労働者派遣事業の更新で求められる「合意された手続」とは?

労働者派遣事業の更新で求められる「合意された手続」とは?

労働者派遣事業の更新に際して資産要件を満たさない場合、基準資産額・現預金の額を増加させ月次決算を行った後、公認会計士による「監査証明」または「合意された手続業務」の実施を受けることで更新を申請できます。

1 許可有効期間の更新

労働者派遣事業の新規許可の有効期間は3年です。(当該更新後の許可の有効期間は5年となり、以後同様となります。)有効期間満了後も引き続き労働者派遣事業を行おうとする場合は、許可の有効期間の更新申請を行う必要があります。

(中略)

基準資産額又は自己名義の現金・預金の額が増加する旨を申し立てるときは、公認会計士又は監査法人による監査証明を受けた中間決算又は月次決算に加え、公認会計士又は監査法人による「合意された手続業務」を実施した中間決算又は月次決算でも可能となります。

(引用:派遣事業開始以後の手続|厚生労働省

合意された手続業務(AUP:Agreed Upon Procedures)とは、公認会計士と業務依頼者との間で事前に業務の内容・実施方法を合意し、その業務を遂行して得た結果・事実を依頼者に報告する業務をいいます。

労働者派遣事業の更新は新規許可申請よりも若干ハードルが下がるため、厳格な「監査証明」に代えて「合意された手続」でも良いものと定められているのです。

本記事では、この労働者派遣事業における合意された手続について、依頼方法や内容、実施完了までの流れを解説します。

この記事で分かること


  • 合意された手続は派遣業の「更新」の際にのみ利用できる
  • 基本的には監査証明よりも低価格で利用できるのでオススメ
  • 藤沼会計事務所なら最短即日で合意された手続を完了できる
この記事の執筆者

EY新日本有限責任監査法人にて法定監査・任意監査・IPO監査に従事したのち、2019年に独立開業。
労働者派遣事業の監査証明サービス・職業紹介事業の監査証明サービスを提供しています。


目次

労働者派遣事業における「監査証明」と「合意された手続」の違い

労働者派遣事業の許認可に関して実施される「監査証明」と「合意された手続」は、以下のような違いがあります。

監査証明合意された手続
利用する状況資産要件を満たさない場合
実施者公認会計士
新規申請時の利用
更新申請時の利用
業務内容決算書全体の適正性確認合意した一部業務の実施
手続きの対象幅広い限定的
手続きの工数一般的監査に比べて少ない

いずれも、資産要件を満たさない場合に利用するという点は共通しています。

申請者にとっての大きな違いは、「合意された手続」は更新時にだけ利用することができ、新規許可申請の際は利用できないという点です。

一方、「派遣業の監査証明」については新規許可申請時・更新申請時のいずれの場合も利用できます。

なお、合意された手続の方が監査証明に比べて作業工数が少ないため、更新時は合意された手続を依頼した方が費用を安く抑えられる傾向にあります。

労働者派遣事業の更新における「合意された手続」での実施内容(例)

労働者派遣事業の更新時に実施される合意された手続は、あくまで資産要件を満たしていることを確認する目的で実施されます。

そのため、原則として貸借対照表項目(B/S項目)に対して手続きが実施されます。

労働者派遣事業の更新時に実施される「合意された手続」の具体的な実施内容は、以下の通りです。

  • B/Sにおける現金残高と現金出納帳残高との照合
  • B/Sにおける預金残高と残高証明書との証票突合
  • B/Sにおける固定資産残高と固定資産台帳との照合
  • B/Sにおける貸付金残高の貸倒引当金計上可否の検討
  • B/Sにおける借入金残高と契約書・残高証明書との突合
  • B/Sにおける未払法人税等の金額の計算チェック
  • B/Sにおける資本金等の金額と登記簿謄本の証憑突合
  • B/S・P/Lと総勘定元帳の照合
  • 金額的重要性の高い資産残高に対する外部証憑との突合等
  • その他、全般的なヒアリング

企業により財政状態は異なるため、上記はあくまで例示です。

必要に応じて手続きが追加されたり、逆に少ない手続きで完了するケースもあります。

また、合意された手続は事前に事業者(申請者)と公認会計士との間で実施内容を取り決めるため、当然ながら事前に合意しなかった手続は実施されません。

なお、合意された手続は、公認会計士協会が公開している「労働者派遣事業等の許可審査に係る中間又は月次決算書に対する合意された手続業務に関する実務指針」に基づき実施されます。

実施されるAUPについて、より具体的な手続の趣旨・内容などを知りたい方は、上記の実務指針をご参照ください。(かなり細かいのでご注意下さい)

労働者派遣事業の合意された手続で求められる必要書類

派遣業の合意された手続(AUP)を行う際は、一般に以下の書類が必要になります。

派遣業AUPでの必要書類(例示)
  • 決算関係書類
    • 直近の年度決算書(貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書)
    • 直近年度決算の総勘定元帳・試算表・補助元帳(現預金、売掛金、買掛金ほか)
    • 月次決算を行った月の決算書(貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書)
    • 月次決算を行った月の総勘定元帳・試算表・補助元帳(現預金、売掛金、買掛金ほか)
    • 直近年度の税務申告書
  • 資産・負債の裏付け資料
    • 現金出納帳
    • 銀行残高証明書・通帳コピー
    • 売掛金/買掛金年齢表
    • 固定資産台帳・リース契約書
    • 借入金契約書・返済予定表
  • 会社・許可関連書類
    • 定款
    • 履歴事項全部証明書(月次決算後に取得したもの)
    • 労働者派遣事業許可通知書
  • その他
    • 会社概要
    • 組織図
    • 主要取引先一覧

上記は、あくまで一般的に求められる書類の例示です。

実際に必要となる書類については、事業者の規模や取引内容によって大きく異なります。

ただし、基本的には「確定申告作業で必要になった書類」が求められますので、新たに資料作成を求められるようなケースは少ないです。

労働者派遣事業の合意された手続にかかる費用相場・期間

労働者派遣事業の合意された手続(AUP)にかかる費用相場・期間は、以下の通りです。

費用相場25万円~
期間2~5日

上記はあくまで一般的な相場であり、会社の規模・状況によって異なります。

なお、藤沼会計事務所では最短即日最安10万円からAUP報告書の発行が可能です。

合意された手続(AUP)を依頼してから実施・完了するまでの流れ

合意された手続実施・完了までの流れは、以下の通りです。


STEP

公認会計士に相談・見積り依頼

合意された手続を実施したい旨を公認会計士に伝えましょう。
この時点で、事業内容を伝えた上で「本決算を行った決算書」「月次決算を行った決算書」「月次決算までの総勘定元帳」を送付しておくと話がスムーズになります。
なお、公認会計士であっても「労働者派遣事業」に精通していなければ手続きを円滑に進めることはできません。
そのため、労働者派遣事業に詳しい公認会計士に業務を依頼することが大切です。

STEP

AUP報酬の決定・手続内容の合意・契約の締結

合意された手続にかかる報酬を決定します。
会計事務所によって報酬は異なりますが、藤沼会計事務所が業界では最安水準です。

報酬のすり合わせが完了したら、手続き内容について合意した上で契約書を締結します。

STEP

公認会計士による合意された手続業務の実施

公認会計士により、合意された手続が実施されます。
手続き実施の間、必要な書類の提出を追加で求められることがありますので、すぐに提出できるようにしておくとスムーズに進みます。

STEP

手続完了・「独立業務実施者の合意された手続実施結果報告書」の発行

合意された手続業務が完了すると、報告書が提出されます。
この報告書の入手をもって「合意された手続が行われたことの証拠」になりますので、大切に保管してください。

労働者派遣事業の合意された手続き(AUP)に関するよくある質問FAQ

労働者派遣事業の合意された手続き(AUP)に関して、よくある質問をFAQ形式でまとめました。

なお、下記のほか知りたい情報がある方は、コメント欄にてご質問ください。


小規模派遣元事業主への暫定的な配慮措置はいつまで続きますか?

小規模派遣元事業主への暫定的な配慮措置は、法律上「当分の間の措置」とだけ明記されており、その期間は明示されていません。

このため、現時点ではいつまで続くかは不明です。

派遣事業の更新において「合意された手続」はいつまでに依頼すべきですか?

労働者派遣事業の更新申請は、許可有効期間満了日の3ヶ月前までに済ませる必要があります。

更新申請は、許可有効期間満了日の3か月前までに行う必要があります。お早めにご準備く
ださい。

(引用:労働者派遣事業の更新申請の手続|厚労省

つまり、例えば3月31日が有効期間満了日であれば、12月31日までに申請を終えなければなりません。

この点、合意された手続は最短即日で完了するため、上記の場合であれば12月31日に依頼をしてもギリギリ間に合います。

しかし、会社の規模・状況によっては合意された手続の完了までに数日~1週間を要する場合もあります。

また、合意された手続の実施により決算書にエラーが見つかり、決算書を修正した結果資産要件を満たさないこととなった場合、資産要件をクリアするための取引等が必要になり更に時間を要するケースもあります。

このため、資産要件を満たして月次決算を確定させたら、速やかに合意された手続を依頼されることをオススメします。

藤沼会計事務所なら最短即日・最安でAUP報告書を発行できる

アカウントエージェント株式会社写真

藤沼会計事務所では、労働者派遣事業の許可・更新申請に特化した会計監査・AUPサービスを提供しております。

藤沼会計事務所の特徴
  • レスポンスが速い
  • 監査歴10年超のベテラン公認会計士が直接対応
  • 最短即日で監査証明・AUP報告書を発行可能
  • 業界最安10万円~対応可能

藤沼会計事務所では、全国の「労働者派遣事業の許可・更新申請に特化した公認会計士」と数多く提携しております。

そのため、お問い合わせには原則即日で対応し、最短当日中にAUP報告書を発行可能です。

派遣業の許可・更新をお急ぎの方は、今すぐご連絡ください。

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