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監査法人での非常勤の掛け持ちが美味しい理由【独立8年目の会計士が解説】

公認会計士・税理士の藤沼です。

私が独立して間もない頃、監査法人での非常勤バイトで生活費を稼いでいました。

先に結論

非常勤だけでも、年収1,600万円程度なら比較的容易に達成できます。

ただし、非常勤には「アサイン日数」というボトルネックがあり、1社だけでこの水準を達成することは難しいです。

そこで選択肢に挙がるのが、「監査法人での非常勤の掛け持ち」です。

まず大前提として、非常勤の掛け持ちを認めている監査法人はあります。

また、アカウントエージェント株式会社の実施した「監査法人の非常勤に関するアンケート調査」によれば、全体の約2割の会計士が「掛け持ちをしたことがある」と回答しています。

本記事では、そんな監査法人の非常勤掛け持ちのメリット・デメリットや、掛け持ち可能な監査法人の選び方を解説します。

この記事の執筆者
藤沼 寛夫

公認会計士・税理士

藤沼 寛夫›

藤沼会計事務所 所長
アカウントエージェント株式会社 代表取締役

2013年に公認会計士論文式試験に合格し、2014年にEY新日本有限責任監査法人に入所。上場会社・学校法人・上場準備会社の会計監査業務に従事し、2018年に東京共同会計事務所に転職。広くFASに関与し、2019年に藤沼会計事務所を独立開業。翌2020年にはアカウントエージェント株式会社を設立し、会計税務コンサルティング及び会計税務に関する転職支援サービスを提供している。

目次

監査法人での非常勤の掛け持ちが美味しい理由

監査法人での非常勤の掛け持ちは、美味しいです。

一般的に、非常勤は1社あたり年間120日が上限となるケースが多いですが、掛け持ちによりこの上限を突破できるからです。

アカウントエージェント株式会社が実施した「監査法人の非常勤に関するアンケート調査」によれば、監査法人での非常勤の時給は8,200円です。(n=53)

同条件で1日8時間・年間120日(1社の上限)なら、年収は約790万円。
掛け持ちで年間200日まで積み増せば、年収は1,300万円を超えます。

実際に年収計算できるシミュレーターを設置したので、簡易計算にご利用ください。↓

非常勤の日当・年収シミュレーター
円
時間
日
時給の相場を入れる
日当65,600円
月あたり(12か月で割った額)546,667円
年収6,560,000円

※ 掛け持ちの場合は合計の稼働日数を入力してください。表示額は税引前の概算です。

BIG4マネージャー前後なら時給10,000円も可能ですし、筆者は最大で時給20,000円の求人も目にしたことがあります。

掛け持ちにより、正社員時代の年収を超えることは容易です。

監査法人の非常勤は、掛け持ちすることで大きく稼ぐことが可能です。

非常勤の掛け持ちが可能な監査法人に応募するまでの流れは、以下のとおりです。

応募するまでの流れ
  1. 求人を探す:監査法人の非常勤に強いエージェントから求人を入手
  2. 条件で選別:「掛け持ちOK」の監査法人に絞る
  3. 応募&面接:非常勤の面接は簡素なケースが多いため、内定は出やすい

なお余談ですが、「正社員+非常勤」の掛け持ちは事実上不可能です。(副業としての監査は認めない法人が大半です。)

繁忙期のズレている法人を選ぶ|決算が被るとアサインしづらい

非常勤の掛け持ちが可能な監査法人を選ぶ際は、極力、繁忙期が被らない法人を選びましょう。

なぜなら、繁忙期が被っているとアサインの調整が難しく、合計の勤務日数が減ってしまう可能性があるからです。

例えば3月決算がメインの監査法人2社で掛け持ちすると、お互いの繁忙期が被ってしまい、「上手くアサインできない面倒な人」になるおそれがあります。

変則決算の多い法人などを選ぶことで、上手く繁忙期をずらし、勤務日数も多く獲得できるようになります。

兼業可否が分からない場合はとりあえず応募する|柔軟に対応してもらえるケースあり

中小監査法人の中には、そもそも兼業を想定しておらず、契約書や法人内規定に「掛け持ち」の可否を明記していないケースがあります。

このような場合、交渉することで掛け持ちをOKしてもらえるケースがあります。

筆者の知人会計士にも、この交渉により掛け持ちが可能になった方が複数います。
意外とこうした交渉をする方は少ないようですが、契約日数を増やすことで柔軟に対応してもらえるケースは多いようです。

なお監査法人の非常勤求人一覧において、「兼業OK」と明記している求人は全体の約1割でしたが、「兼業不可」としている監査法人は1社のみでした。

交渉の余地は大きいです。

監査法人の非常勤を掛け持ちするメリット

監査法人の非常勤を掛け持ちするメリットは、次のとおりです。

監査法人の非常勤を掛け持ちするメリット

以下、それぞれ解説します。

収入の最大化|契約日数の上限を超えて年収を高める

掛け持ちによる最大のメリットが、収入の最大化です。

1社のみでは達成できなかった年収水準を、掛け持ちにより達成することが可能になります。

正社員と同様の日数で働ける監査法人は少ないため、掛け持ちすることで日数上限の壁を破壊し、収入を最大化することができます。

契約によっては平時であっても土日もリモートで働けるケースがありますので、こうした監査法人を掛け持ちすることで、さらに収入を高めていくことができます。

失業リスクの分散|契約を解除されても路頭に迷わない

非常勤職員は原則1年更新の契約であり、人手不足が解消された際に契約を切られる可能性があります。

監査法人1社のみで契約していた場合、急に職を失ってしまう可能性もゼロではありません。

しかし、非常勤先を掛け持ちしておくことで失業リスクを分散することができます。

なお、アカウントエージェント株式会社のアンケート調査によれば、「契約を更新されなかった経験がある」と回答した会計士は全体の約8%でした。

人脈の拡大|独立会計士にとっては大きなメリット

監査法人で非常勤をすることの大きなメリットの1つに、人脈を広げることができるというメリットがあります。

非常勤として人脈を広げると、例えば次のようなメリットを享受できます。

人脈が広がることのメリット
  • 個別に仕事をもらえる機会が増える
  • 起業仲間に出会う機会が増え、刺激が増える
  • その他、多方面での情報収集

非常勤職員を積極的に採用している監査法人では、私たちと同じように独立開業している会計士が多く在籍しているため、同業の会計士から個別に仕事をもらえるケースがあります。

実際、筆者自身も同僚の会計士に数多くのお仕事を紹介してきました。(例:IPO案件、任意監査、財務DD、税務顧問など)

また、会計士からではなく、契約した監査法人から個別に案件を受注することもあります。

さらに、独立会計士とのコミュニティが構築できますから、独立・起業に関する相談もできます。

監査法人を掛け持ちすることで、この機会が倍になります。

個人的に、これが一番のメリットであると感じます。

気分転換になる|複数の組織に所属することでストレスも軽減

副次的なメリットですが、複数の組織に所属することで気分転換にもなります。

新鮮な気持ちで仕事ができるため、気楽さがあります。

どうせ非常勤職員になるのですから、ストレスから解放されましょう。

監査法人の非常勤を掛け持ちするデメリット

一方で、非常勤の掛け持ちにはデメリットが2つあります。

以下、それぞれ解説します。

チーム・クライアントに関する知見が蓄積されにくい

掛け持ちを行うことで1社あたりの関与時間が減ります。

そのため、チームからの信頼を得るまでに時間を要したり、クライアントの知見が蓄積されにくいといったデメリットが生まれます。

ただし、そもそも非常勤職員に対しては大きな責任が求められづらい傾向にあるため、実質的には大きなデメリットにはなりません。

独立性のチェックが2社分になる

関与する監査法人が2社になれば、独立性のチェックも2社分必要になります。

特にアドバイザリー業務を提供している場合、この独立性に抵触する可能性があるため、独立性チェックリストに照らした確認作業が必要になります。

小規模な監査法人ではチェックも簡単ですが、規模が大きくなるにつれチェック作業は煩雑になります。

監査法人で非常勤を掛け持ちする際のよくある質問

監査法人で非常勤を掛け持ちする際のよくある質問を、以下にまとめました。

監査法人の非常勤は何歳まで可能ですか?

事実上、監査法人での非常勤は何歳まででも可能です。

実際、筆者はシニア雇用として監査法人で非常勤勤務している公認会計士を見たことがあります。(60歳以上)

非常勤職員には教育コストをかける必要がなく、むしろ経験豊富な公認会計士の方が採用されやすいため、年齢がネックとなるケースは少ないです。

公認会計士の非常勤をずっと続けることは可能ですか?

はい、現時点においては非常勤をずっと続けることが可能です。

ただし、監査法人によっては契約年数に制限を設けているケースがありますので、応募前に確認が必要です。

また、ずっと非常勤を続けることにはリスクがありますので、ご注意ください。

公認会計士が非常勤をずっと続けるリスクについて、詳しくは以下の記事内で解説しています。

掛け持ちしていることは法人に伝える必要がありますか?

はい、必ず法人に伝えてください。

監査人の独立性チェックは監査法人において必須であり、掛け持ちしている場合には報告が必要です。

既に監査法人で業務委託として働いている場合には、掛け持ちする前に、同法人に掛け持ち可能か確認しましょう。

監査法人は何社まで掛け持ちできますか?

理論上は何社でも掛け持ちできますが、実務上は2社が限度です。

3社以上になるとアサインが被りやすく、日程管理が非常に大変になります。

【比較表】監査法人の非常勤に強いエージェント3選

監査法人の非常勤求人を多く扱うエージェントは、以下の3社だけです。

スクロールできます
レックスアドバイザーズマイナビ転職会計士CPASSキャリア
レックスアドバイザーズマイナビ転職会計士CPASSキャリア
総合評価 ※1
4.50 / 5.00

4.51 / 5.00

3.91 / 5.00
求人数 ※2多やや多めやや多め
得意領域公認会計士/監査法人公認会計士公認会計士/USCPA
強み求人数が多い公認会計士特化-
対象年齢20代~50代20代~40代20代~50代
対象エリア全国全国全国
利用料金無料無料無料
評判・口コミ評判・口コミ >評判・口コミ >評判・口コミ >
公式サイト公式HP公式HP公式HP

非常勤は、時給単価が命と言っても過言ではありません。

レックス+マイナビの2社を利用しておけば、現時点での非常勤求人はほぼ網羅できるでしょう。

この記事の監修者
岡田 和樹

公認会計士・税理士

岡田 和樹›

岡田和樹公認会計士事務所 代表
株式会社On ESTコンサルティング 代表取締役
株式会社アセンディア・パートナーズ 取締役

2016年公認会計士試験合格。EY新日本有限責任監査法人にて金融機関の監査業務および内部統制の構築・高度化支援に従事後、株式会社AGSコンサルティングを経て2023年11月に岡田和樹公認会計士事務所を独立開業。2025年1月には株式会社On ESTコンサルティングを設立し、現在に至る。

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