公認会計士・税理士の藤沼です。
公認会計士におすすめのバイトは、監査法人・会計事務所の2択です。
ただし、一番のおすすめは監査法人での非常勤。時給単価が群を抜いて高いからです。
単純に稼ぎたい人は非常勤を選べば良いですし、独立開業前に勉強がしたい人は会計事務所を選ぶと良いです。
私自身も2019年に独立開業し、直後から(会計事務所経営の傍らで)監査法人の非常勤バイトをして生活していました。
独立1年目から生活費に対する不安がなかったのは、まぎれもなく非常勤バイトのおかげでした。
ただ、他にも別のバイトを掛け持ちしたりしていました。
そこで今回は、私自身も経験した公認会計士のアルバイト事情を紹介し、後半ではおすすめのバイト求人の探し方も紹介します。
なお本記事は公認会計士向けの内容ですので、公認会計士受験生の方は バイトしながら公認会計士を目指すには?の記事をご参照ください。
本記事では情報の信頼性を担保するため、私が実際にバイトした際の給与明細も公開しています。
給与明細の項目にジャンプ
この記事で分かること
- バイトするなら「中小監査法人」が一番おすすめ
- 独立開業前の準備なら「会計事務所」もアリだが、正社員として入社したほうが良い
- 公認会計士が監査法人でバイトしたときの時給は、平均7,000円
- 中小監査法人では、最高で時給20,000円の求人がある
- コロナ後はフルリモートのバイト求人も増えた
2014年 EY新日本有限責任監査法人 入社
2018年 東京共同会計事務所 入社
2019年 藤沼会計事務所 開業
2020年 アカウントエージェント株式会社 代表取締役
公認会計士におすすめのバイト厳選2選
公認会計士におすすめのバイトは、以下の2つです。
上記の2つは「独立開業した公認会計士」を対象としていますが、(本格的に独立せず)腰掛的なバイトとしても使えます。
特にオススメなのは「監査法人での非常勤バイト」で、正直これ1択だと思います。かなり稼げますし、クライアントを紹介してもらえる可能性があるので。
私自身も、独立直後は監査法人での非常勤バイトで生活費を稼いでいました。
以下、それぞれ解説します。
【時給高】監査法人での非常勤バイト|通常はほぼコレ1択
2つのバイトをオススメしましたが、独立した会計士なら監査法人でのバイト1択だと思います。
- 同じバイト仲間と開業に関する情報交換ができる
- 同じバイト仲間から仕事をもらえる(逆もまた然り)
- 手っ取り早く稼げる
独立したは良いものの、「何に手を付けて良いか分からない」という方が本当に多いです。
私も多くの方から相談を受けました。
この点、中小監査法人内には独立開業している会計士が多く在籍しており、独立に関するネットワークを比較的作りやすいです。
またそれだけでなく、同僚会計士から仕事を紹介してもらう機会が増えます。
私自身も色々な案件を紹介してもらう機会があり、逆に私からご紹介することもありました。
そして、やはり一番のメリットは大きく稼げるということです。
単価の低いバイトをしていると、時間に追われ、事務所の経営どころではなくなります。
上記のような多くのメリットが得られるため、独立会計士なら、監査法人でのバイト一択だと思います。
なお非常勤での時給単価について、具体的な金額は後述します。
【時給低】会計事務所でのアルバイト|開業目的ならアリ
公認会計士として独立開業すると、まず税理士業務に手を付けるケースが多いです。
つまり、記帳代行・税務顧問・確定申告などの業務です。
しかし、会計事務所での税理士業務の経験がない方は、具体的な作業内容・流れ・契約など全般的なプロセスをイメージできないはずです。
そこで、税務で独立する前段階として会計事務所でバイトすることをオススメします。
ただし、会計事務所のバイトは時給単価がかなり低い(時給1,000円~2,000円)ため、勉強代として考えた方が良いです。
コスパを重視するのであれば、先述の非常勤1択です。
なお、会計事務所で(税理士として)バイトする際は、自らの税理士事務所を開業できない点に注意が必要です。(参照:税理士制度のQ&A「3.所属税理士」|国税庁)
また、本気で独立開業を見据えるのであれば、バイトではなく一度会計事務所に就職し、2~3年の経験を積んでから独立するのもアリです。
その方が事務所経営に参画できる機会が多く、組織経営の勉強にもなります。
ちなみに「フリーランス案件」的なものは全く役立たなかった
ネットで色々と探してみると、「独立会計士向けに案件を紹介する」といったサービスが見つかります。
私も利用してみましたが、内容は酷いものでした。
というのも、チームのほとんどがバイトであることから、現場の状況を把握している人が少なすぎでした。
また、そもそもプロジェクトの数が少なすぎるため、仕事の依頼がほとんど来ません。
給与も仲介会社にピンハネされており、監査法人での非常勤に比べて低めです。
これらのサービスには、あまり期待しない方が良いと感じました。
公認会計士による監査法人でのバイト時給は平均7,000円|30社のデータ参照
公認会計士が監査法人でバイトしたときの時給単価は、平均7,000円です。
以下は、実際にエージェントから入手した監査法人の求人20件を集計し、並べたグラフです。

(2025年5月1日現在のデータ)
※ 監査法人によっては時給単価に幅(例:6,000円/時~8,000円/時、など)をもたせている法人もありますが、ここでは低い方の金額を集計しました。
上記グラフの通り、各法人で4,000円/時から10,000円/時まで大きくバラツキがあります。
全てを平均すると「6,926円/時」でしたので、相場として、約7,000円の時給単価で契約できることが分かりました。
一般的なアルバイトと比較すると、約6倍~7倍もの時給単価です。
バイトとしては、かなり美味しいと思います。
ちなみに、直近で求人を確認したところ「時給2万円」という非常勤求人がありました。ヤバすぎ。
【公開】 私が監査法人でバイトした時の給与明細(時給7,000円)
私が監査法人でバイトした時の給与明細(閑散期)は、次のとおりです。

※ 法人を特定されるおそれのある部分は黒塗りにしています。
時給7,000円/時での契約です。
5日間の勤務で、額面22万円です。(1日6時間勤務)
BIG4での正社員時代は、大体2,000時間働いて年収720万(つまり時給単価3,600円くらい)でしたので、時給換算で2倍近くの時間効率です。
また、繁忙期となる4月の給与明細は次のとおりです。

14日勤務して、額面給与は77万円でした。(1日6時間勤務、残業は1日2時間以内)
私は自分の本業があるのでアサインをセーブしていましたが、フルで働けば 月収120万程になっていたと思います。
やっている仕事はスタッフワークのみであり、正社員時代よりも(比較的)難易度の低い仕事が多かったです。
【追加公開】時給15,000円の監査法人で働いたときの給与明細
私の知人会計士(会計士歴10年)が、とある中小監査法人で非常勤バイトをした際の給与明細を見せてもらったので、そちらもあわせて公開します。(本人より承諾済み)
驚くことに、時給単価は15,000円の監査法人です。

色々と衝撃ですが、繁忙期にたった15日間働いただけで、額面給与が約170万円。
月の半分しか働いていないのに。しかも残業ゼロで定時上がりです。
もうバイトだけしてれば良いのでは?と思うレベル。
そんな彼も、マイナビ会計士でバイト求人を入手したそうです。
公認会計士がバイトだけで稼げる年収|ずっと続ければ15年で人生クリア
参考に、非常勤として働いた場合の「勤務時間数」と「年収」の関係をまとめました。(下図)
- 時給単価:10,000円
- 労働時間:1日8時間
勤務日数と年収の関係
年間勤務日数 | 年収 |
---|---|
60日 | 480万 |
80日 | 640万 |
100日 | 800万 |
120日 | 960万 |
140日 | 1,120万 |
160日 | 1,280万 |
180日 | 1,440万 |
200日 | 1,600万 |
220日 | 1,760万 |
240日 | 1,920万 |
時給1万円で契約できた場合、年間240日働けば年収2,000万近くまで到達します。
もちろん、残業をすればこれ以上稼ぐことも可能です。
15年で3億円稼げるので、わりと早い段階で人生クリアできます。
稼ぎ切った後も非常勤で収入を得続けることが可能ですし、完全に仕事をやめて積立投資などをしても良いでしょう。
ただし、非常勤をずっと続けるには若干のコツが必要です。詳しくは以下の記事で解説しています。
監査法人を選ぶなら絶対に「中小監査法人」を選ぶべき
これから監査法人でバイトをされる方は、絶対に「中小監査法人」を選ぶべきです。
私自身も中小監査法人で非常勤バイトをしていましたが、時給単価が高い上に、非常に働きやすかったからです。
大手監査法人と中小監査法人の違い
中小監査法人 | 大手監査法人 | |
---|---|---|
時給 | 高単価 | 低単価 |
仕事の難易度 | 低い | 高い |
求められる細やかさ | 少ない | 多い |
残業時間 | 少なめ | 多め |
もちろん監査法人によって異なる部分もありますが、良い求人を選べば、概ね上記のイメージ通りになるはずです。
BIG4を選ぶ必要性をあまり感じません。
なお、バイト求人の探し方については後述します。
フルリモート・在宅ワーク希望の公認会計士におすすめのバイト3選
育児をされている方や、出社に抵抗のある方には、次の3つの在宅バイトがおすすめです。
以下、それぞれ解説します。
【求人多】監査法人の非常勤(リモート)|かなり働きやすい
コロナ禍に入って以降、リモート可の求人がとても増えました。
そして会計士向けのバイトで最も多いのが、監査法人の非常勤です。
時短勤務はもちろん、フルタイムでパート勤務したい方は、監査法人一択だと思います。(給与水準が高い)
求人も比較的多いため、最もオススメの選択肢です。
ただし、中小監査法人の場合は紙調書が多く、クライアントもリモート対応していないケースがあるので要注意。
応募する前に、在宅・リモートができる割合を確認したほうが良いです。
【求人極少】経理事務の在宅バイト|あまり稼げない
公認会計士限定のバイトではありませんが、経理事務の在宅バイトも存在します。
こちらは元々経理部員だった主婦の方などが利用しているようですが、求人自体はかなり少なめでした。
仕訳の起票という仕事内容ですから、経理経験者なら無資格者でも応募することができるため、競争率も高いと思われます。
監査が嫌いで経理を経験してみたい、という方はチャレンジしてみても良いのかもしれません。(ただし、給与水準は低めです)
【求人極少】簿記受験生への個別指導バイト(リモート)
求人は非常に少ないですが、簿記講師のアルバイトもあります。
例えば、次のような資格対策でニーズがあります。
- 公認会計士
- 税理士(簿記論・財務諸表論)
- 日商簿記(1級~3級)
公認会計士、税理士、簿記1級あたりは時給3,500円前後が相場ですが、簿記2級~3級になると時給2,000円~2,500円程のイメージです。
対面での指導が大半ですが、稀にリモートOKの求人が上がってくる場合があります。
教えるのが得意・好きな方にはおすすめです。
ただし、授業内容を事前に予習する必要があり、予習時間を含めるともう少し時給は下がります。
1回あたりの勤務時間も短く、求人数も少なめですので、あまり安定して稼げるバイトではありません。
公認会計士が未経験でも可能なバイト
公認会計士が未経験でもできるバイトは、以下の4つです。
- 監査法人での非常勤バイト
- 会計事務所でのバイト
- 経理事務のバイト
- 塾・家庭教師のバイト
監査法人の時給単価が一番高いですが、実務経験者に比べると単価は落ちます。
また、塾・家庭教師のバイトも(一見難易度が高そうですが)わりと未経験でできちゃいます。
私も少しやってましたが、個別指導だとテキストを生徒と一緒に見ながら進めることができるので、考えながら進める余裕があります。
会計事務所・経理のバイトは、経験・勉強としてなら良いと思います。
監査法人でバイトすることのデメリット
監査法人でのバイトはメリットが非常に大きいです。
しかし、2つのデメリットが存在します。
- CPD単位の免除・減免ができない
- 人材不足が解消されたとき、契約を切られる可能性がある
1つ目のデメリットが、CPD単位の免除・減免ができないことです。
法定監査に従事しない場合、CPD単位の免除・減免申請ができますが、監査法人でのバイトをする場合は法定監査に従事するケースが大半ですから、CPDも年間40単位取得する必要があります。
とはいえ、CPD単位の取得はそんなに難しくなく、1日で40単位を全部とることも可能だったりします。
なのであまり大した問題ではありません。
話が逸れるので、興味のある方は【画像付き】CPD単位の取り方を解説【監査法人退所後の単位取得】をご参照ください。
2つ目のデメリットが、契約を切られるリスクです。
非常勤バイトは業務委託契約のケースが大半であり、契約終了のリスクがあります。
そのため、人員不足の現状が解消されると、まず契約を切られやすい立場にあるのです。
理由なく契約解除をされることはありませんが、いきなり仕事がなくなる可能性もゼロではありません。
ただし、監査法人での非常勤の掛け持ちをすることで、当該リスクを排除することが可能です。
バイトをしている公認会計士とはどんな人?
公認会計士としてアルバイトをする人は、大きく4パターンに分けられます。
特に、4番目は最近かなり増えています。
それぞれ解説します。
独立直後・独立準備中の会計士|生活費を稼ぎながら人脈も形成
最も多いのが、独立直後(又は開業準備中)の会計士がバイトをするパターンです。
私自身もそうでしたが、独立直後は本当に稼ぎが少ないため、バイトせざるを得ません。(生活費を稼ぐためなので仕方ない)
とはいえ、私たち会計士のバイトは時給が非常に高いため、事業が安定した後もバイトを続ける方は多いです。
主婦・子育て中の会計士|社会復帰までパートとして時短勤務
育児のために仕事をやめた会計士の方が、アルバイトをしているケースも多く目にします。
特に、子育て中の方は外出することが難しいため、在宅バイトへのニーズも高いでしょう。
その他、子育てがひと段落し、社会復帰のために監査法人で非常勤として働くケースもあります。
パートとして時短で働かれる方も多く、女性会計士にはとても人気です。
定年後にシニア枠でバイトする会計士|再雇用で稼ぐ
こちらはレアケースですが、定年後(老後)にも監査法人で業務受託者として働く方がおられます。
それまで働いていた監査法人で引き続き働くケースが多く、他法人で新しくバイトを始めるケースはあまり聞きません。
もし、定年後にも働きたいという方は、定年前まで監査法人で働いておく必要があるでしょう。
正規職員として働くのが疲れた方会計士|フリーランスという働き方
最近よく目にするのが、監査法人での正社員としての働き方に疲れ、非常勤職員として働き始める方です。
大手監査法人時代はあまり見ませんでしたが、中小監査法人では非常に多く見かけます。
というのも、中小監査法人での非常勤は働きやすく、時給単価もかなり高いからです。
表向きは「独立のため」という方でも、よくよく話を聞いてみると腰掛としてバイトされているケースが多いです。
今はフリーランスとして働く会計士が増えており、新しい働き方として注目されています。
実際私も最初は非常勤だけで稼いでいましたが、これがかなり楽なんですよね。(精神的にも肉体的にも)
公認会計士の非常勤の高単価求人の探し方【3パターン】
最後に、公認会計士の非常勤求人の探し方を紹介します。
大きく3つあります。
それぞれ解説します。
監査法人のホームページを1つずつチェックする
監査法人の求人をホームページ上から探し出す、という探し方です。
監査法人一覧は、中小監査法人の求人一覧を網羅・掲載してみた。に全て掲載しています。(実際の求人データは常勤のもの)
しかし、監査法人の数は250社以上あり、しらみつぶしに探すのは現実的ではありません。
また、求人ページを見ても時給単価やチーム編成など、諸条件が掲載されていないことが通常です。
そのため、あまり個人的に推奨できる探し方ではありません。
知人の会計士から紹介してもらう
次に、知人の会計士から紹介してもらうという探し方です。
すでに組織内で働いている人からの紹介であれば、内情などが分かったうえで応募できるため、定性的な面でのミスマッチを防ぐことができるでしょう。
しかし、紹介によって応募した場合、面接を受けてしまうと(仮に内定が出た場合に)断りづらいというデメリットがあります。
そのため、この探し方もあまりオススメできません。(もちろん、法人内に「この人と一緒に働きたい」など特段の事情がある場合は別)
エージェントを利用する(おすすめ)
私自身も使ってみて、最も良いと思ったのが「エージェントを利用する」という方法でした。
この手法は私の先輩から教わったのですが、実は転職エージェントには正社員の求人だけでなく、非常勤の求人も用意されています。
実際に登録してから求人を取り寄せてみると、かなりの量の求人がもらえて驚きました。
私はバイト求人を選ぶうえで「時給単価」を最重要視していたため、多くの求人の中から、最も時給単価の良い法人に応募し、働きました。
いくつかのエージェントを使いましたが、マイナビ会計士が最も求人数が多く、利用価値が高いと感じました。
公認会計士向けの非常勤バイト求人が手に入るおすすめのエージェント
以上、まとめると「ほぼ監査法人でのバイト一択」という結論です。
ここまで美味しいバイトは他にありません。公認会計士だけの特権です。
他にも、独立会計士とのネットワークを広げたり、完全リモートで監査ができたりとメリットは大きいです。
これからバイトを考えている方には、とっっっってもオススメです。
ただし、時給の高い法人は人気なので、応募が殺到してすぐに募集を締め切ってしまいます。
ぜひ本記事をご参考いただき、美味しい求人をゲットしてみて下さい。
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