簿記3級があれば実務経験なしでも就職できる職種「4選」

簿記3級があれば実務経験なしでも就職できる職種「4選」

公認会計士・税理士の藤沼です。

簿記3級・実務経験なしでも、就職することは可能です。

私の事務所にも、簿記3級・未経験でご応募されてくる方は多いです。

ただし、就職するにはコツが必要であり、求人サイトから応募するとほぼ書類で落とされるはずです。

そこで今回は、簿記3級・実務経験なしでも就職できる職種「4選」と、応募時のポイントを紹介します。

私自身も会計事務所・法人の採用官として5年以上の経験がありますので、採用官としての視点も交え解説します。

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目次

簿記3級があれば実務経験なしでも就職できる職種「4選」

「簿記3級・未経験」で応募可能な職種は、次のとおりです。

職種求人件数割合
会計事務所93 件79%
経理16 件14%
コンサル3 件3%
監査法人5 件4%
(計)117 件100%
(参照:ヒュープロ求人検索システム

上記は、大手会計系エージェント「ヒュープロ」の求人データから抽出・集計した結果です。

幅広く会計・税務の職種を網羅しているヒュープロですが、「簿記3級・未経験OK」の求人は、上記4つの職種に集約されました。

それぞれ、職種の内容について解説します。

会計事務所

  • 求人数  :多い
  • 年収   :約431万円
  • 残業   :中
  • 就職難易度:低い
  • おすすめ度:高

「簿記3級」「未経験OK」の条件で最も多く抽出された求人が、会計事務所の求人でした。

会計事務所では簿記の基礎知識が求められ、また慢性的に人手不足の業界であることから、簿記3級取得者へのニーズはとても強いです。

年収水準もそこそこ高く、就職難易度は最も低いため、未経験者には1番オススメの職種です。

会計事務所では各種税法スキルを習得することができ、働きながら税理士を目指すこともできます。

ただし、12月から3月頃まで繁忙期が続くため、この期間は休みづらいという欠点があります。

会計事務所での働き方について、詳しくは次の記事で詳しく解説しています。

経理

  • 求人数  :少ない
  • 年収   :約419万円
  • 残業   :少ない
  • 就職難易度:高い
  • おすすめ度:中

「簿記3級」「未経験OK」の条件で2番目に多く抽出された求人が、経理の求人でした。

経理では、仕訳入力という作業が求められるため、こちらも簿記3級の知識を活用することができます。

ただし求人数はやや少な目、かつ就職難易度が高いため、あまりオススメの職種ではありません。

経理は(会計事務所に比べると)働き方が安定しており、残業もそこまで多くありません。

そのため年収が低くても人気のある職種であり、就職難易度が高いのです。

経理での働き方について、詳しくは次の記事内で解説しています。

コンサル

  • 求人数  :少ない
  • 年収   :約438万円
  • 残業   :激務
  • 就職難易度:高い
  • おすすめ度:低

「簿記3級」「未経験OK」の条件で求人を抽出すると、ごく僅かですがコンサルの求人も検出されました。

会計税務系のコンサルでは、簡易的な決算書を作成したり、決算書を読み込むことがあるため、そのようなケースで簿記の基礎知識を活用します。

しかし、コンサルは簿記3級取得者にはあまりオススメできません。

というのも、会計税務系のコンサルは経験の汎用性があまり高くなく、退職した後の選択肢が限られるからです。

経験する業務があまりに幅広いため、「経理」「会計事務所」のような専門特化スキルが身に付かず、転職時にあまり評価されないのです。

公認会計士・税理士資格があれば別ですが、業界未経験者には少なくともオススメしません。

監査法人

  • 求人数  :少ない
  • 年収   :約435万円
  • 残業   :少ない
  • 就職難易度:中
  • おすすめ度:高

「簿記3級」「未経験OK」の条件で求人を抽出すると、監査法人の求人も検出されました。

監査法人では、監査アシスタントというポジションで働くことができます。

この監査アシスタント、個人的には非常におすすめのポジションです。

勤務条件が非常に良いわりに、知名度が低く応募者が少ないため、就職難易度がそこまで高くないのです。

いわゆる穴場の求人です。

私自身も監査法人で働いており、多くの監査アシスタントたちと働いていましたが、皆さん非常に働きやすそうでした。

監査アシスタントの仕事について、詳しくは次の記事を読んでください。かなり詳細解説しています。

簿記3級をフルに活かせる仕事は?

簿記3級をフルに活かせる仕事は、「会計事務所」または「経理」です。

簿記3級では中小企業での経理の基本となる商業簿記を学習しますが、これが会計事務所・経理でフルに活かされます。

会計事務所なら「仕訳の記帳代行」、経理なら「仕訳入力」という仕事がメインですから、常に簿記3級の知識を使い続けます。

ここでよくあるのが、「会計事務所と経理どっちがいい?」という疑問です。

会計事務所と経理どっちがいいの?

会計事務所と経理の違いをまとめてみました。

会計事務所経理
就職難易度低い高い
組織規模小さい大きい
年収やや低いやや高い
残業時間多い少ない
在宅勤務しやすいしにくい
専門スキル税法企業会計

似たイメージのある会計事務所・経理ですが、比較してみると意外と相違点が多いです。

何を重視するかは人によって違いますから、どちらが良い・悪いとは一概には言えません。

ただし、会計事務所には働きながら税理士を目指せるという唯一無二の特徴があるため、税理士を目指すことを視野に入れている方は会計事務所1択でしょう。

ぜひ上記の比較表をご参考に、自分に合った選択肢を選んでください。

ぶっちゃけ簿記3級で転職って厳しい?

未経験者が簿記3級だけで転職するのは、結構難しいです。

というのも、未経験者には次のようなハードルがあるからです。

  • 会計業界での働き方のイメージが付いていない
  • 簿記の知識がどう活かせるのか分かっていない
  • 簿記以外に求められるスキルが分かっていない
  • その後のキャリアが想像できていない

一言で言えば、情報収集能力が不足しているため、自分に最適な職場を選びにくいのです。

最適な職場が選べなければ内定率も下がりますし、何より自分にとって働きやすい職場が選べません。

特に、会計事務所の中にはブラックな会計事務所も存在するため、リスクが大きいのです。

このような転職での失敗を防ぐためには、転職エージェントの活用が必須です。

転職のプロであるエージェントを活用すると、業界の知識を効率よく収集することができるからです。

ただし、会計税務の世界は専門性が高いため、エージェントの中には知識のない粗悪なエージェントもいる点には注意が必要です。

会計税務の世界で転職エージェントを活用するなら、絶対に、会計・税務に特化したエージェントを使うべきです。

私も20社以上の転職エージェントを使いましたが、本当に酷いエージェントもありました。ご注意ください。

簿記3級があれば未経験・40代でも就職できる?

40代で簿記3級を取られる方は多いですが、未経験職種への転職難易度はかなり高いです。

経理になるとパートから応募し、パート採用→正社員登用を狙うのが現実的です。

一方、会計事務所であればまだ採用ハードルは低く、未経験からでも正社員で入社できる可能性が残されています。

未経験・40代で転職活動をする際は、面接対策が超重要です。

なぜなら、未経験ではアピールできる要素が少なく、端々のコミュニケーション能力を見られるからです。

少しでも会話におかしな点が見られると、マイナス評価に繋がり、落とされる可能性が高まります。

転職の際は必ず転職エージェントを使い、応募前に面接対策を万全に行うことを強く推奨します。

「簿記3級・未経験OK」の求人例

簿記3級・未経験OKの求人は、Huproで検索すると大量に出てきます。

ここでは、検出された求人の一部を紹介します。

ぜひご参考ください。

簿記3級・未経験OK・東京・在宅OKの求人

簿記3級・未経験OK・在宅OKの求人

こうして求人を眺めてみると、どこも人手不足であることが分かります。

昔はここまでの好待遇求人はありませんでした。

人気の求人はすぐなくなるので、ご登録はお早めに。

「簿記3級・実務経験なし」で転職する際の注意点

「簿記3級・実務経験なし」で転職する際は、次の点に注意しましょう。

それぞれ解説します。

応募前に、職場の雰囲気を調べる

経理や会計事務所など、会計系の職種ではチームプレイが求められるため、「職場の雰囲気」を知ることは必須です。

私も監査法人・会計事務所を経験していますが、どちらも退職理由は「人間関係」でした。

人間関係で悩みやすいのが、経理・会計事務所の特徴です。

転職先選びで失敗しない為にも、必ず応募前に職場の雰囲気をリサーチしてください。

なお、職場の雰囲気のリサーチ方法には、

  • 組織内の知人から情報を聞く
  • 転職エージェントから情報を聞く

の2パターンがあります。

応募前に、未経験者が働いているか調べる

「簿記3級があれば未経験OK」と謳っている企業はありますが、注意が必要です。

なぜなら、未経験者を採用したとしても、未経験者に対して教える体制が整っていないケースがあるからです。

経験者を採用できず、やむを得ず未経験者を募集しているような企業では、そもそも教えてくれる人材が不足しています。

そのため、仮に入社できたとしても放置されたり、丸投げされてしまう可能性があります。

このような劣悪な環境で働くと、知識・スキルが向上しないだけでなく、精神を病む可能性さえあります。

そのため、未経験で応募する際には必ずその組織内で未経験者が既に働いているかを確認しましょう。

既に未経験者が働いているのであれば、少なくとも、未経験から働くことのできる土壌が存在することは分かります。

必ず転職エージェントを利用する

簿記3級取得後すぐに「求人サイト」で求人を探し、そのまま応募する方がいます。

しかし、これは絶対にやめてください。

簿記3級は比較的容易にとれる資格だからこそ、転職のハードルは高いからです。

そのため、転職エージェントをフル活用することで、周囲との差を付けることをオススメします。

転職エージェントを活用すると、次のようなメリットが受けられます。

転職エージェントを活用するメリット
  • 面接対策が受けられる
  • 応募企業に推薦文が書いてもらえる
  • 年収交渉をしてもらえる

転職エージェントを活用することで、面接対策を受けられるだけでなく、企業への推薦文が書いてもらえます。

そのため、利用するだけで内定率をUPさせることが可能です。

意外とエージェントまで使う人は少ないので、実はかなり有効ですよ。

簿記3級・実務経験なしに関するよくある疑問

その他、簿記3級・実務経験なしに関するよくある疑問をまとめました。


簿記3級で経理はできますか?

はい。簿記3級の知識があれば、経理で働くことは可能です。

ただし、簿記3級では簿記の基礎知識のみを学習するため、上場企業などの高度な会計知識が必要とされる経理部門では、簿記2級・簿記1級が求められるケースが大半です。

また、経理業界では実務経験も要求されやすいです。

そのため、まずは簿記3級を使って中小企業の経理に就職し、2~3年の実務経験を積みながら簿記2級・簿記1級を取得し、そしてステップアップで上場経理に転職するという流れが王道です。

簿記3級の年収はいくらですか?

簿記3級の年収は、400万円~550万円が相場です。

会計事務所よりも経理の方が年収は高い傾向にありますが、就職難易度も経理の方が高いです。

実務経験なしでも、簿記2級を取るとどんな職種に転職できますか?

簿記2級・実務経験なしで選べる転職先は、次のとおりです。

職種求人件数割合
会計事務所788 件57%
経理399 件29%
会計コンサル90 件7%
経営企画70 件5%
内部監査17 件1%
監査法人17 件1%
(計)1,381 件100%

簿記2級よりも選べる選択肢が増え、求人数も増えます。

ただし、簿記3級+実務経験ありの方が評価されます。

詳しくは、簿記2級があれば実務経験なしでも就職できる職場6選の記事にて解説しています。

簿記3級の合格に必要な勉強時間はどのくらい?

簿記3級の合格には、平均100時間前後必要と言われています。

実際、私も1日3時間勉強を3か月間続けたところ、合格できました。


簿記3級取得者におすすめの転職エージェント

簿記3級に強い転職エージェントは、下記の3社です。

HuproMS-JapanREX
アドバイザーズ
求人数約 4000 件約 2500 件約 1100 件
対象年代20代~50代20代~40代20代~30代
設立2015年1990年2000年
資本金2億2740万円5億8600万円3400万円
得意領域・経理   
・会計事務所
・監査法人 
・経理   
・会計事務所
会計事務所
特徴求人数No.1管理部門に強いややマイナー
総合評価
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利用料金無料無料無料
公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト

結論としては、会計事務所ならHupro、経理ならMS-Japanをオススメします。

20社以上の会計系エージェントをレビューした私の実感ですので、この2社は間違いなくオススメです。

上記表をご参考に、ご自身に合った転職エージェントを使って下さい。

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