税理士の年収は約884万円!なお現実は独立すると中央値300万円以下

税理士の年収と現実を、あらゆる角度から詳細分析してみた。

税理士の藤沼です。

私たち税理士の平均年収は、約884万円です。

そう、平均すると1,000万を超えません。これが現実です。

私自身も会計事務所に勤めていましたが、年収900万円くらいでした。(独立する直前の年収)

また、職種別の税理士の年収は以下の通りです。

種別平均年収
所属税理士(※1)約685万円
開業税理士(※2)約871万円
社員税理士(※3)約1,108万円
企業内税理士
会計事務所・税理士法人約570万円
コンサル・アドバイザリー職約722万円
経理部・財務部・税務部約663万円
経営企画部約799万円
金融系約813万円
  1. 他の開業税理士又は税理士法人の補助者として税理士業務に常時従事する税理士
  2. 自己の税理士事務所を有する税理士
  3. 税理士法人の社員たる税理士

これは税理士の実際の年収であり、日本税理士会連合会による税理士への公式アンケート調査(母数35,000人以上)、及び転職エージェントが公開している求人データ(母数1,500件以上)を参照した結果です。

ただし、上記はあくまで平均値であり「中央値」ではありません。

また、年齢職種によっても年収は異なりますし、地域によっても大きくバラツキがあります。

本記事では、そんな税理士の年収と現実について徹底調査した結果を公開します。

どこよりも詳しく調査しましたので、内容に自信あり。

ぜひ最後まで読んでください。

この記事で分かること


  • 税理士の年収は50代前半でピークを迎え、以降はなだらかに減少する
  • 独立開業すると収入は青天井だが、中央値は年収300万円以下という現実
  • 税理士全体の約48%が、年収1,000万以上稼いでいる
  • 年収1,000万円以上を稼ぎたいなら、税理士法人のパートナーを目指すのが良い
この記事を書いた人


目次

税理士の平均年収は約884万円|3万5千人以上のアンケート結果

税理士全体の年収平均は約884万円です。以下はその内訳情報です。

税理士の年収(全体平均)

回答者数平均年収
所属税理士(※1)5,973件約685万円
開業税理士(※2)22,908件約871万円
社員税理士(※3)6,481件約1,108万円
 合計/加重平均35,362件約884万円
日税連「第7回税理士実態調査報告書」を基に作成)
  1. 全回答者数6,058名のうち「無回答」であった85名を差し引いた件数を回答者数としている。
  2. 全回答者数24,017名のうち「無回答」であった1,109名を差し引いた件数を回答者数としている。
  3. 全回答者数6,582名のうち「無回答」であった101名を差し引いた件数を回答者数としている。

ここでは最も信頼できる情報源として、日税連によるアンケート調査結果を参照しています。

※ 日税連のアンケート調査結果では、税理士の年収を「所属税理士」「開業税理士」「社員税理士」の3種に区分し、アンケート調査を実施しています。

なお、この「約884万円」は、所属税理士・開業税理士・社員税理士の加重平均です。

ただし、上記データは税理士の年収を大まかにまとめたものに過ぎず、職種・年齢・組織規模などによって実態は大きく異なります。

そこで本記事では、上記データを更に細かく分析します。

(参考)厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」はあくまで参考値

厚生労働省は、年に1度「賃金構造基本統計調査」を行っており、ここに私たち税理士の賃金も掲載されています。

以下はその転載です。

「公認会計士・税理士」の賃金

男性女性合計
平均年収約1,029万円約589万約856万円
賃金構造基本統計調査 / 令和6年賃金構造基本統計調査|厚労省を基に作成)

平均年収が約856万という結果が出ています。

一見すると先述した税理士全体の平均年収と近似していますが、実はこの雇用統計データは正確ではありません。

理由は以下のとおりです。

賃金構造基本統計調査が正確でない理由
  • そもそも「公認会計士」が含まれている
  • 公認会計士と税理士では、平均年齢が大きく異なる
  • あくまで集計対象は「賃金」であり、たとえば開業税理士の「事業所得」等は含まれていない
  • サンプル数が少ない

以上のように、公認会計士と税理士とでは明らかに属性が異なります。

結果として近似しているものの、算出の過程が大きく異なるのです。

また、「なぜ会計士と税理士をまとめているのか」という質問に対して、厚労省は「サンプル数が少ないため」と回答していますが、サンプル数が少ないことを理由に一括りにまとめることは合理的ではないはずです。

よって本記事では、基本的に厚労省による「賃金構造基本統計調査」を正確なデータとしては利用しません。(但し、分析の基礎として一部利用します)

一方で、次の情報ソースには高い信頼性があるものと考え、年収リサーチの情報源として積極的に利用します。

本記事で信頼する情報ソース
  • 日本税理士会連合会によるアンケート調査データ
  • 大手転職エージェントの公開する求人データ群

いずれも母集団数が膨大であり、かつ税理士のみにフォーカスされていることから、推定の精度は高いものと判断できます。

また、併せて税理士である筆者の肌感覚になじむかどうかも確認し、実務家目線でのコメントも付します。

なお、私は公認会計士が転職した時の年収もリサーチしていますので、ご興味のある方は次の記事をご参考ください。

【職種別】雇われ税理士の年収|求人データ1583件を集計

雇われ税理士の年収は、以下の通りです。

上記年収データの情報源としては、大手転職エージェントの求人データを参照しました。

参照した求人データ数は全1,583件であり、母集団を推定するには十分なデータ数であると考えられます。

分析結果利用時の留意点
  • 求人票記載の年収を参照するため、その後の昇給は加味されない
  • 求人票記載の年収には、残業代が加味されていないケースがある

以上の前提から、ここでの分析結果は「やや低めに算出されている」ものと捉えてください。

なお、データ集計の対象とした大手転職エージェントの名称は公開しません。(本来このような目的で開示されている情報ではなく、利用者に誤解を与えるおそれがある為)

以下、各職種の年収について解説します。

会計事務所・税理士法人での税理士の年収|全国平均は570万円

会計事務所・税理士法人での税理士の年収グラフ
Results
参照求人データ件数1,153件
求人票記載の年収帯の平均値413万円~726万円
(上記年収帯の平均値)570万円
勤務地を東京に限定した場合の年収帯446万円~792万円
(上記年収帯の平均値)619万円
勤務地を東京以外に限定した場合の年収帯389万円~676万円
(上記年収帯の平均値)533万円
(大手転職エージェント求人データを基に作成)

※ データには「昇給」「残業代」が加味されていないため、やや低めに算出されています。

税理士の就職先・転職先として、最も多かったのが「会計事務所・税理士法人」でした。(求人全体の約73%)

そして会計事務所・税理士法人が採用する税理士の平均年収は、570万円でした。

しかし、東京地区では平均619万円、東京地区以外では平均533万円と、年間約90万円ほどの開きがあります。

また、会計事務所・税理士法人の年収は、全職種のなかで最も年収帯が低い結果となりました。

私の肌感覚としては、低すぎる気がしています。

勝手な主観ですが、昇給・残業などを考慮すると、平均値は+50万~100万ほど上がる気がします。

なお、「BIG4税理士法人」の年収は別途後述しています。

コンサル・アドバイザリーでの税理士の年収|全国平均は722万円

コンサル・アドバイザリーでの税理士の年収グラフ
Results
参照求人データ件数203件
求人票記載の年収帯の平均値504万円~940万円
(上記年収帯の平均値)722万円
勤務地を東京に限定した場合の年収帯573万円~1,018万円
(上記年収帯の平均値)795万円
勤務地を東京以外に限定した場合の年収帯437万円~865万円
(上記年収帯の平均値)651万円
(大手転職エージェント求人データを基に作成)

※ データには「昇給」「残業代」が加味されていないため、やや低めに算出されています。

税理士の就職先・転職先として、2番目に多かったのが「コンサル・アドバイザリー」でした。(求人全体の約13%)

なお、上記のコンサル・アドバイザリーの中には、「会計事務所内でのコンサルタント職」も含まれています。

コンサル・アドバイザリーが採用する税理士の平均年収は、722万円でした。

また、こちらも東京・東京以外で大きな開きがあり、東京地区では平均795万円、東京以外の地区では平均651万円という結果になりました。(約150万円の開き)

コンサル・アドバイザリーでの年収は、会計事務所・税理士法人の年収の3割増し程度の水準であり、かなり高めであることが分かります。

当然と言えば当然ですが、コンサル・アドバイザリーにおいて顧客から求められるのは「節税」であり、サービスが顧客の「利益」に直結します。

記帳代行や確定申告のような、ある種の代行作業とはサービスの毛色が異なるため、従業員の給与水準も大きくなるものと考えられます。

実際、私自身もコンサル系の会計事務所で働いていましたが、1,000万越えの税理士がゴロゴロと居ました。(2,000万越えも割と多かった)

また、コンサル・アドバイザリーは、基本的に残業量が多いです。

そのため、昇給・残業などを考慮すると、平均値は+100万~150万ほど上がる気がします。

経理部・財務部での税理士の年収|全国平均は663万円

経理部・財務部での税理士の年収グラフ
Results
参照求人データ件数198件
求人票記載の年収帯の平均値517万円~811万円
(上記年収帯の平均値)663万円
勤務地を東京に限定した場合の年収帯574万円~902万円
(上記年収帯の平均値)737万円
勤務地を東京以外に限定した場合の年収帯459万円~718万円
(上記年収帯の平均値)587万円
(大手転職エージェント求人データを基に作成)

※ データには「昇給」「残業代」が加味されていないため、やや低めに算出されています。

税理士の就職先・転職先として、3番目に多かったのが「経理・財務」でした。(求人全体の約12%)

とはいえ、求人数はコンサル・アドバイザリーとほぼ同数です。

経理・財務が採用する税理士の平均年収は、663万円でした。

こちらも東京・東京以外で大きな開きがあり、東京地区では平均737万円、東京以外の地区では平均587万円という結果になりました。(約150万円の開き)

また、財務・経理の年収帯は、「会計事務所・税理士法人」と「コンサル・アドバイザリー」の中間よりもやや高め辺りに位置することが分かります。

求人数はそこまで多くありませんが、事業会社からのニーズは高いと捉えることができるでしょう。

事業会社では残業時間が少ない傾向にあるため、算出された年収に大きな違和感はありませんが、その後の昇給を考慮すると平均値は+50~100万ほど上がると考えられます。

経営企画部での税理士の年収|全国平均は799万円

経営企画部での税理士の年収グラフ
Results
参照求人データ件数18件
求人票記載の年収帯の平均値584万円~1,014万円
(上記年収帯の平均値)799万円
勤務地を東京に限定した場合の年収帯605万円~1,118万円
(上記年収帯の平均値)861万円
勤務地を東京以外に限定した場合の年収帯551万円~850万円
(上記年収帯の平均値)700万円
(大手転職エージェント求人データを基に作成)

※ データには「昇給」「残業代」が加味されていないため、やや低めに算出されています。

ここからは 母集団数がかなり少なくなるため、参考情報になります。

経営企画部が採用する税理士の平均年収は、799万円でした。

東京地区では約861万円、東京以外では700万円と大きな開きがありますが、こちらもあくまで参考情報です。

ちなみに、「経営企画」は管理部門の中で最も年収水準が高く、この傾向は公認会計士も同様でした。

金融系での税理士の年収|全国平均は813万円

金融系での税理士の年収グラフ
Results
参照求人データ件数11件
求人票記載の年収帯の平均値590万円~1,036万円
(上記年収帯の平均値)813万円
勤務地を東京に限定した場合の年収帯590万円~1,036万円
(上記年収帯の平均値)813万円
勤務地を東京以外に限定した場合の年収帯
(上記年収帯の平均値)
(大手転職エージェント求人データを基に作成)

※ データには「昇給」「残業代」が加味されていないため、やや低めに算出されています。

最後に、金融系の税理士向け求人データです。

こちらも母集団数がかなり少ないため、参考に留めてください。

金融系職種が採用する税理士の平均年収は、813万円でした。

また、抽出した求人データには、東京以外の地区での募集はありませんでした。

金融系の求人も、年収水準はかなり高めです。

以上、税理士の職種別年収データの分析結果でした。

BIG4に務める税理士の年収|勤務10年で1000万が目安

BIG4税理士法人の年収は職階・勤務年数によって異なりますが、勤務10年で年収1,000万が一つの目安になります。

BIG4税理士法人とは、次の大手税理士法人4社を指します。

それぞれ、世界4大会計ファーム「EY」「KPMG」「デロイト」「PwC」に属することから、BIG4税理士法人と呼ばれます。

結論から言えば、BIG4に務める税理士の年収は高いです。

また、BIG4によって基本給・賞与の多寡はありますが、年俸ベースではほぼ同水準です。(基本給が低かったとしても、賞与を高めることで平仄を合わせる等々)

私はBIG4で5年弱働いていましたので、私の経験も踏まえ、BIG4税理士法人での年収を職階別に紹介します。

BIG4での税理士の年収推移

職階年収
スタッフ400万~600万
シニアスタッフ600万~1,000万
マネージャー900万~1,200万
シニアマネージャー1,200万~1,500万
パートナー1,200万~2,000万
シニアパートナー2,000万~

BIG4税理士法人へ転職した場合の職階は、それまでの実務経験年数・スキルによって変わります。

また、実務経験年数が3年未満の場合には、(余程ハイレベルなスキルを有していたとしても)原則スタッフでの採用になります。

スタッフの給与は、基本給30万/月+賞与+残業代というのが一般的です。

シニアスタッフになると基本給も増えますが、残業も増える傾向にあり、最大で年収1,000万円に到達するケースがあります。(但し、かなりのハードワークが前提)

マネージャーに昇格すると管理職扱いでの雇用になることから、残業代が付かず、また評価の低いマネージャー1年目はシニアスタッフ時代よりも手取り給与が下がるケースが多いです。

なお、上記の給与テーブルは毎年微妙に更新されますが、大きく変わることは少ないでしょう。

そのため、将来の得られる収入が明確であり、人生設計が行いやすいというメリットでもあります。

BIG4税理士法人は人気があり就職難易度も高いですが、キャリアに箔が付くなど、目に見えない付加価値も得られるでしょう。

BIG4税理士法人での昇格ステップについて|凡そ4年で昇格

BIG4税理士法人では、原則として、昇格に必要な年数が設けられています。

BIG4税理士法人での昇格に必要な年数:4年

例えば、シニアスタッフからマネージャーに昇格するためには、最低でも4年間勤務する必要があります。

但し、高いパフォーマンスを出した従業員に限っては、飛び級するケースもあります。(スタッフ3年目でシニアに昇格する、等)

また、BIG4税理士法人の特徴として「マネージャーへの昇格ハードルが高い」という点にも留意が必要です。

スタッフからシニアスタッフへの昇格では、クライアントワークを真面目にこなすことで普通に昇格できるでしょう。

しかし、マネージャーへの昇格においては、非常に高い評価を得る必要があります。(法人によってはTOEICの点数を求められたり、営業能力を評価されたりします)

また、パートナーへの昇格は更に狭き門です。(感覚的には、100人に1人程度の割合)

パートナーに昇格するまでは非常にハードワークであることから、昇格する前に(BIG4のネームバリューを利用し)転職される方が多いです。

独立・開業税理士の年収は約780万円|中央値は300万円以下の悲しい現実

独立開業した税理士の平均年収は、約780万円です。

先述のデータでは「開業税理士」の年収が約871万円となっていますが、この中には企業内税理士(事業会社の経理部などで働く税理士)が含まれているため、補正しなければなりません。

日税連のアンケート調査によれば、開業税理士の得た収入金額のうち、全体の約10.4%が「給与収入」であることが示されています。

このため、純粋な「会計事務所の運営による収入」を確認するためには、この給与収入を除外する必要があります。

以上を踏まえると、独立開業税理士の会計事務所運営による収入は、次のように計算されます。

開業税理士の年収計算

= 平均年収871万円×(100%-10.4%)

約780万円

以上の分析により、厳密な開業税理士の年収は約780万円であると算出されました。

この値は私の肌感覚とも一致しており、1年目でも頑張ればこのくらいの水準は達成できます。

一方、開業税理士の年収の分布は以下の通りです。

開業税理士の年収分布と平均年収

開業税理士の年収分布
年収(総所得金額)全回答者に対する分布
300万以下26.0%
300万~500万16.9%
500万~700万12.6%
700万~1,000万15.5%
1,000万~1,500万13.9%
1,500万~2,000万7.3%
2,000万~3,000万5.3%
3,000万~5,000万1.8%
5,000万~1億0.6%
1億超0.1%
 平均年収約871万円
(日税連「第7回税理士実態調査報告書」を基に作成)

開業税理士の年収の中央値は、300万円以下です。

このため、大半の税理士が独立開業すると食えない・生活できないのでは?と思われそうですが、実際はちょっと違います。

というのも、この中には税理士登録だけしながら実質的に仕事をしていない税理士(例えば育児休暇中の税理士やパート勤務の税理士など)も含まれるのです。

そのため、本気で働いて年収300万円以下の税理士はもう少し少ないはずです。

開業税理士1人あたりの年間売上金額は平均2,329万円

開業税理士1人あたりの「売上金額」についても、アンケート調査データがあります。

開業税理士の1人あたり売上高と分布

開業税理士の1人あたり売上高分布
1人あたり売上全回答者に対する分布
500万以下26.8%
500万~1,000万16.3%
1,000万~2,000万20.3%
2,000万~3,000万12.3%
3,000万~4,000万7.2%
4,000万~5,000万5.9%
5,000万~7,000万5.3%
7,000万~1億3.4%
1億~2億2.0%
2億~3億0.2%
3億~5億0.1%
5億超0.0%
 平均売上約2,329万円
(日税連「第7回税理士実態調査報告書」を基に作成)

開業税理士の1人あたりの年間売上高は、平均2,329万円という結果でした。

意外と高いなと感じました。

売上1億を超える層が全体の2%以上も存在するため、それらの優秀層が全体平均を大きく引き上げていると考えられます。

一方で、中央値は500万円以下という結果です。

【年代別】税理士の年収|50歳代でピークを迎える

開業税理士の平均年収を、年代別にまとめました。

開業税理士の年代別平均年収

年代回答件数平均年収
20歳代以下23件約567万円
30歳代738件約851万円
40歳代3,133件約1,031万円
50歳代4,609件約1,076万円
60歳代6,698件約866万円
70歳代6,214件約703万円
80歳代以上1,432件約635万円
年齢無回答61件約917万円
合計/平均22,908件約871万円
(日税連「第7回税理士実態調査報告書」を基に作成)

アンケート調査では開業税理士についてのみ年代別の分布があったため、こちらを参照しました。

30代で850万を超え、40歳代で1,000万を超え、50歳代でピークを迎えるのが税理士の年収推移です。

資格さえあれば一人でも働けるのが税理士ですから、60歳代・70歳代になっても回答者数が6,000名を超えているのも興味深いですね。(実際は国税OBが大半を占めていそうですが…)

なお参考までに、厚労省の賃金構造基本統計調査から集計したデータも掲載しておきます。(こちらは公認会計士も含めた年収なので注意)

公認会計士・税理士の年代別平均年収

年齢月収
(千円)
賞与・退職金
(千円)
回答者数
(人)
平均年収
(千円)
~19歳
~24歳30284983,706
~29歳4088272895,728
~34歳3789411705,476
~39歳4782,0352877,771
~44歳6012,5362619,751
~49歳6282,73330610,263
~54歳7142,74431911,310
~59歳6131,3861348,743
~64歳1,0292,0648414,417
~69歳4521,034486,455
70歳~440238255,523
合計/平均5581,8702,0218,563
(賃金構造基本統計調査 / 令和6年賃金構造基本統計調査|厚労省を基に作成)

厚労省のデータにおいても、50代(厳密には50代前半)で年収がピークを迎えています。

なお、60代前半で一気に年収が増えていますが、これは退職金も含まれている為です。

以上の通り、税理士は50歳代まで年収が増加し続けるという事が分かりました。

税理士の年収からどの働き方が最適かリサーチ

ここでは「年収〇〇万円稼ぐためには、どのような働き方が最適か」という観点で、調査結果をまとめました。

なお働き方の分類は、次の3区分をベースにしています。

税理士区分

  • 所属税理士
  • 開業税理士
  • 社員税理士

結論としては、社員税理士(税理士法人のパートナー)を目指すのが最適なのですが、年収帯ごとに割合を算出しましたので、ゴールを見据える上での参考にしてください。

また、【職種別】雇われ税理士の年収の部分でも触れましたが、通常の税務顧問だけでなく、コンサル・アドバイザリーサービスに関与したほうが年収は上がりやすいです。

私の職員時代・独立後の経験を踏まえると、特定分野のコンサル・アドバイザリーにも関与できる税理士法人でパートナーを目指すというのが、最も効率良く年収を上げるキャリアになると考えられます。

では、各年収帯での働き方の分布を見てみます。

年収1,000万円を稼ぐ税理士の働き方

年収1,000万以上を稼いでいる税理士の割合(区分別)

税理士区分年収1,000万以上年収1,000万未満合計
所属税理士40.1%59.9%100%
開業税理士44.5%55.5%100%
社員税理士67.4%32.6%100%
(日税連「第7回税理士実態調査報告書」を基に作成)

年収1,000万円以上を稼ぐ税理士は、税理士法人の社員税理士が最も多いことが分かりました。

ちなみに、社員税理士の年収の中央値は1,500万円~2,000万円であり、年収1,000万以上を稼ぎたいなら税理士法人でのパートナーになるのが一番現実的です。

また、私の周りの税理士を見ると、5~10年のキャリアで年収1,000万を達成される方が多い印象があります。

年収2,000万円を稼ぐ税理士の働き方

年収2,000万以上を稼いでいる税理士の割合(区分別)

税理士区分年収2,000万以上年収2,000万未満合計
所属税理士2.7%97.3%100%
開業税理士15.0%85.0%100%
社員税理士20.5%79.5%100%
(日税連「第7回税理士実態調査報告書」を基に作成)

年収2,000万円以上を稼ぐ税理士は、税理士法人の社員税理士が最も多いことが分かりました。

続いて多いのが開業税理士ですが、所属税理士については3%未満とかなり少ないことが分かります。

以上、年収2,000万円以上稼ぎたい方にとっても、税理士法人の社員税理士を目指すのが一番良いという結果でした。

なお、開業して年収2,000万以上を稼ぐことはさほど難しいとは思いませんが、何かしらに特化した専門性・希少性の高いスキルが必要になります。

年収3,000万円を稼ぐ税理士の働き方

年収3,000万以上を稼いでいる税理士の割合(区分別)

税理士区分年収3,000万以上年収3,000万未満合計
所属税理士1.1%98.9%100%
開業税理士7.7%92.3%100%
社員税理士9.8%90.2%100%
(日税連「第7回税理士実態調査報告書」を基に作成)

年収3,000万円以上を稼ぐ税理士は、社員税理士が最も多い結果となりました。

とはいえ、社員税理士であっても全体の10%弱とかなり少なく、この水準が1つのゴールとも言えるでしょう。

私の感覚でも、年収3,000万が一つの限界のように感じます。(これを打ち破るには、スタッフを大きく増やして組織化することが必須)

以上まとめると、年収3,000万を目指すのであれば開業税理士または社員税理士を目指す必要があるが、いずれも非常に難易度が高いということが分かりました。

年収5,000万円を稼ぐ税理士の働き方

年収5,000万以上を稼いでいる税理士の割合(区分別)

税理士区分年収5,000万以上年収5,000万未満合計
所属税理士0.5%99.5%100%
開業税理士2.5%97.5%100%
社員税理士3.1%96.9%100%
(日税連「第7回税理士実態調査報告書」を基に作成)

最後に、年収5,000万円以上稼いでいる税理士の区分別割合です。

僅差ですが、こちらも社員税理士が最も高い割合となりました。

以上まとめると、大きく稼ぎたいのであれば「社員税理士」を目指すのが最も近道であるものの、開業税理士も高い割合で高所得である、ということが分かりました。

あくまで年収面だけで見れば、いずれも社員税理士が最も高所得という結論です。

税理士の年収に関するよくある質問

税理士の年収に関するよくある質問をまとめました。


税理士試験の難易度のわりに年収が低いような気がしますが?

確かに、平均年収は1,000万を下回るため、それが「低い」と感じる方はいるでしょう。
しかし、税理士の真骨頂は「独立開業ができる」という点にあります。
組織に縛られず、身一つで自由に働くことができるキャリアには、年収以上の価値があると感じます。

税理士になると初任給はいくら貰えますか?

それまでの経験値にもよります。
たとえば、最低限の実務要件(年数)のみ満たしたうえで税理士登録した場合、会計事務所・税理士法人での初任給は400万~500万程度が相場であると考えられます。
税理士登録はスタートに過ぎず、経験値を高めることが年収アップに繋がります。

独立しても食えない税理士の割合はどのくらい?

独立開業した税理士のうち、約3割は食えないと言われます。
開業税理士の年収分布を見れば分かりますが、約3割が「年収300万円以下」だからです。
しかし、この中には例えば以下の属性の方も含まれます。

  • 専業主婦をしている税理士の方
  • 一般企業でパート勤務をしている税理士の方

「開業税理士」とは、本当に開業してお客さんを集客して営業している税理士だけを指すのではなく、単に税理士登録しているだけの方も含まれます。
そのため、実際に独立開業しても食えない税理士の割合は、もう少し少ないと言えます。

税理士になっても生活できないって本当?

さすがに生活できないことはないでしょう。

会計事務所であればいくらでも働き口があります。

一方で、独立開業をすると経営に失敗し、その後廃業するリスクがあります。


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