2024年(令和6年)税理士試験合格率は16.6%!【合格発表から分かった傾向】

令和6年度(第74回)税理士試験結果表(試験地別)

国税庁は2024年11月29日、2024年度(令和6年度)税理士試験の試験結果を発表した。
合格者は5,762人、受験者数は34,757人、合格率は16.6%だった。
うち5科目合格者(官報合格者)は578人だった。

第74回税理士試験は、2024年8月6日~8日に実施された。
税理士試験は、「会計学に属する科目」(簿記論、財務諸表論)と、「税法に属する科目」(所得税法、法人税法、相続税法、消費税法または酒税法、国税徴収法、住民税または事業税、固定資産税)のうち受験者の選択する3科目について行われる。
ただし、所得税法または法人税法のうち1科目は必ず選択しなければならない。
なお、税理士試験は科目合格制をとっており、受験者は一度に5科目を受験する必要はなく、1科目ずつ合格を目指すことができる。

目次

2024年(令和6年)|税理士試験の「合格率」「合格者数」

2024年(令和4年)税理士試験科目別合格率
科目受験者数合格者数合格率
簿記論17,711人3,076人17.4%
財務諸表論13,665人1,099人8.0%
所得税法1,195人150人12.6%
法人税法3,583人588人16.4%
相続税法2,515人471人18.7%
消費税法7,206人740人10.3%
酒税法528人64人12.1%
国税徴収法1,670人217人13.0%
住民税461人84人18.2%
事業税249人34人13.7%
固定資産税893人161人18.0%
合計(延人員)49,676人6,684人13.5%
 合計(正味)34,757人5,762人16.6%
  • 合格率上位3科目:青色マーカー
    合格率下位3科目:黄色マーカー

2024年度は「相続税」の合格率が最も高い結果となった。
例年では「簿記論」の合格率が最も高くなるケースが多かったが、2024年度は珍しく「相続税」が合格率トップ。

2番目に合格率が高かったのが「住民税」。
「住民税は」最も受験者数の少ない科目であったが、合格率は非常に高い結果となった。

3番目に合格率が高かったのが「固定資産税
こちらも受験者数は少ないものの、合格率は非常に高い結果となった。

逆に、合格率が最も低かったのは「財務諸表論」であった。

なお、全体の合格率は16.6%であった。

まとめ
  1. 2024年は「相続税」「住民税」「固定資産税」の合格率が高かった
  2. 一方、「財務諸表論」「消費税法」「酒税法」は合格率が低かった

【科目別】税理士試験の合格率推移【2020年~2024年】

税理士試験の「科目別」合格率推移【2020年~2024年】
科目名2020年2021年2022年2023年2024年
簿記論22.6%16.5%23.0%17.4%17.4%
財務諸表論19.0%23.9%14.8%28.1%8.0%
所得税法12.0%12.6%14.1%13.8%12.6%
法人税法16.1%12.8%12.3%14.0%16.4%
相続税法10.6%12.8%14.2%11.6%18.7%
消費税法12.5%11.9%11.4%11.9%10.3%
酒税法13.9%12.6%13.2%12.7%12.1%
国税徴収法12.2%13.7%13.8%13.9%13.0%
住民税18.1%12.7%17.2%14.7%18.2%
事業税13.1%12.6%14.1%16.4%13.7%
固定資産税13.5%13.8%18.4%18.4%18.0%
合計
(延人員)
17.3%16.5%16.7%16.7%13.5%
合計
(正味)
20.3%18.8%19.5%21.7%16.6%
  • 各年の合格率上位3科目:青色マーカー
    各年の合格率下位3科目:黄色マーカー

2024年度の合格率は、やや荒れる結果となった。

最も目立つのが「財務諸表論」の合格率である。
昨年2023年度の合格率は「28.1%」と著しく増加した半面、本年2024年度の合格率は一転して「8.0%」と最も低い合格率になった。
2023年度より会計科目の受験資格が撤廃されたことで、簿記論・財務諸表論の受験者数が大きく増加しているが、これにより2023年度に財務諸表論合格者が増えすぎたため、これを調整する目的で2024年度の財務諸表論合格者数を絞ったものと推察される。

しかし5年間で見れば、「簿記論」「財務諸表論」「固定資産税」は他科目よりも高い合格率をキープしている。

また、2024年度は「相続税法」の合格率が過去に比して大きく増加している。
相続税法に関する試験制度の変更はないため、合格者数の調整が想定される。

一方、合格率の低い科目は分散しており、合格率の高い科目・そうでない科目がはっきりと分かれる傾向にある。
直近2024年度では珍しく「財務諸表論」の合格率が下がっているが、これは前年度合格者数増加の調整のためと考えられ、一時的な減少とも考えられる。

所感
  1. 財務諸表論の合格率が一時的に大きく下落(前年度増加の調整と考えられる)
  2. 簿記論・住民税・固定資産税の合格率は、引き続き高い水準で推移
  3. その他の科目は合格率10%~15%を維持

【学歴別】税理士試験の合格率推移【2020年~2024年】

2024年度(令和6年)税理士試験学歴別合格率グラフ
受験者数5科目到達者数一部科目合格者数合格者数合計合格率
大学卒24,987人442人3,325人3,767人15.1%
大学在学中2,461人4人642人646人26.2%
短大・旧専卒685人14人52人66人9.6%
専門学校卒2,854人64人296人360人12.6%
高校・旧中卒3,015人42人609人651人21.6%
その他755人12人260人272人36.0%
(合計)34,757人578人5,184人5,762人16.6%
国税庁|令和6年度(第74回)税理士試験結果
2020年2021年2022年2023年2024年
大学卒19.3%17.7%17.3%21.1%15.1%
大学在学中32.6%31.1%32.9%30.5%26.2%
短大・旧専卒17.3%14.3%11.9%13.6%9.6%
専門学校卒16.8%16.1%15.9%16.4%12.6%
高校・旧中卒23.8%22.5%21.0%23.8%21.6%
その他42.2%43.5%38.1%32.7%36.0%
(合計)20.3%18.8%19.5%21.7%16.6%
  • 各年で最も高かった合格率:青色マーカー
    各年で最も低かった合格率:黄色マーカー

例年に引き続き、大学在学中の合格率が最も高い結果となった。
また、最も合格率が低かったのは短大・旧専卒でありこれも例年通りの傾向である。

【年齢別】税理士試験の合格率推移【2020年~2024年】

2024年度(令和6年)税理士試験年齢別合格率グラフ
受験者数5科目
到達者数
一部科目
合格者数
合格者数
合計
合格率
41歳以上11,543人229人743人972人8.4%
36~40歳4,668人104人565人669人14.3%
31~35歳4,990人103人784人887人17.8%
26~30歳5,775人94人1,037人1,131人19.6%
21~25歳6,255人47人1,464人1,511人24.2%
20歳以下1,526人1人591人592人38.8%
合計34,757人578人5,184人5,762人16.6%
国税庁|令和6年度(第74回)税理士試験結果
2020年2021年2022年2023年2024年
41歳以上13.2%11.8%11.5%13.1%8.4%
36~40歳19.2%18.3%19.4%20.8%14.3%
31~35歳21.7%21.3%22.2%23.5%17.8%
26~30歳25.1%23.0%24.0%27.1%19.6%
25歳以下33.8%29.7%30.9%31.0%27.0%
(合計)20.3%18.8%19.5%21.7%16.6%
  • 各年で最も高かった合格率:青色マーカー
    各年で最も低かった合格率:黄色マーカー

例年通り、25歳以下の受験生の合格率が最も高い結果となった。
頭が柔らかく飲み込みの早い時期であるほか、大学生が多いため、社会人よりも比較的勉強時間を多く取れることが要因であると考えられる。

また、年齢が上がるにつれて合格率が下がる傾向も例年通りであり、41歳以上の合格率が最も低い結果となった。

2024年までの過去10年間|受験者数・合格者数・合格率の推移

税理士試験(2015年~2024年)受験者数・合格者数・合格率推移グラフ
スクロールできます
2015年2016年2017年2018年2019年2020年2021年2022年2023年2024年
受験者数
(実人員)
38,17535,58932,97430,85029,77026,67327,29928,85332,89334,757
合格者数
(実人員)
6,9025,6386,6344,7165,3885,4025,1395,6267,1255,762
合格率
(実人員)
18.1%15.8%20.1%15.3%18.1%20.3%18.8%19.5%21.7%16.6%

受験者数は2020年にかけて右肩下がりであったが、2021年より増加傾向に転じ、2024年も引き続き受験者数は増加した。
また、合格者数については前年である2023年に比べると減少しているものの、2年前の2022年に比べると微増した。

結果、合格率は16.6%とやや低くなったものの、例年の15~20%内の合格率をキープしている。

所感
  • 受験者数は2020年までは減少傾向だったが、2021年から増加傾向にトレンド転換
  • 合格者数はやや増加
  • 合格率は例年15~20%で推移する

2025年(令和7年)|税理士試験の日程

2025年(令和7年)の税理士試験の日程は、次のとおりです。

税理士試験実施スケジュール

項目日程
試験実施官報公告令和7年4月4日
受験申込受付開始令和7年4月21日
受験申込受付締切令和7年5月9日
試験実施令和7年8月5日~令和5年8月7日
合格発表令和8年11月28日
国税庁|令和7年度(第75回)税理士試験実施スケジュールについて

試験日程

月日時間科目
令和7年
8月5日(火)
9:00~11:00簿記論
12:30~14:30財務諸表論
15:30~17:30消費税法 または 酒税法
令和7年
8月6日(水)
9:00~11:00法人税法
12:00~14:00相続税法
15:00~17:00所得税法
令和7年
8月7日(木)
9:00~11:00国税徴収法
12:00~14:00固定資産税
15:00~17:00住民税 または 事業税
国税庁:試験日程:試験科目について

日程は例年ほぼ同時期に行われており、2025年度についても変わらず同時期に実施されることが予想されています。

税理士試験の受験資格をおさらい

ご存じのとおり、2023年試験から税理士試験は受験資格が緩和されました。
そこで、最新の税理士試験の受験資格をおさらいします。

税理士になるための要件図解

税理士になるまでの流れは、上記画像のとおりです。

税理士試験は、「会計学に属する科目」(簿記論、財務諸表論)と、「税法に属する科目」(所得税法、法人税法、相続税法、消費税法または酒税法、国税徴収法、住民税または事業税、固定資産税)に分けられます。

このうち、「税法に属する科目」については受験資格が必要となり、受験資格をクリアした受験生のみ受験することができます。
一方、「会計学に属する科目」については受験資格が撤廃され、誰でも自由に受験することができます。

なお、受験資格は次のとおりです。

学識要件
1.大学、短大又は高等専門学校を卒業した者で、社会科学に属する科目(※)を1科目以上履修した者
2.大学3年次以上で、社会科学に属する科目(※)を1科目以上含む62単位以上を取得した者
3.一定の専修学校の専門課程を修了した者で、社会科学に属する科目(※)を1科目以上履修した者
4.司法試験合格者
5.公認会計士試験の短答式合格者
資格要件
6.日商簿記検定1級合格者
7.全経簿記検定上級合格者
職歴要件
8.法人又は事業行う個人の会計に関する事務に2年以上従事した者
9.銀行、信託会社、保険会社等において、資金の貸付け・運用に関する事務に2年以上従事した者
10.税理士・弁護士・公認会計士等の業務の補助事務に2年以上従事した者
国税庁:税理士試験受験資格の概要

大学生・大卒の方は非常にクリアしやすい条件になりました。
また、そうでない方も会計事務所で2年以上働くことで受験資格を得ることができます。

受験資格の緩和によって受験生が大幅に増えることが予想されますが、先述のとおり税理士試験は相対評価の試験であることから、合格率が大きく下がるようなことはないと予想されます。

税理士試験に関するよくある疑問

その他、税理士試験に関するよくある疑問をまとめました。


税理士試験の合格発表通知はいつ届く?

例年、合格発表日当日に普通郵便にて試験結果通知が郵送されます。

そのため、手元に合否通知が届くのは合格発表日の2~3日後になります。

税理士試験の合格点は何点ですか?

税理士試験の合格基準点は、各科目とも満点の60パ-セントです。

ただし、税理士試験は「傾斜配点」と呼ばれる仕組みがあるものと考えられており、受験生の合格率を概ね10%~50%に収められるものと考えられています。

そのため、税理士試験は絶対評価(予め配点が決まっている試験)ではなく相対評価(毎年の受験生の中で配点が決まる)の試験であると言われます。

そのため、合格点を意識することも大切ですが、何より受験生の中で上位10%~15%の中に入ることを意識することが大切です。

税理士試験合格者の官報はどこで見れますか?

無料で見たい方は、インターネット版 官報をご覧ください。

また、紙媒体で購入したい方は全国官報販売協同組合のHPを参照すると、お近くの購入場所を調べることができます。

なお、免除申請で官報合格した方は、毎年6月中旬頃に官報へ掲載されます。

税理士試験の申し込み期間はいつですか?

毎年、4月下旬~5月中旬の約3週間間のみ申し込みを受け付けています。

詳しくは国税庁HP「受験の申込みについて」を参照して下さい。

税理士試験の勉強時間の目安はどのくらいですか?

税理士試験の科目ごとの勉強時間は、次のとおりです。

科目名勉強時間
簿記論825時間
財務諸表論825時間
所得税法1,200時間
法人税法1,200時間
相続税法900時間
消費税法625時間
酒税法300時間
国税徴収法300時間
住民税450時間
事業税450時間
固定資産税500時間

各予備校が公開している平均勉強時間は、かなり過少に見積もられていると考えられます。

上記の平均勉強時間を参考に、学習計画を立てることをオススメします。

公認会計士と税理士はどっちが難しいの?

私は公認会計士資格・税理士資格の両方を持っていますが、正直どちらが難しいとは一概に言えません。

合格者数は公認会計士試験の方が少なく、合格率も公認会計士試験の方が低いため、合格者数・合格率だけで見れば公認会計士試験のほうが難しいと言えます。

しかし、合格に必要な(平均的な)年数は税理士試験の方が長く、税理士試験のほうが継続的な努力が求められます。


税理士試験は、働きながら合格できる試験です。

先述のとおり、税理士試験合格者のうち約3割は大学生ですが、約7割は社会人・既卒の受験生です。

そのため、特に会計事務所では働きながら税理士を目指す受験生がとても多いです。

しかし、会計事務所の中にはブラックな会計事務所もあり、事務所選びを失敗するといつまでも合格できない恐れがあります。

働きながら税理士を目指すには、より学習に適した環境を選ぶ必要があります。

働きながら税理士を目指せる職場探しのコツは、無理なく働きながら税理士に合格できる「職場」の選び方の記事内で詳しく解説しています。

ぜひ自分に合った会計事務所を見つけ、最短距離で税理士資格の取得を目指しましょう!

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対象年代20代~40代20代~50代20代~50代20代~30代20代~30代
設立2015年1990年2000年1996年1973年
資本金2億2740万円5億8600万円3400万円3800万円21億210万円
得意領域会計事務所
税理士法人
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