公認会計士・税理士の藤沼です。
私自身、転職活動でMS-Japanを利用しましたが、中には「利用を断られた」という方も多くいるようです。
そこで今回は、MS-Japanの利用を断られた理由(9パターン)と、その解決策(2選)を提示します。
特に、会計税務・人事業界への転職を考えている方には、参考になるはずです。
2014年 EY新日本監査法人 入社
2018年 中堅コンサル事務所 入社
2019年 藤沼会計事務所 開業
2020年 アカウントエージェント株式会社 代表
MS-Japanの利用を断られた理由【9選】
MS-Japanを断られた理由として、次の8パターンがあります。
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それぞれ、理由と対応策を解説します。
会計・税務・人事以外での転職を希望した
MS-Japanは、管理部門に特化した転職エージェントであり、具体的には次の職種の求人をメインで取り扱っています。
- 経理
- 会計事務所
- 人事
「管理部門」とは言っても、会計・税務・人事に特化しているのが特徴的であり、その他の職種(たとえば営業・システムエンジニア等)の求人は取り扱っていません。
そのため、上記以外の職種で転職を希望した場合、利用を断られる可能性が高いです。
職歴がない|求人が無いわけではないが…
基本的に、MS-Japanは職歴のない方でも利用することができます。
ただし、希望する業界・職種などの条件によっては、そもそも求人がないケースがあります。
この場合の解決策は、2つあります。
- 希望条件を変える
- 希望する職種に強い転職エージェントを利用する
1つ目は、希望条件を変えるという選択です。
これは手っ取り早い反面、条件に妥協することになります。
2つ目は、その希望する職種に強い転職エージェントを利用するという解決策です。
MS-Japanは「管理部門全般に強い」というブランディングをしていますが、全方向に全て強いわけではありません。
職種別に見てみると、たとえば経理に強い転職エージェント・会計事務所に強い転職エージェントなどは他にも沢山あります。
希望の職種が定まっている方は、更にその職種に特化した転職エージェントを使ったほうが、求人数も多いため希望通りの求人が見つかる可能性が高いでしょう。
未経験業種への転職を望んだ|資格なしだと特に断られやすい
MS-Japanには、未経験者向けの求人も用意されています。
下記画像は、MS-Japanの求人検索システムにおける「こだわりで探す」メニューです。
未経験者OKの求人があることが分かります。
しかし求人数は少なく、たとえば経理全体の求人数が2,373件であったのに対し、未経験OKの経理の求人数は211件と、全体の10%未満でした。
そのため、条件等によっては未経験者が利用するのは難しく、これが原因でMS-Japanから利用を断られた可能性があります。
代替的手段としては、2つあります。
- 似た業種で実務経験を積んでから、3年後に転職する
- その職種に強い転職エージェントを使う
1つ目は、(少し時間を要しますが)に他業種にまず転職をし、3年程度の実務経験を積んだ後、希望する職種へ転職(ジョブチェンジ)するという方法です。
最も一般的なケースとしては、経理志望の方が会計事務所に転職し、その3年後に経理職へジョブチェンジするケースです。
会計事務所と経理の仕事は異なりますが、似た部分が非常に多く、経理への転職時に「実務経験」として認められるケースがよくあるのです。
2つ目は、その職種に強いエージェントに切り替える、という方法です。こちらはすぐに実践可能です。
MS-Japanは「管理部門」の求人を幅広くそろえているものの、職種ごとに見ると、そこまで求人数は多くありません。
そのため、(既に希望の職種が決まっているのであれば)当該職種に強い転職エージェントを利用するのがベストです。
各職種に特化した転職エージェントでは、「未経験者向け」の求人もより多く扱っています。
40代以上である|年齢制限はないが実質高齢になるほど断られる
MS-Japanでは、原則として利用者に年齢制限を設けていません。
これは、MS-Japan公式ページにも記載されています。(下記のとおり)
Q.サービスを利用するにあたり、年齢制限はありますか?
A.年齢制限はございません。
(引用:MS-Japan「人材紹介会社について詳しくしりたい」より)
しかし、ご年齢やご経歴、ご志向等により求人のご紹介にお時間がかかる場合や、ご紹介が難しい場合もございますので、ご了承頂ければと思います。
ただし、これはあくまで建前でしかありません。
というのも、そもそも我が国では雇用対策法により、求職者の募集・採用において年齢制限を設けることを禁止しているからです。
つまり、公には求職者の年齢に制限を課すことはできないものの、実態としては若い方の利用を積極的にサポートする傾向にあるのです。
また、この理由の1つに「そもそもMS-Japanは求人数がそこまで多くない」という理由があります。
すでに希望する職種が決まっているのであれば、その職種に強い転職エージェントを利用したほうが、求人数も多いため断られる可能性も低いでしょう。
地方での転職を希望している|MS-Japanは都内求人が6割以上
MS-Japanで取り扱っている求人は、その大半が「東京都」「大阪府」「愛知県」「神奈川県」の4都市に集中しています。
具体的には、MS-Japanが保有している「経理・財務」の地域別求人数は、下記のとおりです。(2024年11月1日現在)
MS-Japanが保有する「経理・財務」の求人数(地域別)
都道府県 | 求人数 | 求人数割合 |
---|---|---|
東京都 | 1,548件 | 65.2% |
大阪府 | 255件 | 10.7% |
愛知県 | 188件 | 7.9% |
神奈川県 | 115件 | 4.8% |
京都府 | 52件 | 2.2% |
兵庫県 | 52件 | 2.2% |
埼玉県 | 21件 | 0.9% |
静岡県 | 16件 | 0.7% |
岐阜県 | 15件 | 0.6% |
千葉県 | 12件 | 0.5% |
三重県 | 11件 | 0.5% |
福岡県 | 10件 | 0.4% |
その他 | 78件 | 3.3% |
(合計) | 2,373件 | 100% |
(2024年11月1日現在のデータ)
上記のとおり、MS-Japanの保有する経理・財務の求人のうち、約90%が「東京都」「大阪府」「愛知県」「神奈川県」の4都市における求人です。
つまり、上記の都心部以外の地方で転職活動を行う場合、MS-Japanでの登録を断られるケースがあります。
元々、MS-Japanは都心部に強い転職エージェントとして有名でした。
そのため、地方での転職活動をされる方は、地方にも強い転職エージェントを活用すると良いでしょう。
転職回数が多い|4回以上のキャリアチェンジは断られやすい
転職回数が4回以上あると、MS-Japanの利用を断られるケースがあります。
- キャリアアドバイザーが努力しても、MS-Japanの利益にならない可能性が高まるため
- 人的リソースに限界があるため
MS-Japanは比較的転職回数の少ない人向けのサービスですから、他の転職エージェントに比べても断られやすいです。
そのため、転職回数が多い(4回以上の)方は、他の会計・税務に強い転職エージェントを代用したほうが良いです。
転職の意識が低いと判断された|熱意のアピールは大切!
転職の意思が低いと判断された場合、MS-Japanから利用を断られます。
なぜなら、MS-Japanは求職者を内定させなければ利益が得られないからです。
- 転職の意思を示しながら、情報収集を行う
- きちんと個人情報を開示して利用する
- 具体的な疑問をまとめた上で相談する
よくあるのが、「今は転職するつもりがない」と断言してしまい、その時点で転職の意思なしと判断されるケースです。
今すぐに転職するつもりがなくても、半年~1年以内には転職する!という強い意志を示すことは大切です。
なお、これはMS-Japanに限らず、どのような転職エージェントでも同じです。
パート・アルバイトを希望した|原則として正社員のみ利用できる
MS-Japanは、そもそもアルバイト・パート求人を保有していません。(ゼロではないものの、ほぼ正社員案件のみに特化しています。)
- 正社員:〇
- パート:✕
- バイト:✕
そのため、パート・アルバイト求人を求めた際、MS-Japanの利用を断られる可能性が高いです。
アルバイト・パートの求人を探している方は、各分野に強い求人サイトや、アルバイト求人を扱っている転職エージェントを利用しましょう。
たとえば、ヒュープロは会計事務所・経理の求人数がNo.1であり、且つアルバイト・パート求人も多く保有しています。
そのため、MS-Japanを断られたからと言って、さほど落胆する必要はないでしょう。
人材派遣を希望した|MS-Japanは派遣会社ではない
MS-Japanは人材派遣会社ではありません。(参照:労働者派遣事業-許可・届出事業所の検索)
そのため、人材派遣の求人を求めた場合、MS-Japanの利用を断られるでしょう。
人材派遣を希望する方は、人材派遣専門のサイトを利用しましょう。
なお、「会計・税務系での人材派遣」として最も有名なのは、ジャスネットスタッフです。
MS-Japanを断られたときの対応策【2選】
MS-Japanを断られた場合には、以下の2つの対応策があります。
以下、それぞれ解説します。
目当ての求人を自力で探して直接応募する|リスクがあるため注意
ややデメリットの多い方法ですが、目当ての求人を自力で探し、直接応募するという方法があります。
- 応募企業に推薦状が提出されないため、内定率が下がる
- 内情が分からずに応募する為、マッチしない組織に入社してしまうリスクがある
- 年収交渉などを自分で行わなければならず、不利な条件で契約する危険性がある
転職活動では、転職エージェントを利用するのが原則です。
そのため、次に紹介する「他の類似した転職エージェントを利用する」方法がおすすめです。
他の類似した転職エージェントを利用する|最も効率的でおすすめ
一番手っ取り早く効率的なのが、他の類似した転職エージェントを利用することです。
経理や会計事務所に強い転職エージェントは他にもありますから、他社を使えば良いだけです。
- 必ず、転職エージェントとの面談をする
- 正直に話しすぎず、不利な情報は(聞かれるまでは)開示しない
MS-Japanで断られてしまった理由を考え、できるだけ不利な情報は聞かれるまで開示せず、きちんと転職エージェントの担当者と面談をするようにしましょう。
なお、MS-Japanに代わるおすすめの転職エージェントは次の項で紹介します。
【職種別】MS-Japanに代わるおすすめの転職エージェント
MS-Japanは「管理部門」に強い転職エージェントですが、「職種別」に見れば、もっと良いエージェントは存在します。
ここでは、各職種に強い転職エージェントを比較形式で紹介します。
以下、それぞれ解説します。
「経理」に強い転職エージェント
「経理」に強い転職エージェントは、MS-Japan以外にもあります。
経理に強い転職エージェント【TOP3】
ヒュープロ (Hupro) | MS-Japan | REX | |
---|---|---|---|
求人数 | 約 2,000 件 | 約 2,500 件 | 約 1,000 件 |
対象年代 | 20代~50代 | 20代~50代 | 20代~30代 |
対応エリア | 東京都内 | 全国 | 全国 |
設立 | 2015年 | 1990年 | 2002年 |
資本金 | 2億2740万円 | 5億8600万円 | 6000万円 |
得意領域 | 会計事務所 経理 | 経理 人事 内部監査 | 公認会計士 税理士 |
総合評価 | |||
評判口コミ | 評判をみる | 評判をみる | 評判をみる |
公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
管理部門に特化したMS-Japanは、経理の求人数が全エージェント中No.1です。
しかし、ヒュープロの求人数も非常に多く、また東京都の求人に限ってはヒュープロの方が求人数は多いです。
そのため、MS-Japanを断られた方は、ヒュープロを利用すべきでしょう。
なお、レックスアドバイザーズも求人数は多いですが、会計士・税理士向けのエージェントですので断られてしまう可能性があります。
「会計事務所」に強い転職エージェント
「会計事務所」に強い転職エージェントは、MS-Japan以外にもあります。
会計事務所に強い転職エージェント【TOP5】
ヒュープロ (Hupro) | MS-Japan | 人材ドラフト | ジャスネット キャリア | マイナビ税理士 | |
---|---|---|---|---|---|
求人数 | 約 5,500 件 | 約 1,300 件 | 約 1,000 件 | 約 800 件 | 約 600 件 |
対象年代 | 20代~50代 | 20代~50代 | 20代~50代 | 20代~30代 | 20代~30代 |
設立 | 2015年 | 1990年 | 2000年 | 1996年 | 1973年 |
資本金 | 2億2740万円 | 5億8600万円 | 3400万円 | 3800万円 | 21億210万円 |
得意領域 | 会計事務所 経理 | 経理 人事 内部監査 | 会計事務所 | 士業全般 | 税理士 |
特徴 | 求人数No.1 | 管理部門に強い | ややマイナー | 士業向け | 税理士向け |
総合評価 | |||||
評判・口コミ | 評判をみる | 評判をみる | 評判をみる | 評判をみる | 評判をみる |
公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
(2024年11月1日現在のデータ)
上記のとおりですが、会計事務所への転職ならむしろヒュープロのほうがオススメです。
なぜなら、ヒュープロは会計事務所に特化しており、会計事務所の求人数が全エージェント中No.1だからです。
そのため、MS-Japanを断られた方は、ヒュープロを利用すべきです。
「人事」に強い転職エージェント
「人事」に強い転職エージェントは、MS-Japan以外にもあります。
人事部に強い転職エージェント【TOP3】
リクルートエージェント | JACリクルートメント | MS-Japan | |
---|---|---|---|
求人数 | 約 4,000 件 | 約 500 件 | 約 1,500 件 |
対象年代 | 20代~50代 | 20代~50代 | 20代~50代 |
対応エリア | 全国 | 全国 | 全国 |
設立 | 1977年 | 1988年 | 1990年 |
資本金 | 400億 | 6億1900万 | 5億8600万 |
得意領域 | 全般 | ハイクラス | 経理 人事 内部監査 |
総合評価 | |||
公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
人事の求人については、リクルートエージェントが求人数No.1でした。
また、次点としてはJACリクルートメントがおすすめです。ハイクラス向けですが、高年収帯の求人が非常に多い傾向にありました。
MS-Japanを断られた場合によくある疑問
その他、MS-Japanを断られた場合によくある疑問をまとめてみました。
MS-Japanは未経験者に強いですか?
いいえ、MS-Japanは未経験者向けの求人数が少なく、あまりおすすめできません。
未経験で会計・税務系の職種を探している方には、ヒュープロの方がおすすめです。
ヒュープロは、未経験者向けの求人数が非常に多いことで有名です。
- 会計事務所:2,000件以上
- 経理 :300件以上
MS-Japanは実務経験者向けの転職エージェントですので、未経験者の方は、他の転職エージェントを利用したほうが良いです。
MS-Japan以外に経理に強い転職エージェントはありますか?
MS-Japan以外に「経理」に強い転職エージェントは、ヒュープロです。
経理の求人数 | |
---|---|
MS-Japan | 約2,500件 |
ヒュープロ(Hupro) | 約2,000件 |
ヒュープロは、会計・税務に特化した大手転職エージェントであり、MS-Japanの次の選択肢として1番おすすめです。
MS-Japanの評判は良いですか?悪いですか?
MS-Japanには、良い評判もあれば悪い評判もあります。
良い評判 | 悪い評判 |
---|---|
経理の求人に強いと感じた キャリアカウンセリングが優秀 キャリアアドバイザーの質が高い コンサルタントが優秀 心のサポートまでしてもらえた 担当者が親身 | 担当者の対応が遅いと感じた 担当者がいきなり変わった |
私自身も利用しましたが、良い部分・悪い部分がありました。
特に、私の担当したキャリアアドバイザーの方は、やや機械的で親身になってくれなかった印象がありました。(もちろん人によるのだろうとは思いますが)
MS-Japanの会社概要
運営会社 | 株式会社MS-Japan |
設立年月日 | 1990年4月26日 |
資本金 | 586百万円 |
本社 | 〒102-0071 東京都千代田区富士見2-10-2 飯田橋グラン・ブルーム4F |
代表取締役社長 | 有本 隆浩 |
会社区分 | 東京証券取引所プライム市場上場 |
分類 | 転職エージェント |
求人数 | 多い |
強み | 管理部門(特に会計・税務系に強い) |
利用料金 | 無料 |