FASへの転職難易度は低かった。ただし、人によってはかなり難しい。【打開策を提案】

FASへの転職難易度と、効率的な情報収集について。

公認会計士・税理士の藤沼です。

BIG4の監査部門から独立系FASに転職しました。

転職難易度はかなり低いと感じましたが、おそらく人によっては難易度が高いと感じるでしょう。

というのも、実務経験がほぼ必須の業界だからです。

本記事では、FASへの転職難易度をもう少し細かく解説し、実務未経験者のための打開策も紹介します。

この記事で分かること


  • 会計税務に関する実務経験がない場合、公認会計士・USCPAなど資格がなければ転職は難しい
  • BIG4FASの難易度は、高い順に「KPMG>PwC=デロイト>EY」というイメージ
  • ブティック系はやや難易度低いが、働き方は極めて激務な傾向
  • FASへの転職なら、必ずFASに強い転職エージェントを使うべき
この記事を書いた人

1986年生まれ(38歳)
公認会計士税理士

2014年 EY新日本監査法人 入社
2018年 中堅コンサル事務所 入社
2019年 藤沼会計事務所 開業
2020年 アカウントエージェント株式会社 代表


目次

BIG4のFASへの転職難易度

BIG4のFASへの転職難易度としては、KPMGが最も難易度が高くEYが最も難易度が低いです。

感覚的には、難易度高い順に KPMG>PwC=デロイト>EY というイメージです。

もちろん私の主観も入りますが、後述するFASの年収平均を見れば分かるとおり、年収が高いほど転職難易度も上がります。

ただ、そこまで難易度に大きな差があるとは感じません。

また、転職時に評価されるポイントは次のとおりです。

  1. 実務経験
    • 会計監査の経験
    • M&Aの経験
    • IPOの経験
    • 税務(組織再編税制)の経験
    • 税務(国際税務)の経験
    • 金融機関(IBD、ファンド等)での経験
  2. 資格
    • 公認会計士
    • USCPA
    • 税理士
  3. 英語力(TOEIC800以上)
  4. 年齢が若い(30代前半まで)・バイタリティ

上記いずれかの評価ポイントをクリアしていると、転職難易度が下がります。

中でも、実務経験・資格はかなり高く評価されます。

例えば、若手の公認会計士ならほぼ全てのFASで採用されるでしょう。

一方で、実務経験や資格がない場合、転職難易度は上がりますし、仮に転職できたとしても入社後かなり苦労することになります。

FASへの転職では、関連する実務経験がほぼ必須と考えて下さい。

つまり、実務経験者にとっては転職難易度が低いものの、実務未経験者にとっては転職難易度は非常に高いです。

ちなみに、BIG4のほかに独立系・ブティック系FASがありますが、こちらも実務経験はほぼ必須です。

FASとは?

FAS(フィナンシャル・アドバイザリー・サービス)とは、財務会計に関するコンサルティング業務全般をいいます。

サービスとしてのFASには、例えば次のような業務が含まれます。

サービスとしてのFASの業務内容
  • 財務DD
  • バリュエーション
  • PMI
  • IPO支援
  • 事業再生
  • フォレンジック(不正調査)
  • IFRS導入支援
  • 会計ソフト導入支援
  • 内部統制構築支援
  • その他、会計税務アドバイザリー

サービスとしてのFASの中で最も市場規模が大きいのが「M&A」に関する市場であることから、上記の中でもとりわけ「財務DD」「バリュエーション」「PMI」等、M&A領域を指してFASと呼ぶケースもあります。

また、場合によっては業界全体を「FAS」と呼んだり、中でもBIG4に限定して「FAS」と呼ぶことがあります。

法律用語ではありませんから明確な定義がなく、つい曖昧な表現になりがちです。

本記事ではサービスとしてのFASではなく、業界としてのFASを紹介しています。

以下、BIG4FAS及び独立系FASについて、簡単に解説します。

BIG4FAS

BIG4FASとは、大手四大会計事務所に属するFASをいい、具体的には次の4社を指します。

  • 株式会社KPMG FAS
  • PwCアドバイザリー合同会社
  • デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社
  • EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社

BIG4では業務が細分化されており、1種類のサービスに深く掘り下げて関与できるという特徴があります。

たとえば、財務DDなら財務DDだけに関与し、バリュエーションならバリュエーションだけに関与する、といった具合です。

BIG4はグローバル展開している大規模な集団ですから、多くのナレッジが蓄積されており、サービス品質は非常に高いです。

しかし業務が縦割りになりやすく、飽きやすいという特徴もあります。

独立系FAS

BIG4以外にFASを専門として提供しているコンサルティング会社を、「独立系FAS」「ブティック系FAS」「中小FAS」なんて呼んだりします。

なぜ「独立系」と呼ぶのか定かではありませんが、おそらくBIG4というグローバルファームに属さない・独立している、という意味で独立系と呼ぶのでしょう。

独立系FASでは、幅広い業務に関与できるという特徴があります。

一方で、BIG4とは違い組織規模が小さいため、業務が属人的になりやすく高い品質を保つことが難しいというデメリットがあります。

BIG4のFASの年収平均

BIG4のFASの平均年収について、大手口コミサイト3社が公開している数値をまとめました。

スクロールできます
OpenWorkライトハウスOpenMoney単純平均
KPMG1,230万円1,169万円1,047万円1,149万円
PwC1,060万円883万円970万円971万円
デロイト1,010万円920万円900万円943万円
EY905万円970万円908万円928万円

(2024年9月1日現在のデータ)

口コミ件数によって重み付けが異なるため、3社を単純平均すべきではありませんが、あくまで参考値として単純平均を掲載しています。

上記結果によれば、KPMGの平均年収が最も高くEYの平均年収が最も低いという結果になりました。

これは私の体感ともかなり近いため、精度は比較的高いと感じます。

なお、上記の年収平均値は8~10年目あたりの平均年収です。

もちろん前職での経験値も考慮され、例えばアシュアランス(監査部門)で5年働いてFASに転職した場合、転職してから4~5年目で上記の年収に到達します。

また、独立系FASは年収水準が各社かなり違うため、一概に比較することができません。

BIG4FASよりも平均年収が高い組織もあれば、BIG4よりも大きく年収が下がる独立系FASもあります。

私がFASに転職して後悔したと感じたこと

私はBIG4ではなく独立系のFASに転職しましたが、やや後悔を感じました。理由は次のとおりです。

  • サービス品質に自信が持てなかった
  • コンサルという名の代行屋でしかなかった

独立系では高い水準のサービス品質を提供することが難しく、「専門家としてこれで良いのだろうか?」と疑問を感じるようになりました。

本当にあるあるですが、大手・BIG4のやり方がずっと気になるんですよね。

またM&Aは定型的な仕事が多く、クライアントの要求水準も高くないため、考えずに仕事をしている時間が多くありました。

転職当初は自分で考えながら価値提供したいと思ってましたが、実態はただの代行屋。
う~ん、これでいいのか?と感じる日々でした。(結局半年で独立しました)

もちろんFAS業界全体を悪くいうつもりは全くなく、組織によっては面白味のある仕事に就けると思います。

あくまで私が感じた一例です。

FASからのキャリアパス

FASへの転職を見据えている方のために、王道となるキャリアパスを考えました。

  1. BIG4FASでキャリアを積む(3年以上)
  2. 独立系FASでマネージャー以上を経験
  3. 起業

起業をゴールに設定し、起業後に必要となるスキルを逆算して身に付けに行くのがおすすめです。

たとえば報酬交渉・契約の締結・営業は、起業してから身に付けるのは大変です。

かと言って、BIG4のスタッフレベルでは関与することができませんし、クライアント規模も大きすぎるため起業後に想定されるクライアント規模とマッチしません。

そこで独立系FASを挟むことで、中小クライアント向けの営業手法を理解し、また市場でのビジネスチャンスに目を光らせると良いです。

実際私もFASで起業していますが、起業前に営業などの経験をしなかったため、独立1年目はかなり苦労しました。

まぁ死ぬ気でやれば意外と平気なもんですが、多くの方が起業にリスクを感じていると思いますので、上記のような準備があると一歩踏み出せるでしょう。

また、起業以外にも証券会社・IBD・PEファンド等へのキャリアアップも選択肢としてありますが、起業した私の経験からすると転職よりも起業をおすすめします。

人生一度きりなので。

20代なら、公認会計士を目指すのもアリ

先述のとおり、FASへの転職では実務経験がほぼ必須です。

しかし、その実務経験は新卒カードを逃すと今から手に入れるのは難しいでしょう。

そこでオススメなのが、公認会計士資格を取ることです。

もちろん難関資格ですので全員にオススメするわけではありませんが、公認会計士資格は20代で合格してしまえば転職活動では無双できます。

最近は社会人合格者の割合が増えており、働きながら公認会計士を目指しやすい職場も増えてきました。

あくまで一つの選択肢として、検討してみても良いと思います。

FASに強い!おすすめの転職エージェント【比較表】

スクロールできます
MyVisionMS-Japanヒュープロ
(Hupro)
ジャスネット
キャリア
人材ドラフト
MyVision(マイビジョン)ロゴMS-Japanヒュープロロゴジャスネットキャリア人材ドラフト
総合評価
( 10/10 )

( 9/10 )

( 8/10 )

( 7/10 )

( 7/10 )
求人数
対象年代20代~30代20代~50代20代~50代20代~30代20代~50代
対応エリア全国全国全国全国全国
設立2022年1990年2015年1996年2000年
資本金1億円5億8600万円3800万円3400万円
対象者コンサルタント管理部門全般会計系全般士業全般会計事務所
得意領域FAS
コンサル
金融
FAS
経理
会計事務所
監査法人
会計事務所
経理
監査法人
士業全般会計事務所
評判口コミ評判を見る評判を見る評判を見る評判を見る
利用料金無料無料無料無料無料
公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト

FASへの転職なら、MyVision一択です。

なぜなら、FAS・コンサルのみに特化した大手エージェントであり、求人数がNo.1だからです。

しかし、上記のとおり転職エージェントは各社で特徴が異なります。

ぜひ上記の比較表をご参考に、ご自身に合った転職エージェントを使ってください。

目次