ファクタリングの仕訳は超かんたん!勘定科目・会計処理を例とともに解説【税理士が教える】

ファクタリングの仕訳・会計処理

ファクタリングの仕訳は簡単です。

しかし、ファクタリング取引の種類によって仕訳は少し異なります。

そこで本記事では、ファクタリング取引の種類ごとの仕訳例を紹介し、そこで用いる勘定科目についても全てわかりやすく解説します。

記事内では、会計ソフト別に入力方法も画像付きで解説しています。

かなり参考になるはずですよ。

2社間ファクタリングの仕訳例

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
商品・サービスの販売
売掛金xxxxx売上xxxx
仮受消費税x
売掛先への請求
仕訳なし
2社間ファクタリング契約の締結
未収入金xxxx売掛金xxxx
売掛債権の売却・入金
現金預金xxx未収入金xxxx
売上債権売却損x
売掛先からの代金支払い
現金預金xxxx預り金xxxx
ファクタリング会社への返金
預り金xxxx現金預金xxxx

2社間ファクタリングの具体的な会計処理を見る

3社間ファクタリングの仕訳例

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
商品・サービスの販売
売掛金xxxx売上xxx
仮受消費税x
売掛先への請求
仕訳なし
3社間ファクタリング契約の締結
未収入金xxxx売掛金xxxx
売掛債権の売却・入金
現金預金xxx未収入金xxxx
売上債権売却損x
売掛先からの代金支払い
仕訳なし
ファクタリング会社への返金
仕訳なし

3社間ファクタリングの具体的な会計処理を見る

この記事を書いた人

経営・資金繰りの専門家です。
個人事業主・フリーランスの経営支援、および資金調達支援事業を行っています。

目次

2社間ファクタリングの仕訳例

2社間ファクタリングの全貌仕訳

2社間ファクタリングに関する仕訳の流れは、次の通りです。

以下、各取引時の仕訳を解説します。

仕訳の前提条件
  • 売上金額は10,000であり、ファクタリング対象の売掛金
  • 消費税は10%
  • 買取手数料は1,000
  • ファクタリングは非課税取引(消費税無し)
  • 消費税の課税事業者に該当
  • ファクタリングに買戻義務などの特約がない(ノンリコース)

1.商品・サービスの販売時の仕訳

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
売掛金11,000売上10,000
仮受消費税1,000

商品・サービスの販売時の仕訳は、上記の通りです。

※ ファクタリングとは直接関係ありませんが、その前提となる取引仕訳として参考に記載しています。

2.売掛先への請求時の仕訳

仕訳なし

仕訳なしの理由は、売上先に請求したのみでは「会社の財産・業績(資産・負債・純資産・収益・費用)」の金額に変動がないからです。

3.ファクタリング契約の締結時の仕訳

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
未収入金11,000売掛金11,000

ファクタリング契約締結時の仕訳は、上記のとおりです。

ポイントは、ファクタリングをしていない通常の売掛金と分けることです。

2社間ファクタリングでは、売掛先から入金があった後、ファクタリング会社へ返金する必要があります。

返金の原資となる債権額について、通常の売掛金と峻別しておくことで、後の「入金消込」「経理事務」といった手間を削減することができます。

4.売掛債権の売却・入金時の仕訳

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
現金預金10,000未収入金11,000
売上債権売却損1,000

ファクタリング手数料については「売上債権売却損」という勘定科目を用います。

なお、ファクタリングは金銭債権の譲渡として消費税の非課税取引となります。

そのため、売上債権売却損は非課税となり、10%の消費税支払が発生することはありません。

5.売掛先からの代金支払い時の仕訳

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
現金預金11,000預り金11,000

売掛先から入金されたお金は、ファクタリング会社へ返金するものです。

よって、ファクタリング会社へ返還すべき債務として、「預り金」で入金処理をします。

入金消込時には、他の入金と混同して誤って他の支払い等の用途に使わないよう、注意しましょう。

入金消込とは?

入金消込とは、「売上先からの入金」に対応する「請求書」を照合し、正しく「売上先の売掛金」を減少させることです。

6.ファクタリング会社への返金時の仕訳

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
預り金11,000現金預金11,000

ファクタリング会社へ返金を行い、「預り金」の支払消込をします。

速やかに返金を行わないと、留保されていた「債権譲渡通知」がファクタリング会社から売掛先へ発送されてしまう可能性があります。

支払消込とは?

支払消込とは、「支払先への出金」に対応する「契約書・請求書」を照合し、正しく「支払先に対する債務」を減少させることです。

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3社間ファクタリングの仕訳例

3社間ファクタリングの全貌仕訳

3社間ファクタリングの仕訳の流れは、次の通りです。

以下、各取引時の仕訳を解説します。

仕訳の前提条件
  • 売上金額は20,000であり、ファクタリング対象の売掛金
  • 消費税は10%
  • 買取手数料は2,000
  • ファクタリングは非課税取引(消費税なし)
  • 消費税の課税事業者に該当
  • ファクタリングに買戻義務などの特約がない(ノンリコース)

1.商品・サービスの販売時の仕訳

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
売掛金22,000売上20,000
仮受消費税2,000

商品・サービスの販売時の仕訳は、上記の通りです。

ここは2社間ファクタリングと同様です。

2.売掛先への請求時の仕訳

仕訳なし

仕訳なしの理由は、売上先に請求したのみでは「会社の財産・業績(資産・負債・純資産・収益・費用)」の金額に変動がないからです。

ここも2社間ファクタリングと同じです。

3.3社間ファクタリング契約の締結時の仕訳

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
未収入金22,000売掛金22,000

ポイントは、ファクタリングをしていない通常の売掛金と分けることです。

これは、通常の売掛金と峻別しておくことで、後の「入金消込」「経理事務」といった手間を削減することができます。

入金消込とは?

入金消込は、「売上先からの入金」に対応する「請求書」を照合し、正しく「売上先の売掛金」を減少させることです。

4.売掛債権の売却・入金時の仕訳

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
現金預金20,000未収入金22,000
売上債権売却損2,000

ファクタリング手数料については「売上債権売却損」という勘定科目を用います。

なお、ファクタリングは金銭債権の譲渡として消費税の非課税取引となります。

そのため、売上債権売却損は非課税となり、10%の消費税支払が発生することはありません。

5.売掛先からの代金支払い時の仕訳

仕訳なし

3社間ファクタリングでは、売掛先から直接ファクタリング会社へ支払いが行われます。

よって、ファクタリング利用者側で対応することはありません。

6.ファクタリング会社への返金時の仕訳

仕訳なし

3社間ファクタリングでは、売掛先から直接ファクタリング会社へ支払いが行われます。

よって、ファクタリング利用者側で対応することはありません。

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(参考)保証型ファクタリングの仕訳

保証型ファクタリングの全貌仕訳

保証型ファクタリングに関する仕訳の流れは、次の通りです。

保証型ファクタリングとは、売掛先が倒産などで支払い不能になった場合に、貸倒れ金額を補填してくれるサービスです。

下図のとおり、保証型ファクタリグでは予めファクタリング会社へ保証料を払うことで、このような補填を受けることができます。

保証型ファクタリング

保証型ファクタリングのイメージは、掛け捨ての保険(取引信用保険)です。

この保証型ファクタリングの会計処理は、「保証料の支払い」「売掛先が倒産したとき」「保証金の入金」があります。

以下、売掛先が倒産した場合を仮定して、仕訳の流れを解説します。

仕訳の前提条件
  • 保証対象となる売掛債権の金額 30,000
  • 保証料 3,000

1.手数料支払い時の仕訳

保証型ファクタリングの手数料支払いの仕訳は、次のとおりです。

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
支払手数料3,000現金預金3,000

なお、支払手数料は非課税取引になるため、消費税は発生しません(保証料・保険料と同じ扱い)。

2.売掛債権が回収不能になった時点の仕訳

売掛債権が回収不能になった時点の仕訳は、次のとおりです。

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
貸倒損失30,000売掛金30,000

売掛債権が回収不能になったため、貸倒損失を計上し、売掛金を貸方で減額します。

もし、貸倒の対象となる売掛金に「貸倒引当金」を計上していた場合、貸倒引当金を借方で減額します。

(なお、貸倒引当金が100に満たない場合、差額は貸倒損失で処理する。)

3.ファクタリング会社から入金された時点の仕訳

ファクタリング会社から入金された時点の仕訳は、次のとおりです。

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
現金預金30,000雑収入30,000

このように、入金がされたら営業外収益の「雑収入」として処理します(保険金収入のイメージ)。

また、この収入は非課税売上になります。(保険金・共済金と同じく、資産の譲渡等の対価ではないため)

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ファクタリングに関する勘定科目の説明

ファクタリングに関連する勘定科目を、以下に列挙しました。

以下、それぞれの勘定科目について解説します。

売掛金

ファクタリングにおける売掛金の仕訳

売掛金とは、商品・サービスの販売が完了して、後日代金を受け取れる権利(債権)です。

ファクタリングにおいては、「商品・サービスの販売(債権の発生)」「ファクタリング契約の締結」で用いられる勘定科目になります。

売上

ファクタリングにおける売上の仕訳

売上とは、商品・サービスの販売により得た収入(業績)です。

ファクタリングにおいては、「売掛債権の発生時」「ファクタリングによる売掛債権の譲渡時」に用いられる勘定科目になります。

仮受消費税

ファクタリングにおける仮受消費税の仕訳

仮受消費税とは、税抜経理方式の場合、売上に対して「売上先から受け取った消費税の額」です。

ファクタリングには直接関係しませんが、売掛債権の発生時(売上計上時)に用いる勘定科目です。

なお、ファクタリング会社との取引は「全て非課税取引」であり、消費税影響はありません。

消費税は、期末決算で「仮払消費税(支払った消費税)」と「仮受消費税(受け取った消費税)」を相殺した残額を、国に納付することになります。

未収入金

ファクタリングにおける未収入金の仕訳

未収入金とは、本業以外の収入から発生した代金未納の額(売掛金以外)です。

例えば、「有価証券の販売」や「固定資産の売却」などによって、未収入金は発生します。

ファクタリングでは、ファクタリング契約を締結した際に、「売掛金から、ファクタリング会社から受け取る予定の代金」に置き換えるために用いられる勘定科目です。

売上債権売却損

ファクタリングにおける売上債権売却損の仕訳

売上債権売却損とは、「ファクタリングした売掛債権」と「ファクタリングにより入金される金額」との差額であり、ファクタリング会社へ支払う手数料(割引料)です。

ファクタリングでは、ファクタリング会社から入金された際に用いる勘定科目になります。

なお、売上債権売却損は、法人税法上「損金(=法人税の支払額を引き下げる)」、消費税法上「非課税仕入(=仕入税額控除ができない)」となります。

現金預金

ファクタリングにおける現金預金の仕訳

現金預金とは、「通貨(円・ドル…)」「各種預金・小切手など即時に通貨に換えられるもの」です。

ファクタリングにおいては、「ファクタリング会社からの入金」と「ファクタリング会社への返金」に用いる勘定科目になります。

預り金

ファクタリングにおける預り金の仕訳

預り金とは、「得意先などから一旦お金を預かり、その後、預ったお金を第三者に返還する」負債(債務)です。

ファクタリングでは、2社間ファクタリングで「売掛先からの入金(ファクタリング会社へ返還するお金)を処理する」ための勘定科目になります。

なお、ファクタリング以外の取引では、従業員の「源泉所得税・社会保険料」が代表例です。

支払手数料

ファクタリングにおける支払手数料の仕訳

支払手数料とは、提供を受けたサービスに対して支払う費用です。

ファクタリングでは、「保証型ファクタリング」において使用し、保証料を支払った時に使う勘定科目です。

なお、保証型ファクタリングの支払手数料は非課税取引になるため、消費税は発生しません(保証料・保険料と同じ性格)。

貸倒損失

ファクタリングにおける貸倒損失の仕訳

貸倒損失とは、債権(売掛金など)が回収不能(貸倒れ)になった場合、回収不能の債権金額を減額するために使う費用項目です。

ファクタリングでは、保証型ファクタリングで「保証している売掛債権が回収不能」になった場合に使う勘定科目になります。

雑収入

ファクタリングにおける雑収入の仕訳

雑収入とは、本業以外から発生した収入(営業外収益)です。

ファクタリングでは、保証型ファクタリングで保証していた売掛債権が回収不能になった場合、保証金の支払いを受ける時に使う勘定科目になります。

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【会計ソフト別】ファクタリング時の仕訳入力画面【画像付き解説】

以下、会計ソフト別に仕訳入力方法を解説します。

会計ソフトの設定・仕訳入力の際に、ご参考ください。

以下、会計ソフトごとに解説します。

弥生会計での仕訳入力方法【画像付き解説】

STEP
勘定科目を追加する
弥生会計オンライン「勘定科目の設定」メニュー

弥生会計には、ファクタリング手数料の勘定科目「売上債権売却損」がデフォルトで存在しないため、まずこの勘定科目を登録する必要があります。

  1. 左側メニュー「科目の設定」をクリック
  2. 出てきた勘定科目名一覧を下にスクロールし「営業外費用」という欄をクリック
  3. 上にある「科目を追加」をクリック
STEP
科目名を登録
弥生会計オンライン「勘定科目名登録画面」

追加された欄に、科目名・科目の説明・サーチキーを入力していきます。

  • 科目名:売上債権売却損
  • 科目の説明:ファクタリング手数料
  • サーチキー:URIBAI

科目名以外は任意ですが、上記のように入力すると良いでしょう。

また、右から2番目のチェック項目にチェックが入っていることを確認し、区分が「借方」になっていることも確認してください。

最後に登録ボタンを押し、勘定科目の登録を完了させます。

STEP
ファクタリングの仕訳を入力する
弥生会計オンライン「仕訳入力画面」

ファクタリングの仕訳を入力します。

まずはファクタリングした売上債権が計上された際の仕訳(または未収入金に振り替えた仕訳)を探しましょう。

  1. 左側のメニュー「仕訳の入力」をクリック
  2. 上記のように入力する
    1. 上記画像では、ファクタリング会社からの入金金額を900,000円とし、ファクタリング手数料を100,000円としています。
    2. 貸方科目名は、すでに売掛金から未収入金に振り替えている方は「未収入金」を使用し、売掛金のままの方は「売掛金」を入力してください。
  3. 登録ボタンをクリック

これでファクタリング取引の入力は完了です。


freeeでの仕訳入力方法【画像付き解説】

STEP
取引の一覧・登録を選択
freee取引の登録

ファクタリング取引を選ぶために、取引一覧を表示します。

STEP
ファクタリングした債権を計上した際の売上取引を選択
freee売上取引仕訳

ファクタリングした債権を計上した際の売上取引を探し、クリックします。

STEP
決済を登録
freee決済登録画面

ファクタリングした債権を計上した際の売上取引をクリックすると、プルダウンで取引情報が開きます。

この中の「決済」の項目にある「+決済を登録」をクリックします。

STEP
ファクタリング会社からの入金額を登録
freee決済登録画面

「入金額」欄には、ファクタリング会社から入金された金額を入力してください。

また、差額「支払手数料として登録する」に必ずチェックを入れてください。

ここでは差額(ファクタリング手数料)を10,000円としています。

なお、この時点では次のような仕訳が起票されています。

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
現金預金xxx売掛金xxx
支払手数料10,000

freeeで用いられる「支払手数料」は、消費税10%の課税仕入として設定されています。

しかし、ファクタリングの手数料(売上債権売却損)は、消費税が非課税です。

そのため、この「支払手数料(消費税10%)」を「売上債権売却損(非課税仕入)」に振り替える必要があります。

STEP
新しい勘定科目を登録する
freee勘定科目の設定

freeeにはデフォルトで「売上債権売却損」という勘定科目が設定されていないため、自分で勘定科目を新規登録する必要があります。

「設定」→「勘定科目の設定」をクリックしてください。

freee新しい勘定科目の登録

上記画像のように、新しい勘定科目を登録します。

新しい勘定科目の登録内容
  • 勘定科目名:売上債権売却損
  • 勘定科目のカテゴリー:経費
  • 決算書表示名:その他経費
  • 税区分:非課税仕入
STEP
振替伝票の登録

ここで、支払手数料から売上債権売却損に振り替える仕訳を登録します。

freee振替伝票

「確定申告」→「振替伝票」をクリックします。

次に、仕訳を入力します。

freee振替伝票入力画面

上記のように入力をします。

振替伝票入力内容
  • 借方勘定科目:売上債権売却損
  • 借方金額:(ファクタリング手数料の金額)
  • 貸方勘定科目:支払手数料
  • 貸方金額:(ファクタリング手数料の金額)

これで登録ボタンをクリックすると、振替伝票の起票が完了です。

なお、この仕訳は下記のように起票されています。

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
売上債権売却損10,000支払手数料10,000

これでfreeeへの仕訳入力は完了です。


マネーフォワードでの仕訳入力方法【画像付き解説】

STEP
新しい勘定科目を登録する
マネーフォワード(メニュー画面)

マネーフォワードには初期設定で「売上債権売却損」の勘定科目がないため、勘定科目を追加登録します。

「各種設定」から「勘定科目」をクリックします。

マネーフォワード「勘定科目追加」

上記画像のように、画面下部の勘定科目の追加をクリックし、新しい勘定科目を登録します。

新しい勘定科目の登録内容
  • 決算科目名:支払手数料
  • 勘定科目:売上債権売却損
  • 税区分:非課税仕入
STEP
「自動で仕訳」にある「連携サービスから入力」を選択
マネーフォワード「連携サービスから入力」

ファクタリング会社からの入金取引を仕訳処理するために、「自動で仕訳」の「連携サービスから入力」をクリックします。

STEP
ファクタリング会社から入金された取引を選択
マネーフォワード会計(自動で仕訳登録)

「連携サービスからの入力」の一覧に表示される入出金データから、ファクタリング会社から入金された取引を探し、上記画像のとおりに入力し、「登録」ボタンをクリックします。

振替伝票入力内容
  • 借方①:現金預金
  • 借方金額①:[実際の入金額]
  • 借方②売上債権売却損
  • 借方金額②:[ファクタリング手数料の金額]
  • 貸方勘定科目:未収入金
  • 貸方金額:[ファクタリングした売掛債権の金額]

これで登録ボタンをクリックすると、振替伝票の起票が完了です。

なお、この仕訳は下記のように起票されています。

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
現金預金xxx未収入金xxx
売上債権売却損xxx

以上でマネーフォワード会計への仕訳入力は完了です。


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ファクタリングで債権譲渡登記をした場合の仕訳

ファクタリングで債権譲渡登記(抹消登記を含む)をした場合、次の場面で仕訳が必要になります。

以下、それぞれ解説します。

登記手数料(登録免許税)の支払い

債権譲渡登記時の手数料(7,500円)の仕訳は、次のとおりです。

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
租税公課7,500現金預金7,500

なお、登録免許税は非課税取引に該当するため、消費税の支払はありません。

また、抹消登記時の手数料(1,000円)の仕訳は、次のとおりです。

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
租税公課1,000現金預金1,000

こちらの租税公課も非課税取引に該当するため、消費税の支払はありません。

司法書士報酬の支払い

司法書士報酬の支払いの仕訳は、次のとおりです。

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
支払報酬80,000現金預金80,853
仮払消費税8,000預り金7,147

司法書士への報酬支払では、「源泉徴収」を計算する必要があります。(国税庁タックスアンサー|No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは

この源泉徴収(=預り金)の計算式は、次の通りです。

司法書士報酬の源泉徴収(預り金)の計算式

(支払報酬額 – 10,000)✕ 10.21%

=(80,000 – 10,000)✕ 10.21%

=7,147

なお、計算根拠は 国税庁タックスアンサー|No.2801 司法書士等に支払う報酬・料金を参照のこと。

源泉所得税は、司法書士が発行する請求書に金額が記載されています。

「支払報酬」は「支払手数料」でも差支えありませんが、源泉所得税が発生する報酬については「支払報酬」勘定で分けて管理することをオススメします。

これにより、顧問税理士によるチェックが円滑に進みます。

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ファクタリング取引にかかる消費税の仕訳・取扱い

ファクタリング取引自体に、消費税はかかりません。

なぜなら消費税法上、売掛金の譲渡は非課税取引になるからです。(国税庁タックスアンサー|No.6201 非課税となる取引

以下は、ファクタリングで売掛金を売却した時の仕訳です。

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
現金預金90,000未収入金
(売掛債権)
100,000
売上債権売却損10,000

ファクタリングではこの仕訳だけが起票されるため、売上債権売却損(非課税)から消費税の仕訳は発生しません。

なお、ファクタリングの譲渡対価(90,000円)は「非課税売上高に該当」しますが、課税売上割合の計算には関係させません消費税施行令48条2項二号)。

また、売上債権売却損(10,000円)は手形割引料と同じく非課税であるため、仕入税額控除はできません。

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ファクタリングで「借入金」を用いる場合の仕訳

ファクタリングの仕訳で「借入金」を用いるのは、次の場合です。

ファクタリングの仕訳で「借入金」を使う場合

通常、ファクタリング取引では「借入金」という勘定科目を用いません。

しかし、上記のような場合は「借入金」を使って仕訳を行います。

以下、それぞれ解説します。

実質的に金銭消費貸借取引となった場合の仕訳

実質的に金銭消費貸借取引となった場合の仕訳の流れは、次のとおりです。

実質的に金銭消費貸借取引となった場合の仕訳の流れ

ファクタリングで遡及義務(=リコース義務=償還請求権=買戻し義務)がある場合、通常のファクタリングとは仕訳が異なり「借入金」勘定を用います。

なぜなら、会計基準では遡及義務がある場合に譲渡債権(売掛債権)を帳簿から無くすことができず、調達したお金を負債として計上しなければならないからです。
(参考:金融商品会計に関する実務指針 250項金融商品会計基準第9項、58項

以下、仕訳の流れを解説します。

1.ファクタリング実行時

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
現金預金90,000借入金100,000
売上債権売却損10,000

「売掛債権の売却」ではなく「借入」の会計処理をします。

したがって、売掛債権の金額は動かしません。

なお、売上債権売却損は手形を割引したときの「割引料(利息)」と同じ性格です。

そのため、非課税取引になり、消費税は発生しません。

2.売掛債権回収時

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
現金預金100,000売掛金100,000

「借入金」と「売掛債権の回収」は別取引であるため、通常の売掛債権回収の仕訳を起票します。

3.ファクタリング会社への返済時

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
借入金100,000現金預金100,000

回収した売掛金の金額をもって、借入金を返済します。

返済時の仕訳は、通常の借入金返済の仕訳と同じです。

IFRS基準(国際財務報告基準)での仕訳

IFRS基準でファクタリングの仕訳をする場合、日本の会計基準と同じ仕訳になります。

仕訳パターンは、次のとおりです。

ただし、金融商品会計は基準が細かく、契約書の記載によって解釈に幅があるため、必ず担当監査法人(公認会計士)に確認してください。

以下、それぞれの仕訳パターンについて解説します。

1.遡及義務(=リコース義務=償還請求権=買戻し義務)がない場合の仕訳【借入金勘定を使わない】

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
現金預金90,000未収入金
(売掛債権)
100,000
売上債権売却損10,000

売掛債権の貸倒リスクがファクタリング会社へ移転しているため、売掛債権(金融資産)の消滅をさせます(日本の会計基準と同じ仕訳)。

IFRS9号の解説

「遡及義務のないファクタリング契約」においては、譲渡人(ファクタリング利用者)は、原債権(ファクタリングした債権)の履行に関する保証を一切ファクタリング会社へ提供していないため、原債権の所有に係るリスクと経済価値のほとんどすべてを移転していると判定されます。

つまり、ファクタリング利用者は売掛債権をファクタリング会社へ売却した後は責任を負わないため「借入金」勘定を使わないことになります。

2.遡及義務(=リコース義務=償還請求権=買戻し義務)がある場合の仕訳【借入金勘定を使う】

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
現金預金90,000借入金100,000
売上債権売却損10,000

売掛債権の貸倒リスクがファクタリング会社へ移転してないため、借入金(金融取引)として仕訳処理をします(日本の会計基準と同じ仕訳)。

IFRS9号の解説

遡及義務がある(ファクタリング会社に無制限または制限付きの遡及権を提供している)ファクタリング契約においては、譲渡人(ファクタリング利用者)は遡及条項の規定に従って、特定の状況においてファクタリング会社から受領した金額の一部を返済する、または、売却した原債権の買戻し義務を負っていることになります。

これらの遡及条項の存在により、譲渡人(ファクタリング利用者)が原債権(ファクタリングした債権)の所有に係るリスクと経済価値のほとんどすべてを保持していると判定される可能性があります。

つまり、ファクタリング利用者は売掛債権をファクタリング会社へ売却した後も責任を負うため「借入金」勘定を使うことになります。

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ファクタリングをした場合の貸借対照表への影響

ファクタリングをした場合の貸借対照表(B/S)には、次のような影響があります。

以下、それぞれ解説します。

借入(融資)と異なり、負債比率が悪化しない

ファクタリングと借入の負債比率の違い

ファクタリングをした場合、借入ではないため、貸借対照表における「負債」が計上されません(オフバランス化)。

そのため、与信審査で「負債比率」が悪化せず、金融機関からの与信調査に対する影響がなくなります。

ファクタリング手数料を支払う分だけ「現金」「利益剰余金」が減少

ファクタリング手数料を払う分だけ、「現金」「利益剰余金(純資産)」が減少します。

ファクタリングは利便性の高い資金調達手段である一方、手数料がかかるというデメリットがあります。

ファクタリングの種類にもよりますが、2社間ファクタリングなら10~20%、3社間ファクタリングなら1~9%の手数料がかかります。

一方、融資や手形割引などは概ね年利1.5~5%程度で貸付がされるため、これに比べるとファクタリングは手数料の割合が大きいです。

そのため、ファクタリングをし過ぎると本来の売掛債権の入金額が減っていき、「現金」「利益剰余金(純資産)」が目減りします。

なお、ファクタリングの手数料を下げる方法は、次の記事内で解説しています。

手形割引・銀行借入と異なり、B/S注記は付されない。

手形割引・銀行借入と異なり、B/S注記(担保・遡及義務・偶発債務・極度額など)は付されません。

一方、会社法上「会計監査人設置会社以外の非公開会社」以外の会社は、金融商品取引にかかる注記をしなければなりません(会社計算規則103条,109条)。

特に、「会計監査人設置会社」の場合は、公認会計士(監査法人)の監査義務があるため、更に厳しく細かい記載が求められます。

銀行などは「決算書の注記も格付けなどの審査でみる」ため、期末の決算書で負債・注記を入れたくない場合、オフバランスできる「ファクタリングによる資金調達」がおすすめです。

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決算期をまたぐ場合の注意点(税務申告・確定申告)

税務では、発生主義(≒権利確定主義債務確定主義)が原則です。

つまり、法人税・消費税は既に計上した売上をもとに算出されます。

このため、決算日時点でファクタリング会社から入金されていない場合であっても、売上に対して税金が掛かります。(故に、納税資金にも注意が必要です。)

納税申告書の提出期限・納税期限は、決算日の翌日から2ヶ月以内です。

顧問税理士に必要な資料と情報を提供し、申告誤りや遅延を回避しましょう。

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ファクタリングの仕訳に関するよくある疑問・回答

ファクタリングの仕訳に関する、よくある疑問・回答をまとめました。


「ファクタリング」と「受取手形の割引」で使う勘定科目は違いますか?

「ファクタリング」と「受取手形の割引」で使う勘定科目は違います。

それぞれ、次の勘定科目を用います。

勘定科目
ファクタリング売上債権売却損
受取手形の割引手形売却損

なお、どちらも消費税の非課税取引になるため、消費税は発生しません。

ファクタリングの仕訳に買掛金を用いますか?

ファクタリングの仕訳に買掛金は用いません。

ただし、ファクタリングで調達した資金を元手に、買掛金を支払うことが可能になります。

このように、「入金サイト(長い)」と「支払サイト(短い)」の差で運転資金が枯渇している場合、ファクタリングは迅速な資金調達手段として非常に有効です。

ファクタリングは貸金業に該当しますか?

ファクタリングは貸金業に該当しません。

なぜなら、ファクタリング契約は「債権譲渡」であり、「融資」ではないからです。

詳しい法制度については、こちらの記事で解説しています。

ファクタリングは損金になる?

ファクタリングは支払手数料として損金(経費)になります。

ただし、ファクタリング手数料は消費税が「非課税」になるため、消費税の仕入税額控除はできません。

ファクタリングは税務上どうなりますか?

ファクタリングの税務上の扱いは、下表のとおりです。

項目消費税法人税
ファクタリング取引
買取型ファクタリング手数料非課税損金
保証型ファクタリング手数料非課税損金
保証料収入(雑収入)非課税益金
ファクタリング周辺取引
収入印紙非課税損金
登録免許税非課税損金
司法書士報酬課税損金
交通費課税損金
郵送代課税損金
銀行振込手数料課税損金

ファクタリング取引は、買取型・保証型のどちらも消費税は非課税取引となります。

なお、法人税の損金・益金の額に含められます。

一方、ファクタリング関連の諸費用のうち、国に対して払う金額以外は課税取引になるものがあります。

ファクタリングの割引料の勘定科目は?

ファクタリングの割引料は「売上債権売却損」の勘定科目を使います。

具体的な仕訳は、次のとおりです。

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
現金預金450,000未収入金
(売掛債権)
500,000
売上債権売却損50,000

ファクタリングの支払いの勘定科目は?

買取型ファクタリングの支払いの勘定科目は、「預り金」を使います。

一方、保証型ファクタリングの保証料支払いの勘定科目は、「支払手数料」を使います。

具体的な仕訳は、次のとおりです。

買取型ファクタリングの支払い仕訳

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
預り金1,000現金預金1,000

保証型ファクタリングの支払い仕訳

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
支払手数料100現金預金100

ファクタリングとは経理で何ですか?

ファクタリングとは、売掛債権を売却し、割引料を差し引いた代金を受け取る取引です。

これにより、売掛金の回収期限前に資金を調達することが可能になります(最短即日入金)。

したがって、主に経理におけるファクタリングは早急な資金調達をする際に用いられます。

ファクタリングは何業に該当しますか?

ファクタリングは、広く金融サービスに属するため、金融業界に属します。

ただし、貸金業には該当しません。


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【比較表】手数料が安い!おすすめのファクタリング会社

手数料が安いファクタリング会社の中で、特におすすめのサービスを5社厳選しました。

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ペイトナーファクタリング日本中小企業金融サポート機構うりかけ堂
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総合評価
( 9.5点 )

( 9.3点 )

( 7.8点 )

( 8.5点 )

( 7.1点 )
審査通過率98%98%非公開95%以上92%以上
利用枠1円~1円~1万~100万円8万円~30万~1億円
初回利用制限なしなし~25万円まで継続取引のみなし
入金までの日数最短2時間最短2時間最短3時間最短3時間最短2時間
支払手数料2~12%1~14.8%一律10%1.5%~2%~
必要書類2つ~2つ~3つ~2つ~3つ~
売掛先が個人利用可利用不可利用可利用可利用可
2社間契約
3社間契約
スポット取引利用可利用可利用可初回は
利用不可
利用可
設立年月2012年4月2017年年9月2019年2月2017年5月2018年11月
利用対象者個人・法人個人・法人個人・法人個人・法人個人・法人
償還請求権なしなしなしなしなし
一部買取
ネット完結
口コミ評価
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実際の手数料金額は、審査に回さなければ分かりません。

ファクタいリング会社は、複数社で見積もりを取ることが可能ですので、上記2~3社に登録してまず審査に回してみることをおすすめします。

審査を通過したファクタリング会社のうち、最も安い手数料金額のファクタリング会社を選ぶのが賢い使い方です。

この記事の監修者

上場会社で経理部長として決算財務全般・資金調達を行っていました。
現在は経理支援会社を運営しています。

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