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監査トレーニーとは?制度を使う6つのメリット・3つのデメリット【公認会計士が解説】

監査トレーニーとは、監査法人で働きながら公認会計士試験の合格を目指せる制度をいいます。

公認会計士受験生は、この制度を使うことで給料をもらいながら実務経験を積むことができ、予備校代の補助を受けたり試験休暇を貰えるなど大きなメリットがあります。

一方、受験専念組と比べて勉強に充てられる時間が減るなど、デメリットもいくつかあります。

そこで本記事では、監査トレーニー制度の内容・どんな人が監査トレーニーになれるのか?を徹底解説します。

筆者はBIG4でリクルーター兼面接官をし、中小監査法人では採用アドバイザー(顧問)として監査トレーニー制度の創設・採用にも携わっていました。

監査法人側の視点も交えて解説しますので、是非このページをお気に入り登録していただき、何度も読み返すことを推奨します。

この記事の執筆者
藤沼 寛夫

公認会計士・税理士

藤沼 寛夫›

藤沼会計事務所 所長
アカウントエージェント株式会社 代表取締役

2013年に公認会計士論文式試験に合格し、2014年にEY新日本有限責任監査法人に入所。上場会社・学校法人・上場準備会社の会計監査業務に従事し、2018年に東京共同会計事務所に転職。広くFASに関与し、2019年に藤沼会計事務所を独立開業。翌2020年にはアカウントエージェント株式会社を設立し、会計税務コンサルティング及び会計税務に関する転職支援サービスを提供している。

目次

監査トレーニーとは?制度の内容を徹底解説

監査トレーニーとは、公認会計士試験の合格前に監査法人へ就職し、監査業務の補助に従事しながら試験合格を目指せる制度をいいます。

法人によって「監査トレーニー」「短答合格者採用」「ジュニアスタッフ」「研修生」など呼び方は異なりますが、いずれも「合格前の受験生を採用する制度」という点では共通しています。

通常、監査法人で監査業務に携われるのは、公認会計士または公認会計士論文式試験合格者だけです。

しかし監査法人業界は慢性的な人手不足にあり、優秀な人材を早期に確保する目的で、合格前の受験生を採用する仕組みが広がりました。

BIG4ではEY新日本が2015年に導入し、現在では中小監査法人にも監査トレーニー制度が広がっています。

受験生側から見れば、給料と実務経験を得ながら、予備校代の補助や合格後の入社確約まで受けられる制度です。

ここでは、監査トレーニー制度の内容を次の7項目に分けて解説します。

以下、それぞれ解説します。

監査トレーニーに応募できる人|「公認会計士試験の受験生であること」が求められる

監査トレーニーに応募できるのは、原則として「公認会計士試験の受験生」です。

ただし、最近では「短答式合格」を応募条件に含めているケース(いわゆる短答合格者採用)があり、短答式試験に合格しているか否かという2パターンの応募枠が存在します。

採用枠のパターン応募条件
短答合格者枠短答式試験の合格者(科目合格者を含む場合あり)
受験生全員が応募できる枠公認会計士試験の勉強中であること(簿記2級程度の知識を求める場合あり)

アカウントエージェント株式会社の調査によれば、現在公開されている求人全33件のうち、短答合格を条件とする枠は16件、資格を問わない枠は14件検出されました。

非公開求人も合わせると求人数は多くなりますが、現在は求人全体の半数程度が「資格不問」です。

また、USCPAの受験生を対象にする法人もあり、この場合は科目合格や受験予定が条件になります。

短答合格者採用について、詳しくは以下の記事で解説しています。

監査トレーニーの仕事内容|監査スタッフ1~2年目レベルの監査業務に従事する

監査トレーニーには、原則監査スタッフと同様の仕事が割り振られます。

つまり、期末監査・期中レビュー時は特定の勘定科目が割り当てられ、監査調書を作成します。

監査トレーニーが担当する勘定科目(例)
  • 現金預金
  • 有価証券
  • 貸付金
  • 借入金
  • その他、経過勘定など

業務の難易度としては、J1~J2(公認会計士試験合格者1~2年目)のスタッフと同水準の業務が割り当てられます。

期末・期中レビュー以外はJ-SOX業務に従事することが多く、整備評価であれば資料ベースでのウォークスルー、運用評価であればひたすら証跡チェックなど単純作業が中心です。

監査トレーニーは事務職ではないため、例えばひたすら確認状の封詰め作業を任されたり、コピーなどを延々と取らされるといったことはありません。

監査トレーニーには合格後も法人内で活躍してもらうことが前提であることから、通常の監査スタッフ同様、OJTベースで徐々に仕事を覚えていくことになります。

こうした監査手続きを通じて、「現預金は銀行の残高証明書と突合すれば強い証明力が得られる」「借入金は網羅性に注意して他に借入がないか確かめる」といった感覚を、実体験として身に付けることができます。

会計監査人としての「感覚」は、実務でしか身に付きません。筆者もEYや中小監査法人で監査トレーニーと共に働いていましたが、実務を通じて監査の勘所を掴んでいく姿を何度も見てきました。

なお、担当業務の中身は法人と配属先で差があります。

法人によっては非監査業務や資料整理の時間が多いケースもあるため、応募前に「採用後の業務内容」を必ず確認しましょう。

監査トレーニーの雇用形態|正社員・契約社員・アルバイトの3パターンあり

監査トレーニーの雇用形態には、正社員・契約社員・アルバイトの3パターンがあります。

「正社員」としての契約が一般的ですが、「契約社員・アルバイト」として採用するケースも少なくありません。

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雇用形態メリットデメリット
正社員フルタイムで稼げる。監査チームの一員として扱われ、業務に慣れやすい。平日の日中は勉強に充てられない。
契約社員・アルバイト勤務日数を調整でき、勉強時間を多く確保できる。合格後の進路を選べる法人が多い。フル出勤できないため収入は少なくなる。

契約社員やアルバイトの場合、アサイン日数を相談して調整できるため、より多くの勉強時間を確保しながら実務経験も積めるという利点があります。

しかし、実情としては受験生側が雇用形態を選べない(その他の条件等を考慮すると求人が相当数絞られる)ため、雇用形態の違いについては参考程度に抑えておきましょう。

監査トレーニーの給料・年収|月収20~30万円台前半・年収300〜400万円が相場

監査トレーニーの給料は、月20万〜30万円台前半、年収300万〜400万円が相場です。

アカウントエージェント株式会社が、給与を公開している監査トレーニー求人16件を集計した結果は次の通りです。

監査トレーニーの給与相場(下限)

件数最小中央値最大
月給(下限)12件20.0万円24.8万円33.5万円
年収(下限)13件294万円330万円402万円
各監査法人の公開求人16件を弊社で独自に集計

上記のとおり、月給の中央値は24.8万円で、年収は賞与の有無によって差が出ます。

賞与が年2回出る法人では年収330万〜360万円程度、賞与なしの法人では年収300万円を下回るケースもあります。

これに予備校代の全額補助が加わる法人では、学費の自己負担が年40万円前後浮くため、実質的な収入は年400万円前後まで上がります。

なお、「BIG4のほうが給料が高い」と思っている方も多いですが、公開求人の実額で見ると中小監査法人のほうが給与水準の高い例が目立ちます。

大手=高年収という感覚は、監査法人業界では当てはまりません。

また、論文式試験に合格すると待遇が監査スタッフと同水準に切り替わるケースが大半であり、その際に年収が上がります。

監査トレーニーへの受験サポート|予備校代の補助・試験休暇・原則残業なし

監査トレーニーには、次の3つの受験サポートが用意されているのが一般的です。

監査トレーニーへの受験サポート3種
  • 予備校代(学費)の補助
  • 試験前の試験休暇
  • 合格まで原則残業なし

ただし、サポートの中身は法人によって大きく異なります。

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サポート内容の幅応募前に確認する点
予備校代の補助学費の全額を負担する法人から、6割補助、補助なしまで幅がある。補助の割合、補助の上限額、不合格時や退職時の返還義務など。
試験休暇論文式試験前に1〜2ヶ月の休暇を用意する法人が多い。その他、短答前にも1ヶ月付与する法人や、閑散期に月3日の学習日を設ける法人もある。休暇の日数、有給か無給か、短答式にも適用されるか。
残業合格までは原則残業なしとする法人が大半。繁忙期(4〜5月)の残業の扱い、担当チームの残業の多さ。
各監査法人の公開求人を弊社で独自に集計

予備校の公認会計士講座の費用は50万〜100万円程度かかりますから、補助の有無だけで自己負担は大きく変わります。

試験休暇は「論文式試験の1~2か月前」に用意する法人が多く、これに加えて短答休暇や独自の休暇を用意している法人があります。

残業については、監査法人側もまず合格してもらわなければ困るため、残業は原則なしとしている法人・チームが大半です。

とはいえ、残業の多寡は受験生活に大きな影響を与えるため、応募前に必ず「残業時間はどのくらいか」を確認してください。

監査トレーニーの合格後の扱い|通常はそのまま監査法人での勤務を継続する

監査トレーニーは、論文式試験に合格した後そのまま同じ監査法人に正規スタッフとして入社するのが通常です。

監査法人側は、早期に採用して合格後の戦力にする目的でトレーニーを育てているため、合格後に他の法人へ移ることは想定されていません。

契約書に「合格後○年は勤務すること」と明記する法人もあれば、明文化せず慣行として扱う法人もあります。

一方で、合格後の進路を本人に委ねる法人もあります。筆者が採用顧問をしていた中小監査法人がそうでした。

中小監査法人で監査トレーニーとして働き、論文式試験に合格したらBIG4に移る、という事例もあります。

監査トレーニーと監査アシスタントの違い|大きく異なる職種なので要注意

監査トレーニーと監査アシスタントは名称が似ていますが、対象者も業務も全く異なる職種です。

監査トレーニーは「将来の公認会計士」として監査チームに入る枠であり、監査アシスタントは資格を問わない事務職です。

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項目監査トレーニー監査アシスタント
対象者公認会計士試験の受験生資格不問(受験生でなくても可)
主な業務監査調書の作成など監査業務の補助資料整理・データ入力・データ加工などの事務
実務経験への算入算入され得る原則対象外

稀に「監査アシスタント」の名称で受験生を採用している監査法人がありますが、これは実態としては「監査トレーニー」の採用です。

監査アシスタントについては、以下の記事で詳しく解説しています。

監査トレーニーになるには?監査法人側の募集・採用基準・倍率について解説

監査トレーニーになるには、募集している監査法人を見つけ、募集時期に合わせて応募する必要があります。

本章では、監査法人側の募集・採用基準を次の5項目に分けて解説します。

監査トレーニーの募集・採用基準

以下、それぞれ解説します。

監査トレーニーを採用している監査法人|BIG4より中小監査法人のほうが門戸が広い

監査トレーニーの募集状況は、監査法人・年度によって異なります。

例えば、BIG4(大手監査法人)が、で自社募集を続けているのは、一部です。

監査法人監査トレーニー採用の状況
EY新日本有限責任監査法人通年で「監査トレーニー」を募集。短答合格は不要。
有限責任監査法人トーマツ短答合格者向けの「ジュニアスタッフ」を11月中旬〜12月に限定募集。(有期契約)
PwC Japan有限責任監査法人新卒向けの「公認会計士キャリアチャレンジ採用」で受験生を採用。
有限責任あずさ監査法人監査トレーニーの採用枠なし。
各監査法人の採用ページを基に当社作成

上記のとおり、BIG4は募集している法人・時期が限定的であり、かつ知名度・人気が高いため間口が非常に狭いです。

このため、実質的な受け皿になっているのが中小監査法人です。

監査トレーニーとしての待遇にはBIG4・中小監査法人とも大差がないため、間口を広げて応募しておくことをオススメします。

監査トレーニーの募集時期|論文発表直後の11月中旬〜12月に集中するが通年採用もある

監査トレーニーの募集は、論文式試験の合格発表直後(11月中旬〜12月)に最も集中する傾向にあります。

これは、不合格だった短答合格者が一斉に動き出す時期であるためです。

この時期の採用活動はタイトになる(12月初旬までに採用活動が終了する)ケースが多いため、常に募集状況をチェックしておく必要があります。
選考には事前準備も必要ですから、余裕をもって準備しておきましょう。

大手監査法人は9月に採用説明会を開くことがありますので、翌年の論文式が本命であったとしても、参加しておくことでトレーニーの選考情報を早めに得られます。

一方で、募集時期を限定せず、通年で監査トレーニーを採用している監査法人も多くあります。

監査トレーニーの倍率|BIG4は難易度が非常に高いが中小は定員割れのケースもある

監査トレーニーの倍率は、BIG4と中小監査法人で大きく異なります。

区分倍率の目安
BIG410倍以上
中小監査法人約1〜3倍

BIG4にはネームバリューがあるため、待っていても応募が集まります。採用部と話した限りでは、かなり採用を絞っていました。

筆者が採用顧問として関与していた中小監査法人では、小規模なテストとして募集した際は倍率1~1.5倍程度でしたが、大々的なPRとして募集すると倍率3倍程度まで上がりました。
いかに「穴場」の監査法人を見つけるか、というのが重要です。

知名度の低い中小監査法人では、応募が集まらず定員に満たない年もあります。

中小監査法人の倍率は時期によっても大きなブレがあり、採用をスタートした時期に運よく求人に巡り合うことができれば、低い倍率で入所できるケースがあります。

監査トレーニーになれる年齢|原則30代前半まで!40代以上はほぼ採用されない

監査トレーニーになれる年齢は、事実上30代前半までがリミットです。

法律上、採用時に年齢制限を課すことは禁止されています。(参照:募集・採用における年齢制限禁止について|厚生労働省)

しかし、実態として40代以上での採用はほぼないと考えて良いでしょう。

これは、年齢の高い監査トレーニーを採用すると監査法人側にリスクが生じるからです。

監査法人側が年齢を気にする理由
  • 論文式試験に落ち続けた場合、無資格者の人件費が膨らむ
  • 合格後に監査法人で働ける年数が短くなる
  • 年下の会計士から指導を受ける立場になり、チームに馴染めないケースがある

30代後半以降でも監査トレーニーになれる可能性はありますが、少なくとも筆者はそうした方に出会ったことがありません。

監査トレーニーに求められる学歴|BIG4は重視されるが中小では不問の傾向

しばしば世間を賑わせる「学歴フィルター」ですが、BIG4の監査トレーニー採用には、これに近いものがあると筆者は感じています。

なぜなら、監査トレーニーは応募者が多いため、経歴で絞らざるを得ないからです。

EY新日本では監査トレーニーの採用をかなり絞っており、一緒に働いたトレーニーは優秀な方ばかりでした。

一方、中小監査法人では学歴・職歴を実質的に「不問」としているケースが多く、筆者が採用顧問をしていた法人も同様でした。

中小監査法人であれば、高卒の方でも「ポテンシャルが高い」と判断されて内定が出ることは普通にあります。

学歴に不安がある方は、応募先をBIG4に限定せず、中小監査法人まで応募先を広げるべきです。

監査トレーニーになるメリット6選

監査トレーニーになるメリットは、次の通りです。

以下、それぞれ解説します。

生活費を稼ぎながら受験生活を送ることができる|資金面でのプレッシャーがなくなる

監査トレーニーになる最大のメリットは、生活費を稼ぎながら受験生活を送れることです。

先述のとおり、監査トレーニーとしての月給は20万〜30万円台前半が相場であり、平均的なサラリーマン1年目と同様またはそれ以上の水準の給料が貰えます。

受験専念の場合、貯金を切り崩しながら勉強することになり、「今年落ちたらもう続けられない」というプレッシャーが常に付きまといます。

監査トレーニーなら毎月の収入が確保されるため、資金面の不安を切り離して勉強に向き合えます。

親の経済支援に頼れない方や、社会人を辞めて受験に転向する方にとっては、この点だけでも制度を使う価値があります。

受験専念組より自己負担が軽い|学費補助と試験休暇で「働きながら」の不利を埋める

2つ目のメリットは、受験にかかる自己負担が受験専念組よりも軽いことです。

先述のとおり、多くの法人では予備校代の補助と試験休暇が用意されています。

たとえば2年で80万円のコースを6割補助で受けられれば、自己負担は32万円まで下がります。

また、試験休暇の期間中は受験専念組と同じ条件で追い込みができます。

ただし補助のない法人もあるため、応募前の確認は必須です。

試験合格後に就職できるかどうかで悩む必要がなくなる|合格したら即正社員として採用

3つ目のメリットは、合格後の就職活動が不要になることです。

監査トレーニーの採用は、大半が「合格した後にその監査法人に入社する」ことを前提にしています。

受験生の中には「合格しても監査法人に入れなかったらどうしよう」と不安を抱く方も多いでしょう。筆者も既卒で受験に専念していたため、就職面での心配が常にありました。

この点、監査トレーニーとして採用されれば入社が約束されますから、就職の不安を切り離して勉強に集中できます。

年齢に不安を感じている方にとっては、特に大きなメリットです。

同期の合格者より早く公認会計士登録できる|合格前の在籍期間が実務経験に算入される

4つ目のメリットは、同期の合格者よりも早く公認会計士として登録できることです。

公認会計士登録には3年以上の業務補助等(実務経験)が必要ですが、この期間は試験合格の前後を問いません。

そのため、監査トレーニーとして監査業務の補助に従事した期間は、合格前から実務経験のカウントが始まっていることになります。

合格してから実務経験を積み始める同期に比べ、在籍年数の分だけ登録が早まります。

補習所に入所する時点で業務補助等が2年以上(かつ補習所1年目の間に実務経験3年に達する)あれば、通常3年の実務補習を2年に短縮できます。詳細は修業年限を短縮する場合|会計教育研修機構を参照してください。

公認会計士のキャリアは幅が広いため、早く登録できればその分だけ昇進や転職、独立の選択肢が早く来ます。

キャリアに空白期間を作らず受験生活を送れる|撤退しても履歴書に傷が付かない

5つ目のメリットは、キャリアに空白期間を作らずに済むことです。

無職で受験に専念すると、その期間は履歴書上の空白になります。合格すれば問題ありませんが、撤退した場合は面接等の際に説明を求められ、場合によっては就職活動で不利になります。

一方、監査トレーニーであれば、受験期間がそのまま「監査法人での勤務経験」として職歴に残ります。

仮に撤退することになっても、監査法人で会計実務に触れた経歴は、経理職や会計事務所への転職で評価されます。

「受かればよし、落ちても職歴が残る」という点で、キャリア面でのリスクを下げられるのは、リスクヘッジの観点で大きなメリットがあります。

監査実務の経験を試験勉強に活かすことができる|特に財務会計論・監査論の学習に役立つ

6つ目のメリットは、監査実務の経験を試験勉強に活かせることです。

監査トレーニーも1人の監査スタッフとして、監査調書の作成を任されます。(もちろん作業後は公認会計士が必ずレビューします。)

例えば、以下のような監査実務に自ら触れるため、「財務会計論」「監査論」への学習に有効に働きます。

活かせる科目実務のシチュエーション(一例)
財務会計論有価証券の評価の妥当性を検証する(その他有価証券の簿価を時価が著しく下回っている場合に減損処理が正しく行われていることを確認する等)
監査論証券会社へ残高確認状を送付する(アサーション「実在性」を検証する)

特に、公認会計士受験において「監査論」を苦手とする方が多いですが、これは監査実務を経験することで克服できるケースがあります。

監査の現場では実際に手を動かして監査手続きを実施するため、監査手続きのイメージがしやすく、短答や論文で問題として問われた際にスムーズに回答しやすくなります。

もちろん、逆に学習した知識をそのまま仕事で活かせるシチュエーションも数多くあるため、人によっては仕事に面白さを感じるでしょう。

監査トレーニーになるデメリット3選

監査トレーニーになるデメリットは、次の通りです。

以下、それぞれ解説します。

受験専念組よりも勉強に充てられる時間が減る|朝と夜の学習が必要になる

メリットの裏返しですが、監査トレーニーになると勤務時間中は仕事に拘束されます。

残業がなくても定時内は勉強できませんから、受験専念組に比べると勉強時間は減ります。

平日の学習は出勤前の朝と帰宅後の夜が中心になり、仕事の疲れで夜の学習が計画どおり進まない日も出てきます。

この点、監査トレーニーとして勉強時間を確保する方法が3つあります。

勉強時間を確保する3つの方法
  • 残業の少ない「中小監査法人」を選ぶ
  • 正社員ではなく「契約社員」「アルバイト」での採用を希望し、勤務日数を減らす
  • リモート勤務が可能な監査法人を選び、通勤時間を節約する

なお、監査トレーニーには「試験休暇」が割り当てられるケースが多く、この場合、試験前1ヶ月程度の休暇を取得して勉強に専念することができます。

合格まで無期限に働き続けられるとは限らない|落ちるとプレッシャーを感じることも

監査トレーニーは、合格するまで無期限に在籍できる制度ではありません。

短答合格者枠の有期契約では、翌年の論文式試験に落ちた場合、契約を更新するかどうかは監査法人側の判断になります。

また、周囲が合格者ばかりの環境では、「落ちたら申し訳ない」という気持ちが勉強のプレッシャーに変わることもあります。

不合格だった場合の取り扱いについては監査法人によって異なるため、応募前に確認しておきましょう。

論文合格後は一定期間その監査法人で勤務しなければならないケースがある

これもメリットの裏返しですが、「合格後もその監査法人で働くこと」が人によってはデメリットになります。

たとえばBIG4の監査トレーニーとして採用され合格した場合、原則としてそのままその法人で働き続けることになります。

合格後に他の監査法人やコンサルティング会社に興味が出ても、一定期間は動きにくいのが実態です。

法律上、退職そのものを禁止することはできませんが、予備校代の補助について「一定期間内に退職した場合は返還」という規定を置く法人はあります。

そのため、契約書上「勤務期間の制限」と「返還規定」は、応募前に必ず確認してください。

なお、先述のとおり、合格後の進路を本人に委ねる法人もあります。合格後に法人を選び直したい方は、このタイプの法人を選ぶと良いでしょう。

監査トレーニーの選考の流れ

監査トレーニーの選考の流れは、次の通りです。

監査トレーニーの選考の流れ

面接を複数回実施する法人もありますが、受験生の勉強時間を奪うことになるため、面接は1回で終わるケースが一般的です。

以下、それぞれ解説します。

① 応募|エージェント経由か公式サイト経由かの2択

監査トレーニーへの応募の経路は、エージェント経由と監査法人の公式サイト経由の2択です。

多くの監査法人は監査トレーニーの募集をサイト上で行っておらず、エージェント経由の非公開求人として募集しています。

エージェント経由で応募するメリット
  • 非公開の監査トレーニー求人に応募できる
  • 論文発表直後の締切に合わせて、求人が出た時点で連絡がもらえる
  • 書類添削・面接対策が無料で受けられる

公式サイトで募集している法人に直接応募しつつ、それ以外の法人はエージェント経由で押さえる、という併用が最も効率的です。

なお、監査トレーニーに強いエージェントについては後述しています。

② 書類選考|履歴書・職務経歴書は必ず第三者による添削を受けてから出す

応募先の監査法人に、応募書類を送付します。

書類はWebフォーム上やメールで送るケースがほとんどであり、手書きの書類提出を求められることはまずありません。

前職のある方は「履歴書」と「職務経歴書」、前職のない方は「履歴書」のみを提出します。

短答合格済みの場合は、合格通知書のコピーも用意しておきましょう。

書類送付時の注意点
  • 職務経歴書・履歴書の書き方のルールを知らずに応募すると、書類の時点で落とされるケースがある
  • 初めて書類を作成する人は、エージェントに添削してもらうのが確実

履歴書・職務経歴書の書き方にはルールがありますので、初めて書く方は監査トレーニーに強いエージェントの添削を受けてから提出しましょう。

③ 面接|学習計画と成績を聞かれる前提で万全に準備する

面接は1対1で行われるケースのほか、面接官が2〜3名付くケースがあります。

監査トレーニーの面接で必ず聞かれるのが、「何年度の論文式試験を目指しているか」と「そのための学習計画」です。

採用側は「合格する見込みのある受験生か」を判断したいので、短答の成績や模試の順位、苦手科目とその対策を具体的に答えられるようにしておいてください。

また、あわせて「コミュニケーション能力」も見られます。

コミュニケーションが苦手、面接が不安、という方も安心してください。この点は事前準備で対策できます。

面接対策でエージェントを使うメリット
  • 過去の質問リストを事前に入手できるため、他の受験生と差が付く
  • 模擬面接で学習計画の説明を練習できる(すべて無料)

過去の質問リストさえあれば、事前準備で模範解答を用意することができるため、面接であってもスムーズな対話が可能になります。

面接が苦手な方は、後述のエージェントを利用しましょう。

④ 内定|承諾後は1〜2ヶ月で勤務スタート

書類選考から内定通知まで、早ければ2週間以内に完了します。

選考段階所要期間の目安
書類選考1週間程度
面接選考1週間程度
内定通知・承諾→入社1〜2ヶ月程度

内定承諾後は1〜2ヶ月後から勤務をスタートするのが一般的ですが、監査法人によっては勤務開始日を相談できます。

複数の監査法人から内定が出た場合は、どちらかを断っても問題ありません。

内定承諾の前に、受験サポートと合格後の扱いを書面で確認しておくと、入所後のトラブルを防げます。

監査トレーニーの内定率を高める3つの方法

監査トレーニーの内定率を高める方法は、次の通りです。

以下、それぞれ解説します。

監査法人側のリスクを理解する

監査トレーニーの採用は、監査法人側にとって一定のリスクを伴う投資です。

トレーニーを採用する「監査法人側」のリスク
  • 無資格者を雇用し続けるリスク(人件費の増加)
  • 監査トレーニーに指導するコスト(チームの負担増加)
  • 合格後に他法人へ移られることで投資が回収できないリスク

このようなリスクがあるからこそ、監査法人は採用時に厳しく審査します。

自分のメリットだけを考えている受験生は、面接において見透かされる可能性があります。言葉の端々に、相手のリスクを考慮していない言動が表れるからです。

「自分を採用することで法人にどんな価値があるか」まで話せる受験生は非常に少ないため、監査法人側のリスクを理解し、面接の準備をしておくだけで他の応募者よりアドバンテージが取れます。

論文合格までの学習計画と成績を説明できるようにする

採用側が最も知りたいのは、「この受験生は次の論文式試験に合格できるのか」です。

そのため面接では、短答式の成績や模試の結果、合格までの学習計画を具体的に聞かれます。

ここで「頑張ります」としか答えられない受験生と、以下のように説明できる受験生では、評価が大きく分かれます。

学習計画の説明に含める要素
  • 直近の成績(短答の得点率・論文の科目別偏差値・模試の順位)
  • 合格ラインに足りていない科目と、その原因
  • 働きながらの1日・1週間の学習時間と、教材ごとの消化計画
  • 内定後の試験休暇をどう使うか

前回の試験や模試の成績が良くなかったとしても、原因と対策を自分の言葉で説明できれば、「計画的に勉強できる人」として評価されます。

逆に、勤務時間を考慮しない非現実的な計画は、「入所後に破綻する」と判断されます。

エージェントで書類添削・面接対策を受ける

監査トレーニーを志望する方の多くが、なぜか「書類添削」「面接対策」をせずに自己流で臨んでいます。

おそらく、(学生の応募者が多いため)面接自体が初めてという方が多いからでしょう。アルバイトの面接感覚で入ってくる受験生を見て、採用側として衝撃を受けたことが何度もあります。

しかし、だからこそ書類添削と面接対策をしておくだけで、内定率は目に見えて上がります。

特に、監査トレーニーの応募締切は論文式試験の合格発表直後に集中します。発表後に慌てて準備するのではなく、エージェントに登録し、事前に書類と面接の準備を終えておく必要があります。

履歴書・職務経歴書の書き方や面接対策のやり方が分からない方は、後述の監査トレーニーに強いエージェントを利用するのが確実です。

それでも内定が出ない場合の対応策は、以下の記事で解説しています。

監査トレーニーに関するよくある質問

監査トレーニーに関するよくある質問を、以下にまとめました。

大学生でも監査トレーニーになれますか?

大学生でも監査トレーニーになることは可能ですが、募集している監査法人はごく少数です。

高卒でも監査トレーニーになれますか?

はい、高卒でも監査トレーニーになれます。

実際、筆者が関与していた中小監査法人では、高卒者を監査トレーニーとして採用しています。

ただし、学歴フィルターを採用している監査法人もありますので、この点は監査法人によって異なります。

新卒で監査トレーニーになれますか?

はい、新卒で監査トレーニーになる方もいます。

新卒で監査トレーニーになることで、既卒扱いにならず、職歴に空白期間を作らず公認会計士受験を継続することができます。

【比較表】監査トレーニーに強い!おすすめのエージェント3社

監査トレーニーに強いエージェントは、以下の3社です。

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JACリクルートメントレックスアドバイザーズMS-Japan
JACリクルートメントレックスアドバイザーズMS-Japan
求人数 ※1多やや多めやや多め
得意領域ハイクラス全般監査法人/公認会計士管理部門全般
強み求人数が非常に多い利用者の満足度が高い管理部門全般に強い
対象年齢20代~50代20代~50代30代~40代
対象エリア全国全国関東/関西/東海
運営開始 ※21997年2004年1997年
利用料金無料無料無料
評判・口コミ評判・口コミ >評判・口コミ >評判・口コミ >
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最も多くの監査トレーニー求人を扱っているのは、「JACリクルートメント」です。

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この記事の監修者
太田 昌明

公認会計士・税理士

太田 昌明›

太田昌明公認会計士・税理士事務所 代表
ARMS会計株式会社 代表取締役

2013年公認会計士試験合格。EY新日本有限責任監査法人にて上場企業の会計監査・内部統制監査、IPO監査に従事。その後2021年にニューラルグループ株式会社(証券コード4056)で財務部長・経理部長・IR部長を務める。2024年6月に太田昌明公認会計士・税理士事務所を独立開業、同月にARMS会計株式会社を設立し、現在に至る。

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