公認会計士・税理士の藤沼です。
簿記2級を使って転職を有利にする方法は、3つあります。
ただし、それぞれコツが必要です。
本記事では、簿記2級を使って転職を有利にする裏ワザのコツを紹介します。
なお、私は会計事務所および株式会社の代表をしており、採用官として面接もしています。
本記事では、採用官としての私の目線も踏まえて具体的な解説をします。
内容に自信アリ。ぜひ最後まで読んでください。
この記事で分かること
- 直近の税制・基準改正を調べておくことで、学習意欲の高さをアピールできる!
- 簿記2級取得後も、継続して何かしらの資格に向けて勉強中であることをアピールする!ただし、あまり関係のない資格をアピールすると原点対象になるので注意
- 転職エージェントを利用し事前に質問リストを入手すれば、面接での受け答えを完璧にできる
- 簿記2級が転職に有利になるのは、「経理」「会計事務所」のほぼ2択!
簿記2級を使って転職を有利にする3つの手法
簿記2級を使って転職を有利にする方法は、3つあります。
それぞれ解説します。
直近の税制改正・基準改訂をアピールする
簿記2級を使って転職活動をする際は、直近の税制改正・基準改訂をアピールすると有利になります。
なぜなら、(特に会計事務所・経理などでは)税法改正・会計基準改訂などの情報をタイムリーにキャッチアップする能力が必要だからです。
この点をアピールするために最も効果的なのが、直近の税制改正・基準改訂を覚えておくことです。
もちろん、全ての税法・会計基準を覚えておくに越したことはないですが、現実的にそれは不可能です。
しかし、直近で何が改正されたのかくらいの知識なら、1時間もあれば理解して覚えることが可能です。
ここまで対策してくる応募者は、ほとんどいません。
つまり、ここで差が付きます。
これを知っているだけで、採用官としてはかなり好印象を受けるのでオススメです。
なお、税制改正については毎年2月に財務省がまとめて公開しています。(参照リンク:財務省「令和6年度税制改正(案)のポイント」)
また、企業会計基準の改訂についてはASBJ(企業会計基準委員会)が公表・修正の都度公開しています。(参照リンク:ASBJ「企業会計基準」)
会計事務所・経理への転職をする際は、上記のうち税制改正の「法人税」「所得税」「消費税」関連は見ておくと良いです。
改正点を読み込む際は、細かな内容を追ってもイメージできないと思いますので、大まかに何が改正されたのかを理解しておきましょう。
資格取得の勉強中であることをアピールする
簿記2級を使って転職活動をする際は、資格取得の勉強中であることをアピールすると有利になります。
なぜなら会計事務所・経理などでは、常に学習することが求められるからです。(座学・実務ともに)
税法・企業会計基準はその範囲が膨大であり、たとえ公認会計士・税理士であっても常に勉強しなければ実務で役に立てません。
そのため、今も勉強しているという姿勢をアピールすることが、そのまま評価に直結します。
え? 簿記2級で勉強は終わりにする予定?
さすがにそれはダメです。「学習意欲がありません」と自分で言っているようなものです。
もちろん、働き始めてからでなければ、何を勉強すべきか検討がつかない人も多いでしょう。
しかし、あくまで姿勢を見せるだけでアピールになるのですから、例えば全国経理協会が主催している法人税法能力検定のテキストを買って眺めたりするだけでも良いです。
これなら嘘にもなりませんし、本当に興味が出て勉強をするようになるかもしれません。
アピールのためでも良いので、何かしら本を買い、暇な時でも構わないので目を通しましょう。
- 会計事務所を志望する人には、税務実務系の資格学習がおすすめです。
- 経理を志望する人には、経理実務系の資格学習がおすすめです。
転職エージェントを利用して事前にQAリストを入手する
最も強力なのが、面接前に転職エージェントからQAリストを入手することです。
コレ、かなり効果的です。
採用官としてはあまりバラしたくないのですが、ぶっちゃけ内定率がガン!と上がります。
というのも、QAリストがあると事前に質問項目を知ることができるため、面接で模範解答を答えることができるからです。
会計・税務系の職種の面接では、「コミュニケーション能力」をかなり重視して見られます。
この点、QAリストがあれば悩むことなくサクサク回答できるため、コミュニケーション能力が高いと判断されやすいのです。
実際、私自身も就活・転職活動をした際に、このQAリストをGETして準備万端にして面接に臨みました。
結果、応募した全ての会計事務所から内定が出ました。
効果バツグンでした。おすすめですよ。
なお、会計・税務系に強い転職エージェントでなければ、QAリストは入手できないので注意して下さい。
簿記2級を取ると、転職が有利になる理由
簿記2級を取っただけでも、転職は有利になります。(断言)
なぜなら、実際に求人数が増えるからです。
職種 | 簿記2級 | 簿記3級 | 増加率 |
---|---|---|---|
会計事務所 | 1,006件 | 354件 | 2.8倍 |
経理 | 1,004件 | 372件 | 2.7倍 |
監査法人 | 21件 | 3件 | 7.0倍 |
コンサル | 115件 | 35件 | 3.3倍 |
経営企画 | 66件 | 20件 | 3.3倍 |
内部監査 | 18件 | 9件 | 2.0倍 |
(合計) | 2,230件 | 780件 | 2.9倍 |
簿記2級を取得すると、簿記3級の3倍近く求人数が増えます。
つまり、採用企業側にとって簿記2級へのニーズが強いのです。
もちろん、私の会計事務所でも簿記2級取得者をある程度高く評価しますし、応募の最低条件にしています。(簿記3級では不十分と判断しています)
「簿記2級を取れば、応募できる求人が3倍に増える」
こう考えれば、簿記2級取得のモチベーションも上がりますよね。
ちなみに、上記以外の職種では簿記2級を取ったところで大して有利になりません。
簿記2級は非常にコスパに優れた資格ですが、決して万能な資格ではないので。
【年齢別】未経験者におすすめの簿記2級を活かせる転職先
未経験者におすすめの簿記2級を活かせる転職先(職種)を、年齢別に紹介します。
年齢 | 転職先 |
---|---|
20代 | 会計事務所 経理 会計コンサル 経営企画(ただし、難易度は高い) 監査法人 |
30代 | 会計事務所 経理 会計コンサル 経営企画(ただし、難易度は高い) |
40代 | 会計事務所 経理 (ただし、難易度は高い) |
50代 | 会計事務所(ただし、難易度は高い) |
会計事務所は転職の難易度が最も低く、全年齢で選択肢に入ります。(ただし、年齢が上がるにつれて内定可能性はどんどん下がります)
また、会計コンサル・経営企画はやや「会計」からキャリアが遠ざかる傾向にあるため、もし選ぶ際はキャリアプランを慎重に考えておくべきです。
簿記2級を使って実務経験なしで就職できる職場について、詳しくは次の記事内で解説しています。
簿記2級を取っても転職できない人の特徴
簿記2級は、取っただけで転職活動に有利に働きます。
しかし、次のような人は簿記2級を使っても転職できない傾向にあります。
- 性格が暗すぎる
- 会計・税務とは関係のない職種に応募している
- 面接対策をしていない
一番多いのが、面接対策をしていない人です。
私は何百人もの職員の採用に関わってきましたが、明らかに準備不足な人が多すぎると感じます。
- 求人募集の背景を理解していない
- 仕事内容が全く分かっていない
- 自己PR・志望動機が浅い
こうした準備不足が見られると、面接官としては一気に採用する気を失います。
大半は転職エージェントから聞けば分かることですから、多少は準備してほしいなぁ…というのが採用官側の心情です。
簿記2級を取れば食いっぱぐれない?
簿記2級を取れば、食いっぱぐれない?
いいえ、そんなことは絶対にありません。
日商簿記検定2級はコストパフォーマンスに優れた資格ですし、合格すれば一生モノです。
しかし、取得したからといって一生食いっぱぐれないわけではありません。
簿記2級の強みは「転職活動で有利になる」という点であり、本人の努力なしに仕事が見つかるわけではありません。
20代までなら、未経験職種であっても簿記2級で容易に転職できる可能性はあります。
しかし、年齢を重ねるにつれて「実務経験の有無」が問われるようになります。
なぜなら、会計・税務の世界では経験値がモノを言うからです。
ろくな経験を積まずに簿記2級だけ持っていても、いつが仕事にあぶれます。
そのため、会計・税務の世界でどのようなキャリアを歩むかがとても重要になるのです。
簿記2級を転職に有効活用する際、よくある疑問
その他、簿記2級を転職に有効活用する際、よくある疑問をまとめてみました。
簿記2級を取れば新卒の就職活動でも有利になりますか?
簿記2級は会計系の資格ですから、会計系の職種なら就活で有利になります。
ただし、新卒者に求められる要素は「若さ」「素直さ」「フレッシュさ」といったポテンシャルの比重が大きいため、そこまで有利になるとは思えません。
また、正直簿記2級はさほど難しい試験ではないため、「簿記2級を持っている大学生=すごい人だ!」とはなりません。絶対に。
簿記2級を新卒で利用するなら、「その会社・その部門を志望する動機」として取得するのが良いです。
つまり、言葉に説得力を持たせるために取得するのです。
たとえば経理部・税理士法人などの会計系への就活をする際、簿記2級を取っておくことで、就職意識の本気度を示すことができます。
簿記は何級から転職に有利になりますか?
簿記資格は、2級から転職に有利になります。
簿記3級は難易度が低く誰でも簡単に取得できるため、周囲とほとんど差が付かないからです。
転職を有利にするなら、まずは簿記2級の取得をおすすめします。
簿記2級を取得した女性におすすめの転職先は?
簿記2級を取得した女性には、次の転職先がおすすめです。
- 経理|女性比率30~50%
- 会計事務所|女性比率40~60%
- 監査アシスタント|女性比率90~100%
特に、監査アシスタントは穴場です。
なぜなら、認知度が低いため内定が出やすく、かつ女性にとって非常に働きやすい環境だからです。
監査アシスタントについて、詳しくは次の記事内で解説しています。
男でも簿記2級があれば未経験で転職できますか?
可能ですが、30代になると簿記2級を持っていても未経験職種への転職は難しくなります。
ただし、英語力・ITスキルなど、会計業界と比較的親和性の高いスキルがあると転職はしやすいです。
簿記2級で転職って厳しいですか?
一概に言えません。
なぜなら、簿記2級での転職難易度は次の要因によって異なるからです。
- 実務経験の有無
- 年齢
- コミュニケーション能力の高さ
- ポテンシャルの高さ
- バイタリティ・体力 等
少なくとも、簿記2級を取ると転職活動では有利にはたらきます。
簿記って転職で意味ないですか?
いいえ、簿記は転職活動を有利にする資格です。
ただし、簿記3級はあまり役に立たず、役に立つのは簿記2級からです。
また、会計・税務の専門職でのみ効果があります。
簿記2級の実務経験がない場合に年収はいくらくらいですか?
実務経験なしで簿記2級を使って転職した場合、年収の平均値は450~700万円です。
経理・会計事務所では年収450万円前後、コンサル系になると年収600万円前後でした。
詳しくは次の記事内かなり具体的に解説しています。
簿記2級に合格するにはどのくらいの勉強時間が必要ですか?
個人差がありますが、簿記に関する知識が全くない状態であれば、大半の方は「300時間~400時間」の勉強時間で合格できると感じます。
つまり、1日3時間を3ヶ月~4ヶ月間、毎日勉強時間に充てることで取得できます。
社会人にとって勉強時間の捻出は大変ですが、この程度の勉強時間を確保することで誰でも取得できるというのが簿記2級の良いところです。
また、簿記2級のライセンスは一度取得すれば永久的に履歴書に記載することができますから、勉強時間に対するコストパフォーマンスが非常に高いです。
簿記2級を有利に活用できる!おすすめの転職エージェント
簿記2級取得者におすすめの転職エージェントは、次のとおりです。
ヒュープロ (Hupro) | MS-Japan | レックスアドバイザーズ | 人材ドラフト | ジャスネット キャリア | |
---|---|---|---|---|---|
総合評価 | ( 10/10 ) | ( 9/10 ) | ( 8/10 ) | ( 7/10 ) | ( 6/10 ) |
求人数 | 約 4000 件 | 約 2500 件 | 約 1400 件 | 約 1100 件 | 約 800 件 |
対象年代 | 20代~50代 | 20代~50代 | 20代~30代 | 20代~50代 | 20代~30代 |
設立 | 2015年 | 1990年 | 2002年 | 2000年 | 1996年 |
資本金 | 2億2740万円 | 5億8600万円 | 6000万円 | 3400万円 | 3800万円 |
得意領域 | 経理 会計事務所 監査法人 | 経理 会計事務所 | 士業向け | 会計事務所 | 士業向け |
特徴 | 求人数No.1 | 管理部門に強い | 士業に強い | ややマイナー | 士業向け |
評判・口コミ | 評判をみる | 評判をみる | 評判をみる | 評判をみる | 評判をみる |
利用料金 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 |
公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
簿記2級を使って転職するなら、ヒュープロ(Hupro)1択です。
なぜなら、ヒュープロは会計・税務に特化した転職エージェントであり、求人数がNo.1だからです。
先述のとおり、簿記2級を使って転職活動を有利にするには、転職エージェントの利用が必須です。
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