税理士事務所でのパートって難しい?きつい?仕事内容を税理士が全て解説します。

藤沼会計事務所、所長税理士の藤沼です。
税理士事務所のパートは正社員よりも難易度が低いため、特に主婦の方が多く働かれています。
確かに、会計・税務の世界への第一歩として、「税理士補助のパート」という選択肢は悪くありません。
しかし、1年目はきついと感じる方が多いですし、特に初めの半年間は仕事が難しいと感じる方が多いです。
なぜなら、税理士事務所という職は専門職であり、最初に覚えることが沢山あるからです。
もちろんパートさんに仕事を丸投げするようなことはありませんし、私たち税理士が全て教えます。
しかし、どんな仕事にも「向き・不向き」はあるわけで、働く前に仕事内容や仕事量、パートとして働くメリット・デメリットを知っておくべきです。
本記事では、そんな税理士事務所でのパートの仕事内容を解説します。
所長としての私の視点も交えて解説していますので、パートに応募される前に参考にして頂き、事前に失敗を回避しましょう。
この記事で分かること
- パートの業務量は、その事務所の方針によって大きく異なる
- 仕事内容は正社員に比べると雑務の比重が増える
- 専門性が求められるが、業務の難易度は正社員よりもやや低い
- 専門職なので、初めは当然きつい
- 簿記資格はほぼ必須
税理士事務所でのパートはきつい?仕事量は多い?
楽だと思って入所した税理士事務所のパートの仕事が、「意外ときつかった」というケースは多いです。
- 1年目は覚えることが多い
- 細かな作業が多い
- 事務所の方針によって、パート職員にも残業をさせるケースがある
未経験者の場合、1年目にきついと感じるケースが多いです。
なぜなら、税理士事務所は「税のプロフェッショナル」として高い専門性が求められ、覚えることが多いからです。
また、顧問先企業のお金を計算する仕事ですから、細かな数値まで確認することが求められます。
一方で、2年目以降は1年目と同じ作業の繰り返しですので、だいぶ仕事が楽になります。
なお、「仕事量」については税理士事務所によって様々です。
私の事務所の方針では「パート=残業ほぼなし」ですが、法的なルールはありませんから、所長の方針によってはパートでも大量の残業をさせるケースもあります。
特に税理士事務所の繁忙期は12月~3月に集中するため、この時期だけは月20時間程度の残業をお願いされるケースがあります。
この辺りは所長の方針によって大きく異なるので、ゆるい働き方を望む方は、転職エージェントの担当者経由で確認する、または面接時に直接確認すべきです。
税理士事務所でのパート職員の仕事内容
税理士事務所でのパート職員の仕事内容は、次のとおりです。
- 記帳代行(会計ソフトへの仕訳入力)
- 決算業務・補助
- 給与計算・年末調整
- 証憑類(領収書・請求書・契約書など)の整理
- 電話応対・来客対応
- コピー取り
- その他、雑務
一般的な税理士補助としての仕事もありますが、正規職員に比べると総務的な作業(雑務など)が任されやすい傾向にあります。
パートさんは外回りに行かされないので、その分、事務仕事が多いのです。
しかし、これらも税理士事務所では必要な仕事です。
たとえば「証憑類の整理」については、法人税法上、帳簿書類を原則7年間保存しなければならないと定められています。
そのため、「書類整理」という仕事も(税理士事務所として)重要な業務の1つです。
ただし、パート職員の仕事内容は、他の職員と比べて難易度の低い業務が割り当てられる傾向にあります。
完全未経験の場合は「難しい」と感じるかもしれませんが、1年ほど経験を積めば、あとは同じ作業の繰り返しです。
具体的な税理士事務所での仕事内容について、詳しくは以下の記事内ですべて解説しています。
税理士事務所でパートとして働いている人の属性
税理士事務所では、大きく3種類の人がパートとして働いています。
主婦の方|税理士事務所は女性が働きやすい職場
最も多いのが、主婦の方です。
私の税理士事務所にも、主婦の方からの応募が一番多いです。
主婦の方と一緒に働いてみて思ったのが、とても細やかな仕事をされる方が多いということです。
女性特有だと思いますが、細やかな作業を得意とされる方が多く、非常に助かっています。
おそらく、主婦の方に向いている仕事だろうと思いますし、だからこそ主婦の方を積極的に採用する税理士事務所が多いです。
税理士受験生|働きながら税理士を目指す環境としてベスト
次に多いのが、税理士受験生の方です。
税理士事務所は、税理士を目指しながら働く環境としてベストな環境であるといえます。
なぜなら、税理士補助としての実務経験を積みながら、受験の知識を活かし、かつ独立後のイメージを知ることができるからです。
また、税理士事務所側からすると、税理士受験生は即戦力となるほか、「少なくとも試験合格までは辞めないだろう」という印象があることから、積極的に採用しやすいのです。
税理士事務所には税理士受験生が多いため、受験勉強に対する理解ある事務所が多いです。
公認会計士受験生
かなりレアケースですが、会計士受験生の方も税理士事務所で働くケースがあります。
所長が公認会計士であり、会計監査サービスを提供しているような税理士事務所では、公認会計士登録に必要な実務経験を満たせるケースがあるからです。
とはいえ、会計士は税理士と働き方が大きく異なり、税務のスキルはそこまでキャリアに活かせませんから、会計士受験生が税理士事務所で働くメリットは(税理士受験生に比べると)小さいです。
税理士事務所でパートをする3つのメリット
税理士事務所でパートとして働くメリットは、大きく3つあります。
それぞれ、かんたんに解説します。
選べる条件が豊富|柔軟な働き方でリモートが可能な場合もある
税理士事務所でのパート勤務は、働き方のバラエティが豊富です。
たとえば…
- 週3日勤務
- 1日4時間勤務
- 扶養枠内で勤務したい
- 服装・髪型・髪色・ネイル自由など
- リモート可
- 学校行事等での休暇にも対応
といった感じです。
パートさんはお客様と直接接する機会がほぼありませんから、身なりの制限はないケースが多いです。
また、主婦の方が多いことから、パートさんごとに様々な働き方を認めているケースが多いのです。
ここまで自由度の高い組織は、少ないでしょう。
税理士受験生が働きやすい|仲間が多く実務・座学の親和性が高い
多くの税理士事務所では、税理士受験生を積極的に採用しています。
その理由は、次のとおりです。
税理士受験生を積極採用する主な理由
- ある程度の知識レベルが担保され、採用後すぐに戦力になる
- 所長自身も受験生活の大変さを知っているため、学習への配慮がしやすい
- 少なくとも5科目合格までは、税理士事務所を辞める可能性が低い
- 後継者問題を解決できる可能性がある
もちろん、私の事務所でスタッフを採用する際にも、上記の視点が入っています。
主婦パートの方があくまで一時的な勤務であるのに対して、税理士受験生の方は、ある程度の年数関与してくれる傾向が強いです。
そのため、受験生の方とは良好な関係を築きたいというファクターが生まれ、税理士受験生の方にとって働きやすい環境が整備されやすいでしょう。
また、受験勉強で学習している知識をそのまま実務で活用できることは、インプットの強化(忘却対策)になることから、受験勉強との相乗効果も生まれます。
税理士受験生にとって、税理士事務所はベストな環境だと思います。
未経験から専門スキルを学べる|その後のキャリアの選択肢も多い
税理士事務所は、「会計・税務」業界へのファーストキャリアとしてお勧めです。
なぜなら、税務の知識はほとんどの企業で必要とされるスキルだからです。
税務の知識を活用できる職種
- 税理士事務所
- 税理士法人
- 事業会社の経理部
- 監査法人
- 会計系コンサルティング会社
上記の職種のうち、最も未経験者が参入しやすいのが「税理士事務所」です。
これから会計・税務業界でスキルを磨きたい方には、強くオススメできる職種です。
税理士事務所でパートをする3つのデメリット
一方、税理士事務所でパートとして働くことには、デメリット(注意点)があります。
それぞれ、解説します。
未経験だと1年目に覚えることが多い|最初はきついと感じるかも
税理士事務所の仕事は、非常に専門性が高いです。
簿記3級・簿記2級を持っていたとしても、実際に仕事をしてみると、本当に分からないことだらけのはずです。
私は公認会計士・税理士資格を持っていますが、初めて会計ソフトに触れたときは、教わりながらでなければ操作できませんでした。
それほどまでに、1年目は覚えることが多いのです。(複雑というわけではなく、単純に覚える量が多い)
「未経験者歓迎」の求人だからと言って、誰でもできる楽な仕事というわけではありませんから、気合を入れて臨んだほうが良いと思います。
- 座学と実務は異なる(会計ソフトを使う等)
- 必ず教わりながら進めるため、気を遣う機会が多い
細かい作業が多く集中力が求められる|真面目さ・丁寧さが必要
税理士事務所では、お客様のお金を計算します。
扱うのがお客様のお金であることから、計算を間違うことは許されず、集中力が求められます。
たとえば、領収書を1枚1枚チェックし、すべて網羅的にExcelに数字を入力するような仕事があります。
この時、雑に仕事をしていると領収書を1枚チェックし忘れたり、数値を二重に入力してしまったりします。
そのため、常に仕事に細やかさが求められます。
(たまに「1円単位で合わせないと~」などと表現されることがありますが、正直、計算はExcelで行うので1円のような端数がズレることはありません。)
ちなみに、算数や数学などの知識はほとんど必要ありません。
足し算・引き算ができれば問題なく、難易度は高くないものの「真面目さ」が必要だと思います。
- お客様の支払うべき税金を計算する仕事だから
- 全体としては大きな金額だが、1件1件の取引金額は小さく細かい為
所長の性格によって事務所の雰囲気が大きく異なる
デメリットというよりも、税理士事務所を選ぶ際の注意点です。
税理士事務所はとても小さな組織であるため、所長の権限が強く、事務所によって雰囲気が大きく異なります。
また、組織経営を経験したことのない税理士が簡単に開業できるため、ブラックな(酷いとパワハラをするような)税理士事務所も存在します。
このような税理士事務所を回避するためには、面接時に所長の性格を見極める必要があります。
面接だからと言って受け身にならず、相手の性格が自分に合うかどうか、という視点で面接を受けることをオススメします。
税理士事務所のパートの時給は平均1,500円前後
税理士事務所のパートの時給は、1,500円前後が目安です。
厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査では、パートで働く会計事務従事者の時給は平均1,584円でした。
税理士事務所だけの公的統計はないため、税理士事務所の職員や企業の経理事務員を含むこの区分を目安にしています。
| 経験年数 | 時給(平均) |
|---|---|
| 0年 | 1,477円 |
| 1~4年 | 1,496円 |
| 5~9年 | 1,529円 |
| 10~14年 | 1,614円 |
| 15年以上 | 1,713円 |
上記のとおり、未経験で始めると1,500円弱であり、経験を積むと1,700円台まで上がります。
なお、従業員10~99人の企業に限ると未経験者の時給は1,366円であり、少人数の税理士事務所ではこの水準が目安になります。
私の事務所でもそうですが、未経験者の多いパート職員は時給を低めに設定し、スキルが高まった職員には高く設定しています。
税理士事務所のパートに関するよくある疑問・回答
税理士事務所のパートに関するよくある疑問・回答をまとめました。
税理士事務所のパートの仕事は難しいですか?
最初の1年は難しいと感じますが、2年目からは同じ作業の繰り返しになるため慣れます。
パートに任されるのは、仕訳入力や証憑の整理など、正社員より難易度の低い業務が中心だからです。
ただし簿記の知識はほぼ必須なので、簿記3級以上を取ってから応募しましょう。
税理士事務所のパートについていけない場合はどうしたらいいですか?
ついていけないと感じたら、一人で抱え込まずに担当者や所長へ早めに質問してください。
1年目は覚えることが多いだけであり、2年目以降は同じ作業の繰り返しになるからです。
それでも長時間のデスクワークやパソコン作業そのものが合わない場合は、教育体制の整った別の税理士事務所や、ほかの職種への転職を考えましょう。
税理士事務所のパートの体験談を話して下さい
税理士事務所でパート歴4年の主婦の方の体験では、楽しいと感じたことと辞めたいと感じたことは次のとおりです。
| 楽しいと感じたこと | 辞めたいと感じたこと |
|---|---|
| 専門的な知識が身に付いてお金の流れが分かる | 資格の知識と実務の処理方法のギャップに戸惑った |
| スタッフ同士で助け合いながら仕事ができる | 繁忙期に終わらない仕事にプレッシャーを感じた |
| 自分自身の税金対策にも役立つ | 顧客とのやり取りが思うように進まなかった |
体験談の全文は、以下の記事で紹介しています。
税理士事務所のパートを辞めたいと思うのはどんな時ですか?
税理士事務所のパートを辞めたいと思うのは、主に次の3つの場面です。
- 資格の知識と実務のやり方の違いに戸惑ったとき
- 繁忙期(12月~3月)に仕事が終わらずプレッシャーを感じたとき
- 顧客とのやり取りが思うように進まないとき
どれも1年目に起きやすく、周りに相談しながら進めることで乗り越えられます。
税理士事務所のパートの体験談では、それぞれの場面をどう乗り越えたかも紹介しています。
税理士事務所の事務の仕事内容は?
税理士事務所の事務の仕事内容は、次のとおりです。
- 記帳代行(会計ソフトへの仕訳入力)
- 決算業務
- 税務申告
- 給与計算・年末調整
- その他の事務作業(電話・来客対応、書類の整理など)
事務は内勤が中心であり、顧問先へ訪問する外回りはありません。
仕事内容ごとの詳しい解説は、以下の記事で紹介しています。
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