公認会計士・税理士の藤沼です。
年々、副業へのニーズが強まっているようですね。
私は副業OKの中小監査法人で働いていたこともあってか、副業をしている会計士が増えていると感じます。
そこで今回は、副業を認めている監査法人を探し、リサーチ結果をまとめてみました。
また、会計士に向いていると思われる副業・向いていない副業をピックアップしてみました。
ご参考ください。
副業OKの監査法人を探してみた。


副業OKの監査法人の求人をリサーチしてみました。
具体的には、「大手転職エージェント4社」の求人検索機能を利用し、副業OKな求人を抽出しています。
なお、通常とは異なる目的で求人票を抽出しているため、具体的な法人名は公開しません。
大手監査法人
まずは、BIG4(EY新日本監査法人、監査法人トーマツ、KPMGあずさ監査法人、PwCあらた監査法人)で副業OKの求人を調査してみました。
副業OKの大手監査法人の求人
求人数 | |
---|---|
マイナビ会計士 | 0件 |
レックスアドバイザーズ | 0件 |
MS-Japan | 0件 |
ジャスネットキャリア | 0件 |
当然の結果かもしれませんが…そもそもBIG4では副業をほぼ認めていません。(表向きは認めているものの、申請等が面倒くさすぎるため、実質ほぼできないのと同様)
また、株式投資は原則禁止されています。
これは、BIG4は利害関係者(クライアント)が非常に多いことから、禁止することで監査人の外観的独立性を確保する趣旨でしょう。
なお、監査人の独立性に関しては、監査人の独立性チェックリスト(日本公認会計士協会)に細かな定義等が掲載されています。(解説するまでもないので割愛)
いずれにせよ、BIG4での副業は難しいというのが結論です。
中小監査法人
一方、中小監査法人はBIG4とは環境が異なり、むしろ副業を推奨しているケースも散見されました。
副業OKの中小監査法人の求人リサーチ結果は、次のとおりです。
副業OKの中小監査法人の求人
求人数 | |
---|---|
マイナビ会計士 | 20件 |
レックスアドバイザーズ | 10件 |
MS-Japan | 4件 |
ジャスネットキャリア | 0件 |
最大手のマイナビ会計士では、「副業OKの中小監査法人」の求人が20件見つかりました。
また、具体的な監査法人名称を公開することはできませんが、いずれも職員数30名~の中規模以上の監査法人でした。
従業員数30名以下の小規模な監査法人では、そもそも副業を認める仕組みを作りにくいのでしょう。
というわけで、副業OKの監査法人を探すなら中小監査法人1択と言えるでしょう。
公認会計士に向いている副業4選


続いて、公認会計士に向いている・実際にやっている副業を、4つ紹介します。
- 講師業
- 執筆業
- 投資
- 会計事務所の経営
それぞれ解説します。
講師業
公認会計士として、企業会計・会計監査・税務の知識・経験を活かし、例えば次のような講師業が副業に向いているでしょう。
- セミナー講師
- 学習塾の個別指導講師
セミナーとしては、たとえば経理実務の学校というサービスがあります。
セミナー開催に関する直接的な費用はかからず、参加料を収入にすることができますが、一方で資料作成コスト・準備に要する工数が必要になります。
コストパフォーマンスはかなり低いでしょう。
また、その他の講師業としては「個別指導講師」もアリです。
たとえば大人の家庭教師というサービスがあり、これを利用することで、時給3000円~くらいのアルバイトができるでしょう。
しかし、こちらも準備に時間を要するほか、校舎・生徒の最寄り駅への移動時間なども加味すると、コストパフォーマンスは低いです。
これなら、本業で残業時間を増やした方がまだ良いかもしれません。
執筆業
出版社やWebメディアとのつながりがある方限定ではありますが、会計・税務に関する執筆業も公認会計士に向いています。
例えば私の場合、マネーフォワードさんのコラムで記事を監修したり、


ツテで書籍監修(一部)させて頂いたり
と、執筆にも関与させて頂いてます。
その他、企業会計専門書籍の執筆依頼などもありました。
なお、Webメディアの記事執筆については、次のような条項が求められます。
- SEOの知見
- 本名・顔出しによる執筆
執筆した情報は、(修正がなされない限り)未来永劫Web上に残り続けます。
身に見えない懸念事項が多く、リスクもあるため、慎重にご判断ください。
投資
最も一般的、かつ私たち公認会計士の強みを活かしやすいのが、「投資」でしょう。
投資と言っても、種類は様々です。
- 株式
- 国債・社債
- 外貨
- 仮想通貨
- NFT
財務諸表を読み、ファンダメンタルズ分析が容易にできる公認会計士にとっては、「株式投資」が一番向いていると言えるかもしれません。
ちなみに、私自身は低リスクな投資として積立NISAによるインデックス投資、高リスクな投資として仮想通貨に投資しています。
仮想通貨・NFTに関しては、ほぼ会計士としての知見が活かせないと感じています。(トータルで負けてます…。)
ただし、繰り返しになりますが「投資」に関しては禁止している監査法人もあるので、必ず自社規定を確認してください。
会計事務所の経営
「え?」
と思われるかもしれませんが、副業として「会計事務所の経営」を認めている監査法人もあります。
私が関与していた中小監査法人が、まさにそうでした。
もちろん税理士登録も認められており、(本業に支障をきたさない範囲で)会計事務所の開業・経営を認めています。
個人でクライアントと税務顧問・コンサルティングをしながら、監査法人職員として働くイメージです。
また、副業とはいいながらも、独立開業の準備期間のような位置づけで、会計事務所を開業している方もいました。
多くはありませんが、このような監査法人も実際に存在します。
副業禁止の監査法人で副業をした場合、バレる可能性は?


副業禁止の監査法人で副業をした場合、どのようなプロセスでバレるのか、具体的に解説します。
ここでは大前提として、確定申告の必要な額の副業による所得(20万円超)が発生しているケースを想定します。
なお、本記事は会社のルールに違反した副業することを推奨するものではありません。
住民税の特別徴収による計算からバレる
給与計算を年末調整ではなく確定申告することで、「雑所得を自ら申告できるからバレない」と考える方もいそうですが、それは間違いです。
確かに所得税の確定申告ではバレませんが、住民税の算出(徴収・申告)においてバレる可能性があります。
さて、住民税の申告方法(徴収方法)には、2つのパターンがあります。
- 普通徴収(自分で納付)
- 特別徴収(監査法人側が源泉徴収し納付)
通常であれば、住民税は会社が源泉徴収し、従業員の代わりに納付します。(特別徴収)
住民税の計算の中にある「所得割」があり、所得割の算定基礎が給与よりも大きい場合、給与以外の収入がバレることになります。
そのため、監査法人側が住民税を計算すると、(確定申告をしていても)副業していることがバレます。
このリスクを回避する方法としては、住民税を「普通徴収」に切り替えることです。
普通徴収を選択することにより、住民税の源泉徴収がなくなるため、監査法人側に副業がバレなくなります。
ただし、住民税の源泉徴収がなくなるため、自分で住民税を納付する手間が必要になります。
住民税の納付は金融機関窓口で行わなければならず、6月・8月・10月・翌年1月の年4回に分けて支払う必要があります。
私は独立後に住民税を普通徴収で納付していましたが、正直かなり面倒でした。
社会保険料の計算からバレる
もう1つバレる可能性があるのが、「社会保険料」からバレるパターンです。
あまり無いと思いますが、監査法人(正社員)とは別に副業でアルバイト等を行い、そのアルバイト先においても社会保険に加入するとバレます。
2以上の事業所において社会保険に加入すると、年金事務所から「健康保険・厚生年金保険資格取得確認」「二以上事業所勤務被保険者決定及び標準報酬決定通知書」という通知書面が監査法人に送付されます。
監査法人の給与計算担当がこの書面を見ると、「こいつ他にもバイトしてるじゃん」とバレるわけです。
そのため、もしバレないように副業をするなら、他の事業所で社会保険に入ってはいけません。(つまり、他所で雇用契約を締結してはいけないということ)
稼ぐなら、非常勤として働くほうが楽。


「監査法人で働きながら副業で稼ぐ」以外にも、生涯年収を増やす方法として「非常勤職員として働く」という手法が考えられます。
たとえば私は、独立直後から中小監査法人で非常勤職員として働いていました。
時給は7,000円でしたので、残業なしでも日当50,000円もらえます。
仮に、年間2,000時間働いた場合、年収は1,400万円になります。
中小監査法人の中には、時給10,000円で会計士を採用している法人もありますから、2,000時間働けば年収2,000万円になるのです。
責任が軽いためストレスもなく、かなり楽に稼げました。
最近は、非常勤職員として生計を立てている公認会計士が増えているようですので、選択肢としてはアリでしょう。
なお、非常勤を選ぶのであれば絶対にBIG4を選んではいけません。
BIG4はクオリティを求められ、残業時間が多いわりに、時給単価が(相場よりも)かなり安いからです。
中小監査法人なら(良い意味で)ゆるい法人が多く、オススメです。
会計士におすすめのダブルワーク(いわゆる掛け持ち)の仕事は?


ダブルワーク、すなわちバイトの掛け持ちを考えるのであれば、「監査法人での非常勤+α」がオススメです。
なぜなら、監査法人での非常勤バイトは超高単価だからです。
しかし、監査法人での仕事だけでは面白味に欠ける方もいるかもしれません。
そんな方は、会計事務所でのアルバイトも検討すると良いでしょう。
会計事務所では、私たちが今まであまり関わってこなかった「中小企業」「個人事業主」「税務」に触れることができ、会計士としての知見の幅を広げることができます。
監査法人に比べると時給単価は大きく下がりますが、新たな知識を探求したい方には非常にオススメです。
また、収入面だけで考えれば非常勤+非常勤が一番稼げます。(参考:監査法人非常勤の「掛け持ち」が美味しすぎる件。【やり方も詳細解説】)
監査法人での公認会計士の副業に関してよくある疑問
その他、監査法人での会計士の副業に関して、よくある疑問をまとめてみました。
- 副業として「監査」をすることは可能ですか?
-
理論上は可能ですが、現実的にはほぼ無理だと考えるべきでしょう。
たまに「副業OKの事業会社で働きながら、監査法人で非常勤を請け負いたい」という方もいるのですが、土日にしか稼働できず、平日定時内でのコミュニケーションは取れないはずです。
現実的に、「平日定時内にコミュニケーションの取れない非常勤職員を雇いたい」というニーズが無いと考えられるため、副業として監査を行うことは難しいでしょう。(監査法人側としてもリスクが大きすぎる)
- 監査法人での副業として、「Youtube」は向いてますか?
-
少なくとも、公認会計士には向いていないと思います。
公認会計士によるYoutubeチャンネルを色々見てみると分かりますが、大半は再生数が回りません。
これは、一般消費者からのニーズが少ないためです。
税理士のように「一般消費者」から需要のある知識を提供できれば良いですが、主たるクライアントが「法人」となる公認会計士に対しては、需要が少ないでしょう。
1再生辺りのアドセンス単価は0.3円~1円と言われており、アドセンス収入で稼ぐのは現実的ではありません。
ただし、バックエンドに高額なサービス・商品がある場合は別です。
例えば、自社会計事務所の顧問先を見つける広告手段として、Youtubeを活用するのはアリです。(もはや副業ではないですが)
- そもそも、監査法人=副業禁止なのでは?
-
たまに、「全ての監査法人は副業禁止である」と謳っているサイトがありますが、それは間違いです。
根拠として「公認会計士法 第34条の14第1項(社員の競業の禁止)・会社法859条2項(協業取引規制)」を挙げているようですが、これは社員(パートナー)に関する条文です。
内容はあくまで「他の監査法人の社員となってはならない」と記載されているのみであり、監査法人間の競業避止を定めたものに過ぎません。
つまり、監査法人職員であっても、(会計監査でなければ)副業は認められています。
- そもそも、公認会計士は副業禁止なのでは?
-
いいえ、公認会計士であっても副業は認められています。
公認会計士法上、そのような規定はありません。
- USCPAでも副業可能な監査法人はありますか?
-
あるかもしれませんが、極めて限定的です。
リサーチ現時点では、USCPA向けの求人を出している副業OKの監査法人は検出されませんでした。
- 会計士が土日にできるオススメの副業はありますか?
-
先述のとおり、講師業・執筆業・投資の3種が良いでしょう。
ただし、投資には知識の習得が必要であり、稼げるようになるまでに時間を要します。
- 会計士が在宅でできるオススメの副業はありますか?
-
先述のとおり、講師業・執筆業・投資の3種が良いでしょう。
講師業の中には、オンラインで実施可能なものもあります。
- 公認会計士の非常勤はずっとできますか?
-
はい、非常勤をずっと続けることは可能です。
非常勤は時給単価がとても高いためオススメです。
ただし、ずっと続けない方がお得です。
理由は 公認会計士が非常勤をずっと続けるためのコツ・リスク で解説しています。
- 公認会計士資格を利用し、フリーランスになる選択肢はアリですか?
-
アリだと思います。
私自身も、ある意味フリーランスです。
私たち会計士には、幸いなことに「非常勤バイト」という美味しい仕事があります。
会社を辞めフリーランスになったとしても、食い扶持があるだけでなく、むしろ正社員時代よりも年収が上がるケースもあります。
副業OKの監査法人に強い転職エージェント


最後に、まとめです。
- 副業をしたいなら、副業OKの中小監査法人がオススメ
- 公認会計士としての知見を最も活かせるのは投資
- 中小監査法人であれば、投資も認めているケースがある
先述のとおり、副業を認めている監査法人はまだまだ数が少ないです。(マイナビ会計士で最多の20件でした)
特に、「副業OK」の求人を求めるニーズは強く、どんどん求人募集枠が埋まっていきます。
もし今監査法人への転職を考えているのであれば、今すぐ転職エージェントを活用し、動き始めることをオススメします。
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