公認会計士・税理士の藤沼です。
独立して間もない頃、監査法人で非常勤職員として年間60日(平均すると週1程度)働いていました。
- 非常勤に興味はあるけど、働きやすいのかな?
- 仕事内容や、求められるレベルを知りたいな
今回はそんな方向けに、非常勤職員としての実体験をお話したいと思います。
監査法人非常勤の1日の働き方と、年間スケジュール


先に前提として、非常勤をしていた時の私の経歴を載せておきます。
- 監査法人での実務経験:4年半
- 監査の年間日数:60日
- アサイン先:2社
- 1日の勤務時間:6時間
- 残業:平時はゼロ、決算期のみ1日2~3時間
EY新日本監査法人で4年半ほど監査を経験し、その後独立、別の中小監査法人で年間60日ほど働きました。(計2年で120日)
非常勤職員としての年間アサイン日程は、次のとおりです。
1月 : 8日間
2月 : 3日間
3月 : –
4月 : 11日間
5月 : 11日間
6月 : 5日間
7月 : 8日間
8月 : 3日間
9月 : –
10月: 8日間
11月: 3日間
12月: –
このような日程です。
私の場合は、四半期レビューと期末監査の繁忙期(人手の足りなくなる時期)にアサインされています。
期中におけるJ-SOX監査など面白味のない業務にアサインされないため、個人的には嬉しいです。
1日の働き方
私の場合は、ほぼ残業なしで働いています。
これは私の希望ではなく、契約先の監査法人の方針です。
期末監査時は1日2時間~3時間の残業が発生しますが、それでもだいぶ稼働時間は少ない方でしょう。
- 10時に出社
- インチャージから作業の指示を受ける
- 12時にお昼休憩
- 13時から仕事再開
- 17時に退社
6時間勤務という超絶ホワイトな法人でしたので、10時から17時まで働いて退社できました。
クライアントから近い場所に住んでいることもあり、9時半ごろに家を出れば間に合います。
また、閑散期に残業が発生した日はゼロでした。
体への負担はほとんどなく、むしろ楽しいとさえ感じました。(もちろん、配慮して頂いているインチャージの方のおかげもあります。)
- 10時に出社
- 12時にお昼休憩(コロナのため各自でランチ)
- 13時から仕事再開
- 19時~20時に退社
繁忙期となる4月~5月は、集中してアサインされ、かつ残業が毎日2~3時間ほど発生しました。
4月中旬から5月中旬にかけてアサインされるため、少し忙しくなります。
とはいえ、審査資料の作成やクライアントとのミーティングなど科目監査以外の作業がないため、必要な作業に集中できる点で余計な心配事がありませんでした。
肉体的には疲れを感じるものの、精神的なストレスはほとんどありませんでした。
(正社員時代とは偉い違い…。)
チーム内でのコミュニケーションについて
非常勤職員なので、上下関係のようなものは少なく、比較的フラットさを感じました。
私の場合は、必要以上にコミュニケーションを取ることはなく、業務時間はわりと仕事に集中していました。
このため、人間関係からくるストレスなども感じることがありませんでした。
作業内容・求められる仕事のレベル


基本的に主査を任されることがないため、「パートナーの日程調整」や「ミーティングの設定」などの業務は求められません。
具体的な作業内容
私の場合は、次の作業を担当しています。
✓ 単体
- 未収入金
- その他流動資産
- 前受収益
- 未払金
- その他流動負債
- 純資産
✓ 連結その他
- 連結仕訳
- 連結キャッシュフロー計算書
- 仕訳テスト
上記のとおり、監査歴5年以上の会計士が担当するには、やや難易度の低いものが多かったです。
非常勤の職員は、(特に初年度は)このような分かりやすい科目を任される傾向にあるようです。
常勤(正社員)の場合は、勉強のために難しい業務を割り振られることも多いかと思いますし、常勤(正社員)だからこそミスがないように頑張りますよね。
ここが常勤と非常勤の大きな違いだと感じます。
仕事をしていて悩むことがあまりないため、精神的なストレスを感じる機会も少なかったです。
求められる監査のレベル
上述したように、非常勤の場合は比較的易しい科目を担当させられます。
また、特に中小監査法人の場合、求められる細かさ・粒度が大きいと感じました。
というのも、大手監査法人ではグローバル基準の細やかな監査が求められるのに対し、中小監査法人ではそのような括りが緩いためです。
たとえば私がBIG4にいた頃は、P/L項目についても十分な証憑突合をする等のルールがありました。(詳しくは割愛)
しかし、中小監査法人ではこのような手続きが求められず、良い意味でリスクアプローチが効いていました。
※ 誤解のないように付け加えておくと、決して手続きに「手抜き」があるわけではありません。非常に効率的な監査だと思います。
監査に苦手意識のあった私ですが、中小監査法人で働いてみてからは苦手意識が減りました。(BIG4に戻ったらまた苦手になると思いますが…。)
女性(主婦の方や育児をされている方)には特にオススメ


私の契約している監査法人もそうですが、非常勤の会計士は女性比率が高いです。
「基本残業なし」「毎日出社しなくて良い」というのが大きいのでしょう。
時給は(中小監査法人であれば)安くても 6,000円/時~ もらえますから、バイトとしても申し分ないはずです。
非常勤職員が「産休」を取得することはできないはずですが、「実質的な産休」であれば可能かと思います。
市場では公認会計士の数が不足しているため、一度出産のために現場を離れても、出産後に戻ってこれる可能性は高いです。
監査法人によって、非常勤の働き方は違う?


ここまでで、私の働いている監査法人をベースとした「非常勤の働き方」をご紹介しました。
上述の内容は、基本的にどの監査法人でも変わらないと思います。
しかし、次に掲げる点は監査法人によって少し違いがありますので、監査法人を選ぶ際の軸になります。
- アサイン先までの距離(遠隔地にアサインされる可能性)
- リモート業務の可否
- 給料
それぞれ解説します。
アサイン先までの距離
特に中小監査法人の場合、クライアント規模が比較的小さいことから、遠隔地のクライアントを任される可能性があります。
また、出張の過多も監査法人によって異なります。
出張に関する情報は、通常、非常勤の求人票に記載されていますが、具体的なクライアント先までは記載のないケースが多いでしょう。
なお、私は事前にクライアントをある程度調べてから非常勤先を選びました。
リスクの高そうなクライアントは避けたいですからね。
リモート業務の可否
こちらも大手監査法人とは異なり、中小監査法人の場合はリモートワークのための仕組みがないケースもあります。
これは「紙ベース」での調書作成が多いからです。
大手監査法人では大半の調書が電子化されていますが、中小監査法人では紙ベースが多いです。
給料
監査法人によって大きく異なるのが、給料です。
監査法人非常勤がオススメな理由+求人の探し方3選の記事内で、監査法人20社の非常勤時給単価をリサーチしました。
このリサーチ結果によれば、下は時給4,000円から上は時給10,000円まで、大きなバラツキが見られました。
このように、監査法人によって時給単価は大きく異なるため、正しい求人選びが重要です。
当たり前ですが、1時間で4,000円よりも1時間で10,000円もらえた方が効率的です。
また、中小監査法人の方が時給単価は高くなる傾向にあります。
私がEYにいた頃の非常勤単価は4,000円でしたが、中小監査法人では7,000円貰えていました。(加えて、協会年会費とランチ代も負担してもらえています。)
働きやすい監査法人非常勤の探し方とは?


まとめです。
- 非常勤では、比較的難易度低めの科目が任されやすい
- 中小監査法人はおすすめ
- 「給料」は監査法人によって大きく変わる
監査法人の非常勤求人を探すなら、転職エージェントを積極的に利用しましょう。
監査法人に強いエージェントはいくつかありますが、私はマイナビ会計士1択です。
なぜなら、会計士専門の大手エージェントであり、非常勤の求人数がとても多かったからです。
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