公認会計士になっても就職できない人の特徴と、解決策を話します。【公認会計士監修】

公認会計士になっても就職できない人の特徴と、解決策を話します。【公認会計士監修】

公認会計士・税理士の藤沼です。

大手監査法人でリクルーター・面接官や、中小監査法人での採用アドバイザーをしていました。

業界内でもやや稀有なキャリアということで、よく公認会計士の就職問題について聞かれます。

特に、公認会計士受験生(またはこれから目指す方)にとって、「合格しても就職できないのでは?」という不安は大きいでしょう。

受験勉強に集中するためにも、このような不安は事前に解消しておくべきです。

そこで今回は、公認会計士試験に合格した人の「就職率」をお見せします。

これは私が独自に算出した割合ですが、精度は高いと思いますので、これから公認会計士を目指す方の参考になるはずです。

この記事を書いた人

1986年生まれ(37歳)
公認会計士税理士

2014年 EY新日本監査法人 入社
2018年 中堅コンサル事務所 入社
2019年 藤沼会計事務所 開業
2020年 アカウントエージェント株式会社 代表


目次

公認会計士試験に合格しても、20%以上の人は監査法人に就職できない。

公認会計士試験に合格しても、20%以上の人は監査法人に就職できない。

毎年、公認会計士試験(論文式)に合格した人のうち、約300名(約22%)は監査法人に就職できません。

これは、毎年の「公認会計士試験合格者数」「監査法人における定期採用者数」を比べれば明らかです。

まず、毎年の公認会計士試験(論文式)の合格者数を見てみましょう。

公認会計士試験(論文式)合格者数推移

公認会計士試験年度論文式合格者数
2018年1,305名
2019年1,337名
2020年1,335名
2021年1,360名
2022年1,456名
(5年平均)1,359名
金融庁「令和4年公認会計士試験の合格発表の概要」及び過去データ参照)

過去5年間の平均合格者数は 1,359名 です。

次に、毎年行われる監査法人の定期採用者数(概算値)を見てみましょう。

全監査法人採用者数の概算

監査法人MinMaxAve
EY新日本有限責任監査法人250名300名275名
有限責任あずさ監査法人250名300名275名
有限責任監査法人トーマツ250名300名275名
PwCあらた有限責任監査法人80名100名90名
その他、中小監査法人(全社合計)100名200名150名
 (総計)1,065名

上記の概算値は、大手監査法人の採用に関わっていた筆者の経験をベースに算出しています。

上記の概算データによれば、大手監査法人・中小監査法人の定期採用者数は 1,065名 です。

つまり、1,359名の合格者のうち1,065名は大手監査法人・中小監査法人のいずれかに就職できますが、残りの約300名は監査法人に就職できません。

もちろん、上記は概算値であり年度によって多少増減しますが、概ね公認会計士試験合格者の約20%が監査法人に就職できないと考えて良いでしょう。

なぜ、監査法人に就職すべきなのか?

そもそも、公認会計士試験に合格した後は、なぜ監査法人に就職すべきなのでしょうか?

主な理由は、次のとおりです。

公認会計士試験合格者の大半が「監査法人」に就職する理由
  • 公認会計士登録のための要件が満たせる
  • 「会計監査」は公認会計士の独占業務である
  • 希少価値のあるキャリアを積むことができる
  • 最もオーソドックスなキャリアであり、ロールモデルが多数ある
  • 年収が総じて高い

挙げるとキリがありませんが、余程の理由がない限り、公認会計士試験(論文式)合格後は監査法人に就職すべきです。

また、監査法人は「大手監査法人(BIG4)」と「中小監査法人」に分けられますが、このうち大手監査法人(BIG4)は人気の就職先です。

BIG4とは?

BIG4とは、世界的に展開する4つの会計事務所に所属する日本国内の大手監査法人4社(またはグループ自体)をいい、具体的には次の4社を指します。

  • EY新日本有限責任監査法人
  • KPMG有限責任あずさ監査法人
  • デロイト有限責任監査法人トーマツ
  • PwCあらた有限責任監査法人

BIG4が人気の理由は、主に「世界的なネームバリューがあり、転職市場での価値が高い」「最先端の監査に触れることができる」といったものが挙げられます。

また、BIG4は(中小監査法人に比べると)内定が出やすく、結果的にBIG4を選ぶ方が多いという背景もあります。

一般企業に就職するのはアリ?

監査法人以外の就職先としては、主に次の2種類の就職先が挙げられます。

公認会計士試験合格後、監査法人以外の就職先
  • 事業会社の経理
  • 会計事務所・税理士法人

いずれも、公認会計士試験で学習した内容を活かせる就職先であり、「公認会計士試験合格者」という肩書は強みになるでしょう。

ただし、上記の就職先は公認会計士としての将来のキャリアを狭めやすく、かつ年収も低いという大きな欠点があります。

監査法人内での「監査経験」は、私たち会計士のキャリアにとって非常に重宝される経験ですから、監査法人に就職することを第一に目指すべきです。

もちろん、何かしらの理由がある方(実家の税理士事務所や事業会社を継ぐ、などの方)は、監査法人以外の就職先も選択肢にはなるでしょう。

また、逆に監査法人での実務経験があると、就職難易度の非常に高い大手企業(経理)にも就職することができます。

そのため、監査法人からのセカンドキャリアとして一般企業を選ぶのはアリですが、公認会計士試験合格後のファーストキャリアとして一般企業を選ぶのはオススメしません。

公認会計士合格後、就職できる年齢は?

公認会計士合格後、就職できる年齢は?

先述のとおり、公認会計士試験合格者の約20%は監査法人に就職できないということが分かりました。

しかし、当然ながら就活時の年齢によって、監査法人への就職のしやすさは異なります。

そこで、ここでは年齢別に「大手監査法人への就職のしやすさ」の目安を紹介します。

【年齢別】大手監査法人への就職のしやすさ

年齢監査法人への就職のしやすさ
20代職歴なしでも大手監査法人に就職できる可能性は高い。
ただし、極端にコミュニケーション能力が低いと落とされる。
30歳~
34歳
大手監査法人に就職できるケースもあるが、コミュニケーション能力が求められる。
職歴はある方が望ましいが、職歴なしでも入社できているケースが散見される。
35歳~
39歳
大手監査法人に就職するなら、職歴は必須。
また、コミュニケーション能力も重視される。
就職難易度は高い。
40代会計監査と関連のある職歴(経理や会計事務所)はほぼ必須。
ただし、希少価値の高いスキルや経歴があれば就職できる可能性あり。
就職難易度は非常に高い。
50代就職することはほぼ不可能。

私自身BIG4でリクルートに携わっており、年齢によって、内定の出やすい人・出にくい人の傾向が分かります。

もちろん上記は目安ですが、BIG4であれば凡そ上記の傾向が当てはまるでしょう。

この傾向を踏まえると、職歴なしの方は20代までに公認会計士試験(論文式)に合格しておく、というのが望ましいです。

また、職歴がある方であっても30代後半になると就職難易度が一気に上がり、(大手監査法人に)就職できない可能性があります。

もし、「合格しても将来監査法人に就職できるか不安」という方は、次に紹介する監査トレーニー制度を検討してみるのも良いかもしれません。

30代前半までなら、監査トレーニーに応募してみるのもアリ

30代前半までなら、監査トレーニーに応募してみるのもアリ

もし今あなたが20代~30代前半なら、監査トレーニーに応募してみるのもアリでしょう。

監査トレーニーとは、監査法人で働きながら公認会計士を目指せる制度をいいます。

監査トレーニーになることで、次のようなメリットが得られます。

監査トレーニーになるメリット
  • 試験合格後もそのまま監査法人で働くことができる
  • 監査実務を経験できるため、受験勉強に大きく役立つ
  • 給料をもらいながら受験勉強ができる
  • 予備校代を負担してもらえる

要約すると、将来の就職への不安を解消でき、金銭的な援助も受けながら学習効率を上げることができるのです。

監査トレーニー制度は、公認会計士受験生にとって非常に有益な制度ですが、それだけに競争率も高いです。

但し、当然デメリットもありますから、詳しくは監査トレーニーの求人の探し方と、内定率を高める方法の記事をご参照ください。
きっと役立つはずです。

なお、30代後半になると監査トレーニーの応募はほぼ不可能です。(年齢的な問題で、応募してもほぼ落ちると思います)

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公認会計士合格後、就活の流れ・スケジュール

公認会計士合格後、就活の流れ・スケジュール

大手監査法人の就活スケジュールは、次のとおりです。

大手監査法人の就活スケジュール

就活時期概要
8月中旬公認会計士論文式試験 実施
8月下旬予備校主催の「監査法人」合同説明会
9月上旬~10月中旬大手監査法人主催の説明会
11月中旬公認会計士論文式試験 合格発表
11月中旬~下旬大手監査法人主催の説明会
11月下旬~12月上旬大手監査法人の面接
12月上旬大手監査法人の内定
翌年 2月1日大手監査法人 入所
EY「4法人東京事務所リクルート協議会 協定事項確認書」第二版

11月中旬の合格発表後、1週間程度を空けてすぐに面接が始まり、2週間で内定が出る流れです。

そのため、11月中旬の公認会計士試験(論文式)合格発表までに、各監査法人の特徴を掴み、面接対策まで実施しておく必要があります。

イメージとしては、8月下旬~10月中旬まで説明会で情報収集し、10月中旬~11月中旬で情報整理面接対策をする流れです。

この流れは毎年ほぼ変わりませんので、今から公認会計士を目指す方も、今のうちにイメージしておくと良いでしょう。

なお、「中小監査法人」も上記スケジュールに近く、その他の一般企業(経理・会計事務所・税理士法人など)では通年採用(中途採用)に応募するケースが一般的です。

公認会計士試験後、就職を有利にする方法

公認会計士試験(論文式)を受験した後は、ゆるやかに就職活動(情報収集)が始まり、合格発表後は一気に面接→内定へと進みます。

そのため、(期間は短いですが)論文式試験後の8月中旬~11月中旬の期間で、より内定率を高めるための準備ができるでしょう。

より就職を有利にする方法として、具体的には次の3パターンがあります。

公認会計士試験後、就職を有利にする方法3種
  • (英語が得意な方は)TOEICを受けておく
  • PCに関する資格を取得しておく
  • 面接練習をしておく

最も手っ取り早いのは、TOEICを受験することです。

ただし、凡そ700点以上が取れなければ就活では有利になりません。

準備期間は3ヶ月と非常に短いため、元々英語力に自信のある方はTOEICを受けておくと良いでしょう。

また、監査法人内ではPCを使用しながら仕事を進めるため、(入社意欲のアピールとして)PC関連の資格を取得しておくのもアリです。

オススメは「ITパスポート」という資格です。

資格を取得するだけでは大したアピールにはなりませんが、面接で入社意欲を積極的にアピールするため(証拠として)利用することができます。

そして、最も大切なのは面接対策を行うことです。

公認会計士試験は、合格者の約半数が就活を経験したことのない大学生です。

面接対策を行ったことのある人が少ないため、面接対策を行っておくことで、ライバルよりも大きくリードすることができます。

面接対策は、大手予備校(TAC・大原・LECなど)で論文後に実施されているはずですので、チェックされることを強く推奨します。

なお、論文式試験前から面接対策をする必要はありません。(一般の就活に比べて、会計士の就活は楽です)

公認会計士の就職活動に関連した、よくある疑問

その他、公認会計士の就職活動に関連したよくある疑問をまとめました。


公認会計士合格後、就職する際に学歴は関係ある?

いいえ、ほぼ学歴は関係ありません。

私自身も、東海大学工学部建築学科というあまり偏差値の高くない大学を卒業していますが、大手監査法人4社すべてから内定を得ています。

就職活動の際は、内面を見られます。

公認会計士を目指すなら、「専門学校」と「大学」のどっちがオススメ?

一概には言えませんが、リスクヘッジをするなら大学進学をオススメします。

なぜなら、万が一公認会計士の受験から撤退することになった場合でも、一般企業への就職がしやすいからです。

一方、公認会計士への適性や自信がある方は、大学へ行かずに専門学校を選んでも良いでしょう。

なぜなら、公認会計士試験合格後は転職などのキャリアにおいて「学歴」を見られる機会は少ないからです。

公認会計士を目指すなら、どこの大学がオススメ?

これも一概に言えませんが、在学中に公認会計士試験合格者を最も多く輩出しているのは、慶應義塾大学であると言われています。(全ての大学が試験合格者数を輩出しているわけではないため、確実ではありませんが)

公認会計士を多く輩出している大学では、公認会計士試験と親和性の高い授業を受講できるケースが多いため、カリキュラム等も確認してみると良いでしょう。

公認会計士の受験と就活は並行できる?

できますが、どちらも中途半端になる可能性が高いためあまりオススメしません。

就活において、自己PRで「今も公認会計士の受験勉強をしている」と話した場合、本気で就活に取り組んでいない・入社してもすぐ辞めるのでは?と思われるリスクがあります。

もちろん起用に両立できる方もいるのかもしれませんが、私はオススメしません。

公認会計士のために新卒を捨てるのはアリ?

これは本人のポテンシャルにもよりますが、私はアリだと思います。

仮に公認会計士に合格し、大手監査法人に入所すると、その後転職の際に新卒では入社できないような超優良企業への転職も容易になるからです。

年収1,000万も比較的容易に達成でき、生涯年収も非常に高くなるため、新卒を捨てる価値はあります。

ただし、これは公認会計士試験に合格することが前提です。

ご自身の合格可能性と天秤にかけ、慎重に判断してください。

公認会計士に合格しても「就活しない」のはアリ?

ありですが、将来就職活動をした際に必ず理由を聞かれるため、理由を説明できる必要があります。

試験合格後はほぼ全員が就活をするため、積極的な理由がない限り、あまりオススメしません。

公認会計士試験後に就職できなかった(失敗した)場合、どうなる?

通常、一般企業(経理や会計事務所など)を就職先に選ぶことになります。

なお、一度不採用となった監査法人に応募したい場合であっても、通常は3年程度空けなければ応募できません。(応募できても結局落とされるでしょう)

公認会計士は何歳まで働ける?

大手監査法人の定年は、60歳前後ですが、最近では「定年を55歳に引き下げる」といった噂も耳にすることがあります。

ただし、公認会計士は転職が容易であり、定年65歳の会社への転職や、定年後のシニア雇用(監査法人での非常勤)として70歳頃まで働くことはできます。

またこのほか、独立開業によって70歳以降も働く方は多いでしょう。

公認会計士の平均合格年数はどのくらい?

公認会計士試験合格者の平均合格年数は、約3年と言われています。

公式的なデータは公表されていないものの、私の同僚会計士から話を聞いてみても、凡そ3年前後での合格が最も多いと感じます。

公認会計士はどんな人が向いているか?

公認会計士に向いている人の特徴は、次のような人です。

  • 生涯自己学習を継続できる人
  • 細やかな性格の人
  • コミュニケーション能力の高い人

公認会計士に合格した後も、改正される会計基準・税法に対応するため、常に学習する姿勢が必要です。

また、仕事には細やかさの他、コミュニケーション能力も必要になります。

公認会計士の年収はいくら?

公認会計士試験合格後、監査法人内での年収は次のとおりです。

職階年収
スタッフ400万~600万
シニアスタッフ600万~1,000万
マネージャー900万~1,200万
シニアマネージャー1,200万~1,500万
パートナー1,200万~2,000万
シニアパートナー2,000万~

入社1年目は(残業代込みで)年収400万以上であり、入社10年目辺りから年収1,000万を超える方が出てきます。

なお、一般企業の経理や会計事務所・税理士法人では、ここまで高い年収は得られません。

まとめ:年齢・経歴によって、監査法人に就職できない可能性はあります。

まとめです。

まとめ
  • 会計士試験合格者のうち、約20%は監査法人に就職できない
  • 特に、30代に入ると就職率が下がる
  • 将来の就職に不安な方は、監査トレーニーという選択肢もあり

以上、公認会計士試験合格後の就職問題について、データ分析・私見を述べました。

監査トレーニーに興味のある方は、監査トレーニーの求人の探し方と、内定率を高める方法で詳しく解説していますので、参考にしてください。

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