会計監査における監査報酬の相場と公認会計士の時間単価を解説

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毎年12月頃に日本公認会計士協会が公開する監査実施状況調査では、監査報酬の1時間あたり平均単価は概ね11,000円~13,000円の範囲内に収まっており、この水準が相場であると考えられます。

時間あたり監査報酬平均単価
(監査実施状況調査(2024年度)|日本公認会計士協会)

監査報酬の総額は、この時間あたり単価に監査作業時間を乗じることで計算されます。

時間あたり単価は「監査事務所の規模」「被監査会社の種類」によって異なります。

また、特に小規模な監査事務所に会計監査を依頼する場合、担当スタッフ全員が公認会計士であるケースが多く、監査報酬が高くなる傾向があります。

そこで本記事では、監査事務所の規模別・被監査会社の種類別の監査報酬を解説し、また無資格者を除いた「公認会計士」に対する監査報酬の時間単価を算出し解説します。

この記事の執筆者

EY新日本有限責任監査法人にて法定監査・任意監査・IPO監査に従事したのち、2019年に藤沼会計事務所を開業。
IPO準備会社への支援、M&Aアドバイザリー、各種任意監査・AUPサービスを提供している。

目次

会計監査における監査報酬の時間単価の相場

【監査事務所の規模別】監査報酬の時間単価の相場

(単位:円/時)

被監査会社の売上高大手監査法人準大手監査法人その他監査事務所
~50億円12,16211,12411,211
~100億円11,87111,79111,027
~500億円11,93211,34411,291
~1,000億円12,10412,10511,693
1,000億円~13,41812,41912,346
(公認会計士協会|監査実施状況調査(2024年度)を加工)

【被監査会社の上場区分別】監査報酬の時間単価の相場

(単位:円/時)

被監査会社の売上高東証プライム上場東証スタンダード上場その他上場非上場
~100億円12,50211,42311,7909,083
100~500億円12,10311,45811,74810,948
500億円~13,32012,18813,50512,048
(公認会計士協会|監査実施状況調査(2024年度)を加工)

監査報酬の時間単価の相場推移(~2025年3月まで)

上記はいずれも2024年度(2024年4月~2025年3月)のデータですが、この期間が異常値である可能性を潰すため、参考として過年度10年分の監査報酬の時間単価の相場推移も掲載しておきます。

公認会計士一人当たりの監査報酬の時間単価は15,000円~20,000円が相場

日本公認会計士協会が公開する監査実施状況調査(対象期間:2024年4月~2025年3月)をベースに、公認会計士に対する一人当たりの監査報酬時間単価を算出しました。

下記の表は、当該算出の過程を示したものです。

公認会計士に対する一人当たりの監査報酬時間単価算出 - 藤沼寛夫が作成
(公認会計士に対する一人当たりの監査報酬時間単価算出 – 藤沼寛夫が作成)

上記の通り、全体の監査報酬から「補助者等(その他)」への監査報酬を除外することにより公認会計士への監査報酬時間単価を算出しており、算出結果は右端の列に示しています。

この算出により、公認会計士への監査報酬時間単価は概ね15,000円~20,000円が相場であると結論付けます。

以下、この算出過程・根拠を解説します。

① 補助者等のうち「その他」の時間単価を7,000円と仮定する

前提として、監査補助者等(その他)は主に公認会計士試験合格者(準会員)・公認会計士補・IT監査担当者・監査アシスタント等で構成されるものと考えられ、公認会計士有資格者は含まれません。

筆者の実務経験をもとに、補助者等(その他)への監査報酬時間単価を7,000円と仮定して計算しています。

なお、この時間単価がそのまま補助者への給与として支払われるわけではなく、事務所賃料や間接費が含まれていることに留意が必要です。

② 監査報酬総額から補助者等(その他)への報酬を除外して公認会計士への監査報酬額を算出

上記①で仮定した補助者等(その他)へのチャージ料金7,000円/時に、補助者等(その他)による監査時間数を乗じ、これを全体の監査報酬から差し引きます。

これにより、公認会計士(監査責任者+補助者)への監査報酬総額を算出することができます。

以下は、「会社法」の監査の数値を例にした計算式です。

計算例(会社法監査の場合)

監査報酬 16,253千円 – 補助者等(その他)チャージ料 7,000円 × 635.7時間

11,803.1千円

③ 公認会計士(監査責任者+補助者)の監査時間数で除すことで公認会計士の監査報酬時間単価を算出

上記②で算出した公認会計士への監査報酬総額を、公認会計士の監査時間総数で除します。

これにより、公認会計士一人当たりの監査報酬時間単価を算出することができます。

以下は、「会社法」の監査の数値を例にした計算式です。

計算例(会社法監査の場合)

公認会計士への監査報酬総額 11,803.1千円 / (監査責任者 90.9時間 + 補助者(公認会計士) 486.0時間)

20.5千円/時

上記のように、会社法監査の場合には公認会計士が監査業務を実施することで、クライアントは1時間あたり20.5千円のチャージ料を負担している計算になります。

なお、「総計又は総平均」の行は各監査区分(クライアント業種)の加重平均ですが、この値「18.0千円」も15,000~20,000円の範囲に収まっています。

算出した監査報酬の相場と筆者の知見との整合性

算出した公認会計士への監査報酬について、私(藤沼寛夫 – 公認会計士・税理士)の知見との整合性を確認しました。

監査法人では、現場責任者(インチャージ:担当業務全体を統括するパートナー以下のまとめ役)が監査報酬の見積もり・提案に関与するケースが多く、筆者自身も携わった経験があります。

上記で算出した公認会計士への監査報酬と私の知見の整合性を確認したところ、概ね一致していることを確認しました。

また、私の同僚・公認会計士10名程にヒアリングを行いましたが、同水準であることを確認しています。

このため、公認会計士(社員・職員問わず)への時間あたり監査報酬として、15,000円~20,000円の水準は妥当であるものと判断しました。

なお、この水準はあくまで筆者の知見に基づく見解であり、特定の監査法人・会計事務所や業界全体の監査報酬水準の妥当性に意見するものではありません。

監査報酬の水準はケースバイケースですので、実際の報酬単価については監査事務所に直接お問い合わせください。

藤沼会計事務所の監査報酬:時間単価20,000円の根拠

上記を根拠として、筆者が所長を務める藤沼会計事務所においては、監査報酬を原則20,000円/時と設定しています。

会計監査(AUP含む)に従事する弊所メンバーは全員が公認会計士・税理士であることから、先述の計算結果の上限値を採用しています。

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