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プロフィール

藤沼 寛夫
公認会計士・税理士
1986年1月10日生まれ(36歳)

 2014年:EY新日本監査法人 入社
 2018年:中堅コンサル事務所 入社
 2019年:藤沼会計事務所 開業
 2020年:アカウントエージェント株式会社 設立

経理の年収は平均620万!内訳をデータ分析により徹底公開!【公認会計士監修】

経理の年収

令和5年賃金構造基本統計調査によれば、経理の年収は平均で約484.6万円とされています。

これは、厚生労働省のwebサイト「Job-tag」経理事務の賃金(年収)の欄にもしっかりと書かれています。↓

jobtag「経理事務」の賃金(年収)

計算根拠は、e-Statが公開している賃金構造基本統計調査結果の元データであり、「会計事務従事者」の欄を集計して計算すると同額になります。

しかし、この公表値は「経理事務」の年収としては正確ではなく、むしろ誤った情報です。

なぜなら、この「会計事務従事者」の中には「会計事務所の職員」等、企業経理以外の職員が多く含まれているからです。

元データを精査すれば分かりますが、「会計事務所の職員」という職業欄がないので、会計系の職種が全てこの「会計事務従事者」に含有されていることが理解できます。

会計事務所職員と経理事務職員とでは年収が全く異なるため、これらをまとめて「経理の年収である」と結論付けるのはミスリードです。

実際、私も多くの経理マンと一緒に働いてきましたが、流石にこんな安くはないという肌感があります。

そこで本記事では、経理の本当の年収をリサーチし、その結果を公開します。

情報源としては転職エージェントが公開している経理求人(計1,500件以上)を利用し、全て集計した上で分類しました。

この記事で分かること


  • 経理マンの平均年収は620万円
  • ただし、保有資格・地域・実務経験の有無によって年収は大きく異なる
  • 最もコスパの良い経理資格は、簿記2級
  • 上場企業で働くなら、簿記1級もおすすめ
  • 専門性の高い業種(金融・不動産・商社)の経理は年収が高い
  • 外資系企業の経理も平均して年収が高い
  • 首都圏(東京・大阪・名古屋など)も、経理の年収が高い
  • その他、IPO・M&A・ITなど、経理と親和性の高い経験があると年収が上がる
  • 経理に転職するなら、必ず専門特化型のエージェントを利用すべき
この記事を書いた人

経理支援サービス会社を経営しています。

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目次

経理の年収平均【資格別】

経理の年収は、平均620万円です。

ただし、一言に「経理」といっても、資格・経験値ごとに年収は大きく異なります。

そこで、経理の年収を資格ごとに比較してみました。

【資格別】経理に転職した際の年収

資格下限平均上限平均平均年収求人数
簿記3級438万円642万円540万円899 件
簿記2級465万円699万円582万円1,532 件
簿記1級498万円742万円620万円271 件
税理士科目484万円748万円616万円553 件
税理士519万円807万円663万円740 件
USCPA528万円834万円681万円104 件
公認会計士556万円846万円701万円1,089 件
ヒュープロ求人検索システムより抽出し集計した。)

抽出データは、会計・税務系の大手転職エージェントヒュープロの公開求人データを利用しました。

資格ごとに年収をさらに細かく分析しましたので、以下詳細を掲載します。

簿記3級保有者の経理での年収は平均540万円|未経験者は425万円

地域下限平均上限平均平均年収求人数
全体
東京450万円677万円564万円159 件
東京以外421万円592万円506万円112 件
全体438万円642万円540万円271 件
未経験者OK
東京340万円580万円460万円12 件
東京以外333万円471万円402万円18 件
全体336万円515万円425万円30 件
経験者のみ
東京459万円685万円572万円147 件
東京以外437万円615万円526万円94 件
全体451万円657万円554万円241 件

簿記3級取得者が経理に転職した際の年収は、平均540万円でした。

全体の求人数は少なめであり、東京・東京以外での年収差は60万円前後でした。

簿記3級は会計系資格の中では最も難易度が低いため、保有者数が多く、その分需要も少なくなります。

経理への就職・転職では、簿記3級程度は持っていて当たり前というイメージが強いです。(実務経験のある方は別です)

簿記2級保有者の経理での年収は平均582万円|未経験者は470万円

地域下限平均上限平均平均年収求人数
全体
東京490万円743万円617万円804 件
東京以外438万円650万円544万円728 件
全体465万円699万円582万円1,532 件
未経験者OK
東京380万円621万円500万円33 件
東京以外360万円499万円429万円24 件
全体371万円569万円470万円57 件
経験者のみ
東京495万円748万円621万円771 件
東京以外441万円655万円548万円704 件
全体469万円704万円586万円1,475 件

簿記2級取得者が経理に転職した際の年収は、平均582万円でした。

簿記2級取得者向けの求人数は、全資格の中で最も多い結果となりました。

また、東京・東京以外での年収差は70万円前後でした。

簿記2級は3ヶ月~6ヶ月程度で取得できるにも関わらず、簿記3級取得者に比べて年収が40万円も上がるため、コストパフォーマンスに非常に優れた資格であると言えます。

簿記1級保有者の経理での年収は平均620万円|未経験者は517万円

地域下限平均上限平均平均年収求人数
全体
東京522万円791万円657万円502 件
東京以外468万円681万円574万円397 件
全体498万円742万円620万円899 件
未経験者OK
東京407万円693万円550万円18 件
東京以外379万円555万円467万円12 件
全体396万円638万円517万円30 件
経験者のみ
東京526万円794万円660万円484 件
東京以外470万円685万円578万円385 件
全体502万円746万円624万円869 件

簿記1級取得者が経理に転職した際の年収は、平均620万円でした。

求人数も非常に多く、東京・東京以外での年収差は80万円前後でした。

簿記1級を取得することで、簿記2級取得者よりも更に40万円ほど年収を上げることができますが、簿記1級は非常に難易度が高いため、簿記2級ほどコストパフォーマンスは高くありません。

税理士科目合格の経理での年収は616万円|未経験者は563万円

地域下限平均上限平均平均年収求人数
全体
東京539万円862万円701万円213 件
東京以外450万円677万円563万円341 件
全体484万円748万円616万円554 件
未経験者OK
東京500万円900万円700万円1 件
東京以外425万円700万円563万円6 件
全体425万円700万円563万円7 件
経験者のみ
東京539万円862万円701万円212 件
東京以外450万円676万円563万円335 件
全体485万円748万円616万円547 件

税理士科目合格者者が経理に転職した際の年収は、平均616万円でした。

業界未経験者へのニーズはほとんどなく、東京・東京以外での年収差は140万前後でした。

なお、この「税理士科目合格者」の中には「1科目合格」の方もいれば「4科目合格」の方もいるため、混在したデータである点には注意が必要です。

税理士の経理での年収は663万円|未経験者は507万円

地域下限平均上限平均平均年収求人数
全体
東京574万円902万円737万円402 件
東京以外459万円718万円587万円338 件
全体517万円811万円663万円740 件
未経験者OK
東京467万円767万円617万円6 件
東京以外381万円524万円452万円12 件
全体410万円605万円507万円18 件
経験者のみ
東京570万円899万円735万円396 件
東京以外462万円706万円584万円326 件
全体521万円812万円667万円722 件

税理士が経理に転職した際の年収は、平均663万円でした。

また、東京・東京以外の年収差は150万前後でした。

なお、税理士が「会計事務所」で働く場合の平均年収は570万ですので、組織内で経理として働いた方が年収は上がる計算になります。(参照:税理士の年収と現実を、あらゆる角度から詳細分析してみた。

独立開業を考えず、組織内税理士として働くことを想定している方は、働きながら税理士を目指すのも選択肢の1つになるでしょう。

USCPAの経理での年収は681万円|未経験者は647万円

下限平均上限平均平均年収求人数
全体
東京580万円915万円747万円62 件
東京以外451万円714万円583万円42 件
全体528万円834万円681万円104 件
未経験者OK
東京518万円776万円647万円2 件
東京以外518万円776万円647万円1 件
全体518万円776万円647万円3 件
経験者のみ
東京582万円919万円751万円60 件
東京以外449万円713万円581万円41 件
全体528万円835万円682万円101 件

USCPAが経理に転職した際の年収は、平均681万円でした。

求人数は少なめであり、東京・東京以外での年収差は160万前後でした。

また、USCPAを採用する経理では英語が話せることを前提としているケースも多く、英語が話せない方への求人は更に少なくなる点に注意が必要です。

とはいえ、USCPAは「税理士」「公認会計士」に比べて難易度が非常に低いため、コストパフォーマンスに優れた資格と言えます。

公認会計士の経理での年収は701万円|未経験者は603万円

地域下限平均上限平均平均年収求人数
全体
東京595万円908万円751万円678 件
東京以外493万円745万円619万円411 件
全体556万円846万円701万円1,089 件
未経験者OK
東京505万円823万円664万円27 件
東京以外391万円538万円464万円12 件
全体470万円735万円603万円39 件
経験者のみ
東京598万円911万円755万円651 件
東京以外496万円751万円624万円399 件
全体560万円850万円705万円1,050 件

公認会計士が経理に転職した際の年収は、平均701万円でした。

年収水準は全資格の中で最も高く、求人数も非常に多く検出されました。

また、東京・東京以外での年収差は130万円前後でした。

公認会計士資格は難関資格として知られていますが、近年では社会人合格者の数も増えているため、(年収を上げるだけでなく)手に職を付けたいという方にはオススメの資格です。(参照:社会人が公認会計士になるのは無理ではありません。

年収の高い経理の特徴

公開されている全ての経理求人(3,784件)を年収の高い企業順にソートし、平均年収1,000万円以上の企業を抽出したところ、年収の高い経理には次のような特徴が見られました。

年収の高い経理の特徴
  • 不動産業、金融業、商社
  • 外資系企業
  • CFOや経理部長ポジション
  • 首都圏(東京・大阪・名古屋)

平均年収1,000万以上の経理が上記全てを満たしているわけではなく、平均年収1,000万以上の経理において上記いずれかの特徴が該当するケースが多く見られました。

役職によって年収が上がるのは当然と言えますが、業種によっても年収は大きく異なります。

会計業界は、業種ごとに会計処理の慣行が異なり、ファーストキャリアとして選んだ企業の職種によってその後のキャリアが方向づけられる傾向にあります。

そのため、初めから「どの経理も同じである」と考えるのではなく、自分が狙っている業種に絞って転職活動を進めるべきです。

経理で年収を上げるために必要なスキル

もちろん、実務経験を重ねることで年収は上がります。

しかし、シンプルな経理経験だけで年収を大きく上げることは難しいでしょう。

そこで、経理マンが年収を大きく上げるために必要となるスキルを列挙くしてみました。

それぞれ解説します。

高度な会計系資格の取得|分かりやすく年収は上がるが難易度も高い

最も手っ取り早いのが、高度な会計系資格の取得でしょう。

具体的には、以下の資格を指します。

高度な会計系資格
  • 公認会計士
  • 税理士
  • USCPA

いずれも、取得(試験合格)することで達成できる年収水準を大体予測できるため、目標が明確であるというメリットもあります。

以前は働きながら目指すのであれば税理士・USCPAが王道でしたが、近年では公認会計士試験の社会人合格者も増えており、間口が広がっています。

高度な語学力の習得|英語力があると年収が平均80万円上がる

知識・スキルの習得として、語学力の習得も非常にオススメです。

これは単なる私の主観ではなく、実データを見れば明らかです。

ここでは、「経理全体」の年収データと「英語力を活用できる経理」の年収データを比較掲載します。

【経理】英語力を活用する求人との比較

経理の平均年収
(求人数)
うち英語活用の平均年収
(求人数)
全体
東京683万円
(2,312 件)
735万円
(578 件)
東京以外522万円
(1,472 件)
620万円
(243 件)
全体620万円
(3,784 件)
701万円
(821 件)
未経験者OK
東京565万円
(120 件)
563万円
(23 件)
東京以外425万円
(44 件)
409万円
(5 件)
全体527万円
(164 件)
532万円
(28 件)
経験者のみ
東京689万円
(2,192 件)
745万円
(555 件)
東京以外525万円
(1,428 件)
625万円
(238 件)
全体625万円
(3,620 件)
709万円
(793 件)
ヒュープロ求人検索システムより抽出し集計した。)

「経理全体の平均年収」と、「英語力を活用する経理の平均年収」を比較すると、後者の方が年収は平均80万円以上高くなっています。

つまり、経理マンとして英語力を身に付けることで、年収は80万円以上上がるのです。(もちろん英語を活用する企業に転職する必要はある)

この水準は、実に公認会計士の年収と同水準であり、(公認会計士試験の難易度の高さを鑑みると)英語力の習得はコストパフォーマンスに優れると言えます。

また、興味深いのが「未経験者」については英語力があってもほぼ年収が変わらない点です。

これは、「会計業界でビジネス英語を活用していた」という経験値が評価されることを意味します。

なお、具体的にはTOEIC800点が目安であり、高くともTOEIC900点があれば(点数的には)十分です。

ITに関する高度な知識の習得|経理+システムは親和性が高い

ITに関する知識も経理業界と親和性が高く、スキルの掛け合わせにより年収を高めることが可能です。

具体的には、大手会計ソフト(SAP等)に関するプログラミングスキル、AIプログラムに関する知識などが挙げられます。

会計ソフトの開発・構築・保守等には、ITスキルと会計スキルの両方が必要になり、両方のスキルを習得している方の希少価値(=年収)が上がるようです。

英語力と同様に、希少価値の高いスキルを掛け合わせることで、年収を高めることができるのです。

IPOに関する経験|上場準備での経験は希少性が高い

IPOに関する経験も、希少価値が高く年収を高める効果があります。

「具体的にいくら」とは明言できませんが、感覚的には、30万~50万ほど年収を高める効果があるように感じます。

IPOの経験があると、経理だけでなく会計コンサルとしても活躍できるようになるでしょう。

ただし、IPOに関するスキルを活用するのはベンチャー企業(または鞍替え予定の上場企業)に限られます。

そのため、業務は得てして激務になり、基本給は低いものの残業代で稼ぐことで年収を上げるようなケースが多い可能性があります。

バイタリティに自信のある方や、モチベーションの高い若手経理マンの方にはおすすめの経験と言えます。

M&Aに関する経験|年収が平均50~100万円上がる

M&Aに関する経験値も、経理マンとして年収を上げやすいスキルの1つです。

M&Aに関連する経理求人を見てみると、平均50万~100万程度年収が上がるように感じました。

M&Aに関連する経験・スキルとは、例えば次のような経験・スキルをいいます。

M&Aに関する経験(例)
  • 財務デューデリジェンス
  • バリュエーション(価値算定)
  • 統合(PMI)
  • 組織再編税制に関する知識
  • ストラクチャーの提案 等

M&Aというシチュエーションは一見少ないように思うかもしれませんが、ベンチャー企業では日常茶飯であり、またM&Aのみを専門とする会計コンサルファームも多くあります。

M&Aには高い専門性が求められるため、(コンサルタントの)利益率が高く、それが高い年収に繋がります。

ただし、M&Aに関連するキャリアは激務になりやすく、こちらもバイタリティが求められる点には注意が必要です。

経理の年収に関するよくある疑問

その他、経理の年収に関するよくある疑問をまとめました。


簿記1級を取れば年収1000万は可能ですか?

可能です。

ただし、簿記1級を取っただけですぐ年収1000万を達成できるわけではありません。

簿記1級は主に大企業への就職・転職の条件になることが多いため、将来的に年収1000万を達成するための近道になります。

まとめると、簿記1級を取得して直ちに年収1000万を達成することはできませんが、年収1000万達成までの期間を早めることができます。

簿記1級とTOEIC900はどちらが新卒に向いていますか?

どのような職種を志望するかにもよりますが、汎用性が高いのは間違いなくTOEIC900点でしょう。

一方、会計業界への就職を考えているのであれば、簿記1級の方が汎用性は高いです。

もし、これといって方向性が決まっていないのであれば、私はTOEIC900点のほうをオススメします。

経理の副業にはどんなものがある?

経理の副業は、「記帳代行」がメインです。

記帳代行は会計事務所でよくあるサービスであり、会計事務所経由で受注するケースがあります。

男性・女性で経理の平均年収は変わりますか?

いいえ、変わりません。

経理は経験・職階によって年収が変わりやすいため、男女の差はないでしょう。

経理の給料が高いのはなぜ?

経理には高い専門性が求められるため、人手不足の傾向が強いことが挙げられます。

これは経理に限った話ではなく、会計業界が全体として人手不足の傾向にあり、近年では特に全体の平均年収が上がっているように感じます。


経理に強い!おすすめの転職エージェント

年収の高い経理を探すためには、経理に強い転職エージェントを選ばなければなりません。

そこで、経理に強い大手転職エージェントを比較してみました。

スクロールできます
ヒュープロ
(Hupro)
MS-Japanレックス
アドバイザーズ
ジャスネット
キャリア
人材ドラフト
人材ドラフト
求人数約2,000件約2,500件約1,000件約1,000件約500件
対象年代20代~50代20代~50代20代~30代20代~30代20代~50代
対応エリア東京都内全国全国全国全国
設立2015年1990年2002年1996年3400万円
得意領域経理
会計事務所
経理
内部監査
経営企画
公認会計士
税理士
士業会計事務所
特徴東京の経理に強い全国の経理に強い士業に強い補完的補完的
総合評価
(10/10)

(9/10)

(7/10)

(7/10)

(6/10)
評判口コミ評判を見る評判を見る評判を見る評判を見る評判を見る
公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト

結論としては、東京都内ならヒュープロ、東京以外ならMS-Japanがオススメです。

転職エージェントには強み・弱み、そして相性がありますから、↑の比較表を参考にご自身に合った転職エージェントを使ってください。

監修者

前職では上場会社の経理部長として勤務し、現在は経理・財務支援サービス会社を経営しています。

外部サイト:経理の給料を上げるテクニックを解説!|しごとのいろは

外部サイト:副業におすすめのプログラミングスクール比較11選!初心者でも案件獲得して稼ぐ方法

外部サイト:経理の副業とは?|lotsful

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