戦略コンサル会社で働く公認会計士の「働き方」と「キャリア」

戦略コンサル会社で働く公認会計士の「働き方」と「キャリア」

公認会計士・税理士の藤沼です。

会計士の転職先として、戦略コンサルを選ぶ方は希少です。

そのため、ネットを探しても中々「戦略コンサルへ転職した会計士」の情報が出てきません。 

そこで今回は、戦略コンサルでの働き方・キャリアについて解説します。

この記事を書いた人

1986年生まれ(38歳)
公認会計士税理士

2014年 EY新日本監査法人 入社
2018年 中堅コンサル事務所 入社
2019年 藤沼会計事務所 開業
2020年 アカウントエージェント株式会社 代表

情報提供者

公認会計士試験合格者

大手監査法人:M&Aコンサルに従事。
外資系投資銀行:クロスボーダーM&Aコンサルに従事。
PEファンド:ディールソーシング・検討・エグゼキューションに従事。

花山さんは、Twitterでも有名な金融マンです。


目次

戦略コンサルとは?

戦略コンサルとは?

戦略コンサルとは、クライアント企業の経営陣に対し、事業計画の相談を受け、改善策等のアドバイス提案を行う仕事またはサービスを言います。

具体的な戦略コンサル企業としては、MBB(マッキンゼー・ベイン・ボストンコンサルティング)、ATカーニー、アーサーディーリトル、経営共創基盤、ローランドベルガー等が挙げられます。

会計士が戦略コンサルで働く場合の仕事内容

会計士が戦略コンサルで働く場合の仕事内容

会計士が戦略コンサルで働く場合に関与する業務内容としては、以下の3つがあります。

会計士が戦略コンサルで働く場合の仕事内容
  1. ビジネスデューデリジェンス
  2. クライアントに対する常駐型のサービス
  3. エグゼクティブに対する経営戦略に関するアドバイザリーサービス

それぞれ解説します。

ビジネスデューデリジェンス

これのタスクは、クライアントが事業会社やPEファンドの場合、事業の成長性、市場構造、事業計画の分析等をしていきます。

会計士であれば、事業の構造を売上高のブレイクダウン(細分化)、コスト構造等から損益計算書を基礎に分析を進めていき、そこに加えて、事業性を財務的に分析しています。

他のデューデリジェンスと同様に、クライアントに対して、しっかりと分析した内容をプレゼンテーション資料としてまとめていくことで、資料作成能力を身につける事ができます。

このように経営層が信頼を置く財務能力を使ったコンサルテインングが、会計士が持つ強みです。

クライアントに対する常駐型のサービス

クライアントに対する常駐型のサービスでは、総合系のコンサルティングファーム(ビック4等の総合コンサル)のみならず、一部の戦略系コンサルティングファームにも、このようなビジネスに参入する傾向にあります。

企業の経営層に対するコンサルティングサービスとは異なり、経営企画部のサポートという位置付けだが、実際にハンズオンに近い形で大手企業の意思決定に関わっていくので、やりがいはとてもあります。

例えば中期経営計画を策定する際に、クライアントの属する市場を分析したり、SWOT分析等で業界内でのポジショニング分析を行います。

会計士の方は、会計士試験の経営学の科目で、経営学の一般的な内容を学習します。

そして、監査用務で経理や財務部の方と、日々距離を近くして業務をしている経験があるので、違和感なく業務に入る事ができます。

エグゼクティブに対する経営戦略に関するアドバイザリーサービス

次に、戦略コンサルティングファームの中で花形とも言われている、エグゼクティブに対する経営戦略の立案に関するアドバイザリーサービスがあります。

これは、一般的に経営戦略の立案と呼ばれるタスクです。

クライアントの経営上の課題をゼロベース思考法で分析し、仮説を構築しながら分析を進め、レポートしてまとめていきます。

こちらは会計士として論理的思考力に加えて、プレゼンテーション資料作成能力が必要になります。

プレゼンテーション資料の内容としては、クライアントの事業が競合他社に対して、市場でどのようなマーケットポジションにあるか、顧客やエンドマーケットはどのようなものが想定可能であり、その状況下でクライアント企業のシェアの割合、そのシェアを拡大していく施策を考え、示唆していく等があります。

会計士が戦略コンサルで働く場合のメリット

会計士が戦略コンサルで働く場合のメリット

会計士が戦略コンサルへ転職を決める際に、キャリアのステップアップとして、いくつかのメリットが挙げられます。

会計士が戦略コンサルで働く場合のメリット
  1. 高い報酬
  2. 優秀な同僚・先輩とのネットワーク
  3. 仮説構築力や事業分析の能力を高い次元で身につける事ができます

それぞれ解説します。

高い報酬

戦略コンサルでは、特に外資系と呼ばれるコンサルティングファームは高い報酬で有名です。

アナリストやジュニア(新卒や中途入社の社員のランク)から昇進して、コンサルタントになると大幅なベースアップ(給与アップ)が1000万円前後ある事に加えて、人事評価に応じたボーナスが加算され、年収1000万円は余裕で稼ぐことができます。

大手監査法人に比べて激務ではあるものの、高収入です。

優秀な同僚・先輩とのネットワーク

MBBや他の外資系戦略コンサルでは、他のファームや業界に行くことを「卒業」という表現をしているファームもあります。

そのため、OBやOGが卒業生と呼ばれます。

その意味では、退職後も同僚・先輩・上司といった縦と横の繋がりができるているので、実際に退社後も案件の受注や仕事の紹介等で、役に立つことが多いです。

なお、このネットワークは外資系戦略コンサルではアラムナイと呼ばれ、戦略コンサルのOB/OGや元社員の卒業生の集まり・ネットワークが充実しています。

仮説構築力や事業分析の能力を高い次元で身につける事ができる

様々な同時並行的に進むプロジェクトにおいて、ゼロベースで問題解決能力・仮説立案能力(Aという問題を解決する為の論点把握と解決)を繰り返し行う事によって、個別の案件のキャッチアップ(理解能力)の速さが身につき、アウトプットの正確性や分析に対する瞬発力があがります。

会計士が戦略コンサルで働く場合のデメリット

会計士が戦略コンサルで働く場合のデメリット

会計士の方は、各四半期末に近づくにつれ忙しくなると思われますが、戦略コンサルタントは年間を通して多忙で、会計士で身につく能力は弱くなっていきます。

主なデメリットとしては、以下になります。

会計士が戦略コンサルで働く場合のデメリット
  1. 長時間労働
  2. バリュエーションや財務モデリング等の財務主要スキルがつかない
  3. 求められるレベルが高くなり、不明確になる(会計士のバックグランドをもつため)

それぞれ解説します。

長時間労働

労働時間については、クライアントサービスなので、提供するサービスの資料のクオリティや、高水準なアウトプットが求めれ、社内でのマネージャーによるレビューや、クライアントへの報告が続き、長時間労働が続くことが多くあります。

もちろん、現在のワークライフバランスが推奨されている社会なので、その点改善を行っている企業もありますが、変化は遅く、いまだにコンサルティングファームは長時間労働になります。

バリュエーションや財務モデリングなどといった財務主要スキルがつかない

財務主要スキルについては、投資銀行で行うようなバリエーションや、詳細な財務分析は戦略コンサルで行う機会は監査法人に比べると少ないといえ、将来的に投資ファンドで働きたいと思われている場合は、そのようなスキルがつきづらくなります。

仮説構築やプレゼンテーション資料作成に重きが置かれるため、投資銀行で行うコーポレートファイナンス業務での基礎スキルがつきにくいのです。

求められるレベルが高くなる

会計士の資格を持ち、仕事をしているといくつかの正解があります。

会計基準や法律的な拘束があるからです。

しかし、戦略コンサルタントには、正解がありません。

企業の状況や市場においてのシェアによって、考えるべき事が全く変わってきます。

そして、エグゼクティブや経営層でさえ、知らない事がたくさんあります。

その為、多くの調査や資料作成が必要で長時間労働になります。

会計をされている方は、特に答えが無い事に対するフラストレーションが溜まる事もあります。

そして、これらのタスクと同様に会計士としての目線で意見を求められたり、ファイナンスという観点で分析をしなければいけない事もあります。

これら全てを短期間のプロジェクトでこなす事は、求められるレベルが高くなると言っても過言ではありません。

会計士が戦略コンサルで求められる能力

会計士が戦略コンサルで求められる能力

会計士の方が戦略コンサルに転職する場合、戦略コンサル企業はこのような事を求めています。

会計士が戦略コンサルで求められる能力
  1. 地頭の良さ
  2. クライアントに対するコミュニケーション能力
  3. 会計を理解している点と論理的思考力

それぞれ解説します。

地頭の良さ

コンサルタントは様々なプロジェクトにアサインされる中、案件の全体像や調査を行う早さと正確性が求めれるなど、キャッチアップ力の速さは地頭の良さと直結します。

具体的には、プロジェクトの概要と課題の把握、およびコンサルティングでポイントになる市場シェアの拡大、コスト競争力の改善など論点把握です。

クライアントに対するコミュニケーション能力

コミュニケーションはどのような場面でも必須です。

特に、クライアントが期待している成果物、そこから期待を上回るものを出すのがコンサルタントとしてのバリューです。

そして、それらを提供する際に、クライアントがより価値を感じるようなコミュニケーション能力はとても大切です。

具体的には、プレゼンテーション資料のキーメッセージを何にするべきかなどを、事前コミュニケーションで明確にします。

会計を理解している点と論理的思考力

会計士をされていると、論理的思考力が格段につきます。

プロジェクトにおいて理解すべき業界や、成長率等のファクトを踏まえて、実際にクライアントに対して出す示唆(インプリケーション)のロジック(論理性)を構成していきます。

例えば、AならばB、BならばC、ゆえにAならばCといった三段論法で示す等があります。

(例:クライアントが市場Xにおいて、シェアN%であるが、より多くシェアを獲得するにはどうすれば良いかが課題な際に、競合他社の状況・顧客ベース・シェアを奪う余地のあるセグメントは何かをファクトベース(事実)として集め、ボトムアップでロジックを構成して示唆だしをします)

戦略コンサルからの転職先・キャリア

戦略コンサルからの転職先・キャリア

戦略コンサルに入社後、再度転職してキャリアアップをする事も可能です。

戦略コンサルからの転職先・キャリア
  1. PEファンド
  2. 事業会社の経営企画
  3. 投資銀行
  4. 独立

それぞれ解説します。

PEファンド

PEファンドでは、戦略コンサルで培った問題解決能力や仮説思考能力を実際の投資業務活かすことが可能です。

そのため、戦略コンサルで似たようなクライアント向けのビジネスデューデリジェンスを経験することで、将来的にPEファンドを目指す方が多いです。

転職エージェントや痴人の紹介経由で転職する方が多いのもあります。

事業会社の経営企画

ハンズオン型の常駐型のコンサルティングサービスと同様に、事業会社の成長をコンサルタントとして専門性を活かしながらサポートできます。

戦略コンサルで事業会社に対するハンズオンアドバイスや、似たようなプロジェクトを経験した人であれば、実際の働きで優秀と認められクライアントにヘッドハントされ、転職する方もいます。

他にも、多少待遇を下げてでもワークライフバランスの整った事業会社に転職を希望する人も多く、自ら転職エージェントや衛人の経由で転職する方もいます。

投資銀行

投資銀行では、戦略コンサルでは磨けないコーポレートファイナンスやM&Aの知識や、アドバイザリーサービスの経験を多く積む為、さらに高い報酬を得られます。

会計士のファイナンス能力を身につけ、コンサルでより市場調査やクライアントとのコミュニケーション能力を身につけ、投資銀行へ転職する方もいます。

戦略コンサルでM&A案件に関わると言っても、PMIやビジネスデューデリジェンスが多いため、案件の提案からエグゼキューションに従事できる投資銀行を志望する人もいます。

特に、会計士やコンサルタントは、ファイナンスの素養を認められ、転職エージェントや知人の紹介経由で転職する方もいます。

独立

フリーの戦略コンサルタントとして、独立する選択肢もあります。

私自身も初めはフリーランスとして開業しており、(会計・税務のサービスに付随して)経営コンサルティングサービスを提供していました。

最近ではフリーランス向けの案件提案会社も出てきましたから、敷居は下がってきています。

外部サイト:Strategy Consultant Bunk

会計士におすすめの転職エージェント

最後に、会計士におすすめの転職エージェントを紹介します。

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マイナビ
会計士
ヒュープロ
(Hupro)
レックスアド
バイザーズ
MS-Japan人材ドラフト
マイナビ会計士ヒュープロロゴレックスアドバイザーズMS-Japanロゴ人材ドラフト
総合評価
( 10/10 )

( 9/10 )

( 8/10 )

( 7/10 )

( 7/10 )
求人数約5,000件約2,000件約1,500件約1,500件約500件
対象年代20代~30代20代~50代20代~30代20代~30代20代~50代
対応エリア・関東 
・近畿 
・愛知県
・静岡県
全国全国全国全国
設立1973年2015年2002年1990年2000年
資本金21億210万円2億2740万円6000万円5億8600万円3400万円
対象者公認会計士限定会計・税務会計系全般管理部門全般会計事務所
得意領域公認会計士・経理   
・会計事務所
・監査法人 
・コンサル 
・会計  
・税務  
・コンサル
・FAS   
・監査法人 
会計事務所
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公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト

いずれも良いエージェントですが、迷ったらマイナビ会計士を選んでおけば間違いありません。

なぜなら、唯一会計士専門の大手エージェントであり、会計士向けの求人数がNo.1だからです。

戦略コンサルは転職難易度が高く、1人での転職活動はほぼ不可能です。

信頼できる転職エージェントを見つけ、じっくりと情報収集することを心がけましょう。

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