所長の藤沼です。
一般的な税理士の繁忙期は、12月~5月です。
しかし、月によって忙しさの度合いが異なり、またその他の月であっても忙しいケースがあります。
そこで今回は、会計事務所における税理士の繁忙期の忙しさを、月ごとに紹介します。
きっと会計事務所選びの参考なるでしょう。
税理士の繁忙期サマリー
月 | 忙しさレベル |
---|---|
1月 | とても忙しい |
2月 | とても忙しい |
3月 | とても忙しい |
4月 | 忙しい |
5月 | とても忙しい |
6~11月 | 普通(閑散期) |
12月 | 忙しい |
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税理士の繁忙期はいつ?
一般的な会計事務所における税理士の繁忙期は、12月~5月です。
ただし、月によって忙しさには濃淡があります。
- 12月:忙しさ「中」
- 1月:忙しさ「高」
- 2月:忙しさ「高」
- 3月:忙しさ「高」
- 4月:忙しさ「中」
- 5月:忙しさ「高」
以下、月ごとにどのような業務で忙しくなるのか、かんたんに解説します。
12月:忙しさ「中」
12月に必要となる業務のうち、通常業務以外の業務は以下のとおりです。
業務内容 | 提出期限 |
---|---|
住民税特別徴収税額(納期の特例)の申告・納付 | 12月10日 |
固定資産税の償却資産申告書の作成・提出 | 1月31日 |
年末調整書類の作成・提出 | 1月31日 |
法定調書の作成・提出 | 1月31日 |
12月中旬ごろから主に年末調整関連の業務が増えるため、徐々に忙しくなり始めます。
とはいえ、期限は1月末であることから、(1月に比べれば)そこまで忙しくなることはありません。
1月:忙しさ「高」
1月に必要となる業務のうち、通常業務以外の業務は以下のとおりです。
業務内容 | 提出期限 |
---|---|
源泉所得税(納期の特例)の申告・納付 | 1月20日 |
固定資産税の償却資産申告書の作成・提出 | 1月31日 |
年末調整書類の作成・提出 | 1月31日 |
法定調書の作成・提出 | 1月31日 |
法人の決算書の作成(12月決算法人) | 2月28日 |
個人の確定申告書の作成・提出 | 3月15日 |
1月は様々な書類の提出期限が重なり、また12月決算法人の決算業務も重なることから、非常に忙しくなります。
年始は三箇日まで出勤することは少ないですが、4日からはすぐに仕事が始まります。
会計事務所での年末年始のお休みは、年末は休暇などをプラスしやすい傾向にあるものの、年始は(三が日を除き)休暇を取りづらい傾向にあると感じます。
2月:忙しさ「高」
2月に必要となる業務のうち、通常業務以外の業務は以下のとおりです。
業務内容 | 提出期限 |
---|---|
法人の確定申告書の作成・提出(12月決算法人) | 2月28日 |
個人の確定申告書の作成・提出 | 3月15日 |
2月は、主に法人税・所得税の確定申告に係る業務がメインであり、1月から引き続き非常に忙しい時期です。
法人の顧客を主とする会計事務所であっても、法人の代表者個人の確定申告を請け負うケースも多いです。
確定申告は会計事務所でのメインとなる仕事であることから、最も負荷のかかる時期と言っても過言ではありません。
そのため、例えばTACや大原などの予備校が開講している「税理士講座」も、この時期は授業カリキュラムが無かったりします。
3月:忙しさ「高」
3月に必要となる業務のうち、通常業務以外の業務は以下のとおりです。
業務内容 | 提出期限 |
---|---|
確定申告書の作成・提出(個人) | 3月15日 |
3月は15日までが個人(所得税)の確定申告期限であり、2月から引き続き忙しくなります。
通常、期限ギリギリまで顧客の申告書を作成するようなケースは少ないですが、飛び込みで依頼をされてくる新規顧客の方もいたりしますので、3月は臨時対応が増える傾向にあります。
また、3月16日以降は年明けから遅れていた通常業務をまとめてこなすケースが多く、3月後半であっても引き続き忙しさは続きます。
4月:忙しさ「中」
4月に必要となる業務のうち、通常業務以外の業務は以下のとおりです。
業務内容 | 提出期限 |
---|---|
法人の決算書の作成・提出(3月決算法人) | 5月31日 |
4月に入ると、次は3月決算法人の法人税等の決算作業が始まります。
日本では、法人全体の2割近くが「3月決算」の法人であることから、確定申告の時期が4月~5月に集中します。(参照:国税庁「決算期別の法人数」pdf)
しかし、3月までの所得税に関する申告業務がなくなるため、(1月~3月に比べると)少し業務量が減ります。
ようやく一息つけるタイミングと言えるでしょう。(事務所によっては、この時期も忙しいケースがあります)
5月:忙しさ「高」
5月に必要となる業務のうち、通常業務以外の業務は以下のとおりです。
業務内容 | 提出期限 |
---|---|
法人の確定申告書の作成・提出(3月決算法人) | 5月31日 |
5月は法人税等の確定申告の期限となることから、業務が集中しやすい時期です。
ただし、(あまり多くないと思いますが)法人クライアントの少ない会計事務所では、5月はさほど忙しくなりません。
会計事務所の閑散期は、6月~11月。
会計事務所の閑散期(通常期)は、6月~11月です。
この時期は大きなイベントが少ないため、この期間を利用して「リクルート」や「営業」や「研修」などに力を入れる会計事務所は多いです。
また、スタッフ業務としては通常業務をこなすことになります。
なお、会計事務所での主な仕事内容は次のとおりです。
- 記帳代行
- 巡回監査
- 決算業務
- 税務申告
- 給与計算・年末調整
- コンサルティング業務
- その他事務作業
「税務」がメインの会計事務所ですが、コンサルティングや会計監査など、少し異なるサービスを提供している会計事務所もあります。
各仕事内容について、詳しくは 会計事務所での仕事内容を分かりやすく解説 の記事で具体的に解説しています。
この時期も忙しくなるケースがある
上記は、あくまで一般的な会計事務所のスケジュールを想定しています。
6月~11月であっても、例えば次のような会計事務所では忙しくなるケースがあります。
- 変則決算(3月以外の決算)の法人クライアントが多い場合
- 専門特化型の会計事務所である場合 etc
日本では3月決算法人が最も多いですが、例えば担当するクライアントに5月決算法人が多い場合、6月~7月も引き続き繁忙期になる可能性があります。(通常、変則決算法人を集中的に1人の担当者に割り振ることはないため、レアケースですが)
また、資産税特化、SPC特化など、特定の分野に特化した会計事務所では、上記のようなスケジュール感と異なる場合があります。
そのため、会計事務所への転職の際は、応募前に繁忙期となる時期を念のため確認しておくと良いでしょう。
税理士試験の実施時期との関係
税理士試験は、毎年8月前半に実施されます。
会計事務所では6月から閑散期に入るため、6月~8月までは比較的受験勉強に集中できるでしょう。
難関国家資格は、直前期(本試験1~3ヶ月前)の追い込みが非常に重要ですので、ここで試験休暇を取る方も多いです。
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会計事務所での残業時間
会計事務所での残業時間は、ファイブスターマガジンという雑誌の事務所経営白書2020での調査データが参考になります。
ここでは、会計事務所の「繁忙期」及び「閑散期」のそれぞれについて、残業時間を見てみます。
なお、この調査は会計事務所の採用側へのアンケートではなく、会計事務所勤務の職員に対するアンケート調査結果であるため、情報の信ぴょう性は高いと考えられます。
繁忙期の残業時間
会計事務所での繁忙期における残業時間は、約60%の事務所で「週に10時間以上の残業をしている」という回答結果が得られました。
つまり、(休日出勤をしていない前提で)60%のスタッフが、繁忙期は1日2時間以上の残業をしている計算になります。
9時~18時勤務であれば、早くとも20時に退社できるイメージです。
なお、全体の平均は週16時間でした。(加重平均)
一方で、週10時間以内の残業にとどまっている会計事務所も約25%あります。
閑散期の残業時間
会計事務所での閑散期における残業時間は、約55%の会計事務所が「週の残業時間は10時間以内」と回答しています。
また、全体の平均は週9時間でした。(加重平均)
閑散期とはいえ、若干の残業が発生するケースが多いようです。
会計事務所では休めないって本当?
いいえ、そんなことはありません。
もし全く休めない会計事務所にお勤めなら、今すぐ辞めるべきと言えるほどブラックです。
普通の会計事務所であれば、平日休みもとることができます。
また、税理士受験生であれば「試験休暇」を付与する事務所もあります。
ただし、繁忙期中に休暇を取ることは難しいでしょう。(不可能ではありませんが、職員から反感を買うはずです。)
税理士の繁忙期に関するよくある疑問
その他、会計事務所での税理士の繁忙期に関するよくある質問をまとめました。
- 会計事務所と税理士事務所の違いは何ですか?
-
大きな違いはなく、一般的にはあまり区別することはありません。
ただし、求人を探す際には若干区別されるケースがあります。
具体的には、「所長が税理士かどうか」という視点で異なり、所長が税理士かどうかによって仕事内容も変わることがあります。
更に具体的な「会計事務所と税理士事務所の違い」については、「会計事務所」「税理士事務所」「税理士法人」の違いは何?の記事で細かく解説しています。
- 税理士は月末になると忙しい?
-
「月末」が特別忙しいわけではなく、先述した繁忙期の月末が忙しいという表現が適切です。
なぜなら、多くの書類の提出期限が月末に集中しているからです。
閑散期(通常期)であれば、月末よりもむしろ月初の方が忙しいでしょう。(月次決算の作成などは、全て月末の取引を集計した後に行われるため)
- 会計事務所のバイトであっても繁忙期は忙しい?
-
これは完全に事務所の方針によります。
雑務の多いような会計事務所の場合、アルバイトであっても残業がやや多くなる可能性があります。
ただし、通常はバイト職員に多くの残業を強いることは少なく、正社員よりも早く帰ることはできるでしょう。
- 会計事務所での繁忙期には、休日出勤することもある?
-
はい、あります。
もちろん会計事務所にもよりますが、仕事が終わらなければ休日出勤をする必要も出てきます。
- 彼氏が税理士ですが繁忙期でもデートできますか?
-
可能だとは思いますが、相当疲れているはずです。
労わってあげてください…。
- 税理士は9月が忙しいと聞きますが本当ですか?
-
9月は(一般的には)閑散期ですから、忙しくはないでしょう。
ただし、9月決算の法人クライアントを複数社担当している場合は、10月~11月に忙しくなるはずです。
9月決算法人は「3月決算法人」の次に数が多いため、10月~11月に忙しくなる税理士がいてもおかしくはありません。
- 繁忙期に会計事務所に転職するのはアリ?
-
アリだと思いますが、未経験者の方は閑散期に転職されることをオススメします。
というのも、仮に繁忙期中に入所した場合、職員が皆忙しく教育するヒマがないからです。
転職活動自体を繁忙期中に行い、入所時期を繁忙期明けに設定すると、十分なOJTを受けながらスキルアップすることができるはずです。
- 税理士はコロナによって忙しさが増した?
-
確かに、新たな助成金・補助金が生まれたため、税理士の仕事は増えました。
しかし、近年では収まりつつあることから、補助金・助成金に関する業務も落ち着いてきました。
- 税理士の繁忙期はいつ?
-
税理士の繁忙期は、「会計事務所での繁忙期」とほぼ同じです。
ただし、税理士は事務所経営に関与したり、リクルートに積極的に関与するケースがあるため、閑散期であっても(無資格者に比べて)残業が増えやすい傾向にあります。
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忙しいけど、得られるメリットも非常に大きいのが会計事務所です。
以上、会計事務所での繁忙期の忙しさを解説しました。
一部、「残業なし」という会計事務所もありますが、一般的な事務に比べると会計事務所業界は「残業が多くなりやすい」と言えます。
しかし、それ以上にたくさんのメリットが得られるのが、会計事務所の良いところだと思います。
たとえば、会計事務所で働くメリットには、次のようなものが挙げられます。
- 税理士を目指す環境として最適
- 税務のスペシャリストになれる
- 将来のキャリアの選択肢が多い
- 保有資格が給与に反映されやすい
- 自宅から近い職場を選べる
- 組織経営を知ることができる
専門家としてのスキルを高めながら、将来的には「税理士を目指す」というキャリアを見据えることができるのが、会計事務所で働く最大のメリットです。
税理士になれば、独立開業も比較的容易です。
私自身も、今は独立して自由に働いています。
会計事務所で働くメリットについて、詳しく知りたい方は税理士事務所で働くメリットは何? デメリットは?の記事が参考になるはずです。
以上、会計事務所での繁忙期について、詳細解説してみました。
少しでも、会計事務所で働くイメージができたら幸いです。
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外部サイト:中小企業がインボイス制度に対応すべきこと・活用できる補助金とは?|中小企業DXニュース
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