税理士の年収と現実を、あらゆる角度から詳細分析してみた。

税理士の年収と現実を、あらゆる角度から詳細分析してみた。

公認会計士・税理士の藤沼です。

ネットで税理士の年収について調べてみたところ、「ちょっと実態と乖離しているな」と思う部分がありました。

税理士でもない人が、間違った情報を流すのは良くない。

しかし 自分では何もせず批判ばかりするのは、もっと良くない。

そこで、私たち税理士の年収を様々な角度から分析することにしました。

以下、結果を掲載します。

この記事を書いた人

1986年生まれ(37歳)
税理士・公認会計士

2014年 EY新日本監査法人 入社
2018年 中堅会計事務所 入社
2019年 藤沼会計事務所 開業
2020年 アカウントエージェント㈱ 代表取締役


目次

税理士の年収の全体平均

税理士の年収の全体平均

ここでは最も信頼できる情報源として、日税連によるアンケート調査結果を参照します。

日税連のアンケート調査結果では、税理士の年収を「開業税理士」「補助税理士」「社員税理士」の3種に区分し、アンケート調査を実施しています。

ここでは、上記3区分でのアンケート結果を踏まえた年収、及び全体の平均年収を算出します。

税理士の年収(全体平均)

税理士の年収(全体平均)
回答者数平均年収
補助税理士4,163名597万円
開業税理士23,712名744万円
社員税理士3,459名886万円
 31,334名740万円
日税連「第6回税理士実態調査報告書」を基に作成)

※ 無回答者は母数から除外。また、平均値は加重平均を算出。

以上のデータより、全ての税理士をまとめたときの平均年収は 740万円 であることが分かりました。

ただし、上記データは税理士の年収を大まかにまとめたものに過ぎず、職種・年齢・組織規模などによって実態は大きく異なります。

そこで本記事では、上記データを更に細かく分析します。

(参考)厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」はあくまで参考値。

厚生労働省は、年に1度「賃金構造基本統計調査」を行っており、ここに私たち税理士の賃金も掲載されています。

以下はその転載です。

「公認会計士・税理士」の賃金

男性女性合計
平均年収691万578万658万
厚生労働省「令和3年 賃金構造基本統計調査」を基に作成)

平均年収が約658万という結果が出ています。

先に算出した平均年収とは、大きく乖離していることが分かります。

これは、厚労省のデータが(税理士の年収を求める上では)正確でないことを裏付けています。

賃金構造基本統計調査が正確でない理由
  • そもそも「公認会計士」が含まれている
  • 公認会計士と税理士では、平均年齢が大きく異なる
  • あくまで集計対象は「賃金」であり、たとえば開業税理士の「事業所得」等は含まれていない
  • サンプル数が少ない

以上のように、公認会計士と税理士とでは明らかに属性が異なり、また条件が限定されます。

また、「なぜ会計士と税理士をまとめているのか」という質問に対して、厚労省は「サンプル数が少ないため」と回答していますが、サンプル数が少ないことを理由に一括りにまとめることは合理的でないはずです。

よって本記事では、原則として厚労省による「賃金構造基本統計調査」を参照しません。(但し、分析の基礎として一部利用します)

一方で、次の情報ソースには高い信頼性があるものと考え、年収リサーチの情報源として積極的に利用します。

本記事で信頼する情報ソース
  1. 日本税理士会連合会によるアンケート調査データ
  2. 大手転職エージェントの公開する求人データ群

いずれも母集団数が膨大であり、かつ税理士のみにフォーカスされていることから、精度は高いものと判断できます。

また、併せて税理士である筆者の肌感覚になじむかどうかも確認し、実務家目線でのコメントも付します。

なお、私は公認会計士が転職した時の年収もリサーチしていますので、興味のある方はこちらもご参考ください。

【職種別】税理士の年収

【職種別】税理士の年収

職種ごとに税理士の年収をリサーチします。

ここでは、情報源として大手転職エージェントの求人データ(全1,583件)を参照します。

分析結果利用時の留意点
  • 求人票記載の年収を参照するため、その後の昇給は加味されない
  • 求人票記載の年収には、残業代が加味されていないケースがある

以上の前提から、ここでの分析結果は「やや低めに算出されている」ものと捉えてください。

なお、データ集計の対象とした大手転職エージェントの名称は公開しません。(本来このような目的で開示されている情報ではなく、利用者に誤解を与えるおそれがある為)

参照した求人数は全1,583件であり、母集団を代表するには十分なデータ数であると考えられます。

リサーチした職種
  1. 会計事務所・税理士法人
  2. コンサル・アドバイザリー
  3. 経理・財務(税務部含む)
  4. 経営企画部
  5. 金融系

では、上記の職種ごとに解説します。

会計事務所・税理士法人での税理士の年収

会計事務所・税理士法人での税理士の年収
Results
参照求人データ件数1,153件
求人票記載の年収帯の平均値413万円~726万円
(上記年収帯の平均値)570万円
勤務地を東京に限定した場合の年収帯446万円~792万円
(上記年収帯の平均値)619万円
勤務地を東京以外に限定した場合の年収帯389万円~676万円
(上記年収帯の平均値)533万円
(大手転職エージェント求人データを基に作成)

※ データには「昇給」「残業代」が加味されていないため、やや低めに算出されています。

税理士の就職先・転職先として、最も多かったのが「会計事務所・税理士法人」でした。(求人全体の約73%)

そして会計事務所・税理士法人が採用する税理士の平均年収は、570万円でした。

しかし、東京地区では平均619万円、東京地区以外では平均533万円と、年間約90万円ほどの開きがあります。

また、会計事務所・税理士法人の年収は、全職種のなかで最も年収帯が低い結果となりました。

私の肌感覚としては、低すぎる気がしています。

勝手な主観ですが、昇給・残業などを考慮すると、平均値は+50万~100万ほど上がる気がします。

なお、「BIG4税理士法人」の年収は別途後述しています。

コンサル・アドバイザリーでの税理士の年収

コンサル・アドバイザリーでの税理士の年収
Results
参照求人データ件数203件
求人票記載の年収帯の平均値504万円~940万円
(上記年収帯の平均値)722万円
勤務地を東京に限定した場合の年収帯573万円~1,018万円
(上記年収帯の平均値)795万円
勤務地を東京以外に限定した場合の年収帯437万円~865万円
(上記年収帯の平均値)651万円
(大手転職エージェント求人データを基に作成)

※ データには「昇給」「残業代」が加味されていないため、やや低めに算出されています。

税理士の就職先・転職先として、2番目に多かったのが「コンサル・アドバイザリー」でした。(求人全体の約13%)

なお、上記のコンサル・アドバイザリーの中には、「会計事務所内でのコンサルタント職」も含まれています。

コンサル・アドバイザリーが採用する税理士の平均年収は、722万円でした。

また、こちらも東京・東京以外で大きな開きがあり、東京地区では平均795万円、東京以外の地区では平均651万円という結果になりました。(約150万円の開き)

コンサル・アドバイザリーでの年収は、会計事務所・税理士法人の年収の3割増し程度の水準であり、かなり高めであることが分かります。

当然と言えば当然ですが、コンサル・アドバイザリーにおいて顧客から求められるのは「節税」であり、サービスが顧客の「利益」に直結します。

記帳代行や確定申告のような、ある種の代行作業とはサービスの毛色が異なるため、従業員の給与水準も大きくなるものと考えられます。

実際、私自身もコンサル系の会計事務所で働いていましたが、1,000万越えの税理士がゴロゴロと居ました。(2,000万越えも割と多かった)

また、コンサル・アドバイザリーは、基本的に残業量が多いです。

そのため、昇給・残業などを考慮すると、平均値は+100万~150万ほど上がる気がします。

経理部・財務部での税理士の年収

経理部・財務部での税理士の年収
Results
参照求人データ件数198件
求人票記載の年収帯の平均値517万円~811万円
(上記年収帯の平均値)663万円
勤務地を東京に限定した場合の年収帯574万円~902万円
(上記年収帯の平均値)737万円
勤務地を東京以外に限定した場合の年収帯459万円~718万円
(上記年収帯の平均値)587万円
(大手転職エージェント求人データを基に作成)

※ データには「昇給」「残業代」が加味されていないため、やや低めに算出されています。

税理士の就職先・転職先として、3番目に多かったのが「経理・財務」でした。(求人全体の約12%)

とはいえ、求人数はコンサル・アドバイザリーとほぼ同数です。

経理・財務が採用する税理士の平均年収は、663万円でした。

こちらも東京・東京以外で大きな開きがあり、東京地区では平均737万円、東京以外の地区では平均587万円という結果になりました。(約150万円の開き)

また、財務・経理の年収帯は、「会計事務所・税理士法人」と「コンサル・アドバイザリー」の中間よりもやや高め辺りに位置することが分かります。

求人数はそこまで多くありませんが、事業会社からのニーズは高いと捉えることができるでしょう。

事業会社では残業時間が少ない傾向にあるため、算出された年収に大きな違和感はありませんが、その後の昇給を考慮すると平均値は+50~100万ほど上がると考えられます。

経営企画部での税理士の年収

経営企画部での税理士の年収
Results
参照求人データ件数18件
求人票記載の年収帯の平均値584万円~1,014万円
(上記年収帯の平均値)799万円
勤務地を東京に限定した場合の年収帯605万円~1,118万円
(上記年収帯の平均値)861万円
勤務地を東京以外に限定した場合の年収帯551万円~850万円
(上記年収帯の平均値)700万円
(大手転職エージェント求人データを基に作成)

※ データには「昇給」「残業代」が加味されていないため、やや低めに算出されています。

ここからは 母集団数がかなり少なくなるため、参考情報になります。

経営企画部が採用する税理士の平均年収は、799万円でした。

東京地区では約861万円、東京以外では700万円と大きな開きがありますが、こちらもあくまで参考情報です。

ちなみに、「経営企画」は管理部門の中で最も年収水準が高く、この傾向は公認会計士も同様でした。

金融系での税理士の年収

金融系での税理士の年収
Results
参照求人データ件数11件
求人票記載の年収帯の平均値590万円~1,036万円
(上記年収帯の平均値)813万円
勤務地を東京に限定した場合の年収帯590万円~1,036万円
(上記年収帯の平均値)813万円
勤務地を東京以外に限定した場合の年収帯
(上記年収帯の平均値)
(大手転職エージェント求人データを基に作成)

※ データには「昇給」「残業代」が加味されていないため、やや低めに算出されています。

最後に、金融系の税理士向け求人データです。

こちらも母集団数がかなり少ないため、参考に留めてください。

金融系職種が採用する税理士の平均年収は、813万円でした。

また、抽出した求人データには、東京以外の地区での募集はありませんでした。

金融系の求人も、年収水準はかなり高めです。

以上、税理士の職種別年収データの分析結果でした。

BIG4税理士法人の年収

BIG4税理士法人の年収

BIG4税理士法人とは、次の大手税理士法人4社を指します。

それぞれ、世界4大会計ファーム「EY」「KPMG」「デロイト」「PwC」に属することから、BIG4税理士法人と呼ばれます。

結論から言えば、BIG4税理士法人の年収水準は高いです。

また、BIG4によって基本給・賞与の多寡はありますが、年俸ベースではほぼ同水準です。(基本給が低かったとしても、賞与を高めることで平仄を合わせる等々)

私はBIG4で5年弱働いていましたので、私の経験も踏まえ、BIG4税理士法人での年収を職階別に紹介します。

BIG4税理士法人での年収水準

職階年収
スタッフ400万~600万
シニアスタッフ600万~1,000万
マネージャー900万~1,200万
シニアマネージャー1,200万~1,500万
パートナー1,200万~2,000万
シニアパートナー2,000万~

BIG4税理士法人へ転職した場合の職階は、それまでの実務経験年数・スキルによって変わります。

また、実務経験年数が3年未満の場合には、(余程ハイレベルなスキルを有していたとしても)原則スタッフでの採用になります。

スタッフの給与は、基本給30万/月+賞与+残業代というのが一般的です。

シニアスタッフになると基本給も増えますが、残業も増える傾向にあり、最大で年収1,000万円に到達するケースがあります。(但し、かなりのハードワークが前提)

マネージャーに昇格すると管理職扱いでの雇用になることから、残業代が付かず、また評価の低いマネージャー1年目はシニアスタッフ時代よりも手取り給与が下がるケースが多いです。

なお、上記の給与テーブルは毎年微妙に更新されますが、大きく変わることは少ないでしょう。

そのため、将来の得られる収入が明確であり、人生設計が行いやすいというメリットでもあります。

BIG4税理士法人は人気があり転職難易度も高いですが、キャリアに箔が付くなど、目に見えない付加価値も得られるでしょう。

BIG4税理士法人での昇格ステップについて

BIG4税理士法人では、原則として、昇格に必要な年数が設けられています。

BIG4税理士法人での昇格に必要な年数:4年

例えば、シニアスタッフからマネージャーに昇格するためには、最低でも4年間勤務する必要があります。

但し、高いパフォーマンスを出した従業員に限っては、飛び級するケースもあります。(スタッフ3年目でシニアに昇格する、等)

また、BIG4税理士法人の特徴として「マネージャーへの昇格ハードルが高い」という点にも留意が必要です。

スタッフからシニアスタッフへの昇格では、クライアントワークを真面目にこなすことで普通に昇格できるでしょう。

しかし、マネージャーへの昇格においては、非常に高い評価を得る必要があります。(法人によってはTOEICの点数を求められたり、営業能力を評価されたりします)

また、パートナーへの昇格は更に狭き門です。(感覚的には、100人に1人程度の割合)

パートナーに昇格するまでは非常にハードワークであることから、昇格する前に(BIG4のネームバリューを利用し)転職される方が多いです。

独立・開業税理士の年収

独立・開業税理士の年収

ここでは、独立開業した税理士の年収をリサーチします。

最も信頼できる情報ソースとしては、日税連のアンケートデータを利用します。

アンケート回答者数(無回答者を除いた数)は 23,712名 であり、母集団数としては十分でしょう。

開業税理士の年収分布と平均年収

開業税理士の年収分布と平均年収
日税連「第6回税理士実態調査報告書」を基に作成)
年収(総所得金額)全回答者に対する分布
300万以下33.1%
300万~500万17.6%
500万~700万12.7%
700万~1,000万14.2%
1,000万~1,500万11.6%
1,500万~2,000万5.3%
2,000万~3,000万3.6%
3,000万~5,000万1.6%
5,000万~1億0.4%
1億超0.1%
 平均年収744万円
日税連「第6回税理士実態調査報告書」を基に作成)

※ 日税連データは「無回答者」も母集団に含めた割合を算出していますが、その有用性は低いと考え、ここでは無回答者(全体の約5%)を母数から除外し割合を算出しています。

全体の約3分の1の方が、総所得金額300万以下という結果でした。

つまり、独立開業した税理士の年収の中央値は、300万円以下ということです。

また、上記データには留意すべき事項があります。

日税連データ利用時の留意点
  • 「開業税理士」には、企業内税理士が含まれる

すなわち、上記データ内には「事業会社の経理部」などで働く税理士が含まれるため、これを除外する必要があります。

日税連のアンケート調査によれば、開業税理士の得た収入金額のうち、全体の約10%が「給与収入」であることが示されています。

そのため、純粋な「会計事務所の運営による収入」を確認するためには、この給与収入を除外する必要があるでしょう。

※ なお、給与収入以外に「その他の収入」としても若干の収入があるようですが、保険営業などの会計事務所における付随サービスであることも想定されるため、その他の収入については除外しません。

以上を踏まえると、独立開業税理士の会計事務所運営による収入は、次のように結論付けることができます。

開業税理士の純粋な所得

= 平均年収744万円×90%(100%-10%)

約700万円

以上の分析により、より厳密な開業税理士の年収は 約700万円 であると算出されます。

もちろん、分布からも分かるように、「一部の超高所得者層がこの年収を引き上げている」と捉えることもできます。

しかし、実際に会計事務所を開業し経営している私の肌感覚としても、この水準であれば普通に達成することが可能であると感じます。

というのも、色々な税理士の方とお会いして話してみると、この業界はあまりマーケティングに強い方がおらず、少し頑張ればすぐにクライアントを獲得できると感じるからです。

独立のハードルが低い分、営業戦略など何も考えずに独立される方が多いため、それらの層が年収を引き下げている気がしてなりません。

(参考)開業税理士1人あたりの売上金額

開業税理士1人あたりの「売上金額」についても、アンケート調査データがあります。

開業税理士の1人あたり売上高と分布

開業税理士の1人あたり売上高と分布
日税連「第6回税理士実態調査報告書」を基に作成)
1人あたり売上全回答者に対する分布
500万以下31.5%
500万~1,000万15.9%
1,000万~2,000万18.1%
2,000万~3,000万11.4%
3,000万~4,000万7.0%
4,000万~5,000万5.8%
5,000万~7,000万4.6%
7,000万~1億3.5%
1億~2億1.9%
2億~3億0.2%
3億~5億0.1%
5億超0.0%
 平均売上2,205万円
日税連「第6回税理士実態調査報告書」を基に作成)

※ 日税連データは「無回答者」も母集団に含めた割合を出していますが、有用性が低いと考え、ここでは無回答者(全体の約5%)を母数から除外し割合を算出しています。

開業税理士の1人あたり売上高は、平均2,205万円という結果でした。

意外と高いなと感じました。

売上1億を超える層が全体の2%以上も存在するため、それらの優秀層が全体平均を大きく引き上げていると考えられます。

一方で、中央値は500万円以下という結果になりました。

開業税理士のうち、全体の3分の1は組織内税理士よりも稼げていない、という結論になります。

【年代別】税理士の年収

【年代別】税理士の年収

年代別の年収については、厚労省の「賃金構造基本統計調査」を参照します。

厚労省のデータは精度がやや低いですが、この他に年代別の年収を調査した公式データが無いため、当該データを参照します。

企業規模10名以上の組織内税理士・会計士の年代別年収

企業規模10名以上の組織内税理士・会計士の年代別年収
厚生労働省「令和3年 賃金構造基本統計調査」を基に作成)
月収
(千円)
賞与その他
(千円)
回答者数
(人)
平均年収
(千円)
~19歳
~24歳218.8353.2702,979
~29歳349.9876.51,3005,075
~34歳431.31,334.21,0406,510
~39歳464.31,298.91,4706,871
~44歳443.41,136.31,2306,457
~49歳537.91,559.51,5708,014
~54歳469.41,663.21,3207,296
~59歳636.81,489.14309,131
~64歳419.91,008.18206,047
~69歳358.937.15704,344
70歳~267.053.91503,258
合計9,970
平均4491,203
平均年収6,586
厚生労働省「令和3年 賃金構造基本統計調査」を基に作成)

あくまで参考情報ですが、公認会計士・税理士の年齢別年収分布は上記のとおりです。

大体40代後半で年収がピークを迎え、それ以降は徐々に年収が減少していることが分かります。(ただし、50代後半は役員待遇者などが増えることで一時的に大きく増加)

なお上記データを参照するにあたり、いくつか留意点があります。(一部再掲)

厚労省データ利用時の留意点
  • 会計士・税理士をまとめたデータである
  • 母集団に含まれる会計士・税理士の割合が不明
  • 独立開業者の事業所得は集計されず、あくまで賃金が集計されている
  • 組織規模10名以上に限定されている

このため、あくまで上記データは「何歳頃に年収がピークになるのか」「年代ごとに年収の開きはどの程度あるのか」といった視点で参照すると良いでしょう。

また、この年収にはさらに内訳があり、企業規模(従業員数)によって年収帯が異なります。

企業規模別の組織内税理士・会計士の年収

月収
(千円)
賞与その他
(千円)
回答者数
(人)
平均年収
(千円)
1,000人以上519.51,623.9 1,2307,858
100人~999人549.11,762.2 1,8008,351
10人~99人409.8982.0 6,9305,900
4491,203 9,9706,586
厚生労働省「令和3年 賃金構造基本統計調査」を基に作成)

傾向としては、従業員数100人~999人の企業での年収が、最も高いという結果になりました。

理由は定かではありませんが、規模が大きくなりすぎると(1,000人以上になると)有資格者の割合が相対的に低くなり、組織全体としての利益率が低下することが1つの要因であると考えられます。

20代税理士の年収について

厚生労働省「賃金構造基本統計調査」によれば、20代税理士(特に、20代前半の税理士)の年収がかなり低めに算出されています。

しかし、いくらなんでも 年収300万弱 というのは低すぎます。(無資格者と同水準というのは、さすがに低すぎる。)

20代税理士の年収が低い理由は明らかにされていませんが、たとえば回答者数が少なすぎることによる年収のバラツキや、その他特殊な事情によることが想定されます。

そもそも、税理士業界の年収は「スキル・経験」により評価される部分が大きく、必ずしも「年齢」に比例するものではありません。

このような背景を鑑みると、20代前半の税理士であっても、少なくとも年収400万程度はもらえるものと考えられます。

また、もし私が採用するとしても、間違いなくそのくらいは支払うでしょう。(残業代込み)

とはいえ、税理士の平均年収を底上げしている「開業税理士」「社員税理士」のほとんどが30代以降ですから、結果として20代税理士の年収は(税理士全体の平均年収に比べると)低くなります。

税理士の年収から、どの働き方が最適かリサーチ

税理士の年収から、どの働き方が最適かリサーチ

ここでは「年収〇〇万円稼ぐためには、どのような働き方が最適か」という観点で、調査結果をまとめました。

なお働き方の分類は、次の3区分をベースにしています。

税理士区分

  • 開業税理士
  • 補助税理士
  • 社員税理士

結論としては、社員税理士(会計事務所・税理士法人のパートナー)を目指すのが最適なのですが、年収帯ごとに割合を算出しましたので、ゴールを見据える上での参考にしてください。

また、【職種別】税理士の年収の部分でも触れましたが、通常の税務顧問だけでなく、コンサル・アドバイザリーサービスに関与したほうが年収は上がりやすいです。

私の職員時代・独立後の経験を踏まえると、特定分野のコンサル・アドバイザリーにも関与できる会計事務所・税理士法人でパートナーを目指す というのが、最も効率良く年収を上げるキャリアになると考えられます。

では、各年収帯での働き方の分布を見てみます。

年収1,000万円を稼ぐ税理士の働き方

年収1,000万以上を稼いでいる税理士の割合(区分別)

税理士区分割合
開業税理士22.53%
補助税理士7.59%
社員税理士38.81%
日税連「第6回税理士実態調査報告書」を基に作成)

※ 各税理士区分内における割合です。(なお無回答者は母数から除外)

年収1,000万円以上を稼ぐ税理士は、会計事務所・税理士法人の社員税理士が最も多く、社員税理士全体の約4割を占めていることが分かりました。

続いて、開業税理士が2割強、補助税理士が1割弱という分布です。

年収1,000万円を目指すのであれば、会計事務所・税理士法人での社員税理士としてのキャリアを積むのが良いという結論になります。

また、私の周りの税理士を見ていても、5~10年のキャリアで年収1,000万を達成される方が多い印象があります。

年収2,000万円を稼ぐ税理士の働き方

年収2,000万以上を稼いでいる税理士の割合(区分別)

税理士区分割合
開業税理士5.68%
補助税理士0.65%
社員税理士8.42%
日税連「第6回税理士実態調査報告書」を基に作成)

※ 各税理士区分内における割合です。(無回答者は母数から除外)

年収2,000万円以上を稼ぐ税理士は、会計事務所・税理士法人の社員税理士が最も多く、社員税理士全体の1割弱を占めていることが分かりました。

開業税理士は約5%、補助税理士は1%にも満たないという結果でした。(むしろ、年収2,000万を超えている補助税理士が存在することが驚き)

以上、年収2,000万円以上稼ぎたい方にとっても、会計事務所・税理士法人の社員税理士を目指すのが一番良いという結果でした。

また、開業して年収2,000万以上を稼ぐためには、かなり特化した専門性や、希少性の高いスキルが必要になると感じます。

通常の国内税務顧問だけで年収2,000万を稼ぐことは、容易ではありません。

年収5,000万円を稼ぐ税理士の働き方

年収5,000万以上を稼いでいる税理士の割合(区分別)

税理士区分割合
開業税理士0.53%
補助税理士0.02%
社員税理士0.72%
日税連「第6回税理士実態調査報告書」を基に作成)

※ 各税理士区分内における割合です。(無回答者は母数から除外)

最後に、年収5,000万円以上稼いでいる税理士の区分別割合です。

かなり僅差ですが、こちらも社員税理士が最も高い割合となりました。

以上まとめると、大きく稼ぎたいのであれば「社員税理士」を目指すのが最も近道であるものの、開業税理士も高い割合で高所得である、ということが分かりました。

あくまで年収面だけで見れば、いずれも社員税理士が最も高所得という結論です。

(参考) 社員税理士の給与収入額の分布

上記では、年収1,000万以上という高所得者層のみの分布を示しました。

結果として「社員税理士が最も良い」という結論になりましたが、リスクを知る上では、全年収帯での分布も見る必要があるでしょう。

そこで参考情報として、社員税理士の給与収入の分布も掲載しておきます。

社員税理士の年収分布と平均年収

社員税理士の年収分布と平均年収
日税連「第6回税理士実態調査報告書」を基に作成)
給与収入額全回答者に対する分布
300万以下9.7%
300万~500万12.3%
500万~700万15.1%
700万~1,000万24.0%
1,000万~1,500万21.2%
1,500万~2,000万9.1%
2,000万~3,000万5.8%
3,000万~5,000万2.0%
5,000万超0.7%
 平均年収886万円
日税連「第6回税理士実態調査報告書」を基に作成)

社員税理士の年収帯として、最も多いのは 年収700万~1,000万 の層であることが分かりました。

開業税理士の分布と比べると、いかに年収水準が安定しているかが分かるでしょう。

以上をまとめると、社員税理士は平均年収・中央値・年収1,000万以上を稼ぐ層、いずれも最多であることが分かりました。

あくまで年収だけ見るのであれば、社員税理士を目指すのが良さそうです。

税理士の年収に関してよくある質問

税理士の年収に関してよくある質問

最後に、税理士の年収に関するよくある質問をまとめました。

高卒でも、年収は変わりませんか?

まず変わりません。
税理士業界では、採用の際に学歴が左右することは少なく、専門性・経験値で評価されます。
ただし、事業会社(経理部など)への転職を考える際には、大卒が要件になるケースがあるようです。

税理士試験の難易度のわりに、年収が低いような気がしますが?

確かに、平均年収は1,000万を下回るため、それが「低い」と感じる方はいるでしょう。
しかし、税理士の真骨頂は「独立開業ができる」という点にあります。
組織に縛られず、身一つで自由に働くことができるキャリアには、年収以上の価値があると感じます。

税理士になると、初任給はいくら貰えますか?

それまでの経験値にもよります。
たとえば、最低限の実務要件(年数)のみ満たしたうえで税理士登録した場合、会計事務所・税理士法人での初任給は400万~500万程度が相場であると考えられます。
税理士登録はスタートに過ぎず、経験値を高めることが年収アップに繋がります。

男性・女性では年収は変わりますか?

まず変わりません。
ただし、厚労省の「賃金構造基本統計調査」によれば、男女で年収に差が出ています。
これは女性の時短勤務者の割合が高いことが要因であると考えられます。
税理士業界は「スキル」「経験値」が評価されますから、性別による年収差はまずありません。

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