公認会計士・税理士の藤沼です。
会計系での転職を考えている方にとって、「転職サイト・転職エージェント選び」は悩みどころです。
そこで今回は、会計系転職サイト SYNCA の評判・口コミを紹介します。
SYNCAとは?


SYNCAは、「管理部門(バックオフィス)」に特化した転職サイトです。
主なサービスの概要は、次のとおりです。
SYNCAの主なサービス概要
1. 求人検索機能 | |
2. キャリアカウンセリング | (希望者のみ) |
3. スカウトサービス | |
4. 履歴書・職務経歴書の添削 | – |
5. 面接対策 | – |
6. 条件交渉の代行 | – |
7. 利用料 | 無料 |
上記のとおり、SYNCAには 転職エージェントが通常提供するようなサービス(面接対策・書類添削)がありません。
次に、他の転職エージェント・転職サイトと比較するために、SYNCAの専門分野・特徴を解説します。
① 専門分野・特徴


SYNCAは、「経理部」「人事部」「総務部」などの管理部門に特化した転職サイト(求人サイト)です。
ただし、よくよく求人を見てみると、全体の約半数の求人が「経理・財務」に集中しており、全体の3割の求人が「人事系」に集中していました。(詳しくは後述)
そのため、SYNCAは会計・人事に特化した転職サイトと言えるでしょう。
なお、SYNCAは転職エージェントではないため、担当コンサルタントが付くことはなく、自身で求人を見て転職活動を進めることになります。
一方、SYNCAは単なる求人サイトではなく、SYNCA独自のロジックによって求職者のスキル・経験値から求職者にマッチした求人を紹介する点が大きな特徴です。
このような転職サイトは珍しく、受動的に「求人を紹介して欲しい」という方のニーズには合致したサービスでしょう。
また、会計人への「副業」を紹介している点も1つの特徴です。
次に、SYNCAの案内する求人数を見てみましょう。
② 求人数


実際に登録し、求人数を数えてみました。
SYNCAの保有する求人数
- 東京 :598件
- 東京以外:121件
- 合計 :719件
(2023年12月1日現在のデータ)
「会計・税務」の業界で転職する方にとって、求人数はあまり多くないようです。
③ 市場価値診断サービス


他の会計系転職サイト・転職エージェントにはない特徴として、「市場価値診断」というサービスがあります。
「市場価値診断」をかんたんに説明すると、スキル・経歴をアンケート形式で入力することで、自分の「市場価値=適性年収」が分かるというサービスです。
会計系の転職サイトとしては、唯一SYNCAのみが提供しているサービスです。
なお、このサービスを利用した感想は後述します。
④ その他 概要
その他、SYNCAの基本情報は次のとおりです。
運営会社 | 株式会社WARC |
設立年 | 2017年5月 |
資本金 | 600,000,000円 |
本社 | 〒153-0063 東京都目黒区目黒1-4-16 目黒Gビル5F |
分類 | 転職エージェント |
株式会社は、もともと「経営管理支援(コンサルティング)」業務が本業です。
とはいえ、転職支援に係るバックボーンが何も無いわけではなく、SYNCAサービスを提供するWARC AGENT事業はJACリクルートメント出身の方が責任者を務めるなど、運営の素地はあるようです。
設立から未ださほど年月が経っていませんが、調達資金・メンバーが多く、成長途上にあると言えるでしょう。
次に、SYNCAを利用した方による評判・口コミを見てみましょう。
SYNCAの良い評判・口コミ


実際にSYNCAを利用した方に、アンケート調査を実施しました。
なお、SYNCAは(他の転職エージェントに比べると)利用者が少なく、評判・口コミ数もあまり多くありませんでした。
まず「良い評判・口コミ」から見てみましょう。
① コンサルタントが親身になってくれた


(匿名)
プロフィール
- 年齢 :29歳(転職時)
- 保有資格:公認会計士試験合格者
- 転職先 :大手監査法人 → ベンチャー経理
- 評価 :( 4.0 )
評判・口コミ
SYNCAは転職サイトだが、希望者には面談を実施してくれる。
小さな転職サイトだったため、正直あまり期待していなかったが、意外と担当者が親身になって相談に乗ってくれた。
組織がまだ小さいため、担当者の横柄さは全く感じなかった。
ただし、紹介してもらった求人の中に自分の望む業種はなく、他の転職エージェントを使って転職した。
② 管理部門専門の安心感があった


(匿名)
プロフィール
- 年齢 :36歳(転職時)
- 保有資格:日商簿記1級
- 転職先 :上場経理 → 上場経理(管理部長)
- 評価 :( 3.0 )
評判・口コミ
大学卒業後、約15年間に渡って経理業務に従事していた。
転職は1度しているが、経理業界は意外と専門性が高く、メーカー→飲食など、異なる職種への転職には抵抗があった。
SYNCAでは、この点をよく理解してくれていたと思う。というのも、業種ごとに会計処理・働き方が変わることについて、担当者が理解していたからだ。
この点は、管理部門専門のサイトならではだと思った。
しかし、エージェントサービスは十分でないため、★3とした。
③ 信頼できる人格
GoogleMAPでの「株式会社WARC」に対する口コミには、次のような良い口コミがありました。


こちらで紹介されている「K.Sさん」というコンサルタントの方は、他の方の(株式会社WARCに対する)口コミにも名前が挙がっていました。
口コミにエージェント個人の名前(イニシャル)が出ることは珍しく、優れたコンサルタントが在籍していることが分かります。
ちなみに、複数件のレビューで同一人物のイニシャルが出たことから、スパム的な口コミではないかと疑い、他のレビューを見てみましたが、どうやら本当に利用している一般人の方のようでした。
SYNCAの悪い評判・口コミ


続いて、SYNCAの「悪い評判・口コミ」を見てみましょう。
※ 掲載されている口コミは、あくまで個人の感想です。
① あまり希望を聞いてもらえなかった


(匿名)
プロフィール
- 年齢 :33歳(転職時)
- 保有資格:公認会計士
- 転職先 :大手監査法人 → ベンチャーCFO
- 評価 :( 2.0 )
評判・口コミ
経理を始めとする管理部門に強いとのことだったので登録。
確かに、SYNCAには経理系の求人が多いと思った。(特にIT系が多いと感じた)
しかし、ベンチャーやCFOの求人があまり紹介してもらえず、単なる上場経理の求人ばかり紹介された。
事前にプロフィールとしてスキル・経歴・希望も書いていたのだが、これでは時間の無駄だと感じた。
求人が少ないのは仕方ないが、もう少し希望を聞いてくれても良いのではと思った。
② 紹介してもらえる求人が少ない


(匿名)
プロフィール
- 年齢 :32歳(転職時)
- 保有資格:税理士科目合格者(2科目)
- 転職先 :会計事務所 → ベンチャー企業
- 評価 :( 2.0 )
評判・口コミ
同じ税理士受験生の知人から紹介され、SYNCAに登録させて頂いた。
しかし残念ながら、良い企業の求人が少ないと感じた。
自分で求人を検索してみても、そもそも全体の求人数が少ない。また、たまにオファーとして紹介を頂くこともあったが、どこかで見たことのある求人ばかりだった。
次第に自分の希望とはそぐわない求人も紹介されるようになったため、以降利用をストップした。
求人サイトとして利用する分には良いのだろうと思う。
③ 適性年収が高めに出る傾向
先述のとおり、SYNCAには「市場価値診断」というサービスがあり、自分の適性年収を算出することができます。
この「市場価値診断」サービスについて、Twitterでは次のような口コミがありました。
「適性年収が高く出た方が嬉しい」と感じるかもしれませんが、その年収が本当に得られるかどうかは別です。
その結果を完全に信じて活動を進めてしまった場合、いつまで経っても、自分に最適な企業とマッチングできなくなる可能性があります。
SYNCAを利用するメリット


SYNCAを利用するメリットは、次のとおりです。
- 気軽に求人を探せる
- 求人の網羅性を高めることができる
それぞれ解説します。
① 気楽に求人を探せる


転職エージェント・転職サイトでは、(極端に規模の小さなエージェントを除き)「求人検索機能」を使うことができます。
SYNCAにも求人検索機能があり、いつでも誰でも使うことができるため、気軽に求人を探せるというメリットがあります。
ただし 後述しますが、SYNCAでは取り扱う求人数がかなり少ないため、利用の際は「傾向を知る」程度に利用されることをオススメします。
② 求人の網羅性を高めることができる


SYNCAでは、求人数自体は少ないものの、他の転職サイト・転職エージェントでは扱っていない求人を保有してる可能性もあります。
効率はやや落ちますが、「求人を全て網羅したい」という方には 併用するメリットがあるでしょう。
SYNCAを利用する際の注意点


SYNCAを利用する場合、次の3点に注意する必要があります。
- 求人数が少なすぎる
- エージェントサービスが受けられない
- マッチングに失敗する可能性がある
それぞれ解説します。
① 求人数が少ない


SYNCAの求人数は少なめです。
転職活動を成功させるためには、「より多くの選択肢の中から選ぶ」ことが最も大切です。
なぜなら、少ない求人の中から選んでしまうと、「より良い求人」を逃す可能性があるからです。
SYNCAを利用する際には、あまり本気で求人を吟味せず、求人の傾向を掴む程度で利用することをオススメします。
② エージェントサービスが受けられない


SYNCAは「転職サイト」です。
「転職サイト」は「転職エージェント」とは異なり、一部のサービスを受けることができません。
「転職エージェント」で受けられる代表的なサービスは、次のとおりです。
「転職エージェント」で受けられる代表的なサービス
- キャリアカウンセリング
- 求人票には記載されていない情報(内情・雰囲気など)
- 面接対策・書類の添削
- 報酬交渉・条件交渉の代行
- 採用担当者とのコミュニケーションの代行
上記サービスをすべて無料で受けることができるため、余程の理由がない限り、「転職エージェント」を使った方が効率的です。
特に、転職が初めての場合、「キャリアカウンセリング」は必須です。
今回が初めての転職の方は、他の「転職エージェント」の利用も考えましょう。
③ マッチングに失敗する可能性がある


先述のとおり、SYNCAは「転職サイト」ですから、ご自身で気になる企業を探さなければなりません。
しかし、文字だけの求人票を見ていても、会社の内情までは見えてきません。
内情が分からないまま応募し、仮に入社した場合、「イメージしていた会社と違う…」等、ミスマッチを生む恐れがあります。
また、転職エージェントのコンサルタントは、求職者&採用企業の双方に接点のある唯一のキーパーソンです。
そのため、コンサルタントから紹介される求人は、自分一人で探した求人よりも相性が良い傾向にあります。
一方、SYNCAではマッチングしてくれる人がいないため、ぶっつけ本番、自分自身で相性を確かめなければなりません。
多くの選択肢の中から選び、アンマッチという失敗を防ぎ、効率的に転職活動を進めたい方には、「転職エージェント」を活用することをオススメします。
SYNCAで取り扱っている求人


実際にSYNCAの求人検索システムを利用し、取り扱っている求人数・種類を集計してみました。
結果は次のとおりでした。
対応職種 | 事業会社 経理部・財務部 / 内部監査 / 経営企画部 / ベンチャー / CFO / 人事部 / 総務部 / 法務部 / 広報部 その他 |
対応資格 | 公認会計士 / 税理士 / 税理士科目合格者 / 社会保険労務士 |
対応エリア | 北海道青森岩手宮城秋田山形福島茨城栃木群馬埼玉千葉東京神奈川新潟富山石川福井山梨長野岐阜静岡愛知三重滋賀京都大阪兵庫奈良和歌山鳥取島根岡山広島山口徳島香川愛媛高知福岡佐賀長崎熊本大分宮崎鹿児島沖縄 |
対応雇用形態 | 正社員 / 契約社員 / 業務委託 / 副業 |
(2023年12月1日現在のデータ)
SYNCAで取り扱っている求人は、事業会社の管理部門がほとんどでした。
対応している地域は東京がメインであり、地方の求人はほとんど検出されませんでした。
また、更に細かく検証するため、SYNCAで取り扱っている求人を業種別に集計してみました。
結果は下記のとおりです。
業種 | 求人割合 |
---|---|
経理・財務関係 | 約45% |
人事・労務関係 | 約27% |
経営企画 | 約10% |
法務部 | 約8% |
総務部 | 約6% |
IT | 約2% |
管理部長職 | 約2% |
内部監査 | 約1% |
(合計) | 100% |
上記のとおり、管理部門のうち特に「経理財務」「人事労務」の求人が多く、全体の70%以上を占めていました。
そのため、SYNCAは「経理部」「人事部」への転職を考えている方をターゲットにしていると言えるでしょう。
なお、SYNCAとよく比較されるサービスについては後述しています。
SYNCAを実際に利用した感想


ここでは、「市場価値診断」を実際に利用した感想をお話します。
悪い評判・口コミにもありましたが、プロフィール入力後に表示される「市場価値診断を元にした適正年収」は、かなり高めに表示されます。
例)私の場合
私の(会社員時代の)経歴は次のとおりです。
- 資格 :公認会計士
- 会計士歴:5年
- 監査法人:3年以上
- FAS経験:1年未満
- 主査経験:あり
簡単ですが、上記のとおりで適正年収を出力したところ、次のような結果でした。


適性年収は、900~1,550万円 とのことです。
一応、独立する直前年度の年収は900万円でしたので、ギリギリ適性年収に収まっていたようですが…。
しかし、私や周りの会計士を見ていても、この程度のスキル・経歴では、年収1,000万さえ超えることはほぼ無いはずです。
そのため、「この年収判定はどうなんだろう…」というのが正直な感想でした。
あくまで個人的な意見ですが、あまりこの結果を信じすぎるのも良くないと思います。
SYNCAをオススメできる人


SYNCAは、次の方にオススメです。
- すでに応募する企業が決まっている方
- 今すぐ転職する気はない方
以下、解説します。
① すでに応募する企業が決まっている人


「応募する企業」が決まっているのであれば、あとは求人票を探すだけです。
そんな時の選択肢として、SYNCAを使うのは有効です。
特定の転職エージェント・転職サイトでのみ求人を出しているケースもある為、できるだけ多くの転職エージェント・転職サイトを利用すべきでしょう。
なお、どこを探しても求人が見つからない場合、「直接応募」という最終手段が残されています。
そもそも中途採用をしていないケースもありますが、(どうしても応募したい企業がある場合は)ダメ元でも応募してみるべきです。
② 今すぐ転職する予定はない人


求人を眺めるだけなら、SYNCAはすぐに利用できます。
「今すぐ転職する気はないけど、求人を眺めてみようかな」という方は、利用しても良いでしょう。
ただし、大手エージェントに比べて求人数が極端に少ないため、この点はご留意ください。
SYNCAをオススメできない人


次の方には、SYNCAはあまりオススメできません。
- たくさんの求人の中から、選びたい方
- 転職が初めての方
以下、解説します。
① たくさんの求人の中から、選びたい人


先述のとおり、SYNCAの求人数は(他社と比較すると)あまりにも少ないです。
転職で失敗しないためには、企業とのアンマッチをできる限り回避する必要があるでしょう。
多くの求人の中から選ぶことで、相性の良い企業が見つかる確率は上がります。
転職活動を成功させるために、「たくさんの求人の中から選びたい」という方には、SYNCAはオススメできません。
② 転職が初めての人


先述のとおり、SYNCAは(他のエージェントに比べて)利用者数が少ないため、提示される「キャリアプラン」の数も少なくなります。
特に、転職が初めての方はキャリアプランが明確でないケースがほとんどですから、転職エージェントによる「キャリアカウンセリング」が非常に重要です。
※ キャリアカウンセリングとは、求職者に最適な職種・業種を探索するプロセス(支援)をいいます。
この点、転職実績の多いエージェントであれば、(基本的には)キャリアカウンセリングのレベルも上がります。
そのため、転職が初めての方は もう少し規模の大きな転職エージェントを選ぶべきです。
【比較表】SYNCAとよく比較される他のサービス
SYNCAとよく比較される転職サービスとして、「Hupro」「MS-Japan」があります。
SYNCAを含め、3社を比較形式でまとめてみました。
SYNCAとよく比較されるサービス
Hupro | MS-Japan | SYNCA | |
---|---|---|---|
![]() ![]() | ![]() ![]() | ![]() ![]() | |
経理の求人数 | 約1,900件 | 約2,600件 | 約300件 |
(都内の) 経理の求人数 | 約1,800件 | 約1,700件 | 約200件 |
対象年代 | 20代~50代 | 20代~50代 | 20代~50代 |
設立 | 2015年 | 1990年 | 2017年 |
資本金 | 2億2740万円 | 5億8600万円 | 6億円 |
対象者 | ・経理 ・会計事務所 | 管理部門全般 | 管理部門全般 |
得意領域 | 経理(都内に限る) | 経理 | 経理・人事 |
特徴 | 東京都の求人数No.1 | 管理部門専門 | 規模が小さい |
総合評価 | |||
公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
評判口コミ | 口コミを見る | 口コミを見る | 口コミを見る |
上記は、「経理」にフォーカスして比較した表です。
「全国における経理」に最も強いのはMS-Japanですが、「都内における経理」に強いのはHuproです。
上記のとおり、転職エージェント・転職サイトによって、特徴は各社異なります。
自分の希望に合った転職サイトを選び、使い分けると良いでしょう。
SYNCAの総合評価


SYNCAの総合評価は、次のとおりです。
- 求人数 :( 3/10 )
- 情報の詳細さ :( 4/10 )
- サポート力 :( 5/10 )
- 対応のスピード:( 5/10 )
- 評判・口コミ :( 5/10 )
総合評価 :( 5/10 )
(参考:当サイトのランキング評価基準)
SYNCAの利用を考えている方は、他の転職エージェントとの併用も考えると良いと思います。
なお、資格者別に転職エージェントをまとめていますので、こちらもご参考ください。
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- USCPA :USCPAにおすすめの転職エージェント