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会計事務所で求められる5つのスキル【所長税理士が解説】

公認会計士・税理士の藤沼です。

会計事務所では、以下の5つのスキルが求められます。

未経験者の方がこれら5つのスキルを初めから身に付けるのは不可能ですし、私たち所長税理士も、そこまでの水準は求めていません。

しかし、一つでも多くスキルを身に付けていれば、事務所内ではとても重宝される存在になります。

本記事では、この5つのスキルを更に具体化し、業務をイメージできるよう分かりやすく解説します。

この記事の執筆者
藤沼 寛夫

公認会計士・税理士

藤沼 寛夫›

藤沼会計事務所 所長
アカウントエージェント株式会社 代表取締役

2013年に公認会計士論文式試験に合格し、2014年にEY新日本有限責任監査法人に入所。上場会社・学校法人・上場準備会社の会計監査業務に従事し、2018年に東京共同会計事務所に転職。広くFASに関与し、2019年に藤沼会計事務所を独立開業。翌2020年にはアカウントエージェント株式会社を設立し、会計税務コンサルティング及び会計税務に関する転職支援サービスを提供している。

この記事の監修者
齋藤 嘉彦

税理士

齋藤 嘉彦›

齋藤嘉彦税理士事務所 代表

PwC税理士法人にて国際税務M&Aタックスグループに所属し、上場企業向けの法人税申告や税務デューデリジェンスに従事。東証プライム上場企業への常駐型支援を経て、プライベートビジネスサービス部門でオーナー向けの所得税・相続税申告、株式評価、事業承継支援に携わる。2026年、大手で培った専門性をより身近な形で提供するため齋藤嘉彦税理士事務所を設立。

目次

会計事務所で求められるスキル①|会計・税務の専門スキル

会計事務所で求められるスキル①|会計・税務の専門スキル

1つ目のスキルは、会計・税務の専門スキルです。

具体的には、以下の3つの知識・姿勢が求められます。

会計事務所で求められる「会計・税務の専門スキル」

簿記の知識|未経験者でも簿記2級〜3級レベルを求められることが多い

会計事務所の業務内容は、突き詰めれば「会計ソフトへの入力作業」です。

そして、取引を正しく仕訳するには簿記の基礎知識が必要不可欠です。

具体的には、次のような場面で簿記の知識を活用します。

簿記の知識の活用シーン
  • 日々の取引について、仕訳を起票する
  • 月次・年次の試算表を集計し、おかしな点がないかレビューする
  • 試算表をもとに貸借対照表・損益計算書を作成する

「未経験だから知識はゼロでいい」というわけではなく、実際には日商簿記2級・3級レベルの知識を採用時に求める会計事務所は多いです。

逆に言えば、簿記2級があれば実務経験なしでも会計事務所に採用されやすくなります。

日商簿記2級は3ヶ月〜半年ほどで取得できるケースが一般的で、就活時にも高く評価されやすいため、未経験から会計事務所を目指す方にとってコストパフォーマンスの良い選択肢です。

筆者も10年以上この業界に身を置いていますが、会計事務所で働く人にオススメの資格として「簿記2級」を最もおすすめしています。

税法の基礎知識|法人税・所得税・消費税を理解する

会計事務所の仕事内容は、法人税・所得税・消費税をはじめとした税法の知識が土台になります。

クライアントの取引を仕訳処理する際、税法上どう扱うべきかを理解していなければ、正確な税務申告につなげることが難しくなります。

具体的には、次のような知識が求められます。

分野税法の知識を活用するシーン
法人税法法人による各取引の仕訳起票及び税額計算
所得税法個人事業主による各取引の仕訳起票及び税額計算
消費税法消費税課税事業者の判定や、個々の取引の課税・非課税・不課税の判定

もちろん、入所した時点でこれらの知識をすべて持っている必要はありません。

税務に関する知識・スキルは、実務を通じて働きながら徐々に身に付いていくものです。

専門職である以上、日々の業務の中で多少の自己研鑽が求められる場面もありますが、最初から完璧を目指す必要はありません。

学び続ける姿勢|税制は毎年変わるため知識をアップデートし続ける必要がある

税法は一度覚えたら終わりではありません。

税制は毎年度改正されており、財務省の「税制改正の概要」を見れば分かる通り、実際に毎年税制の内容が更新されています。

つまり会計事務所で働く以上、税制の変化に合わせて知識をアップデートし続ける姿勢が求められるのです。

学び続ける方法としては、例えば次のようなものがあります。

継続的なフォローアップ例
  • 税理士試験科目の学習
  • 事務所内の勉強会・研修への参加
  • 国税庁や税務専門誌等での税制改正情報のキャッチアップ

最も効率よく専門知識を高めたいなら、税理士試験科目の学習がオススメです。

税理士は国家資格であり、一部科目合格であっても履歴書に書くことができます。

仮に合格に至らなくても、税法の読み方や体系を理解できるため、実務には大きく役立つはずです。

※ もちろん、税理士補助として働くけど税理士は目指さないという選択肢も大いにアリです。あくまで学び続けることが大切ということです。

会計事務所で求められるスキル②|PC・ITツールの活用スキル

会計事務所で求められるスキル②|PC・ITツールの活用スキル

2つ目のスキルは、PC・ITツールの活用スキルです。

具体的には、以下の2つのスキルが求められます。

会計事務所で求められる「PC・ITツールの活用スキル」

会計ソフトの操作スキル|弥生会計・freee・マネーフォワード・TKC等への入力

会計事務所で働く以上、必ず会計ソフトを操作することになります。会計ソフトとは、日々の取引を入力すると自動で集計・整理してくれるツールのことです。

具体的には、弥生会計・freee会計・マネーフォワードクラウド・TKCなどが代表的なソフトとして挙げられます。

これらをすべて覚える必要はなく、使用するソフトは事務所によって異なるため、配属された事務所で使われているソフトの操作方法だけを身につければ十分です。

会計ソフトを使って行う主な作業は、次のとおりです。

会計ソフトを使った作業の例示
  • 日々の取引を仕訳・入力する
  • 月次の試算表を作成する
  • 決算書・申告書のデータを出力する

事務所によっては複数のソフトを併用しているケースもありますが、いきなりすべてを使いこなす必要はなく、基本的なPC操作に抵抗がなければ実務の中で自然と慣れていきます。

そして、入力したデータを電子申告(e-Tax・eLTAX)システムに送信するのも、会計ソフト操作の延長にある工程です。

今や法人税申告のe-Tax利用率は9割を超えており、電子申告への対応は必要不可欠です。

令和4年度、納税者や税理士の皆様にご協力をいただき、法人税申告のe-Tax利用率は、はじめて9割を超えました。

引用:国税庁|法人税の電子申告は、4社に3社がALL e-Taxです!

Excelの基礎スキル|管理資料の作成・集計など

会計ソフトへの入力だけでなく、Excelを使う場面は日常的にあります。

具体的には、次のような作業です。

Excelを使う作業のシーン
  • 管理資料として数値を入力・修正する
  • 複数の数値を集計する
  • 組織概要などを簡単にまとめる

中には、「紙の領収書などの数値を電卓で手計算する」といったアナログな作業も少しありますが、基本的にはExcelで計算→会計ソフトに入力するという流れです。

いずれも、特別なテクニックが求められる作業ではありません。

会計事務所で求められるスキル③|コミュニケーション・ヒアリング能力

会計事務所で求められるスキル③|コミュニケーション・ヒアリング能力

3つ目は、コミュニケーション能力・ヒアリング能力です。

具体的には、以下の4つの姿勢・能力が求められます。

クライアントへの質問力・傾聴力|ビジネスの流れを正しく聞き出す

会計事務所での主な仕事は「会計ソフトへの入力作業」ですが、正しく入力するためには、クライアント企業の「ビジネススキーム(お金の流れなど)」を理解できていることが前提です。

同じ取引であっても、クライアントの事業内容によっては異なる会計処理を行うケースがあるからです。

具体的には、次のようなヒアリングが必要になります。

会計事務所における「ヒアリング」の例
  • クライアントの事業の内容をヒアリングする
  • 取引の背景や意図を確認する
  • 曖昧な回答から論点を整理し、課題を明確にする

このうち、事業の全体像を一から聞き取るのは主に税理士の役割です。未経験のうちは、担当する会社の個々の取引について確認するところから始まります。

経験を積むにつれて、次第にこうした仕事も任されるようになります。

分かりやすく説明する力|税務以外の相談にも対応する

クライアントとの会話は、税務に関する内容だけとは限りません。

例えば、次のような相談を持ちかけられることもあります。

担当者が直面するクライアントからの相談例
  • 人材の確保に関する相談
  • 売上・集客に関する相談
  • 資金繰りに関する相談

こうした税務以外の相談に対しても、情報を整理し、分かりやすく説明できるスキルは大切です。

なぜなら、こうした相談に対応することで税務以外のビジネスに繋がる可能性があるからです。

筆者の周りを見ていても、こうしたコミュニケーションを得意とする方ほど、組織内で高い評価を得ていると感じます。

雑談力・関係構築力|信頼関係を築き、話しやすい空気をつくる

会計事務所は、単発の仕事ではなく顧問契約という長期的な関係の上に成り立つビジネスです。

だからこそ、業務の話だけでなく雑談を交えることも大切です。

これによりクライアントとの距離が縮まり、信頼関係を築きやすくなるのです。

信頼関係があってこそ、クライアントは経営上の悩みや困りごとを話しやすくなります。

質問力・傾聴力も、こうした関係構築力があってこそ機能するものだと言えます。

また、事務所内に楽しみながら仕事をしてくれる人がいると、事務所全体が明るくなって好影響があります。(とは言っても、雑談ばかりではダメですが)

チーム内での報告・連絡・相談

クライアント対応だけでなく、事務所内でのコミュニケーションも大切です。

担当外の案件について先輩や税理士に相談したり、進捗を共有したりする場面は日常的にあります。

報告・連絡・相談を怠ると、次のような事態につながりかねません。

事務所内でのホウレンソウ不足によるリスク
  • 認識のズレによる二重対応や手戻り
  • ミスを見逃すことで、クライアントの申告額を誤る
  • クライアントへの連絡対応の遅れ 等

基本的なことですが、組織で働く以上、欠かせないスキルの一つです。

会計事務所で求められるスキル④|正確性・几帳面さ

会計事務所で求められるスキル④|正確性・几帳面さ

4つ目は、正確性・几帳面さです。

具体的には、以下の2つの力が求められます。

会計事務所で求められる「正確性・几帳面さ」

細部への注意力

会計事務所の仕事は、クライアントが支払うべき税額を計算することです。

少しの入力ミスでも、後々の集計や申告に影響しかねません。

実際にレビューで見つかる小さなミスには、例えば次のようなものがあります。

私がレビューをする際に見かけるミス
  • 勘定科目の選択誤り
  • 消費税の税区分の判定ミス
  • 桁の見間違い
  • 集計ミス 等

もちろん、人間にミスは付き物ですから、誤りをゼロにすることはできません。

そのため、スタッフが作成した資料は最終的に税理士が確認しています。

しかし、ひとりひとりが注意を払って仕事をするからこそ、事務所としてミスのない正確な申告書が作成できるのです。

ちなみに、よく「1円のズレも見逃さない!」と言われますが、実際の業務で1円ズレることはまずありません。
集計ミスなどでは、まるっと取引ごと金額がズレますからね。

こうした細やかな作業のできる方には、むしろ会計事務所は向いていると言えます。

根拠を資料として残す几帳面さ|後から見ても分かるように計算根拠等を整理

正確な数字を出すことと同じくらい大切なのが、「なぜその数字になったのか」を後から見ても分かるように、計算根拠や参照元を資料に整理して残しておくことです。

具体的には、次のような情報を残しておくと重宝されます。

やっておくと重宝される作業
  • イレギュラーな取引の計算過程・根拠となる条文
  • 参照した書類(請求書・契約書など)の名称
  • 判断に迷った点とその理由 等

自分の頭の中で理解していても、資料に根拠が残っていなければ、判断の経緯を追えなくなってしまいます。

会計事務所での仕事は基本的に同じ作業の繰り返しですので、迷ったらメモする癖をつけておくことで、来年作業する際に大きく役立ちます。

数字を合わせるだけでなく、その裏付けを分かりやすく残せるかどうかも、会計事務所で評価されるスキルの1つです。

ちなみに、この「根拠や計算過程を残す」という作業は、同じ会計系職種である「経理」や「監査アシスタント」でも同様に求められる作業ですので、癖をつけておくと他職へ転職した際にも役立ちます。

会計事務所で求められるスキル⑤|マルチタスク・スケジュール管理力

会計事務所で求められるスキル⑤|マルチタスク・スケジュール管理力

5つ目は、マルチタスク・スケジュール管理力です。

具体的には、以下の2つの能力が求められます。

会計事務所で求められる「マルチタスク・スケジュール管理力」

繁忙期(確定申告・決算期)の業務量調整力

会計事務所には、確定申告や決算が集中する繁忙期があります。

国税庁の「令和7年分の所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について」によれば、所得税等の確定申告書の申告人員は2,353万人にのぼり、その多くが例年2月中旬から3月中旬の1ヶ月間で確定申告を行います。

そのため、いかに繁忙期に業務を集中させないか工夫が必要になります。

繁忙期の業務量を調整する工夫例
  • 繁忙期に入る前から進められる作業を前倒しで済ませておく
  • 優先順位の高いクライアントの業務から着手する
  • 事務所内で応援体制を組む

それでも繁忙期は通常期より業務量が増えるため、ある程度の持久力・体力が求められます。

この業務量の多さから、会計事務所はやめたほうがいいと言う人もいます。

タスクに優先順位を付けて仕事を進める力|複数の業務を整理しながら進める

会計事務所のスタッフは、通常複数(10~30社程度)のクライアントを担当として抱えています。

それぞれのクライアントには、月次の試算表提出や、消費税・法人税の申告、給与計算・年末調整など、異なる締切があります。

さらに、優先順位を考える必要があるのはクライアント間だけではありません。

1社を担当している中でも、記帳作業・税区分の判定・資料作成・問い合わせ対応など、複数のタスクが同時並行で発生します。

そのため、個々人に優先順位を判断する基準が求められます。

優先順位の判断基準(例)
  • 締切までの残り日数
  • 対応が遅れた場合にクライアントへ与える影響の大きさ
  • 急ぎの問い合わせなど、割り込みで発生した緊急度

こうした基準をもとに、どの作業を優先すべきかをその都度判断します。

急な対応が入った場合には、スケジュールを柔軟に組み替える力も求められます。

【比較表】会計事務所に強い!おすすめの転職エージェント【6選】

会計事務所に強い転職エージェント6社を、以下に比較しました。

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レックスアドバイザーズヒュープロMS-Japan人材ドラフトマイナビ転職税理士
レックスアドバイザーズヒュープロMS-Japan人材ドラフトマイナビ転職税理士
総合評価 ※1
4.50 / 5.00

4.39 / 5.00

4.11 / 5.00

3.92 / 5.00

3.87 / 5.00
求人数 ※22,000 件~3,000 件~1,800 件~1,800 件~1,200 件~
得意領域会計事務所/税理士会計事務所/税理士管理部門会計系税理士
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