IFRSで転職した会計士が語る!このキャリアのメリット・デメリット

IFRSで転職した会計士が語る!このキャリアのメリット・デメリット

公認会計士・税理士の藤沼です。

EYで5年弱働き、その後FASへ転職しました。

今回は「IFRSを活用した転職先」について、情報提供したいと思います。

この記事を書いた人

1986年生まれ(39歳)
公認会計士税理士

2014年 EY新日本有限責任監査法人 入社
2018年 東京共同会計事務所 入社
2019年 藤沼会計事務所 開業
2020年 アカウントエージェント株式会社 代表取締役

情報インタビュイー
A.Eさん

37歳
公認会計士

  • BIG4監査部門:3年
  • BIG4アドバイザリー(IFRS):5年
  • 上場IFRS経理:5年

目次

会計士がIFRSを活用できる転職先

私たち会計士の転職先は、全13種に分けることができます。

このうち、「IFRS」のスキルを活用できる転職先は次のとおりです。

会計士がIFRSを活用できる転職先

  • BIG4(監査部門)
  • BIG4(アドバイザリー部門)
  • 中小監査法人(監査・アドバイザリー)
  • 国内系FAS
  • 上場会社の経理(IFRS導入予定フェーズ、IFRS導入済み)
  • 会計事務所(アウトソース系)

IFRSを活用できる職種は、意外と多いです。

一方、「関与の仕方」という視点からは、次の3つの区分に分けることができるでしょう。

IFRSへの関与3パターン
  1.  外部コンサルとして関与
  2.  自社での導入プロジェクトに関与
  3.  導入済み自社での関与

ここでは、3つの関与パターンの視点から、転職先での働き方を解説します。

① 外部コンサルとして関与

「外部のコンサルタントとして、やりがいを得たい」という方には、次の選択肢があるでしょう。

外部コンサルとして関与できる転職先
  • BIG4(監査)
  • BIG4(アドバイザリー)
  • 中小監査法人(監査・アドバイザリー)
  • 国内系FAS

※ 監査としての関与はコンサルではありませんが、「外部関与」という意味で上記に含めました。

上記のうち、監査から離れてIFRSコンサルに特化したい方は、「BIG4のアドバイザリー」または「国内系FAS」のいずれかを選択することになります。

BIG4のアドバイザリーと国内系FASの違いは、次のとおりです。

BIG4アドバイザリーと国内系FASの違い

BIG4国内系FAS
品質
クライアント規模小~中
間接業務あり少ない
IFRS以外の業務中~多

品質の高さはBIG4一強です。

もちろんFASにもBIG4出身の会計士が多くいるため、品質が低いとは言いませんが、BIG4にはファーム内のナレッジを共有できるという大きな強みがあります。

また BIG4の特徴として、「IFRS関連のセミナー講師」「経理系雑誌への寄稿」など、本業以外のプロジェクトに関与できるケースもあるでしょう。

ただし、IFRS分野への転職を考えている会計士の多くは、既にBIG4でIFRSに触れていると思いますので、あえてBIG4アドバイザリーを選ぶ必要性は低いかもしれません。

また、BIG4では1つの種類のサービスラインに特化する傾向があるのに対し、国内系FASではその他のアドバイザリー(M&A等)にも関与できるケースが多く、IFRS以外の業務にも触れられるというメリットがあります。

一方、中小監査法人においても一部IFRSに触れるケースがありますが、通常は限定的です。(その他アドバイザリーにもあまり、触れる機会がない)

法人の方針として「外資に特化している」といった法人であれば別ですが、近年はあまり見かけません。

② 自社での導入プロジェクトに関与

「組織内でIFRS導入フェーズから関与したい」という方には、次の選択肢があります。

自社での導入プロジェクトとして関与できる転職先
  • 上場会社の経理(IFRS導入予定フェーズ)

後述しますが、IFRS導入はそのほとんどが上場会社で行われており、自社導入プロジェクトに関与する場合には「上場経理」に転職するのが一般的です。

理論上はベンチャー企業でもIFRS導入が可能ですが、限定的です。

IFRSは原則基準を採用しており、導入フェーズではゼロからIFRS調整の仕組みづくりを行います。

そのため、「そもそもあるべき処理は何なのか」を考える視点が身に付きます。

また、自らロジックを組み立て、会計処理を考えるクリエイティブさにも面白味があるでしょう。

なお、IFRS導入フェーズに採用された場合であっても、通常業務(伝票の承認や締め処理など)にも携わるケースが多く、経理としてのスキルも身に付けることができます。(下記③参照)

③ IFRS導入済み自社での関与

「経理部員としてIFRSに関与したい」という方には、次の選択肢があります。

IFRS導入済み自社として関与できる転職先
  • 上場会社の経理(IFRS導入済み)
  • 会計事務所(アウトソース系)

すでにIFRS適用が完了した組織で経理として関与、またはIFRS適用会社からのアウトソーシング(BPO)として関与する選択肢があります。

ただし、アウトソースは海外に受注されるケースも多いため、日本国内でIFRSアウトソースを受注している会計事務所は少数派です。

IFRS導入済みの会社では、作業がルーティン化されているため、業務負荷が比較的少ないという特徴があります。

また、通常の経理業務にも従事するため、例えば、

  •  経費締めのタイミング
  •  固定資産償却を回すタイミング
  •  原価計算を回すタイミング
  •  月次の会計を締めるタイミング

など、経理スケジュールの全体像を理解することができます。

これらの経験は、管理職として経理のボトルネックを把握し是正するなどのシチュエーションで活かせるほか、経理の一部外部委託(BPO)や、決算早期化などのプロジェクトでも活用することができるでしょう。

IFRS系に転職した場合の残業時間の目安

先述のとおり、IFRS関連への関与という視点から、大きく3つに分けられます。

もちろん、企業によっても残業の多寡は異なりますが、ここでは残業時間の「大まかな目安」を述べておきます。

残業時間の大まかな目安
  • IFRSコンサル系 : 50~70時間
  • IFRS導入フェーズの事業会社 : 60~100時間
  • IFRS導入済みの事業会社 : 20~40時間

コンサル系(監査法人・FAS)は、残業時間が多い傾向にあります。

これは、IFRS導入支援プロジェクトに関与するケースが多いためです。

元々IFRSに強い人材が少ないこともあり、平均して50~70時間/月の残業が生じますが、(プロマネが適切に機能していれば)夏季休暇・年末年始の休暇が十分に取れるケースも多いです。

ちなみに、中小監査法人の場合は「残業時間がほぼゼロ」という法人もあります。

大手監査法人とは大きな違いです。

一方、導入フェーズにある事業会社も同様に忙しくなりやすく、システム入れ替え時にトラブルが発生すると、導入後も残業時間の多い日々が続くケースがあります。

逆に、すでにIFRSが導入されルーティン化されているような事業会社では、一般的な経理と同様に残業時間は少ない傾向にあります。

もちろん、これらは目安にすぎません。
実際は、必ず応募前に転職エージェントに確認をしてください。

IFRS系で転職した場合、英語力はどの程度求められる?

IFRS自体は、さほど英語力が高くなくても関与することができます。

情報インタビュイーのA.Eさんも、アドバイザリー側・事業会社側の双方でIFRSに関与していますが、IFRSに関連して英語力が求められたケースは少ないそうです。

ただし、IFRS導入企業では(結果として)英語力が求められるケースが多いです。

なぜなら、IFRS導入企業はグローバル展開しているケースが多く、IFRSに関係なく英語力が求められるシチュエーションがあるからです。

英語力の求められるシチュエーション
  • クライアントの海外子会社へのヒアリング時
  • 本社の会計ポリシーを、海外子会社に展開する時
  • 海外子会社からの英語での問い合わせがあった時
  • その他、社内公用語が英語の場合など

英語の活用度合いを意識される方は、事前に転職エージェントから情報を入手し、かつ採用面接で必ず確認しましょう。

求人票に記載されている情報が古いケースもありますから、事前確認はマストです。

IFRS系に転職した場合のメリット

公認会計士がIFRS系に転職した場合、次のようなメリットがあります。

会計士がIFRS系に転職するメリット
  1. 年収水準が高い
  2. 事業会社での評価が高い
  3. スキルの汎用性が高い

それぞれ解説します。

① 年収水準が高い

実際に求人を見ると分かりますが、IFRS系の求人は他の求人に比べて年収水準が高いという特徴があります。

下記は、公開求人のうち「公認会計士向けのIFRS経理求人」を集計したデータです。

IFRS経理の年収データ

IFRS経理の年収データ
「マイナビ会計士公開求人データ」を基に作成)

上記を集計し、「公認会計士向けの通常の経理」の年収と比較した結果は次のとおりです。

  • 通常の経理:平均773万円
  • IFRS経理  :平均824万円

公認会計士向けの求人はどれも年収が高いですが、IFRS経理の求人は(通常の経理よりも)更に50万円ほど高くなる傾向にありました。

また、加えて「英語力」が求められる求人では、約100万円 も年収が上がる傾向にありました。

なお、会計士の年収については、以下の記事で全職種のリサーチ結果を公開しています。

② 事業会社での評価が高い

BIG4でのIFRS経験は、特に事業会社で高く評価されます。

なぜなら、BIG4でIFRSを経験した会計士は、(社内研修・多種多様なチームへの関与等を通じて)IFRS基準を体系的に理解きている為です。

一方、事業会社では直接関連する基準のみを学習する方が多いため、体系的に理解している方が少ない傾向にあります。

そのため、日本基準・IFRS基準を体系的に理解している会計士は希少価値が高く、特に事業会社では経験を高く評価されます。

③ スキルの汎用性が高い

IFRSは 汎用性の高いスキルです。

基準の全てを知るには時間がかかりますが、典型論点(有給休暇債務、有価証券、固定資産など)があり、IFRS系なら基本的にはどこでも活用できる知識です。

個人的に、(希少価値の高さも相まって)監査の次の汎用性の高いスキルだと感じています。

そのため、身に付けたスキルがどこへ行っても活用しやすい、というメリットがあります。

IFRS系に転職した場合のデメリット

一方、公認会計士がIFRS系に転職した場合、次のようなデメリットがあります。

会計士がIFRS系に転職するデメリット
  1. IFRS導入フェーズは、残業時間が多い
  2. 外資色(外資の発言力)が強いケースがある

それぞれ解説します。

① IFRS導入フェーズは、残業時間が多い

コンサルや事業会社内でIFRS導入に関与する場合、残業時間は増えます。

コンサルはある種仕方ないと言えますが、事業会社であっても、IFRS導入期は残業時間が増えます。

必ずしも、事業会社=残業時間が少ないという訳ではないため、(ワークライフバランスを重視される方は)必ず応募前に確認しましょう。

② 外資色(外資の発言力)が強いケースがある

グローバル展開している事業会社の場合、本社が日本法人であっても、海外の発言力が強いケースがあります。

そのため、日系企業でありながら外資色の強い組織もあり、外資の言いなりになっている組織が存在します。

自ら裁量をもって仕事をしたい方は、この点も注意する必要があります。

こちらも同様に、(求人を見てすぐに応募するのではなく)事前にエージェントに裁量権限を確認したり、直接ヒアリングをする必要があるでしょう。

IFRS業界の市場動向と将来性

あくまで私の予測ですが、当面の間、IFRS関連の市場は安定的に広がり続けると思っています。

なぜなら、IFRS適用会社・上場会社数のそれぞれが安定して増加しているからです。

IFRS適用会社数推移
(引用:金融庁「会計基準を巡る変遷と最近の状況」

ご存じのとおり、日本でのIFRS強制適用はないものの、任意適用会社の数は年々増加しています。(コロナの影響も関係なく増加し続けています)

IFRS適用の目的は企業によって様々ですが、主として「海外投資家からの資金調達」が考えられ、そのため特に上場会社での適用件数が増加しています。

上場会社数推移
JPX「上場会社数・上場株式数」を基に作成)

上記のとおり、日本国内での上場会社数も増加し続けていることから、今後もIFRS適用へのニーズはゆるやかに増加するでしょう。

また、今後もIFRS15号・IFRS16号のような大規模改定があった場合には、一時的にIFRS市場全体でニーズが増えるでしょう。

ただし、日本はIFRSコンバージェンスのスタンスを取るため、10年~20年後にも今のようなニーズがあるかという点は1つのリスクであると考えられます。(つまり、IFRSと日本基準の差異がなくなる可能性がある)

IFRS系職種への転職難易度

IFRS経験のある会計士は希少価値が高く、需要が多いのが特徴です。

会計士であれば(そして30代であれば)転職難易度は低く、応募すれば高確率で内定まで進むでしょう。

インタビュイーのA.Eさんの場合、上場経理3社応募→3社書類通過→2社内定、という実績でした。

IFRSの経験に加えて、主査経験やSAP等の知見があると、更に高い年収を提示されるようです。

ただし、先述のとおり業務内容(どの程度IFRSに触れられるか等)は企業によって異なるため、求人を見てすぐに応募するのではなく、具体的な業務内容についてエージェント等に確認する必要があります。

IFRS系に転職した後のキャリア

IFRS業界で転職した会計士が次のステップを目指す場合、先述した6種の転職先の中からキャリアを選ぶことになります。

IFRSは汎用性が高く、また希少価値も高いことから、まだまだ需要が途切れることはないでしょう。

そして、更に希少価値を高めるために、IFRS×他国の会計基準、IFRS×USCPA等々、親和性の高い会計領域との掛け合わせによりキャリアアップされている方もいます。

※この辺りは非常にニッチですが、だからこそ希少価値を高めやすく、儲かるフィールドであると感じます。

汎用性が高く希少価値も高めやすい領域であることから、わりと美味しいポジションだと思います。

【比較表】会計士におすすめの転職エージェント

最後に、会計士におすすめの転職エージェントを紹介します。

スクロールできます
マイナビ会計士レックスアドバイザーズMS-Japanヒュープロ
(Hupro)
ジャスネットキャリア
マイナビ会計士レックスアドバイザーズMS-Japanヒュープロジャスネットキャリア
総合評価
( 10/10 )

( 9/10 )

( 8/10 )

( 7/10 )

( 7/10 )
求人数4,000件~1,500件~1,800件~300件~800件~
対象年代20代~30代20代~50代30代~40代20代~50代20代~30代
対応エリア関東
近畿
愛知県
静岡県
全国全国全国全国
設立1973年2002年1990年2015年1996年
資本金21億210万円6000万円5億8600万円2億2740万円3800万円
特徴公認会計士限定会計全般に強い管理部門に強い会計事務所に強い士業向け
得意領域公認会計士経理
コンサル・FAS
会計事務所
経理
監査法人
FAS
経理
会計事務所
士業全般
(弁護士等含む)
利用料金無料無料無料無料無料
評判口コミ評判を見る評判を見る評判を見る評判を見る評判を見る
公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト

会計士がIFRSで転職する場合には、マイナビ会計士1択です。

なぜなら、唯一の会計士専門大手エージェントであり、会計士向けの求人数がNo.1だからです。

以上、IFRSに関する転職について分かる範囲で書き記しました。

IFRS系は監査法人でのキャリアを活かしやすいため、転職時に高い年収を提示されるケースが多いです。

多くの求人を入手し、自分を高く評価してくれる会社を選ばれることをオススメします。

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