監査法人のマネージャーが転職する時に「評価される点」と「注意点」

監査法人のマネージャーが転職する時に「評価される点」と「注意点」

公認会計士・税理士の藤沼です。

近年、会計士のBIG4離れが進んでいますが、マネージャーの方でも転職される方が増えているようです。

そこで今回は、監査法人のマネージャーの方が転職される時の「評価されるポイント」「注意点」について、情報共有させて頂きます。

この記事で分かること


  • 「監査経験のみ」というキャリアを不安視し、転職する会計士は多い
  • パートナーへの昇格が困難を極めるため、マネージャー昇格と同時に転職する会計士が増えている
  • 「BIG4でのマネージャー」という経歴は非常に高く評価され、転職直後に年収が跳ね上がる
  • 転職先での期待値を上げすぎないよう、注意が必要
  • 監査法人から転職するなら、必ず会計士に強い転職エージェントを使うべき
この記事を書いた人

1986年生まれ(40歳)
公認会計士(登録番号:37095)
税理士(登録番号:143265)

2014年 EY新日本有限責任監査法人 入社
2018年 東京共同会計事務所 入社
2019年 藤沼会計事務所 独立開業
2020年 アカウントエージェント株式会社 代表取締役

情報インタビュイー
公認会計士N.Kさん
N.Kさん

31歳
公認会計士

2011年 大手監査法人 入社
2018年 マネージャー 昇格
2020年 上場経理(IFRS) 入社


目次

監査法人のマネージャーが転職した際の年収は平均1021万円

監査法人のマネージャーが転職した時の「具体的な年収額」は、転職エージェントの求人検索で集計することができます。

今回は、大手エージェントの マイナビ転職会計士 の求人データを参照し、実際の年収をリサーチしました。

年収集計結果(求人票ベース)
  • 下限値:860万円
  • 上限値:1,550万円
  • 平均値:1,021万円

あくまで求人票ベースですが、BIG4のマネージャーが転職した直後の「平均年収」は1,021万円でした。

会計士(全職種・全職階)が転職した時の1年目の平均年収は「761万円」ですから、「マネージャー経験者」は非常に高く評価されることが分かります。

職種ごとの年収傾向としては、「経理」はやや低い傾向、「コンサル系」は平均して高い傾向でした。

また、職種に関係なく「英語力」「M&A系の経験値」「IT業界での経験」があると、年収は100万~150万ほど高くなる傾向にありました。

監査法人のマネージャーの主な転職理由4選

他の会計士の転職理由を知りたい場合は、企業口コミサイトが役立ちます。

ここでは、実際に「OpenWork」という口コミサイトを用いて、「BIG4/公認会計士/マネージャー/退職理由」でソートした際の出力結果、及び情報インタビュイーのK.Uさんの転職理由を掲載します。

30代に入るタイミングでワークライフバランスの改善を決意した

N.Kさん(マネージャー)の転職理由
N.Kさん(マネージャー)の転職理由
N.Kさん
(匿名)

プロフィール

  1. 年齢 :30歳(転職時)
  2. 資格 :公認会計士
  3. 転職先:大手監査法人 → 上場経理

コメント

幅広い業務(間接業務)を経験できるようになる半面、複数の監査業務(直接業務)をこなさなければならないため、シニア時代よりも更に多忙になった。
シニアマネージャー・パートナーになると更に多忙になることが想定され、近年は「働き方改革」によるシワ寄せがマネージャー陣に来ている印象がある。
また、30代に入るタイミングで家庭の時間を増やしたいと考えるようになり、転職を決意した。

外部監査人としてだけでなくプレイヤーとしての経験値を求めて

Aさん(マネージャー)の転職理由
Aさん(マネージャー)の転職理由
Aさん
(匿名)

プロフィール

  1. 年齢 :35歳(転職時)
  2. 資格 :公認会計士
  3. 転職先:大手監査法人 → 上場経理

コメント

外部からプロジェクトをサポートする立場ではなく、プレイヤーとして現場に深く入り込めるような経験をしたいと思うようになった。
監査法人のマネージャーではあるものの、「伝票の入れ方」「決算締めのやり方」などは未経験で分からなかったため、そのような所から経験を積んでみたかった。
そのため、プレイヤーとしてのスキルアップを図れる上場経理に転職した。

パートナーに上がるのが極めて困難で感情的な評価の度合いが強い

Bさん(マネージャー)の転職理由
Bさん(マネージャー)の転職理由
Bさん
(匿名)

プロフィール

  1. 年齢 :34歳(転職時)
  2. 資格 :公認会計士
  3. 転職先:大手監査法人 → 中小監査法人

コメント

マネージャー昇格も狭き門であったが、シニアマネージャー・パートナーへの昇格は更に厳しく、現実味がないと感じた。
また、パートナーへの昇格では(能力も必要だが)パートナー層に気に入られる必要があり、感情的な評価の度合いが強いと感じる。
BIG4での昇格制度に疑問を感じたため、他業種へ転職した。

会計士として今後のキャリアを考え監査以外のスキルを身に着ける

Cさん(マネージャー)の転職理由
Cさん(マネージャー)の転職理由
Cさん
(匿名)

プロフィール

  1. 年齢 :38歳(転職時)
  2. 資格 :公認会計士
  3. 転職先:大手監査法人 → FAS

コメント

一通りの監査経験・マネージメント経験は得たため、「やりきった」という達成感を感じた。
会計士としての今後のキャリアを考えると、「監査経験だけでは厳しくなるのでは」と感じ、他の興味ある業種に転職した。
実際、転職後は監査法人でのマネージメント経験を活かしながらも、新たな分野のスキルが学べているため満足している。

監査法人のマネージャーが転職時に評価される「経験」「スキル」

監査法人のマネージャーという経歴は、特に、次のような経験・スキル面で評価されるようです。

監査法人のマネージャーが転職時に評価される知見

特定業界の専門知識|同業種に多くかかわれるのが公認会計士の強み

マネージャーになると、特定の業種のナレッジが蓄積されます。

この点が(特に事業会社では)評価される傾向にあります。

なぜなら、事業会社の職員は自社に関する知識はあるものの、業界全体の横断的な知識は浅いからです。

特定の業界(例えば建設業・飲食業など)に特化した経験は、監査人でなければ得られない経験です。

管理職としての経験|マネジメント経験は即戦力として重宝される

一般に、管理職には次のような能力が期待されます。

  • 組織全体の利益視点
  • 部下の育成・フォロー
  • コミュニケーション能力

逆に言えば、監査法人でのマネージャー経験者を採用する企業での面接の際は、上記の能力をアピールすべきとも言えるでしょう。

間接業務への関与経験|組織のアピール・広報にもなりうる

監査法人内でのマネージャー昇格後は、一般に次のような間接業務への関与が増えるでしょう。

  • セミナー講師・研修講師
  • 採用面接官
  • 雑誌・書籍への寄稿

転職後も管理職ポジションに就く場合でも、たとえば企業内での研修講師、リクルート活動への参画などを期待されるケースがあります。

また、「雑誌への寄稿経験」は転職後の業務に直接役立つケースは少ないものの、有名雑誌・書籍に氏名が掲載されることによる社会的信用力が高まり、1つのアピールポイントになるでしょう。

監査法人のマネージャーが転職する際の2つの注意点

監査法人でのマネージャー経験は、とても高く評価されます。

しかし、次の2点において注意が必要です。

監査法人のマネージャーが転職する際の「注意点」

期待値が上がりすぎる可能性|事前に業務範囲のすり合わせは必須

監査法人のマネージャーとして高い評価を得て転職した場合、上長からの期待値が上がりすぎる可能性があります。

そのため、たとえば仕事を丸投げ・無茶ぶりされるケースがあり、事前に業務内容・範囲を確認しておく必要はあるでしょう。

特に、会計士の採用実績が少ない組織では、「会計士なら何でも任せて良い」と考える組織も散見されるようです。

ワークライフバランスを求めて転職される方は、ご注意ください。

経営陣・部下との相性|どの組織でもチームワークが重視される

言うまでもないかもしれませんが、管理職としては「組織構成員との相性」も重要です。

監査法人では、比較的相性の良いチームを選べる傾向にありましたが、管理職として転職した際は、既にあるチームの中に溶け込む必要があります。

会計人としての経験値は高かったとしても、転職先での経験値は部下の方が上ですから、チームメンバーに頼らざるを得ないシチュエーションも多いでしょう。

そのため、面接の過程で「カジュアル面談」などを積極的に受け、組織・チームの雰囲気を事前につかむ必要があるかもしれません。

監査法人のマネージャーが経歴を大きく活かせる4つの転職先

監査法人のマネージャーが経歴を大きく活かせる転職先は、4種あります。

監査法人のマネージャーが経歴を大きく活かせる転職先

経理|最も高く評価される!監査経験をフルに活用できる職種

監査法人でのマネージャー経験は、「会計知識」「管理能力」の2点で、経理部で役立てることができます。

伝票承認や予算管理は未経験の方も多いと思いますが、(初めは大変ですが)すぐに慣れるでしょう。

また、経理は残業時間が少ない傾向にあるため、ワークライフバランスを見直したい会計士の方にもオススメです。

ただし、既に事業が平準化され、定常業務が大半を占めるような安定した事業会社では、既存の会計知識(及び情報のリサーチ能力)をフルに活かせないというデメリットもあります。

つまり、非定常業務が少ないため、「不測の事態に活躍する」というシチュエーションは少ないのです。

監査法人でのマネージャー経験をフルに活かすのであれば、非定常業務の多い「メガベンチャー」や、上場(鞍替え含む)を控えたベンチャーCFOの方が良いかもしれません。

監査法人アドバイザリー部門|M&A関連業務であればすぐに戦力になる

監査法人からBIG4系のアドバイザリーへの転職(または部門移動)であれば、違和感なくプロジェクトに関与できるでしょう。

M&A系の部門であれば、(特に財務DD等で)監査経験をそのまま活かしながら、ファイナンス領域の経験値を高めることができます。

チーム編成も監査部門とほぼ同様であることから、マネージメント手法もほぼ同様です。

ただし、BIG4のアドバイザリー部門では、特定のサービスラインのみに関与する(バリュエーションならバリュエーションのみに関与し続ける)ケースが多いことから、業務の幅広さを求める方には向きません。

日系FAS|特定のサービスだけでなく幅広く携わりたい会計士におすすめ

FASも監査法人と同様、チーム単位でプロジェクトが進行します。

ただし、日系のFASはBIG4と比較すると規模が非常に小さいため、チームも小規模になります。(2名~4名程度が一般的)

一方、業務は非常に幅広いため、特定のサービスラインに限定されず、幅広くFAS全般に携わりたい方にはオススメです。

中小監査法人|パートナーへの昇格ハードルはかなり低い

「監査法人でパートナーを目指す」という方には、中小監査法人が非常にオススメです。

私は大手監査法人(EY)と中小監査法人の両方を経験しましたが、間違いなく、中小監査法人の方が昇格しやすいと感じました。

※ 準大手監査法人(太陽や東陽など)は昇格基準が厳しいですが、もう少し規模の小さな法人であれば、昇格水準がとても低いです。

実際、私(会計士歴10年ほど)の同期でも既に中小監査法人のパートナーに昇格している会計士が何人もいます。

BIG4では(ある種ムダとも思えるような)細かな作業が多いですが、中小監査法人ではグローバルの縛りがないため、本質的な業務に専念することができます。

その他|会計士の転職先は全13種もある!

会計士の転職先は全部で13種あります。

上記以外の転職先から幅広く選ぶ場合には、次の記事が参考になるはずです。

会計士に強い!オススメの転職エージェント

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マイナビ転職会計士レックスアドバイザーズMS-Japanヒュープロジャスネットキャリア
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対象年代20代~30代20代~50代30代~40代20代~50代20代~30代
対応エリア関東
近畿
愛知県
静岡県
全国全国全国全国
設立1973年2002年1990年2015年1996年
資本金21億210万円6000万円5億8600万円2億2740万円3800万円
特徴公認会計士限定会計全般に強い管理部門に強い会計事務所に強い士業向け
得意領域公認会計士経理
コンサル・FAS
会計事務所
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監査法人
FAS
経理
会計事務所
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なぜなら、マイナビ転職会計士は唯一会計士に特化した大手エージェントであり、求人数がNo.1だからです。

監査法人のマネージャーの方は、転職市場で高く評価される反面、「期待値が上がりすぎる点」「構成員との相性」には注意が必要です。

転職は人生の大きな選択ですから、ぜひ失敗のないよう慎重に転職先を吟味してください。

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