたため、訪問せずにZoom等で実施するケースが多くなりました。

実際に訪問する機会が減ったため、場を繋いだり空気を読む機会が少なくなったため、むしろ巡回監査は楽になりました。

税理士になるには何をする必要がありますか?

税理士になるためのルートはいくつかありますが、最も一般的かつ現実的なのが「税理士試験科目5科目に合格すること」です。

会計事務所で働きながら合格を目指す場合、1年1科目、5年で全科目合格を目指すのが一般的です。(最短5年が目安)

また、会計事務所等での2年以上の実務経験を積むことにより、税理士登録を行うことができます。

税理士補助とはなんですか?

税理士補助(いわゆる税理士アシスタント)とは、文字どおり税理士の仕事を補助(補佐)する仕事をいいます。

会計事務所での求人募集は、その大半が「税理士補助」としての募集でしょう。

なお 税理士以外の方(無資格者)には、確定申告の代理を行うことができないため、税理士補助が資料を集計・数値入力・基礎作成を行い、そのレビューを税理士が行うという立て付けになっています。

税理士補助としての仕事について、詳しくは税理士補助の仕事内容を解説します。の記事で詳細解説しています。


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