公認会計士・税理士の藤沼です。
簿記1級を取得すると、実務経験なしでも応募可能な求人がかなり増えます。
中でも、特に次の6つの職種はおすすめです。
上記のとおり、各職種にはそれぞれ特徴があり、簿記1級取得者に対する評価・需要も異なります。
もちろん、人によって向き・不向きもあります。
そこで本記事では、簿記1級・未経験者におすすめの転職先と、就活時の重要なポイントについて解説します。
私の経営する会社にも簿記1級保持者の方がご応募されてくるケースが多いため、採用者視点での解説も織り交ぜています。
この記事で分かること
- 経理はキャリアの汎用性が高く年収も安定的だが、人気なので転職難易度も高い
- 税理士を目指すなら、会計事務所・税理士法人一択!
- その他の職種は余程の理由がない限りおすすめしないが、監査法人だけは穴場でおすすめ
- 簿記1級を活かして転職をするなら、必ず「会計・税務に強い転職エージェント」を使うべき
2010年 日商簿記検定1級 取得
2013年 公認会計士試験(論文式) 合格
2014年 EY新日本監査法人 入社
2018年 中堅会計事務所 入社
2019年 藤沼会計事務所 開業
2020年 アカウントエージェント㈱ 設立
経理支援サービス会社を経営しています。
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簿記1級持ち未経験者におすすめの転職先【全6種】
簿記1級持ち未経験者におすすめの転職先は、次のとおりです。
職種 | おすすめ度 | 求人数 |
---|---|---|
経理 | (10/10 ) | 163件 (全体の24%) |
会計事務所 | ( 9/10 ) | 404件 (全体の59%) |
会計コンサル | ( 7/10 ) | 66件 (全体の10%) |
経営企画 | ( 6/10 ) | 31件 (全体の5%) |
内部監査 | ( 5/10 ) | 5件 (全体の1%) |
監査法人 | ( 9/10 ) | 15件 (全体の2%) |
職種 | おすすめ度 | 求人数 |
---|---|---|
経理 | (10/10 ) | 163件 |
会計事務所 | ( 9/10 ) | 404件 |
会計コンサル | ( 8/10 ) | 66件 |
経営企画 | ( 6/10 ) | 31件 |
内部監査 | ( 5/10 ) | 5件 |
監査法人 | ( 9/10 ) | 15件 |
※ 各職種名をクリックすると、該当の説明項目にジャンプします。
※ 各職種名をタップすると、該当の説明項目にジャンプします。
以下、各職種について解説します。
経理|スキルの汎用性が高く一番人気だが転職難易度も高い
メニュー | 内容 |
---|---|
おすすめ度 | (10/10 ) |
年収 | 平均499万円 |
特徴 | 「企業会計」をフル活用できるキャリア。一般企業に属するため安定性が高く、需要も大きい。 |
キャリアの幅広さ | 幅広い |
求人数 | 163件(求人全体の24%) |
(2024年12月1日現在のデータ)
経理は、最もオススメの転職先です。
なぜなら、簿記1級で学習する商業簿記・会計学と最も親和性が高く、知識をフルに活用することのできる転職先だからです。
ただし、一言に経理と言っても色々と種類があります。
- 中小企業の経理
- 大企業の経理
- 上場企業の経理
- 学校法人の経理
- 医療法人の経理 など
また これに「外資系」が加わると、海外の会計基準や税法の知識を得る必要があり、就職難易度がさらに上がります。(ただし、英語力があれば難易度は低い)
未経験から経理に転職する場合、一般的には「中小企業の経理」「大企業の経理」を目指す方が多いです。
なぜなら、入社難易度が低いからです。
しかし私は、(難易度は上がりますが)できる限り上場経理を狙うべきだと思います。
上場経理は年収が高く、上場経理でしか得ることのできない経験・スキルがあるため、その後のキャリアの幅が広がりやすいからです。
たとえば、上場経理では次のような経験が得られます。
- 有価証券報告書の作成
- 四半期報告書の作成
- 決算短信の作成(会社によっては他部署のケースあり)
- 内部監査(J-SOX)対応
- 監査法人対応
これらの経験・スキルは、他の上場経理においても必要とされる経験・スキルであり、常に一定数の需要があります。
そのため、例えば就職難易度の低い上場経理に一度就職し、3年程度の経験を積み、ステップアップとして大手上場経理に転職するといったキャリアアップが可能になります。
なお 経理の仕事内容については、次の記事内で分かりやすく解説しています。
会計事務所|税務のスペシャリストとして税理士も目指せる!
メニュー | 内容 |
---|---|
おすすめ度 | ( 9/10 ) |
年収 | 平均449万円 |
特徴 | 「税金」のスペシャリスト。税理士受験生が多く在籍。 |
キャリアの幅広さ | 幅広い |
求人数 | 404件(求人全体の59%) |
(2024年12月1日現在のデータ)
※ 便宜的に「会計事務所」としていますが、厳密には「税理士法人」も含めています。(両者は組織規模が違うだけで、業務内容が大きく変わることはありません)
会計事務所も、簿記資格の取得後に選ばれやすい転職先の1つです。
見て分かるように、求人数(=会計事務所の数)が非常に多く、人手不足もあり内定率は高いです。
ただし、キャリアが「税務」に特化される点が特徴的です。
会計事務所では、個人・法人の確定申告を代行する作業がメインとなるため、税法に特化したキャリアになります。
- 所得税法
- 法人税法
- 消費税法
- 相続税法
このため、税理士試験との親和性が高く、働きながら税理士を目指している方も多く在籍しています。
ゆくゆくは会計事務所を開業するという他にないキャリアを歩める可能性を秘めている点も特徴的です。
一方、簿記1級で培った「連結会計」「意思決定会計」等の知識は、ほぼ活かされません。
会計事務所において「簿記1級」はオーバースペックですので、この資格をフルに活かすのであれば経理・監査法人のほうが良いです。(ただし、税理士試験における税法科目の受験資格が得られる、というメリットはあります)
会計事務所での仕事内容について、詳しくは次の記事で具体的に解説しています。
会計コンサル・アドバイザリー|残業が多いがその分年収も高い
メニュー | 内容 |
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おすすめ度 | ( 7/10 ) |
年収 | 平均599万円 |
特徴 | ダイナミックな仕事が多い。残業が多い。 |
キャリアの幅広さ | 中 |
求人数 | 66件(求人全体の10%) |
(2024年12月1日現在のデータ)
会計コンサルでは、「M&A関連のコンサルティング」や「経理業務の仕組化」などに従事するケースが多いです。
多くの場合、前職での経験(経理業務・税務業務)を求められますが、一部「未経験OK」の求人が検出されました。
会計コンサルで働く方の多くが公認会計士・税理士など士業資格保有者であることから、組織内での待遇の格差を感じるケースも少なくないでしょう。
一方、クライアントワークが好きな方はやりがいを感じやすく、面白味のある仕事です。
私自身も会計コンサルティング会社を経営していますが、お客様から感謝の声を頂いた時は、この仕事をしていて本当に良かったと実感します。
ちなみに、「クライアントワーク」という点では会計事務所も同様ですが、会計事務所での仕事はあまり直接感謝されるシチュエーションがありません。(「コンサル」ではなく「確定申告の代行」という性質の違いによるもの)
経営企画|簿記を活かすシチュエーションは限定的
メニュー | 内容 |
---|---|
おすすめ度 | ( 6/10 ) |
年収 | 平均593万円 |
特徴 | 簿記を活用するシチュエーションはかなり少ない。 |
キャリアの幅広さ | 中 |
求人数 | 30件(求人全体の5%) |
経営企画はいわゆる「会計税務系」の求人ではありませんが、簿記1級取得者に対するニーズが若干数あります。
ただし、簿記1級に対する評価はさほど高くなく、地頭の良さ・コミュニケーション能力・英語力・バイタリティなどが評価される傾向にあります。
キャリアも企業会計ではなく経営寄りになるため、簿記1級をフルに活かせる転職先ではありません。
待遇は良いものの、激務になりやすく、また転職難易度は高いです。
内部監査|専門性が高くキャリアの幅が狭くなりやすい
メニュー | 内容 |
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おすすめ度 | ( 5/10 ) |
年収 | 平均550万円 |
特徴 | キャリアが狭まる |
キャリアの幅広さ | 非常に狭い |
求人数 | 5件(求人全体の1%) |
(2024年12月1日現在のデータ)
内部監査部門は、上場会社において設置が必須となる部門であり、企業会計の知識を必要とされます。
簿記1級では連結会計を始めとする上場経理の知識を習得できるため、内部監査部門との親和性は高いです。
しかし、内部監査では組織内の様々な部署とのコミュニケーションが必要とされるため、経理部門からの異同により配属されるケースが大半であり、外部から(かつ未経験者を)採用するケースは限定的です。
また、内部監査での経験は汎用性が低いという難点があり、少なくとも30代までは選択すべきキャリアではありません。
私も内部監査部門の方々(クライアント)とお仕事をすることが多いですが、40代以上の方が多いです。(むしろ40代でも若い方)
上場会社の管理部門への転職を望むのであれば、内部監査よりも経理のほうがオススメです。
監査法人|穴場の選択肢!まだまだ認知度が低いのでおすすめ
メニュー | 内容 |
---|---|
おすすめ度 | ( 9/10 ) |
年収 | 平均650万円 |
特徴 | 穴場 |
キャリアの幅広さ | 幅広い |
求人数 | 15件(求人全体の2%) |
(2024年12月1日現在のデータ)
求人数は少ないですが、穴場として非常にオススメなのが「監査法人」です。
「監査法人は公認会計士しか入れない」と思っている方も多いようですが、それは違います。
実は、監査アシスタントや監査トレーニーといったポジションが用意されており、無資格者でも入社することが可能です。
監査アシスタントとは、監査法人内で公認会計士をサポートする仕事であり、上場企業等の会計監査業務に関与することができます。
監査トレーニーとは、監査法人内で給与を貰いながら公認会計士を目指すことのできるプログラムであり、予備校代の補助なども受けることができます。
いずれも給与水準が非常に高いですが、まだ知名度が低いため、かなり穴場の職種です。
監査アシスタント・監査トレーニーについて、詳しくは次の記事内でそれぞれ詳しく解説しています。
未経験者が簿記1級で転職したときの年収は平均450~600万円
簿記1級・未経験OKの求人を全て抽出し、職種別の平均年収をまとめました。
簿記1級・未経験で転職したときの平均年収
職種 | min平均 | max平均 | 平均年収 |
---|---|---|---|
経理 | 380万円 | 618万円 | 499万円 |
会計事務所 | 338万円 | 560万円 | 449万円 |
会計コンサル | 412万円 | 786万円 | 599万円 |
経営企画 | 465万円 | 721万円 | 593万円 |
内部監査 | 450万円 | 650万円 | 550万円 |
監査法人 | 500万円 | 800万円 | 650万円 |
※ 小数点以下は四捨五入しています。
上記は、あくまで「簿記1級を保有している未経験者」が転職する際の平均年収です。
その後経験値を上げて再度転職する場合や、英語力・ITスキルなど特殊なスキルを持ち合わせている場合は、更に年収が上がります。
職種によって平均年収が大きく異なるため、ぜひ上記の表を転職先選びの参考にしてください。
なお、簿記1級の年収について、詳しくは次の記事をご参照ください。
【年代別】簿記1級・未経験で転職するときの注意点・ポイント
簿記1級取得者が未経験職種に転職する場合、この業界特有の注意点があります。
ここでは年代別に、それぞれ注意点を解説します。
以下、それぞれ解説します。
20代の未経験者が簿記1級で転職する場合
求人の探し方 | 第二新卒枠であれば大企業も選択肢に入りやすい。20代後半になると中小企業・会計事務所を視野に入れ、長期的なプランを立てておくべき。 |
---|---|
求められる働き方 | 学習意欲と素直さ・謙虚さが求められやすい。とにかく何でも吸収する姿勢を見せることが大切。忙しい現場では、体力・バイタリティにも期待される。 |
アピールできること | 「長期的に組織で働きたい」という意思は高評価に繋がる。なぜなら企業側は高い採用コストを支払っており、長期的な成長・組織への貢献を通じて投資を回収したいから。 |
キャリア設計 | 必ず長期的なキャリアを考え、転職活動に臨むこと。会計業界は飽きがくるケースも多く、転職回数が増えやすい。そのため、「いずれこの組織から転職するかもしれない」ということを念頭に置き、長期的なキャリア設計をしておくべき。 |
20代であれば、比較的どの職種にも転職はしやすく、選択肢は非常に幅広いです。
しかし、だからこそファーストキャリア選びには注意が必要で、最終的なゴールを考え遠回りしないキャリアを選びましょう。
20代の方は、基本ファーストキャリアとして経理・会計事務所・監査法人のいずれかを選ぶことをオススメします。
これらは汎用性の高い職種であり、その後のキャリアアップにも役立てやすいからです。
ただし、経理・監査法人を選ぶと企業会計系のキャリアに歩むことになり、会計事務所を選ぶと税務系のキャリアを歩むことになりますから、この大まかな方向性は理解しておきましょう。
例えば、「経理」から「会計事務所」に進むというキャリアは(若干畑違いであることから)キャリアの遠回りになってしまいます。
それぞれのキャリアの特徴を理解し、ファーストキャリアを選択しましょう。
なお、「会計コンサル」は企業会計・税務のどちらからも参入しやすい職種です。
30代の未経験者が簿記1級で転職する場合
求人の探し方 | 上場企業や大手税理士法人はかなり難易度が高いが、高い英語力・コンサルティングの経験などがあると内定を得られる可能性もある。基本的には中小規模の経理・税理士法人をメインに探す。 |
---|---|
求められる働き方 | 社会人基礎力は必須であり、組織内でのコミュニケーション・調和が求められる。30代はまだ若手と見られるケースが多く、残業も厭わない働き方が求められやすい。 |
アピールできること | チームワーク力・マネジメント能力は評価されやすい。また「仕事において簿記1級を具体的にどう活かすのか」といった論理的思考力も問われるため、事前の準備が必須。 |
キャリア設計 | 30代から税理士を目指す人も多い為、会計事務所・税理士法人を選択するのもアリ。一方、安定した働き方を求めるのであれば経理一択になる。とはいえ未経験でホワイト企業の経理に就職するのはやや難しい為、第1段階として難易度の低い中小経理に就職し、その後数年でステップアップし転職する等のキャリア設計が考えられる。 |
30代では、30代前半か30代後半かによって選択肢が異なります。
多くの方が「経理」を選ぶと思いますが、未経験でいきなり大手上場企業に入社するのは難易度が高いです。(前職の会社の知名度にもよる)
そのため、まずは踏み台となる経理ポジションを狙い、数年間の経験を積んだ後に上場経理を狙うのがよくあるパターンです。
ちなみに、私のオススメは上場会社の子会社の経理です。
上場子会社の経理では上場会社のような「四半期決算」や「連結パッケージ」に関与できる可能性があり、これがその後上場経理への転職の際に評価されるからです。
もちろん、これはあくまで上場経理を最終的に目指す場合のキャリアプランです。
転職に求める条件は人それぞれですから、必ず転職エージェントと相談の上、ご自身のゴールを考えてください。
40代の未経験者が簿記1級で転職する場合
求人の探し方 | 経理はかなり難易度高し。簿記1級があっても未経験で転職できるのはごく一部。会計事務所・税理士法人の求人をメインで探すべき。 |
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求められる働き方 | 家庭があることを前提に採用されるケースが多く、そこまでハードな働き方は求められない。ただし、会計事務所・税理士法人ではそもそも忙しい傾向にあるため、残業はある程度必要とされる。 |
アピールできること | 管理職としての経験はアピールしやすいが、マネジメント能力というよりも、チームと調和するかといったコミュニケーション能力を見られる。組織の一員として馴染んでくれるかが一番重要。(頑固なタイプは敬遠されやすいので注意) |
キャリア設計 | 会計事務所・税理士法人では退職金があまり期待できないため、安定した働き方を優先しやすい。会計事務所・税理士法人の中にはホワイトな事務所もあるため、どのような税務領域で専門性を磨けばホワイトな働き方ができるか、といった視点が大切。詳しくは転職エージェントの担当者に要確認。 |
40代になると未経験職種への転職は難しくなってきますが、求人はあります。
会計税務業界は慢性的な人手不足のため、選ばなければまだまだ転職の余地はあります。
ただし、会計コンサル・経営企画・内部監査・監査法人への転職はほぼ無理と思ったほうが良いでしょう。
そのため、選択肢は「経理」または「会計事務所」のほぼ2択です。
40代はコミュニケーション能力が重視されるため、転職エージェントを用いた面接対策が必須です。
50代の未経験者が簿記1級で転職する場合
求人の探し方 | 50代で未経験となると、たとえ簿記1級を持っていても求人は非常に少ない。条件に合った求人を選ぶことはできないため、提案された求人1つ1つに対して、しっかりと書類対策・面接対策を行い選考活動に臨むべき。 |
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求められる働き方 | ハードな働き方は求められない。パートなども視野に入れ、事務スタッフとして仕事を淡々とこなす働き方が求められる。ミスが多い人は避けられやすい。 |
アピールできること | 年齢が上がるとミスが増える傾向にあるため、丁寧な仕事ぶり・真面目な仕事ぶりをアピールする必要がある。また、会計系の仕事はいずれもコミュニケーション能力が求められるため、調和を取れるかどうかもアピールポイント。 |
キャリア設計 | 稀に税理士を目指している方もいるが、税理士資格を取ってもその後独立し生計を立てられるようになるのはだいぶ先になる。 |
50代であっても、簿記1級を活用し未経験職種に転職することは可能です。
ただし、当然転職の難易度はかなり高いため、転職の際には次の点を意識すべきです。
- 前職と親和性の高い業界を選ぶ
- 組織規模に執着しない
- 年収ダウンは止む無し
50代未経験者向けの「経理」の求人はほぼありませんが、パート・契約社員なら少しはあるかもしれません。
そのため、基本的に会計事務所・税理士法人の求人を探すケースが大半です。
簿記1級持ち未経験者が転職するときの重要ポイント
簿記1級保有者が未経験職種に転職する場合、重要なポイントがあります。
それぞれ解説します。
簿記1級を取得した理由・背景を明確にして志望動機に盛り込む
私は面接官として簿記1級取得者の方とお話する機会が多いですが、「なぜ簿記1級を取ったのか?」と聞くと、理由がぼんやりしている方が非常に多いです。
人によっては謙虚だと捉えるのかもしれませんが…簿記1級は難関資格ですから、なんとなく取得できるものではありません。
絶対に明確な理由・目的があったはずで、それを上手く伝えられない方が多いと感じます。
そのため、まずはなぜ簿記1級を取得したのか理由を明確にしたうえで、志望動機に絡めましょう。
オススメの絡め方としては、「未経験でアピールできるものがないため、最速で簿記1級を取った」とか「簿記2級を勉強したところ非常に面白味を感じ、そのまま簿記1級も取った」といった理由です。
これらの理由なら採用側としても違和感がなく、やる気や地頭の良さをアピールできるのでおすすめです。
キャリアを2歩先まで考えておくことで転職先を逆算できる
簿記1級を活用すると、会計系のキャリアが大きく広がります。
特に、未経験者の方は比較的転職のしやすい「経理」「会計事務所」は、1歩目のキャリアとして選びやすいでしょう。
しかし、自分にとって最適な転職先が1度で決まるとは限らず、転職後も資格を武器によりステップアップすべく更に転職をする方は多いです。
実際、私の会社にも会計職で応募されてくる方が多いですが、「1度しか転職したことがない」という方はほとんど見たことがありません。
そのため、1歩目の転職先を考えるだけでなく、その先のキャリアの方向性も考えておきましょう。
例えば、経理への転職では「業種選び」も重要になります。(例:不動産業、小売業、飲食業など)
なぜなら、企業会計は業種によって特有の取引慣行・会計処理があるため、2歩目で選ぶ業種は1歩目で選んだ業種と近い業種を選びやすいからです。
待遇・残業の多寡なども大切ですが、ぜひ「その後のキャリアにおいて必要か」という視点も混ぜてください。
なお、簿記1級を活かせる仕事については次の記事内ですべて紹介しています。
必ず会計・税務に強い転職エージェントを利用する
未経験職種に転職する場合、転職エージェントの活用は必須です。
なぜなら、業界の情報を知り、組織の特徴を掴み、面接対策を行う必要があるからです。
特に、転職エージェント選びは非常に重要です。
私自身も転職を経験していますが、エージェントによって知識量に大きな差があります。
絶対に、会計・税務に強い転職エージェントを使うべきです。
なお、会計税務に強く、簿記1級取得者向けの求人を多く保有している転職エージェントは最下段で解説しています。
簿記1級とTOEIC900点はどっちも転職に有利だが働き方が異なる
たまに「簿記1級とTOEIC900点はどっちが転職に有利か?」という質問を受けます。
結論として、両者は単純比較できるような資格ではないため、「何をしたいか」で方向性を考えるべきです。
簿記1級とTOEIC900点の異同
簿記1級 | TOEIC900 | |
---|---|---|
難易度 | 高い(同程度) | |
身に付く知識 | 上場経理の知識 | ビジネス英会話 |
主なキャリア | 上場企業の経理 | 外資系企業全般 |
主な働き方 | 残業は少なめ | 残業が多い |
知識の汎用性 | 低い | 高い |
簿記1級もTOEIC900点も、難易度が同程度に高いという点でよく比較されます。
しかし、身に付く知識・その後のキャリア・働き方は全く異なります。
簿記1級合格後は、通常は(公認会計士等を目指さない限り)上場企業の経理ポジションを渡り歩くキャリアを歩みます。
そのため、大企業内の事務職として安定した職に就くことができ、残業時間は比較的少なくなります。
一方、TOEIC900点は汎用性が高いものの、外資特有のバイタリティが求められます。
そのため、私は「バリバリ働きたいならTOEIC900を目指すべきだし、専門職として安定した働き方を得たいなら簿記1級を目指すべき」とアドバイスします。
あなたはどちらですか?
簿記1級・未経験で応募できる求人例
会計系大手エージェント「MS-Japan」の求人ページを参照し、簿記1級・実務経験なしで応募できる求人を抜粋しました。
簿記1級があると「実務経験なし」でも好待遇で応募できる求人が多く、日商簿記1級の価値の大きさが分かります。
良い求人はすぐに応募枠が埋まってしまうため、気になる方は今すぐ転職エージェントに登録し、問い合わせることをオススメします。
簿記1級を使って未経験で転職する際のよくある疑問
その他、簿記1級を使って未経験で転職する際のよくある疑問をまとめ、回答しました。
簿記1級を取っても就職できない人の特徴は?
簿記1級を取得しても就職できない人は、その大半が面接対策の不足によるものです。
簿記1級を履歴書に書くだけでは、簿記1級の強みを最大限に発揮することはできません。
事前に応募先をリサーチし、「その会社・会計事務所でどう活かせるのか」をしっかり説明できる必要があります。
応募先の内情や特色は転職エージェントがリサーチ済みですから、情報を聞き、面接対策をしてもらうことで簿記1級をフル活用することができます。
なお、簿記1級を取っても就職できない人の特徴について、詳しくは次の記事内で解説しています。
簿記1級はやめとけと言われたのですが本当ですか?
はい。私もほとんどの人に「簿記1級はやめとけ」とアドバイスするでしょう。
というのも、「なんとなく凄いから!」という理由だけで目指す人が多いからです。
簿記1級をおすすめするのは、次のような人に限定されます。
- 経理を目指している人
- 公認会計士を目指している人
- 税理士を目指している人
上記以外の人には、簿記1級はやめとけと言います。
詳しくは、次の記事を読んでください。
簿記1級を取ってよかったと思ったことはありますか?
私が簿記1級を取ってよかったと思ったのは、次のとおりです。
- 公認会計士を目指す適性判断に活用できた
- 独立した後、講師として簿記1級の勉強法を指南できた
多くの方は、公認会計士を目指すか否かの適性判断として、簿記1級の取得を目指されるでしょう。
またこの他、未経験で経理を目指す方にも簿記1級を取るメリットがあります。
簿記1級があると就活で無双できますか?
いいえ、それは有り得ません。
簿記1級を活用する際は上場経理を目指すのが通常ですが、上場経理では「知識」よりも「実務経験」のほうが重視されます。
もちろん簿記1級を持っていれば(持っていない人よりも)就活で評価されますが、なぜ簿記1級を取得したのかといった取得の背景を説明したり、コミュニケーション能力・志望動機のアピールは必須です。
簿記1級を全面にアピールすると、却って「業界知識が浅い」「能力が低いのでは」とさえ思われる可能性がありますので、謙虚な姿勢で就活に臨むことを推奨します。
【比較表】簿記1級・未経験者に強い転職エージェント
数多くある会計系転職エージェントの中から、「簿記1級保有者」+かつ未経験者に強い転職エージェントを上位3社ピックアップしました。
MS-Japan | ヒュープロ (Hupro) | リクルート エージェント | |
---|---|---|---|
総合評価 | (9/10) | (10/10) | (6/10) |
簿記1級取得者 向けの求人数 | 約 1,200 件 | 約 800 件 | 約 20 件 |
うち未経験者 向けの求人数 | 約 300 件 | 約 400 件 | 約 5 件 |
取扱い求人 | 経理 会計事務所 | 会計事務所 | 経理 |
口コミ・評判 | 評判・口コミ | 評判・口コミ | – |
公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
「簿記1級保有者」向けの求人数では、MS-Japanが群を抜いていました。
ただし、「簿記1級かつ未経験者」向けの求人は、Huproの方が求人数が多い結果となりました。
個人的には、経理への転職ならMS-Japan、会計事務所への転職ならHuproという具合に使い分けることをオススメします。(エージェントによって、得意分野が異なるため)
簿記1級を使って転職をされる方は、ぜひ上記表をご参考ください。
また、経理の仕事については下記の記事でも解説されています。
1988年生まれ(36歳)
公認会計士・税理士
2012年 日商簿記1級 合格
2013年 公認会計士試験(論文式) 合格
2014年 EY新日本監査法人 入社
2021年 ニューラルグループ株式会社 入社
2024年 ARMS会計株式会社 代表取締役
前職では上場会社の経理部長として勤務し、現在は経理・財務支援サービス会社を経営しています。