【女性会計士が振り返る】転職を考える際の5つの重要ポイント

【女性会計士が振り返る】転職を考える際の5つの重要ポイント

公認会計士・税理士の藤沼です。

監査法人時代から、女性の多いチームで働くことがよくありました。

日々一緒に働いていると、女性ならではの「視点」や「悩み」など、色々と気付かされる事が多くありました。

そこで今回は、「女性会計士の転職」にスポットを当て、転職に必要な観点をリサーチしました。

将来の育児等を見越して転職する際のポイント

この記事で分かること


  • 出産後も継続して働けるかどうか」を確認しておかなければ、産後の収入が途絶えてしまうリスクがある。
  • パート・非常勤への転向も視野に入れ、事前に確認しておく。
  • 「育児休暇制度が存在するか」だけではなく、「実際に育休を利用している女性がいるか」を確認すべき。(制度は整備状況だけでなく運用状況も確認すべき)
  • 将来の育児を見据えた場合、「中小監査法人」「事業会社の経理」「会計事務所」の3職種がおすすめ。
この記事を書いた人

1986年生まれ(38歳)
公認会計士税理士

2014年 EY新日本監査法人 入社
2018年 中堅コンサル事務所 入社
2019年 藤沼会計事務所 開業
2020年 アカウントエージェント株式会社 代表

情報インタビュイー
相原真理子さん
(旧姓)

39歳(女性)
公認会計士

大手監査法人: 4年半 アシュアランスに従事
証券取引所 : 1年 上場審査業務に従事
会計事務所 : 3年 税務業務に従事
税理士法人 : 9年 税務業務に従事


目次

【事例】女性会計士が転職し、その後~現在までの働き方

【事例】女性会計士が転職し、その後~現在までの働き方

インタビュイーの相原さんのご経歴は、次のとおりです。

  • 大手監査法人勤務(4年半)
  • 証券会社に転職(1年)・・・ここで結婚。お子様をもうけ退職。
  • 育児期間(1年半)
  • 会計事務所にて復帰(2年)
  • 所属事務所が税理士法人化(9年)

結婚&出産

1度目の転職時はまだ結婚されておらず、キャリアを積むことを優先し証券会社へ転職されました。

証券会社ではIPO審査業務というハードワークがメインとなり、多くの残業・出張をこなしていたそうです。

しかし、結婚により「引っ越しによる通勤時間の長時間化」「慣れない家事」に追われ、徐々に体力を奪われ始めます。

証券会社勤務時代にお子様をもうけますが、「とても出産後に復帰できない」と感じ、出産を機に退職されました。

社会復帰

しかし お子様が1歳になった頃、「また働きたい」という思いが強くなり、社会復帰を決意されます。

この時には、「(仕事内容も大事だが)仕事と家事・育児を両立して働けること」が大きな条件に変わっていたそうです。

総合的に考え、以前より興味のあった「税務」に携われること、また「通勤時間が短い近所にある」ことから会計事務所に転職をされました。

当初は残業なしでの契約として正社員で働いていましたが、それでも「小さな子供がいる中」「未経験の業界」「実績のない組織」で働くことは、想像以上に大変だったそうです。

周囲への気遣いなども必要となり、ご自身の体調面に不安が出てきたため、その後一時的に時短勤務に転向することになります。

お子様が成長するにつれて段々と仕事に力を注ぐ余裕が出てきたため、数年ほどでフルタイムに戻ったそうです。

なお、その間お子様を保育園・こども園・小学校の学童へ預け、働きながら両立されたそうです。

女性会計士が転職してみて感じた「2つの失敗」

女性会計士が転職してみて感じた「2つの失敗」

私たち会計士のキャリアは、ただでさえ選択肢が多く、転職に失敗しやすいという特徴があります。

相原さんもいくつか「失敗した」と感じる経験があったそうで、特に女性特有の失敗談が2つありました。

① 「出産後も働けるかどうか」を考えるべきだった

最初の転職時はまだご結婚前だったこともあり、あまり「出産後の仕事」「過程・育児の両立」といったイメージが描けていなかったそうです。

そのため  キャリア・収入を求め、証券会社に転職されました。

しかし、これが大きな失敗だったそうです。

そもそも、収入というのは稼ぎ続けなければ意味がないからです。

一時的に収入が大きくなったとしても、産休後にまた元通り復帰できなければ、収入は激減してしまいます。

相原さんはこの点で「大きく失敗した」と感じ、「多少年収は下がっても、ずっと働き続けることができる職場」を選ぶべきだったと感じたそうです。

証券会社でバリバリ働いていた方でさえも、そう感じるようです。

現時点で 将来の働き方がイメージできなくとも、「ライフスタイルが変わっても働き続けられる職場か?」という視点は持つべきだと感じます。

② 「実際に育休から復帰した女性が活躍している職場か」をリサーチすべきだった

育休制度を整備している会社は多いですが、「実際に育休から復帰できるかどうか」はまた別の話です。

実際、相原さんの所属していた証券会社にも育休制度は完備されていましたが、育休から復帰された女性職位は皆無だったそうです。

現実問題として  残業・出張が多い仕事を、子育てしながら続ける事は非常に難しいようです。

この点で、転職先に「実際に育休から復帰した女性」が現在も働いているかどうか、という視点が必要になります。

将来の出産・子育てを見越し、転職時に考えるべきポイント

将来の出産・子育てを見越し、転職時に考えるべきポイント

ここでは、「出産・子育て」といったイベントを見越した場合の、転職時のポイントを解説します。

ポイントは大きく5つです。

転職時のポイント
  1. 実際に育児中の女性が活躍しているか
  2. 出張・残業の調整が可能か
  3. 時短・リモートワークが可能か
  4. パート・非常勤への転向が可能か
  5. 勤務地が近いか

それぞれ解説します。

① 実際に育児中の女性が活躍しているか

育児中の女性がぶつかる壁は、大体共通しています。

そのため、実際に(複数の)育児中の女性が活躍している職場であれば、ご自身もその壁をクリアできる可能性が高いです。

また「同じ立場の女性」がいることは、「育児に対しての理解」が得られやすいため、女性にとって働きやすい環境です。

転職求人を探す際は、「女性比率」についてエージェント等に確認することをオススメします。

② 出張・残業の調整が可能か

ご存じのとおり、育児中は多く残業をしづらく、出張で家を空けることも難しくなります。

そのため、転職前には「出張・残業の調整可否」について確認しておくべきです。

この点は企業に直接聞くことが難しいケース(評価を下げられる可能性等)もあるので、転職エージェントから間接的にヒアリングすることをオススメします。

この辺りは求人票に記載されることがほぼ無いため、求人をある程度絞った段階でヒアリングすることになります。

③ 時短・リモートワークが可能か

育児中の時短勤務も大切です。

転職先の情報を入手する際は、「時短勤務がとれるか否か」だけではなく「子供が何歳まで時短勤務をとれるのか」等、より踏み込んで確認をされることをオススメします。

お子様が小学校に上がったとしても、まだまだ家に一人残すのは心配という方も多いです。

「小学校に上がっても時短勤務が可能」という職場であれば、かなり女性会計士にとって働きやすい職場のはずです。

また、子供の発熱等で急に休んだ場合、リモートワークで少しでも仕事が進められれば助かります。

この点で、「急なリモートワークが可能か」といった視点も1つのポイントになります。

幸い、私たち会計士の仕事はデスクワークですから、PCさえあれば作業可能な仕事は多いです。

コロナ禍でリモートワークが推奨される企業もだいぶ増えましたから、この点は企業に直接聞いてしまっても問題は無いでしょう。

(参考)

都内企業(従業員30名以上)でのテレワーク導入率は、

  • 2020年3月 :24%
  • 2021年12月 :56%

となっており、過半数の企業でテレワークが実施されています。(引用:東京都テレワーク導入率調査結果

④ パート・非常勤などに転向可能か

将来「更に就業時間を減らしたい」と思ったとき、退職するのではなくパート・非常勤に転向できるかどうかもポイントです。

先述のとおり、仕事は「続けられること」がとても大切。

不安の多い方は、契約の転向が可能かどうかも確認してください。

⑤ 勤務地が近いか

今回の情報インタビュイーである相原さんが、最も重要だと感じたのは「勤務地が近いかどうか」でした。

(リモートでなければ)「出勤時間」は毎日生じるもので、毎日必ず生じる負担です。

お子様の預け先の場所にもよりますが、子供を連れての出勤は荷物がとても多く、本当に大変です。

勤務時間が長いと通うだけで辛くなりますから、どんなに魅力的な職場であっても、「勤務地」が原因で働き続けられなくなるリスクがあることを知っておきましょう。

これから社会復帰する際に考えるべきポイント

これから社会復帰する際に考えるべきポイント

次に、すでに産休を終え、これから社会復帰される方向けのポイントです。

基本的に先述の5項目が当てはまりますが、これから社会復帰される予定の方は、細かく次の3点も考慮すると良いでしょう。

社会復帰する際に考えるポイント
  1. 急な休みの場合のサポート体制を整える
  2. 休暇時に仕事の融通が利くか確認する
  3. 非常勤・パートも視野に入れる

それぞれ解説します。

急な休みの場合のサポート体制を整える

転職活動を始める前に、親へのサポート依頼、ファミリーサポートの申し込み、病児保育の申し込みなど、できることは全てやっておきましょう。

転職が決まるとバタバタしますし、そもそも「面接」でこの点を終えているか確認されるケースが多い為です。

休暇時に仕事の融通が利くか確認する

小さな組織での社会復帰を考えている場合には、要注意です。

(お子さんの熱やその他行事などで)休みを取る際、仕事で融通が利かないケースがあります。

ある程度転職先を絞った段階で、この点は会社に確認するようにしましょう。

非常勤職員やパートも視野に入れる

ご出産後の転職活動は  実績がゼロからのスタートとなる他、勤務時間などに制約があるため、こちらの要望を通すのが難しい状況もあります。

正社員に限定せず、非常勤・パートも視野に入れてみましょう。

まずは非常勤・パートから実績を積むことで、無理なく社会復帰をスタートできます。

子育てを見越した女性会計士にオススメの転職先

子育てを見越した女性会計士にオススメの転職先

私たち会計士の転職先は、13種あります。

このうち、子育てを見越した女性会計士にオススメな転職先は、大きく3種ありました。

女性会計士にオススメの転職先
  1. 中小監査法人
  2. 事業会社の経理
  3. 会計事務所

それぞれ解説します。

① 中小監査法人

中小監査法人はかなりオススメです。

私も現在(非常勤として)中小監査法人で働いていますが、大手監査法人とは雰囲気が大きく異なり、良い意味でカルチャーショックを受けました。

中小監査法人のメリット

  • 年収が高い
  • 大手監査法人での経験が高く評価される
  • 同じような経歴の会計士が多く、組織に馴染みやすい
  • 女性の割合が高い
  • 残業時間の少ない法人が多い
  • 非常勤・パートへの転向が容易

BIG4での監査経験がある方には、とても働きやすい環境だと思います。

求められる手続が大手監査法人ほどキツくないため、プレッシャーも少なく、体調への負担も軽いと感じるからです。

年収が高く、残業時間も少ないため、中小監査法人での女性比率はかなり高めです。

また、非常勤への転向も整備されているケースが多く、時給単価の相場は7,000円以上。

かなり美味しいです。

個人的には、初めは非常勤からスタートしてみて、雰囲気が良ければ正社員に転向する、という流れも良いと思います。も良いのでは?と思います。

近年は在宅リモートでも勤務できる法人が増えていますから、女性向きの組織であると言えるでしょう。

中小監査法人のデメリット

  • 勤務地が変わってしまうリスクがある
  • 基本的に、監査以外は経験できない

中小監査法人は元々クライアント数が少ないため、チームがコロコロ変わることは比較的少ないです。

しかし、監査法人のサービスの特性上、チーム(勤務地)が変わるケースもあるでしょう。

この点は、転職前に採用担当としっかりと調整を行い、事前にある程度ケアしてもらう姿勢が大切です。

また、中小監査法人では監査業務がメインとなるため、「スキルアップ」の機会は少ないです。

一部の法人ではアドバイザリー業務にも従事できるケースがありますので、スキルアップにも重点を置く方は、この点も注視して求人を探すと良いでしょう。

② 事業会社の経理

事業会社の経理は、監査経験を活かしつつ新たなスキルを身に付けられる職種です。

ワークライフバランスを充実させたい会計士の転職先として、経理は人気です。

経理のメリット

  • 全体的に残業時間が少ない傾向にある
  • 監査以外のスキルが身に付く
  • 1つの勤務地で働ける
  • 上場企業であれば、育休・産休制度が整っているケースが多い

もちろん企業によって異なりますが、経理は(他の業種に比べると)残業時間が少ないという特徴があります。

四半期・決算でやや忙しくなるものの、事前に繁忙期が分かるため、事前に調整(家族等に育児への協力をお願いするなど)ができます。

上場企業であれば福利厚生も整いやすいですから、あくまで制度としては、育休・産休制度が整っているケースが多いです。

ただし、(先述したように)実際に社内の女性が制度を利用し、復帰した後も働いているかどうかを確認する必要はあります。

経理のデメリット

  • 年収はやや下がる傾向にある
  • 雰囲気が組織によって大きく異なる

年収が下がりやすいというデメリットがあります。

コンサルや投資銀行などとは異なり、経理部は収益を生み出すセクターでは無いため、(女性に限らず)年収は下がる傾向にあります。

また、経理部は監査法人とは異なり、組織によって雰囲気・空気感が大きく異なります。

「入ってみたら、自分に合わなかった…」といった失敗をしないためにも、転職活動は慎重に行い、少し時間をかけた方が良いと思います。

③ 会計事務所

インタビュイーの相原さんが転職したのが、会計事務所でした。

会計事務所のメリット

  • 自宅から近い場所を選びやすい
  • 出張がほとんどない
  • 新たなスキルを身に付けられる

会計事務所がオススメの理由は、何よりも「自宅からの距離で選べる」という点です。

会計事務所は、監査法人などに比べて数がはるかに多く、(条件を選ばなければ)自宅から徒歩圏内で働くこともできるでしょう。

また  出張もほとんど無く、クライアント先への訪問も多くありません。

仕事内容は「税務」がメインになりますので、税理士として独立するための素地も身に付きます。

会計事務所のデメリット

  • 年収はほぼ確実に下がる
  • 組織が比較的小さいため、急な休みを取りづらい可能性がある

ほぼ確実に、会計事務所では年収が下がります。(特に、所長が税理士の場合)

税務未経験者はルーティンワークとして記帳(またはそのレビュー)を任され、報酬単価の高いプロジェクト(相続税など)を担当することはまずありません。

また、基本的に組織規模が小さいため、休暇をとる際は他のメンバーとの調整が必要となり、急な休みを少し取りづらいかもしれません。

公認会計士にオススメの転職エージェント【比較表】

スクロールできます
マイナビ
会計士
ヒュープロ
(Hupro)
MS-Japanレックスアド
バイザーズ
人材ドラフト
マイナビ会計士ヒュープロロゴMS-Japanロゴレックスアドバイザーズ人材ドラフト
総合評価
( 10/10 )

( 9/10 )

( 8/10 )

( 7/10 )

( 7/10 )
求人数約5,000件約2,000件約1,500件約1,500件約500件
対象年代20代~30代20代~50代20代~30代20代~30代20代~50代
対応エリア関東
近畿
愛知県
静岡県
全国全国全国全国
設立1973年2015年1990年2002年2000年
資本金21億210万円2億2740万円5億8600万円6000万円3400万円
対象者公認会計士限定会計・税務管理部門全般会計系全般会計事務所
得意領域公認会計士経理
会計事務所
監査法人
コンサル
FAS
監査法人
会計
税務
コンサル
会計事務所
評判口コミ評判を見る評判を見る評判を見る評判を見る評判を見る
利用料金無料無料無料無料無料
公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト
マイナビ
会計士
ヒュープロ
(Hupro)
MS-Japanレックスアド
バイザーズ
人材ドラフト
マイナビ会計士ヒュープロロゴMS-Japanロゴレックスアドバイザーズ人材ドラフト
総合評価
( 10/10 )

( 9/10 )

( 8/10 )

( 7/10 )

( 7/10 )
求人数約5,000件約2,000件約1,500件約1,500件約500件
対象年代20代~30代20代~50代20代~30代20代~30代20代~50代
対応エリア関東
近畿
愛知県
静岡県
全国全国全国全国
設立1973年2015年1990年2002年2000年
資本金21億210万円2億2740万円5億8600万円6000万円3400万円
対象者公認会計士限定会計・税務管理部門全般会計系全般会計事務所
得意領域公認会計士経理
会計事務所
監査法人
コンサル
FAS
監査法人
会計
税務
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会計事務所
評判口コミ評判を見る評判を見る評判を見る評判を見る評判を見る
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